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【お金は知っている】ギリシャの「ユーロ残留」ありうる 離脱なら高インフレ、社会経済の混乱不可避
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 先のギリシャ議会総選挙の結果、野党の急進左派連合が政権の座についた。新政権は債務救済を受ける条件である緊縮財政について撤回を迫る構えだ。欧州連合(EU)などとの交渉が決裂すれば、欧州共通通貨「ユーロ」圏からの離脱騒ぎに発展しようが、実際にはどうか。

 そもそも、現代ギリシャという国は1826年の建国以来、デフォルト常習、しかも放漫財政国である。そのことはユーロ中軸国もわかっていたはずだ。ところが、そのギリシャをユーロに加盟させることに最も熱心だったのが緊縮好きなドイツである。

 理由はギリシャ神話にさかのぼる。主神たる全知全能の神々の王ゼウスが、フェニキアの王女、エウロパ(EUROPA)姫を見初め、牛に化けて誘拐し、ギリシャ北部からドナウ川下流域の上空を連れて回った。その神話からヨーロッパ(EUROPE)、ユーロ(EURO)という呼称が生まれた。
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 かの独裁者ヒトラーはベルリン五輪(1936年)ではギリシャ・オリンピアで聖火を採火し、五輪史上初めて聖火リレーを開始した。オリンピアを出発して、ドナウ川流域諸国を経由し、ドイツ国内へ入った。ドイツこそはギリシャ文明の正当な後継者、終着点だと誇示したのである。

 欧州共通通貨ユーロには、ドルや円など特定の国家を代表する通貨のような「顔」がない。ならば、アイデンティティー確保のため、ギリシャを仲間に入れるしかない。

 欧州中央銀行(ECB)は2010年のギリシャ危機勃発後は、金融支援、債務減免などで時間稼ぎし、ギリシャを何とかつなぎ止めてきた。

 主要ユーロ加盟国別の長期国債利回りの推移をみると、幸い、ギリシャ以外の問題国の国債は、このところ安定している。ギリシャ問題を除けば、量的緩和政策でユーロ不安は解決の方向に向かうかもしれない。

 ECBはギリシャ国債も条件付きで購入する構えだが、新政権がどうしても緊縮財政を拒否するなら、ドイツ中心のECBはどうするのか。ECBがそれを口実にギリシャに引導を渡すのか。

 ギリシャの失業率は25%を超え、若者のそれは実に50%に達する。緊縮財政には政治的にも社会的にも耐えられないはずだ。ギリシャ離脱の道しかないように見える。

 ギリシャはデフォルト(債務不履行)宣言し、本来の自国通貨「ドラクマ」に回帰すれば、通貨安政策に踏み切ることができるのだが、現実は甘くはない。高インフレは不可避だし、外部からの新規借り入れも途絶えかねないので、社会経済の混乱はもっと深刻化するかもしれない。

 他方、ドイツもギリシャのいないユーロでぽっかりと空く統一通貨の精神的アイデンティティーを何によって埋め合わすだろうか。ギリシャ抜きのユーロはただの紙切れだ。ギリシャ残留の道はまだ捨てがたい。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【国際政治経済学入門】ギリシャのユーロ離脱が経済合理的だが…
2015.1.28 09:35

 25日に行われたギリシャ議会総選挙では、野党の急進左派連合が歴史的勝利を収め、政権の座に付くことが確実になった。左派連合代表のアレクシス・チプラス氏(40)はアテネの集会に集まった支持者らに向け「ギリシャは破滅的な緊縮策から抜け出す」と宣言し、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による金融支援の条件として現政権が受け入れてきた緊縮財政の見直しを図る構えだ。新政権とEU、IMFとの交渉が決裂すれば、ギリシャの財政破綻、債務返済不能(デフォルト)は確実となるし、欧州共通通貨「ユーロ」圏からの離脱騒ぎが拡大しよう。ユーロはどうなるのか。
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 由緒はあるが問題国

 ユーロ圏の安定、という意味では、ギリシャ脱落は理にかなうのだが、そうは行かないのが通貨の世界である。

 そもそも、現在でいうギリシャという国はデフォルトの常習国である。オスマン帝国の支配に抗して1826年に建国して以来、90年間で5度デフォルトを引き起こした。そのデフォルト期間は90年間の半分に相当する。

 公務員天国で、しかも年金受給者は現役当時の給与の大半の支給を受ける。放漫財政の体質が染み付いている問題国であることは、2001年のユーロ圏加盟時にドイツ、フランスなどユーロの中心国にもわかっていたはずだ。そのギリシャをユーロに加盟させることに、もっとも熱心だったのがドイツである。

 ドイツ連銀のシュレジンガー総裁(当時)ら指導者たちは「ユーロ」には、ギリシャの参加が欠かせないと判断した。理由は「ヨーロッパ」としてのアイデンティティーである。早い話、「ユーロ」の語源はギリシャ神話にさかのぼる。ギリシャ神話の主神たる全知全能の神々の王ゼウスが、フェニキアの王女、エウロパ(EUROPA)姫を見初め、牛に化けて誘拐し、ギリシャ北部からドナウ川下流域の上空を連れて回った。その神話からヨーロッパ、ユーロという呼称が生まれた。

 残忍な独裁者ヒトラーはギリシャ・ローマ文明の正当な後継者という野心を持ち、ベルリン五輪(1936年)ではギリシャ・オリンピアで聖火を採火し五輪史上初めて聖火リレーを行った。オリンピアを出発して、ブルガリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、オーストリア、チェコスロバキアを経由し、ドイツ国内へ入った。ゼウスとエウロパ姫のルートを意識したのだろう。ドイツはギリシャ文明の終着点だと誇示したかったのだ。

 ユーロには、ドルや円など特定の国家の通貨のような、国家を代表する「顔」がない。代わりに実在しない架空の建物のデザインを刷り込み、特定の国のイメージを消し去った。全欧州の文明の起源である古代ギリシャやギリシャ神話の地を仲間に取り込むしか、正当性を裏付けられない。

 2010年のギリシャ債務危機勃発以来、ドイツを含むEUやユーロ加盟国内部で、「ギリシャを離脱させよ」という声が高まっても、EUや欧州中央銀行(ECB)が金融機関に対ギリシャの債務減免など金融支援に応じ、デフォルトを避け、ユーロ圏に留め置いた理由はほかでもない、ギリシャ神話と古代ギリシャ文明というアイデンティティー保全のためである。

 緊縮財政拒否なら引導?

 ギリシャは今後ともユーロ圏にとどまることができるだろうか。ユーロは分裂、解体の危機を乗り越えられるだろうか。

 まずは後者の疑問について考えるとき、グラフを見ていただきたい。主要ユーロ加盟国別の長期国債利回りの推移である。08年9月のリーマン・ショックまでは、問題国のギリシャ国債までも優等生のドイツ並みの信用度を誇っていたのが、ギリシャ不安と同時にスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランドなどの国債も売られるようになり、金利が高騰した。その後、ECBなどの危機対策もあって小康状態が続いていたが、ギリシャだけが再び突出して信用不安が再燃したことが読み取れる。

 ECBはその対策として、先の理事会でユーロ国債を月額600億ユーロ(約8兆円)のペースで3月から買い入れを開始する量的緩和政策導入を決めた。ギリシャ国債も条件付きで購入する構えだが、ギリシャ新政権が緊縮財政を拒否するなら、ECBはどうするか。ECBがそれを口実にギリシャに引導を渡すのか。

 ギリシャの失業率は25%を超え、若者は実に50%に達する。緊縮財政には政治的にも社会的にも耐えられないはずである。

 幸い、ギリシャ以外の問題国国債は、グラフを見る限りこのところ安定している。ギリシャ問題を除けば、量的緩和政策でユーロ不安は解決の方向に向かうかもしれない。

 経済的には、ギリシャ離脱が合理的のように見える。ギリシャはデフォルト宣言し、本来の自国通貨「ドラクマ」に回帰すれば、金融政策の自主権を取り戻し、通貨安政策に踏み切ることができる。それでも、高インフレは不可避だし、外部からの新規借り入れも途絶えかねないので、経済混乱は当面続くだろう。

 他方、ドイツはギリシャのいないユーロでぽっくりと空く通貨のアイデンティティーをどう埋め合わすだろうか。ギリシャが去るも残るも、ユーロ圏は前途多難だ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)

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