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2017.8.19 10:00
【田村秀男のお金は知っている】トランプ氏、301条の対中適用も最大の障害は“米”企業 アップルなどすでに中国当局の人質同然
301条に基づく対中調査を指示する大統領令に署名したトランプ氏(UPI=共同)
北朝鮮情勢が緊迫化する中で、トランプ米大統領は14日、通商法301条に基づき、中国による知的財産権侵害に関する調査を通商代表部(USTR)に指示する大統領令に署名した。12日の習近平中国国家主席との電話会談で通告していた。(夕刊フジ)
意気込みはよいとしてもどこまで罰せるかどうか、疑わしい。アップルなど米企業の多くはすでに中国当局の人質同然になっており、中国側に逆らえなくなっているからだ。
米ウォールストリート・ジャーナルの9日付電子版の「中国の夢はアップルの悪夢、規制に屈する米IT企業」と題する記事はまさにそのポイントをついている。アップルなど米ハイテク大手企業は「ストックホルム症候群」にかかっているという。同症候群とは、誘拐、監禁された被害者が長い間、犯人と接しているうちに、犯人にある種の連帯感や好意を抱くようになる心理状況や行動を指す。米各社はIT、車の自動運転、ロボットなど中国の国産化戦略に協力し、中国企業との合弁を通じて巨額の投資を行い、技術移転に応じてきた。
ITについて、中国は1990年代後半から、インターネットの検閲能力、統制技術を強化してきたが、筆者の知人である米国の中国専門家によれば、その基礎技術を提供したのは米ネットワーク機器メーカー大手だという。中国共産党にとって都合の悪いウェブサイトをチェックし、遮断する。2016年3月には中国国内のインターネット接続サービスプロバイダー各社は、中国以外で登録されたドメイン名のウェブサイトへの接続を禁じた。
最近では、アップルが中国当局のインターネット検閲システムを回避できるアプリケーション・ソフトを中国のアプリ配信サイト「アップストア」から撤去した。同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は「単に中国の法律に従っているだけだ」と説明しているというが、アップルは米国をしのぐ市場規模になった中国の法令順守を、米国の「自由」理念よりも優先させている。
アップルに限らず、グーグル、インテル、IBMなども軒並み、中国には従順だ。何よりも規模が大きくしかも成長が見込める中国市場でのシェア獲得に目がくらんでいるからだ。いわば、株主利益最優先の米国型資本主義の弱点が中国当局によって逆手にとられたようなもので、上記のクック発言のように、対中協力が当たり前かのごとき症状をみせている。
301条に基づく調査は中国による知的財産権侵害や技術移転の強要などが対象になる。だが、被害者の米企業が口をつぐめば、301条違反の証拠集めには手間取るだろう。そんな限界を突破するためには、米国は情報機関を総動員するくらいの決意が必要のはずだ。
1980年代後半、米大統領が日本製半導体のダンピング調査を命じたとき、担当のUSTRばかりではなく、中央情報局(CIA)の海外情報網を活用した。軍事上のライバルである中国には無論、そうするでしょうね、トランプさん。 (産経新聞特別記者)
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いつも田村先生にはいろいろ教えて頂き、感謝しています。質問があります。最近上海総合指数も上向き、人民元も対ドルで上向き安定。中国の米国債保有高も一時減った後また増えた。中国は、人民元安や中国企業株価安定のために、外貨準備の米国債を売って対処していると思っていました。その後不動産バブルも弾けず、中国の金融機関や企業の連鎖倒産も起きず、見た目安定しているように見えます。資産の海外持ち出しをあれだけ禁止しているので、中国経済が危機であることは間違いないと思うのですが、人民元を増刷し続ければ、インフレになって人民元安になるはずだし、逆に人民元の供給を減らせば、日本のようなデフレになり中国経済は急激に悪化すると思います。中国政府は何か魔法のような方法で対処しているのでしょうか?もし何か分かれば教えて下さい。よろしくお願いします。
[ セブン ]
2017/8/29(火) 午後 6:54
上のセブンです。
自問自答ですみません。中国政府は海外に投資するはずだった資金を自国の経済崩壊を防ぐために、上海総合指数と人民元の維持に回していると推測しています。外貨準備はほぼイコール米国債なので、米国債の保有高が減ると苦しい台所事情がバレてしまうので、米国債を日本よりちょっと多く保有することにも資金を投入しました。上海総合指数は9月6日に3385をピークに、人民元は9月8日に1ドル6.48人民元をピークに下がりつつあります。資金が枯渇したのではないでしょうか。今後米国債が下落傾向になり、中国の保有高が急激に減れば、それは中国に本当にお金がなくなったことを示し、中国経済崩壊の警報となるのではないでしょうか。素人の勝手な推測ですが。
[ onmyoujiseven ]
2017/9/21(木) 午前 11:05
返事が遅れましたが、金の裏付けがない現代のカネというのは、信用によって成り立ちます。中国は人民元をドルの裏付けということで保っており、したがって外準を積み上げてきたわけです。その外準が大幅に減るときは、巨額の資本逃避が起きるときです。中国当局は強権でそれを抑え込んでいます。さらに国内の不動産バブルを潰さないようにし、株式市場にも介入し、株価を維持しようとします。限界はいつかくるでしょうが、銀行も企業も人も抑え込む共産党の統制経済はこれまでのところ、市場をコントロールできています。中国を崩壊させるためには、市場を完全自由化させなければなりませんが、米欧は中国市場に依存しているので、その崩壊を恐れています。
[ 田村秀男の国際政治経済学 ]
2017/9/28(木) 午後 4:05