【田村秀男のお金は知っている】無理筋でも「消費増税」を勧める日経新聞… 文字サイズ 印刷
日本経済新聞は「経済教室」欄で11月2、5日に「好調景気に潜むリスク」と題して、上下2回に分けて景気の先行き懸念を専門家に論じさせた。稲田義久・甲南大学教授の「上」では貿易戦争の影響でマイナス成長に陥りかねないと警鐘を鳴らし、宮川努・学習院大学教授は日本経済が海外発の危機に対する抵抗力が乏しいと断じている。
日本の内需は2014年度の消費税増税ショック以降、大きく落ち込んだ後、不振が続いており、輸出増に依存することでかろうじてプラス成長を維持していることは、グラフが示す通りだ。12年12月に始まったアベノミクスは当初こそ、景気を上向かせたが、増税ショックで一挙に失速した。トランプ米政権による米景気拡大策がなければ、マイナス成長に陥っただろう。
従って、両教授の外需不安説に異論はないが、中身を読んで驚いた。稲田氏は「消費増税の影響は限定的」と断じ、宮川氏は「政府がなすべきことは(中略)約束通り消費税率引き上げを実施し財源を確保することだ」と決めつけている。要するに、両氏とも、来年10月の消費税率の10%への引き上げは、予定通り実施してよい、というものだ。
消費税率引き上げは前回に限らず、1997年度も家計消費を大きく落ち込ませたばかりか、慢性デフレをもたらし、日本経済「空白の20年」がさらに「30年」になりかねないというのに、なぜ、増税しても構わないというのだろうか。
稲田氏は2014年度の消費税増税後、「民間消費を中心とする国内需要の大幅な落ち込みから抜け切れない状況が続いた」と認めている。来年の消費税増税後はどうか。日本経済全体の需給状況を示す国内総生産(GDP)ギャップ率(GDP実績と潜在GDPの差を潜在GDPで割った値)が「19年10〜12月期に0・4%のマイナスに転じ、20年1〜3月期には0・5%とマイナス幅は拡大する。様々な消費増税対策が導入されたとしても、ある程度のマイナスの影響(デフレ化の進展)は避けられない」と認めている。
外需落ち込みはリスクが高まっており、内需は消費税増税で押さえつけられる。それでも増税OKという。
他方、宮川氏は「もし海外要因が世界経済にマイナスのショックを与えた場合、日本に自律的な政策をとる余裕はなく米国や中国の景気対策頼みということにもなりかねない」と指摘する。この海外要因とは米中貿易戦争や米利上げなどだが、その米国は利上げで株価が下がれば景気が確実に下降するし、人民元の暴落懸念のある中国は財政・金融の拡大には限界がある。日本がそんな両国の需要に頼れるはずはないだろう。
そんな無理筋の論理は、稲田、宮川両教授の考え方と言うよりも、日経新聞そのものの編集方針から来ているはずだ。日経新聞は財務省の増税路線に絶えず沿った論調で一貫している。日本は消費税増税によってデフレを継続せよと言わんばかりではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男) |
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