「クズ」になる薬 by 細谷 知司

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闇の底を打つ音

「あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう」 フリードリッヒ・ニーチェ
 
生きることがちょっとだけ苦しくなった夜に、私はそんなニーチェの言葉を想い出す。
私にとっての最悪の敵としての私。
何だか禅問答のような雰囲気に溢れているが、ほとんど違和感はない。
およそ世界が敵対的に見える瞬間が少なからず訪れる。
そんな敵意が夜の闇の底を打つときに響く音のことを私はいつも思い浮かべる。
 
乾いた音が暗い静寂の中に響く。
音を奏でる主も、それを耳にするのも、等しく私自身だ。
そこには私以外にはどのようなものも存在しない。
海のように深く暗い色に沈んだ自意識の海。
音を鳴らす私が照らし出した一筋の光の中を、どこまでも従順に泳いでいく聞く側の私。
 
それだけでなく、最悪の敵としての私までもがどこまでも二義的だ。
私はこの世で一番私のことを知っている。
私の中の悪意、憎しみ、羨望、邪気、そんなネガティヴな感情をすべて知り尽くしている。
だから聞く側の私は奏でる私を怖れる。
もうどこにも逃げる場所などないのだと。
 
あるいは、私は世界の限界を私自身の内にしか見出すことができない。
だから音を奏でる私は常に世界であり、一個の世界として敵対的であるのだ。
私以外の存在を思えば、ちっぽけな一個の塵でしかない私という世界。
それをすべてだと誤認するところに、私が最悪の敵であり続ける空隙が生まれる。
それはやがて聞く側の私を浸食し、暗い海の藻屑へと風化させる。
 
だから私は想う。
音を奏でろ、しかし耳は塞げ!
粗暴なものを追い出し代わりに空隙を埋めるのは沈黙以外にはあり得ない。
暗い海の静寂。
一筋の光の中を、耳を塞いだままどこまでも泳ぎ続ける私...


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