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経済はだれにでも分析できる。そして、国内の政策や世界の外交・安全保障・軍事も経済を通してその真偽を見抜ける。
https://www.sankei.com/premium/news/190413/prm1904130001-n1.html
【田村秀男のお金は知っている】紙幣の顔よりも「消費増税路線」変えよ
2019.4.13 10:00プレミアム
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消費税増税後の中央政府債務の推移
 フジテレビが紙幣刷新をスクープした。産経新聞も9日の朝刊最終版で新しい紙幣の顔となる渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の顔写真入りで完璧に報じた。

 3人の肖像は令和の時代、ムード・チェンジを図る安倍晋三政権の意図にふさわしいと評価するが、おカネの顔だけで、日本経済再生を実現できるはずはない。肝心なのは、間違った経済政策を改めることで、最優先すべきは令和に入って5カ月後に予定している消費税率の10%引き上げを少なくても凍結することだ。5%への税率引き下げなら、大いに空気が変わるだろう。

 何度も拙論が主張してきたことだが、消費税増税はあらゆる面でチェックしても、不合理極まる。デフレを再来させ、経済成長をゼロ%台に押し下げ、勤労世代や若者に重税を担わせる。

 結婚や子作りを難しくする増税をしておいて、若い世代の教育無償化や子育て支援を行うとは、欺瞞(ぎまん)である。マラソンランナーにバケツ一杯の水を抱え込ませておいて動けなくし、コップ一杯の水を差し出すというようなものだ。

 もう一つ、財務省は消費税増税が政府債務削減によって財政健全化のために必要だとするムードを創り上げ、政治家やメディアを呪縛している。これも真っ赤な嘘であり、政府債務はむしろ増税後、急増している。

 グラフは1997年度の消費税率3%から5%、2014年度の5%から8%へのそれぞれの引き上げ後の中央政府の債務残高の推移を示している。いずれのケースとも、政府債務は増加基調が続いている。原因ははっきりしている。税収が増えても、そっくり同じ額を民間に還流させないと、経済は萎縮する。

 増税ショックを和らげるためという財政支出拡大額も増収分の一部に過ぎない。しかも、一時的な泥縄式の補正予算なので経済効果は不十分で、経済がゼロ・コンマ台の成長に陥る。その結果、消費税以外の税収が伸びない。となると、今度は財政支出を大幅削減するので、デフレ病が進行する。そこで、財政健全化という同じ名目で、増税を行う、という悪循環にはまる。

 この債務悪化傾向が多少でもなだらかになるときは、輸出増で法人税収が持ち直す局面に限られる。円高や輸出減で法人税収が落ち込むと、たちまち債務悪化に拍車がかかる。こうした失敗は1997年度の増税後に体験済みなのに、その教訓から行政府、国会、財界、学界、メディアも学ぼうとしない。

 舌鋒鋭い評論で知られた山本七平氏は著書「『空気』の研究」(文春文庫)で、太平洋戦争時、必ず失敗するというデータを無視した戦艦大和の特攻出撃を例に、「空気」に順応して判断する思考方式を描き出した。戦時の場合、他に選択肢はなかったのだが、現代の日本が増税空気に支配されるとは情けない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

https://www.sankei.com/premium/photos/190324/prm1903240006-p1.html
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【田村秀男の日曜経済講座】増税「空気」を吹き飛ばせ 消費税10%で自滅の恐れ
2019.3.24 08:00 プレミアム 経済
本G消費税収と消費税分を除く(日曜経済講座カラー
 家庭でも職場でも「空気を読めない」と俗世間は渡り難いが、国家は別だ。政策が「空気」で決まるようなら、その国は自滅しかねない。消費税増税はどうだろうか。10月に税率を10%に引き上げるべきという「空気」が政官学とメディアを覆っている。
 「空気」とは何か。評論家、故山本七平さんの「『空気』の研究」(文春文庫)によれば、「非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ」判断の基準をさす。太平洋戦争時、必ず失敗するというデータを無視した戦艦大和の特攻出撃を例に、「『空気』に順応して判断し決断し(中略)客観情勢の論理的検討の下に判断し決断しているのではない」と述べ、失敗の責任を問われない日本の「空気」に切り込んだ。
 消費税率は平成9年度、26年度に引き上げられたが、いずれも強烈なデフレ圧力を招き寄せて経済を停滞させた。安倍晋三首相は10%への引き上げは2度延期したのだが、「予定通りの実施」を口にせざるをえない情勢が続く。
 拙論は空気を読まない。首相に近い自民党有力議員はあきれ顔で「田村さん、10月10%実施は決まった過去の話よ」。3度目の延期は念頭にもない。国会の議論はもっぱら社会保障財源にどう使うかで、のんびりしたものだ。
 増税反対を表明する立憲民主、国民民主両党は、消費税率8%、10%への2段階引き上げを目指す「3党合意」を主導した野田佳彦政権時代の旧民主党が母体だが、増税が引き起こした災厄に何の反省もない。「与党の時に進めていた政策を、野党になったら、反対する。気持ち悪くてしょうがありません」(元民主党議員)と元同僚から愛想をつかされる始末である。
 政界のみならず、財界、経済学者、メディアの多数派を取り込み、増税の空気をじっくりと醸成してきた財務省は悠然と高みの見物を決め込んでいる。同省某幹部は「安倍総理が増税先送りを決断しても、新年度予算の関連項目の執行を凍結すれば済むので、予算組み換えで大混乱することはないでしょう。ただし、その場合、実施を公約してきた以上、政治責任を問われるかもしれませんね」とグサリ一言。
 安倍首相は教育無償化や子育て支援の財源に増税による収入の一部を回すことや、軽減税率、ポイント制導入などで増税による消費者への負担減にもぬかりはないと再三再四にわたって表明してきた。首相は自ら発する言葉で自らを縛った感がある。
 安倍首相はそれでも増税推進という「空気」を突破できるだろうか。拙論は日本経済再生というアベノミクスの原点に回帰すれば可能とみる。
 グラフを見よう。消費税率を3%から5%に引き上げた9年度以降の、8年度水準に比べた消費税収と消費税負担を差し引いた正味家計消費の増減額の推移である。
 家計消費に「正味」と付けたのは、国内総生産(GDP)統計上の「家計最終消費支出」が消費税の影響を正確に反映していないからだ。同支出はマイホームを持つ家計が家賃を自らに支払っていると仮定し、みなし家賃(「持ち家の帰属家賃」)を合算している。みなし家賃はナマの消費とはいえない。GDP2次速報によれば、30年(暦年)の「家計最終消費支出」297兆円のうち帰属家賃は50兆円にも上る。
 あぜんとさせられるのは正味家計消費は9年度、26年度の増税後、ともに強烈な下押し圧力を受けている。増税分の支払いを除くと、正味家計消費は8年度の水準に比べ水面下に沈んだままだ。8年度に比べ、30年度、消費税収は14・7兆円増え、正味家計消費は7・8兆円増える見込みだが、増税分の負担を考慮すれば正味家計消費は同6・8兆円も少ない。家計は22年前に比べ100円消費を増やしたとして、200円近い消費税を多く支払う計算になる。
 この間2度、消費が水面上に浮上する勢いが出たが、19年度はリーマン・ショックで押しつぶされた。26年度は税率8%への引き上げ実施とともに急激に落ち込み、アベノミクス効果は吹き飛んだ。リーマンという外部からのショックではない。消費税という人為による災厄である。
 最近はようやく家計消費が持ち直したというのに、今秋に増税リスクをまたもや冒そうとするのは無謀としか言いようがないではないか。
 税率10%というかつてない重税感という別の「空気」が家計を追い込む。脱デフレ、日本経済再生の道は閉ざされる。安倍政権は中国や米国景気など外需動向に構わず、増税中止を決断すべきなのだ。 (編集委員)

【田村秀男のお金は知っている】10%消費税でデフレの“泥沼”抜けられず…際限ない消費低迷へ
2019.3.30 10:00経済金融・財政
田村秀男のお金は知っている
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 拙論が24日付の産経新聞朝刊「日曜経済講座」で、10月に実施が予定されている消費税率の10%への引き上げの凍結を求めたところ、読者からさまざまな反響があった。多くは増税時の混乱についてだ。


 例えば、政府が増税の衝撃緩和策としている中小業者店舗でのキャッシュレス決済に対するポイント還元については、中小業者の受け入れがばらついており、10月までに態勢が整いそうにないという実情。食料品も品目によっては軽減税率の対象になるかどうかの線引きが微妙だ。そんなありさまで、小売りの現場は頭が痛いだろう。

 景気対策としては、防災を名目にした公共投資が地方の特定地域に今回だけ集中するが、人手不足で消化難、しかも翌年は発注が激減する。何という稚拙で計画性のなさか。政府の知性を疑う。

 折しも、世界景気の先行き懸念により株価不安が高まっている。度重なる消費税増税による経済への災厄に目を背け、10%への引き上げをもくろむ財務省を後押ししてきた日本経済新聞などメディアの多数派の論調は相変わらずだが、一部はビビり始めた。

 24日付日経朝刊はポイント制解説記事の末尾で、「足元では海外経済の減速を受け、景気の先行きが不透明になっている。3月の春季労使交渉では、大企業でも賃上げ率が18年を下回る例が目立った。増税が消費者心理に与える影響は大きく、消費を支えきれるかどうかはまだ見通せない」と付け足している。

 安倍晋三政権は結局のところ、新年度予算成立後、4月初めから5月下旬にかけて、消費税増税の先送りに踏み切るとの観測が市場に出るのも無理はない。

 拙論はそんな浮ついた景気観に同調するつもりはない。海外経済不安は昨年から始まっている。デフレ圧力が続く間は消費税増税すべきではないと、いたってシンプルに繰り返してきた通りだ。

 1997年度の増税以来、日本経済は慢性デフレに陥り、20年以上たっても脱デフレ成らず自滅、という惨状を憂慮するのだ。デフレ病はアベノミクスが2012年12月に始まったあと、症状はかなり緩和したが、14年度の増税でぶり返したままだ。

 
 グラフは、1997年度増税前からと2014年度増税前からの各5年間の実質正味家計消費の推移を追っている。「正味」とは、国民経済計算では最終家計消費に加算されている持ち家のみなし家賃を除外した分である。

 一目瞭然、97年度増税後よりも、14年度増税後のほうがはるかにショックは大きく、しかも元の水準に回復しないまま、家計消費が低迷を続けていることがわかる。97年度、14年度とも駆け込み消費と増税後の落ち込みが激しかったのだが、税率5%よりも8%のほうがはるかに大きな重圧となって、家計を苦しめている。

 政府は今秋の増税ではポイント還元などで駆け込み消費を和らげるので、反動減、消費不況を避けられるというが、浸透が疑わしい期間限定の一時的措置だ。税率10%という重税で消費は際限なく低迷が続くだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)

https://www.sankei.com/premium/news/190406/prm1904060001-n1.html

【田村秀男のお金は知っている】安倍首相は「令和」機に消費税と決別を デフレ不況深刻化の元凶

 5月から「令和」の時代に移ることになった。漢和辞典によれば、「令」の原義は神々しいお告げのことで、清らかで美しいという意味にもなるという。日本の伝統とも言える「和」の精神にふさわしい。
 だが、ごつごつとした競争を伴う経済社会では、清らかに和やかに、では済まされない。
 野心と挑戦意欲に満ちた若者たちがしのぎを削り合ってこそ、全体として経済が拡大する。経済成長は国家が担う社会保障の財源をつくり出し、競争社会の安全網を充実させ、和を生み出す。社会人になっていく若者たちの負担が軽くなるし、家庭をつくり子育てしていけるという安心感にもつながる。
 そこで、新元号決定直後の安倍晋三首相の会見をチェックしてみると、「次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会」「新しい時代には、このような若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代であってほしいと思っています。この点が、今回の元号を決める大きなポイント」と「若者」に繰り返し言及し、若者が「令和」時代を担うと期待している。
 だが、超低成長のもとでは「令」も「和」も成り立ち難い。若者は経済成長という上昇気流があってこそ、高く飛べると楽観できる。ゼロ成長の環境下では、殺伐とした生活しか暮らせないケースが増える。
 グラフは、平成元年(1989年)以来の日本の実質経済成長率の推移である。日本と同じく成熟した資本主義の米欧の年平均の実質成長率が2〜3%台だというのに、日本はゼロコンマ%台のまま30年が過ぎた。原因は人口構成の高齢化、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどを挙げる向きが多いが、ホントにどうなのか。

 高齢化はドイツなど欧州でも進行している。アジア通貨危機では直撃を受けた韓国はV字型回復を遂げたし、リーマンでは震源地の米国が慢性不況を免れた。いずれも日本だけがデフレ不況を深刻化させた。経済失政抜きに日本の停滞は考えにくい。
 最たる失政は消費税にある。政府は平成元年に消費税を導入、9年(97年)、そして26年(2014年)に税率を引き上げた。結果はグラフの通り、実質成長率はよくても1%台に乗るのがやっとで、家計消費はマイナス続き、外需頼みである。
 消費税はデフレ圧力を生み、経済成長を抑圧するばかりではない。所得が少ない若者や、子育てで消費負担が大きい勤労世代に重圧をかける。今秋の消費税率10%への引き上げは、首相が力説した、若者が担うはずの「令和」時代に逆行すると懸念せざるをえない。
 首相はデフレ下の増税に決別し、経済成長最優先という当たり前の基本路線に回帰すべきだ。その宣言は秋の消費税増税中止では物足りない。思い切って消費税率の引き下げを打ち出す。平成が終わり、令和にシフトする今こそ、政策転換のチャンスではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【田村秀男のお金は知っている】10%消費税でデフレの“泥沼”抜けられず…際限ない消費低迷へ
2019.3.30 10:00経済金融・財政
田村秀男のお金は知っている
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 拙論が24日付の産経新聞朝刊「日曜経済講座」で、10月に実施が予定されている消費税率の10%への引き上げの凍結を求めたところ、読者からさまざまな反響があった。多くは増税時の混乱についてだ。
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 例えば、政府が増税の衝撃緩和策としている中小業者店舗でのキャッシュレス決済に対するポイント還元については、中小業者の受け入れがばらついており、10月までに態勢が整いそうにないという実情。食料品も品目によっては軽減税率の対象になるかどうかの線引きが微妙だ。そんなありさまで、小売りの現場は頭が痛いだろう。

 景気対策としては、防災を名目にした公共投資が地方の特定地域に今回だけ集中するが、人手不足で消化難、しかも翌年は発注が激減する。何という稚拙で計画性のなさか。政府の知性を疑う。

 折しも、世界景気の先行き懸念により株価不安が高まっている。度重なる消費税増税による経済への災厄に目を背け、10%への引き上げをもくろむ財務省を後押ししてきた日本経済新聞などメディアの多数派の論調は相変わらずだが、一部はビビり始めた。

 24日付日経朝刊はポイント制解説記事の末尾で、「足元では海外経済の減速を受け、景気の先行きが不透明になっている。3月の春季労使交渉では、大企業でも賃上げ率が18年を下回る例が目立った。増税が消費者心理に与える影響は大きく、消費を支えきれるかどうかはまだ見通せない」と付け足している。

 安倍晋三政権は結局のところ、新年度予算成立後、4月初めから5月下旬にかけて、消費税増税の先送りに踏み切るとの観測が市場に出るのも無理はない。

 拙論はそんな浮ついた景気観に同調するつもりはない。海外経済不安は昨年から始まっている。デフレ圧力が続く間は消費税増税すべきではないと、いたってシンプルに繰り返してきた通りだ。

 1997年度の増税以来、日本経済は慢性デフレに陥り、20年以上たっても脱デフレ成らず自滅、という惨状を憂慮するのだ。デフレ病はアベノミクスが2012年12月に始まったあと、症状はかなり緩和したが、14年度の増税でぶり返したままだ。

 
 グラフは、1997年度増税前からと2014年度増税前からの各5年間の実質正味家計消費の推移を追っている。「正味」とは、国民経済計算では最終家計消費に加算されている持ち家のみなし家賃を除外した分である。

 一目瞭然、97年度増税後よりも、14年度増税後のほうがはるかにショックは大きく、しかも元の水準に回復しないまま、家計消費が低迷を続けていることがわかる。97年度、14年度とも駆け込み消費と増税後の落ち込みが激しかったのだが、税率5%よりも8%のほうがはるかに大きな重圧となって、家計を苦しめている。

 政府は今秋の増税ではポイント還元などで駆け込み消費を和らげるので、反動減、消費不況を避けられるというが、浸透が疑わしい期間限定の一時的措置だ。税率10%という重税で消費は際限なく低迷が続くだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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