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経済はだれにでも分析できる。そして、国内の政策や世界の外交・安全保障・軍事も経済を通してその真偽を見抜ける。

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2018.3.17 10:00
【田村秀男のお金は知っている】森友問題より気になる…日本を衰退させる財務省の“詐欺論法”

財務省が抱える問題は文書の書き換えだけなのか
 「森友文書」の書き換えなぞ、と言ってはなんだが、日本の針路を狂わせ、国力を衰退させてきた財務官僚の欺瞞(ぎまん)のほうが気になる。

 財務省のホームページを見ればよい。「日本の財政関係資料(2016年4月)」の中に「我が国財政を家計にたとえたら」というコラムが漫画入りで載っている。政府一般会計を月収30万円の家計にたとえると、毎月18万円の新しい借金をしている状況で、そのローン残高は5397万円に上るという。いかにも国民をぞっとさせる解説だ。

 それにとどまらない。3カ月に1回の割合で、財務省は「国の借金」なるものをプレスに発表する。そのつど、担当官は記者クラブの面々に、ご丁寧にも総務省推計の人口をもとに、国民1人当たりの借金はいくら、と説明する。朝日新聞など一般紙はもとより、経済専門の日経新聞もそのままうのみにして報じる。17年12月末時点では「国民1人当たり約858万円の借金を抱えている計算になる」という具合だ。

 財務官僚といえば、高額の国費を支給され、米国などの有名大学に留学して、最新の経済、財政理論をものにしているはずなのだが、上記のようなでたらめを国民に流すのだから、開いた口がふさがらない。

 拙論は民主党政権時代に、恐るべきデマだと、産経新聞朝刊1面コラムで批判し、拙著『財務省オオカミ少年論』(11年、産経新聞出版刊)でも取り上げた。以来、一部の評論家が同調したが、東大などの著名教授は無視、財務省はホームページも記者向けレクチャーも改めない。メディアも相変わらずだ。

 何が間違いであり、欺瞞(ぎまん)なのか。まず、経済というのは、借りと貸しで成り立つ。政府債務である国債を保有しているのは主に金融機関だが、原資は預金である。国民は金融機関経由で国債という資産を持ち、運用している。それを国民の借金だと言い張るのは、まさに詐欺論法である。

 第2に、家計が資産を増やす、つまり豊かになるためには、借り手がいなければならない。資本主義の場合、主な借り手は国内では政府と企業のはずだが、日本の企業は借金を大きく減らし、貯蓄に励んでいる。銀行は家計の預金を企業に貸せない。となると、家計が資産運用で頼る相手は政府しかない。その政府が借金を増やさないのだから、家計は豊かになれない。

 第3に、政府と家計の決定的な違いは、政府は財政支出を通じて国内総生産(GDP)、言い換えると国民の総所得を増やす結果、収入(税収)を増やせる。徴税権のない家計は不可能なわざだ。政府が借金を減らし、財政支出をカットし、増税で家計から富を巻き上げるなら、経済は停滞し、国民が疲弊する。結果が「20年デフレ」である。

 安倍晋三首相はアベノミクスを打ち出し、財務省と距離を置き、財務官僚が敷いた日本凋落の道を断ち切ろうとした。皮肉にも、首相の意向を忖度したと疑われる財務官僚の文書書き換えで立ち往生だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
2018.3.10 10:00
【お金は知っている】植民地統治時代のインフラ投資や開発は日本側の「持ち出し」 台湾は温かく受け止めるも…韓国はなぜ日本を憎むのか
 最近、20年ぶりに台湾を訪れた。李登輝元台湾総統に代表される日本語を話せる世代は高齢化のために数少なくなったが、現地の人々の親日ムードは以前にも劣らない。(夕刊フジ)
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 台北近郊、国際空港のある桃園市では、日本による統治時代の神社がきれいに修復、保存され、ゴミ一つもない。特有の清らかで静謐(せいひつ)な雰囲気の中、若いカップルが結婚衣装で記念撮影していた。台湾では何の違和感もなく、「日本」が受け入れられている。

 韓国では、平昌(ピョンチャン)での冬季五輪でフィギュアスケートの羽生結弦さんら多くの日本人選手が韓国のファンをひき付けたのだが、政治のほうは相変わらずの反日、親北だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は日韓慰安婦合意を踏みにじり、日米の懸念をよそに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にすり寄る。

 朝鮮半島も台湾も戦前は日本の植民地だった。現在の日本に対する見方にこうも違いが生じるのだろうか。そこで、日本の統治時代の経済はどんな具合だったのか、英国植民地のインドと比べるとどうかと、当時の実質経済成長率の比較がグラフである。データは綿密な検証によって世界経済の歴史的数値を割り出している英グロニンゲン大学成長・発展センターから引用した。

 一目瞭然、戦前の韓国(現在の北朝鮮を含む)と台湾の実質成長率はおおむね、インドのそれを大きく上回っている。特に、1930年代の大恐慌時代になると、韓国、台湾とも5%前後の成長率で、インドの1%前後を大きく引き離している。韓国、台湾の成長率は20年代後半から30年代末まで、日本本国の成長率を上回る年が大半だった。

 教育の普及はもちろん、水力発電所、道路、都市整備などインフラ投資、農業や鉱工業の開発まで日本が投じた資金や労力の成果がこの成長率に結実したのだ。北の金正恩政権が国民の困窮をよそに、核・ミサイル開発に血道を上げ、国連制裁にもめげない背景には、日本統治時代に建設した堅固な水力発電所などのインフラがいまだに有用であることも挙げられる。

 日本の韓国、台湾統治とは対照的に、英国のインド統治は文字通り苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)を極めた。当時の英国は軍事費と国家公務員年金の大半をインドに支払わせていた。インドから綿花、香料、紅茶など豊富な物資を好きなだけ買った。代金は「インド証券」という名のポンド建て債務証書で決済し、英国はインドの通貨ルピーをポンドに対して切り上げて、債務を踏み倒した。

 英国貴族の豪壮な館や大英博物館などの偉容はインドの犠牲のうえに築かれた。経済学者の故宇沢弘文さんはインドを略奪しては荒廃させる大英帝国を「海賊的資本主義」と呼んだ。

 日本による植民地統治は、日本側の持ち出しだと言っておかしくない。台湾の多くの人々がそれをごく温かく受け止める。逆に、韓国人の多くが日本を憎み、あら探しばかりするのはなぜか、聞いてみたい。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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2018.3.3 10:00
【田村秀男のお金は知っている】なぜ仮想通貨が世にはばかるのか 金融システムに適合、当局も認定やむなし

乱高下しながらも拡大する仮想通貨(ロイター)
 ビットコインなど仮想通貨は相場がたったひと月で2倍になったり、半値になったりと激しく動く投機の塊だ。交換所からの巨額の資金流出事件も起きるし、犯罪組織の不正資金の温床にもなるなど、社会的には問題だらけだ。にもかかわらず、仮想通貨がますます世にはばかるのはなぜか。(夕刊フジ)

 それを考える前にまず質問。目に見えない電子空間のなかでしか存在しないのに、仮想通貨がなぜ「通貨」になるのか?

 優等生なら以下のように答えるだろう。お店次第だが、モノが買えるし、食事代が払える。円やドルなどと交換できる。ネットを使って容易に海外送金できる、と。

 それにしても、通貨、あるいはおカネって正体は何だろうね。

 金融用語でいうマネー(おカネ)とは、現金と銀行預金の合計、さらには現金に簡単に替えられる投資信託や国債などの証券も含まれる。調べてみると、現預金の総額のうち、現金は日本で9%、米国で8%程度に過ぎない。残る預金通貨は市中銀行のデータセンターに記載された数値情報であり、それを統括するのが日銀など中央銀行のデータセンターだ。

 日銀は異次元緩和政策によって、最大で年間80兆円ものカネを金融機関に流し込む。金融機関はその資金をもとに家計や企業に融資すると預金になって還流し、その預金が原資になって新たな融資がなされ、預金が増える。つまり預金通貨という名のマネーが創造され、増殖する。

 技術面でみれば、この取引はコンピューター端末間で行われる。つまりおカネの創造とは電子空間上で追加記載された数値のことで、最終的なカネの増加額は中央銀行のデータセンターで確認される。何のことはない。電子空間上でおカネの取引データを追加記載した分が創造されたおカネということになる。

 ビットコインはこの記録作業を「採掘」と呼び、民間業者の大型のコンピューター装置によって行われる。取引記録を追加すれば新たなカネが創造されるとみなし、その業者は報酬として追加ビットコインを得るという。つまり、仮想通貨は法定通貨を単位に成り立つ通貨・金融システムに適合するのだから、当局も通貨として認定せざるをえなくなったのだ。

 権威ある中央銀行としてはどこの馬の骨かもわからぬ業者にカネを創造されたら、面白いはずはない。日銀の黒田東彦総裁は「仮想通貨には裏付けとなる資産がない」とけなす。法定通貨は徴税権を持つ国が価値を保証するという論法だが、欺瞞(ぎまん)ではないか。

 インフレになれば価値が損なわれる。悪性インフレになれば法定通貨は紙くずになるが、国家は知らぬフリで、国民は泣き寝入りするしかない。ビットコインの場合、その点、発行上限を定めており、金鉱と同様、残存量が少なくなるにつれて、採掘量は減る仕掛けになっている。

 仮想通貨の時価総額は2月下旬時点で4500億ドル(約48兆円)。14兆ドル弱の米国のおカネの総量に比べると大したことはないようだが、仮想通貨の時価総額はたったひと月で2000億ドルも増え、年間で増加額が7000億ドル前後の米国マネーに匹敵しかねない。中央銀行はさて、どうするのか。(産経新聞特別記者・田村秀男)
2018.2.25 08:00
【田村秀男の日曜経済講座】仮想通貨に自由の大義あり 中国による統制を警戒せよ
 仮想通貨は金融バブルの塊、テロ資金の隠れみのなどと非難されがちだが、正体は国境を越える自由通貨である。対極が中国共産党政権の通貨、人民元だ。習近平政権はビットコインなど私家版仮想通貨を全面禁止した上で、国家版仮想通貨の発行をもくろむ。実現すれば、中国が国内外を問わず人民元を使う個人や企業、金融機関を全面統制するという、恐ろしい近未来図が浮かび上がる。
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 習政権はビットコインなど仮想通貨退治に躍起となってきた。無国籍仮想通貨が資金流出を加速させ、虎の子の外貨準備を激減させかねないからだ。グラフを見れば、その理由がよくわかる。

 中国の外準は2014年8月に4兆ドル近くまで積み上がったが、翌年8月の人民元切り下げの後、急減し始めた。元安政策を嫌った投資家が人民元を外貨に換えて外に持ち出すからだ。当局は規制を強めて、いったんは外準の減少を食い止めたが、投資家はビットコインに殺到した。ビットコインはネットを通じて国外に楽々と移動し、ドルなど外貨に交換できるからだ。

 ビットコイン取引額は16年秋に急増し、11月に760億ドル、12月には850億ドルに達した。取引全額が資金流出につながるわけではないが、外準は11月に前月比690億ドル減ったことから、因果関係を無視できない。

 外準こそは現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」など、習政権が推進する対外膨張路線の原資だ。当局は翌年1月初旬にインターネットなどによる外貨送金規制を強化した。中国当局は接続業者をことごとく支配するなど、ネットの監視体制を整備してきた。同年1月下旬にはビットコイン取引がぴたっと止まった。当局の取り締まり能力の高さの表れだ。

 中国の投資家はそこで、香港など本土外の仮想通貨交換所に駆け込む。当局は抜け道を封じようとする。今年1月16日付のロイター通信の報道によれば、中国人民銀行の潘功勝副総裁は中国のユーザー向けに仮想通貨取引サービスを提供する国内外のウェブサイトや携帯端末向けアプリを遮断し、仮想通貨決済サービスを手掛けるプラットホームに制裁を科すべきとの見解を示しているという。無国籍仮想通貨を全面的に駆除するつもりだが、その狙いは国家版仮想通貨の発行にある。

 仮想通貨自体はITを駆使した通貨・金融の技術革新のたまもので、金融サービスを迅速にし、効率や利便性を高める。ビットコインのような仮想通貨は国家に縛られない自由がある。中国当局にとって、その自由が何よりも気にくわない。自由な特性を骨抜きにして、国家の意のままになる仮想通貨を夢想する。

 実際に、中国には人民元紙幣を仮想通貨に置き換えるだけの需要も素地もある。横行する偽札を無力化できる。次にはスマホを使った決済の普及だ。露店、コンビニから高級デパートに至るまでのショッピング、タクシー代金、さらには物乞いまでが2次元バーコード「QRコード」を手にして、スマホによる支払いが行われている。ネットショッピングも急拡大している。

 中国で出回るお金の総量に占める紙幣・硬貨の割合は今や5%に過ぎない。米国の8%、日本の9%に比べても驚くべき現金離れである。現金を除くカネは預金だが、預金通貨は銀行の帳簿上に追加記録される数値の合計、すなわちデジタル情報である。仮想通貨も金融取引データを追加して記録することで創出されるのだから、預金と同類の通貨とみなされる。

 中央銀行が国家版仮想通貨を導入すること自体、不自然ではない。日米欧の場合、金融や資本取引は自由化され、国家による統制は民主主義の下に極力制限され、オープンだ。ところが、ネットを中央政府が極端までに支配、監視するシステムの下に、法定通貨という通貨・金融の基盤が仮想通貨になってしまえばどうなるだろうか。

 人民元をやりとりするあらゆる情報は当局のデータセンターに送られ、監視対象になる。統制先は中国国内にとどまらず、中国と関わる全世界の個人や企業に及び、関係者は北京にひれ伏す羽目になる。習政権は指令一つで、対外投資を外国の企業や不動産買収に集中させる一方で、外準の減少を招く資金流出を徹底的に取り締まれる。対外膨張戦略は計画的かつ円滑に展開される。その中国と対抗できるのは、ビットコインなど無国籍仮想通貨だけだ。

 日米欧では仮想通貨への規制の強化など排除論も多いが、その前に中国に金融自由化を求めるべきだ。

(編集委員)
2018.2.24 10:00
【田村秀男のお金は知っている】日銀人事 早稲田出身、若田部日銀副総裁の使命は財務省からの独立だ
続投が決まった黒田日銀総裁
 昨夏、早稲田大学建学の祖として大隈重信と並び称される小野梓の出身地、高知県宿毛市を訪ね、碑に刻まれた言葉に見入った。「国民精神の独立は実に学問の独立に由る」。今の日本の経済学に欠けているのはこの気概ではないか。(夕刊フジ)

 ひたすら財務省にすり寄る御用学者たちは1997年の消費税増税が20年デフレのきっかけになった事実を否定。原因をアジア通貨危機や山一証券破綻に押しつけ、さらなる消費税増税の経済への悪影響は軽微だと民主党政権時代の野田佳彦首相をその気にさせた。

 増税に慎重だった安倍晋三首相も言いくるめられて2014年3月に消費税率を予定通り8%に引き上げたら、それまでのアベノミクスの成果は吹き飛び、デフレ圧力が再燃した。

 御用論者は性懲りもなく財務官僚のシナリオに従って、消費税率10%への再引き上げを催促する。安倍首相は2度拒絶した揚げ句、19年10月に先送りした。昨秋の衆院選では実施を公約に掲げた。脱デフレをそれまでに必ず達成しないと、増税は無茶だ。

 重大な意味を持つのが日銀首脳陣の人事である。安倍首相の周辺では、4月に1期目の任期が到来する黒田東彦(はるひこ)総裁に代わって、個人的にも親しいアベノミクスの指南役、本田悦朗スイス大使を起用する案も浮上していた。

 本田氏は拙論と同じく、日本再生のためには、財政と金融の両輪をフル稼働させる必要があると論じ、消費税増税にも慎重論を唱えてきた。

 案の定、「本田総裁」案には財務省と日銀が共に猛反対したが、官僚に距離を置く首相は意に介す様子をみせなかった。それでも、異次元緩和政策を推進してきた黒田氏を交代させる理由もない。黒田氏本人もやる気満々だ。他方では「お友達」の本田氏を任命した場合の政治的雑音も予想される。リスクの少ない黒田続投が決まった。

 首相がアクセントをつけたのは副総裁人事である。リフレ派学者、岩田規久男副総裁の後任に指名したのは早稲田大学の若田部昌澄教授だ。財政・金融の両輪論では本田氏に近く、消費税増税に反対する希有な学者である。安倍首相に予定通りの消費税増税を迫る財務官僚上がりの黒田氏を牽制(けんせい)できる。

 もう1人の副総裁候補には米コロンビア大教授の伊藤隆敏氏がいた。財務官僚お気に入りだが、日銀官僚はかなり早い段階から潰しにかかった。日銀生え抜きで将来の総裁候補と推す雨宮正佳理事をどうしても据えたかったのだ。

 ここで冒頭の話に戻す。日銀は1998年の改正日銀法で財務省からの「独立」を果たした。ところが、日銀官僚はいまだに財務官僚の言いなりだ。学者時代には財務省の緊縮財政に批判的だった岩田副総裁も日銀入りしたあとは、周りから財政批判の口を塞がれた。早稲田出身の若田部氏は、緊縮財政や増税の尻拭いをするのが独立日銀ではないはずだ、との気概を示すと、期待したい。(産経新聞特別記者・田村秀男)
田村秀男の国際政治経済学
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