ここから本文です
経済はだれにでも分析できる。そして、国内の政策や世界の外交・安全保障・軍事も経済を通してその真偽を見抜ける。
https://www.sankei.com/premium/news/181125/prm1811250005-n1.html?fbclid=IwAR07elol-OZnpAWyH5otjhiEvEcDzqJk8Baf8My4yDSM8-FhNfdVk9udnRs
【田村秀男のお金は知っている】「中国を変えるまで貿易戦争を続ける」 米閣僚が語る、トランプ氏“対中貿易制裁”の目的
2018.11.25 10:00プレミアム
Twitter
Facebook
イメージ 1

Messenger
文字サイズ
印刷
 マルバニー氏(左)は筆者(右)のインタビューに対中国の方針を明かした
マルバニー氏(左)は筆者(右)のインタビューに対中国の方針を明かした
 国際問題を論じる際には、データを徹底的に調べ、関係国・地域の情報を丹念に探索する。これらの作業はインターネットのおかげでずいぶん楽になったが、ジャーナリストとしては隔靴掻痒の感ありだ。直にキーパーソンに会ってみないと、生々しい現実をこの手でつかめない。米中貿易戦争についてもそうだ。

 そんな折、筆者はトランプ米大統領が最も信頼を寄せる政権閣僚とじっくり対談する機会に恵まれた。ミック・マルバニー米行政管理予算局(OMB)局長で、11月17、18日に東京で開かれた米保守系政治イベントCPAC(シーパック)の日本版「J−CPAC」に出席のため来日した。


 マルバニー氏はトランプイズムの目玉である大規模減税、広範囲の規制緩和の司令塔であるばかりではない。対中貿易強硬策にも深く関与し、今月末にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の場で習近平中国国家主席と会談予定のトランプ氏に同行する。

 ズバリ、トランプ大統領の対中貿易制裁の目的は何か、と聞くと、答えは「中国に変わってもらうことだ」「中国が変わらなければ、米中貿易戦争は2020年の次期大統領選まで続くだろう」。先の議会中間選挙では下院で民主党が多数を制したが、「中国への強硬姿勢は民主党と共有できる」と確信している。

 マルバニー氏の見解は、ほぼ同じタイミングで開かれたパプアニューギニアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前日のペンス副大統領の演説と符合する。ペンス氏は米中対立について「われわれはよくなることを望んでいるが、中国がやり方を改めるまで、米国は方針を変えない」と述べ、トランプ政権がさらなる対中追加関税の発動に動くこともあり得ると示唆した(ブルームバーグ、11月17日付)。



広告

inRead invented by Teads
 「中国を変える」とは何か。高関税などの保護貿易措置の除去はもちろん、ハイテクの窃取、外資に対する技術供与の強制など知的財産権侵害をやめ、不透明な政府補助政策を撤廃する。さらに、侵略主義的な中華経済圏構想「一帯一路」戦略も含まれる。
 習政権はアジアなどの貧しい発展途上国に融資し、返済できないとなると、中国企業が建設した港湾などのインフラを接収する「債務の罠」を仕掛ける。これらはすべて、共産党による経済統制に起因する。
 トランプ政権の対中要求を突き詰めれば、共産党の経済支配をやめ、自由市場経済に改めさせることになるが、習政権にとってみれば自己否定を意味するのだから、基本的に受け入れるはずはない。だからこそ、マルバニー氏らは貿易戦争の長期化を覚悟しているのだろう。

 対照的に、日本側の対中姿勢は「中国を変える」ことからほど遠い。むしろ、ハイテク開発に協力し、一帯一路では中国企業との共同受注をめざすという融和路線だ。マルバニー氏はそれについて、「どの国も周辺国とパートナーシップをめざすのは当然だ」。もちろん、外交儀礼上の発言で、本音ではあるまい。(産経新聞特別記者・田村秀男)

この記事に

田村秀男の日曜経済講座
2018.11.25
イメージ 1

 「米国第一」を掲げるトランプ米政権は大型減税と広範囲にわたる規制緩和を実現し、通商面では中国に対するこれまでの政権の融和路線を廃棄した。こうした「トランプイズム」の本質とは、また、日本にとっての意味とは何だろうか。このほど来日したトランプ大統領の側近、ミック・マルバニー行政管理予算局(OMB)局長との対話を通じて、考えてみた。
 マルバニー氏は先週末、東京で開かれた米保守系政治イベントCPAC(シーパック)の日本版「J−CPAC」に出席のため来日した。マルバニー氏は減税、規制緩和の司令塔であるばかりではない。対中貿易強硬策にも深く関与し、今月末にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の場で習近平中国国家主席と会談予定のトランプ氏に同行する。
 マルバニー氏は「減税と規制緩和がセットとなって経済の奇跡を呼んだ」「ノーベル経済学賞受賞学者のポール・クルーグマン教授が絶対に無理だと主張していた実質経済成長率3%台を達成し、軌道に乗せた」と胸を張る。確かにグラフを見ると、米経済は昨年1月の政権発足後、力強い回復を遂げ、経済成長率が弱々しい足取りの日本を大きく引き離している。
 法人税と所得税の大型減税の米国と、大型消費税増税の日本の違いだけとは済まされない。アベノミクスもまた、「第三の矢」として「規制改革」を打ち出し、国家戦略特区での規制緩和を実施している。規制緩和について、内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は賛同するが、「それが成長にどのくらい結びつくかは見極めにくい」と頭をひねっていた。成果に至る道筋が見えないのだ。
 安倍晋三政権は法人税減税にも踏み切り、企業利益に対する法人税、住民税および事業税合計の税負担率は2012年度の39%から17年度の25%へと、大きく下がった。それとは算出方法が異なるが、トランプ減税の結果、連邦税、州税合わせて企業の実効税率が25〜28%と見込まれる米国と遜色はないようだ。
 企業行動はどうなったか。米国ではイノベーション機運が高まる。日本では、企業がひたすら内部留保を膨らます。日産自動車前会長のゴーン容疑者の資産不正利用、会計操作疑惑も、そうした資金余剰の大海に浮かんでいる。
 減税や規制緩和の基本的な考え方は米国の保守主義思想からくる。「税金を使わずに、経済を成長させ、人々の生活を楽にすることができる」とマルバニー氏は確信に満ちている。「小さな政府」主義であることはもちろんだが、「重要なポイントは制度にある」と強調する。「政権発足当時は規制緩和を実現する組織もなかったので、進展をみるまでに6カ月もかかったが、体制が整うと改革の速度は一挙に加速した」。大統領の指示は、「各省庁が一つの規制を加えるなら、二つの規制を必ず撤廃させる」と具体的で簡明だ。政権トップ、実行制度が、政府に頼らず自立、独立精神を尊ぶ個人主義が支える保守の風土に結びつくことで、経済成長という果実を生むわけだ。
 日本にも「保守」思想はかなり浸透しているが、概して文学の領域にとどまる。実利動機がものを言う米国型保守主義とは次元が違う。勢い、日本流規制緩和策は付け焼き刃になりがちだ。首相が規制改革の旗を振り下ろしたら、自身の権限縮小を招く規制の撤廃はなるだけ避けようとする官僚が作文を書いて規制緩和項目を並べたペーパーをホチキスで留めてまずは一件落着となる。
 財務官僚は「小さな政府」を逆手にとる。財政再建しないと国債暴落リスクが高まるとし、歳出削減と消費税増税の必要性を政治家やメディアに浸透させていく。政治サイドから減税を迫られると、「財源がない」と開き直って、他の項目の増税を呑ませてしまう。そこには家計簿式の発想しかなく、国民を富ませるという意志が皆無のようにも思える。
 保守とはもちろん実利がすべてではない。「自分の安全は自身の手で守る信念は保守主義の要点」(マルバニー氏)。それは不公正貿易慣行や技術の窃取で米国経済やハイテク覇権を侵食する中国に対する貿易制裁につながり、「中国を変えさせるまで、対中貿易戦争は続く」(同)。対照的に日本は、中国との「協力」に傾斜する。日中通貨スワップや巨大中華経済圏構想「一帯一路」への日本企業参加がそうだ。中国を変える決意がなければ、中国に利用され、米国との間に溝ができやしないか、気になる。

この記事に

本日は青山葬儀所での津川雅彦、朝丘雪路ご夫妻の合同葬儀に出席しました。津川さんとは全く世界が違いますが、日本再生の考え方で意気投合。10年足らずの交流でした。突然でしたが、もっと生きて欲しかったです。

この記事に

夕刊フジ電子版より、田村秀男先生の記事です。先の安倍総理の訪中のときに締結した、日中通貨スワップ協定に関してです。日中通貨スワップ協定は、中国側からみれば日米分断外交のひとつということがよくわかります。そして国際通貨でもある日本円によって中国企業に信用を与えてしまうということです
夕刊フジ電子版で新連載


この記事に

[ すべて表示 ]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事