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【人民元SDR入り】IMFは「悪貨が良貨を駆逐する」という法則を忘れたのか? 田村秀男

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中国人民元のSDR構成通貨入りを発表するIMFのラガルド専務理事。同氏は中国を味方に付け発言権を増すとみられている=11月30日、ワシントン(AP)
 「悪貨が良貨を駆逐する」とは、金本位制の時代に限らない。いつの世も似たような法則が働く。現代版悪貨とは人民元である。

 元は中国共産党の支配下にある中国人民銀行が基準相場を設定し、変動を基準値の上下2%以内に限って許容している。元の金融・資本市場は制限だらけで、取引不自由だ。公正に開かれた金融市場を基盤とし、為替レートが自由に変動する先進国通貨とは対極にある。ところが、国際通貨基金(IMF)は円を押しのけて元にドル、ユーロに次ぐ特別引き出し権(SDR)シェア第3位のお墨付きを与えた。

 IMFを背後から突き動かしたのは国際金融界である。2008年9月のリーマンショックでバブル崩壊、収益モデルが破綻した国際金融資本が目をつけたのはグローバル金融市場の巨大フロンティア中国である。その現預金総額をドル換算すると9月末で21兆ドル超、日米合計約20兆ドルを上回る。

 中国の習近平党総書記・国家主席は元の国際通貨化工作に大号令をかけてきた。対外膨張戦略のためには国際通貨元が欠かせないからだ。ラガルドIMF専務理事は3月下旬に訪中して「元のSDR入りは時間の問題よ」と李克強首相らにささやいた。元決済機能誘致を北京に陳情してきた英国を始め、欧州主要国はこぞって支持に回った。

 米オバマ政権の中枢はニューヨーク・ウォール街出身者が占める。同政権は当初こそ態度を留保したが、北京がこの夏、金融の部分自由化を約束した途端、「IMFの条件に合えばSDR入りを支持する」(ルー財務長官)と豹変した。ウォール街ではシティ、JPモルガン、ゴールドマン・サックスら大手が中国の大手国有商業銀行と組んで元決済センター開設準備がたけなわだ。

 今後、世界では何が起きるか。元は世界最大の通貨発行量を誇る。国際通貨になれば、元は国際市場でドルとの交換が保証される。経済面ばかりでなく、政治、軍事の分野で元の威力はさらに増すだろう。

 北京は最近、元の国際通貨化をうたい文句に、国際的な元決済システム「CIPS」を構築した。ドル決済システムの代替で、米情報当局による監視から逃れたい「ならず者国家」は元を使えばよい。党支配下の企業はカネにモノを言わせて、日本を排除しては東南アジアのインフラを手中に収めている。日米欧のハイテク企業などを対象に「爆買い」攻勢をかけている。

 悪貨の膨張を防ぐ手段はただ一つ。元の為替制度と金融市場を他のSDR通貨と同程度に完全自由化させることだ。党による支配は自由市場から嫌われ、資本の逃避や元の暴落を招く。

 ところが肝心のIMFは「市場改革が進むかどうか今後も監視していく」(ラガルド氏)と弱々しい。約束違反しても罰則はない。IMFへの資金の貢ぎぶりでは世界一の日本は、もういい加減、口くらい出したらどうか。(編集委員 田村秀男)

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【お金は知っている】「国際通貨人民元」になぜか賛同する“無国益思考”の朝日と日経

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 国際通貨基金(IMF)は11月30日、円を押しのけてドル、ユーロに次ぐ特別引き出し権(SDR)構成通貨シェア第3位のお墨付きを中国の人民元に与えた。SDR通貨の条件は貿易量の大きさと並んで自由利用であることだが、党が管理する元金融市場は取引不自由で、IMFの判定はいかにも不自然である。
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 英フィナンシャル・タイムズ紙や米ウォールストリート・ジャーナル紙は「政治的な決定」と称した。政治的とは、筋が通らないケースによく使われる欧米流マスコミ用語だ。

 日本メディアの反応はどうか。朝日新聞は11月16日付社説で「世界最大の貿易大国となった中国の人民元が主要通貨の仲間に入るのは、当然だろう」と持ち上げた。よく読むと、中国の金融市場規制を問題視しているのだが、ならば、主要通貨になる資格はない。

 日経新聞は1日付のWEB版で「中国、金融改革を加速へ 『元の国際化』推進」と報じた。「中国は今後も揺るがずに全面的に改革を深化させ、金融改革と対外開放を加速する」とする中国人民銀行の大本営発表をうのみにしたのだ。

 米欧にとってみれば、元をSDR通貨に加えることは、国益になる。英国の政府と金融界はロンドン金融市場を香港と並ぶ規模の元決済センターにしようとして、10月に訪英した習近平国家主席を大歓待した。

 ニューヨーク・ウォール街も負けてはいない。シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスらが中国の大手国有商業銀行と組んでウォール街を元決済センターにする準備を早々と進めている。その旗振り役がポールソン、ガイトナーの元・前財務長官であり、両氏ともウォール街出身だ。

 2008年9月のリーマン・ショックのために、収益モデルが破綻した国際金融資本が目をつけたのはグローバル金融市場の巨大フロンティア中国である。中国の現預金総額をドル換算すると9月末で21兆ドル(約2580兆円)超、日米合計の約20兆ドルを上回るのだから、その取引で莫大(ばくだい)な手数料が稼げる。

 北京は特定の金融大手にニンジンをぶら下げる選択的手法をとっている。こうして中国は「金融自由化」を口先に済ませるだけで、国際金融の元締め、IMFから「国際通貨元」の称号を取り付けた。

 日本にとって、「SDR元」は重大な脅威となる。習指導部は国際通貨としてパワーアップした元を大いに刷って、アジア各国を元経済圏に組み込む。すでにインドネシアでは日本が受注しかけていた鉄道プロジェクトを中国が奪い取ったし、マレーシアでは発電の独占資本を買い取った。日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で対中国包囲をもくろんでも、中国はマネーパワーで日本排除に向かうだろう。

 国際金融といえば、とにかく米欧に追随していればよい、という無国益思考はもともと財務官僚に蔓延(まんえん)していると以前にも書いてきた。それを正すのはメディアのはずだが、このざまである。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【国際政治経済学入門】膨張する人民元 抑止策は完全自由化のみ

2015.12.2 09:00
 国際通貨基金(IMF)は11月30日、中国の人民元にドル、ユーロに次ぐ特別引き出し権(SDR)構成通貨シェア第3位のお墨付きを与えた。
 1949年10月の現代中国建国前に創設された人民元は中国共産党の、党による、党のための通貨である。党の支配下にある中国人民銀行が基準相場を設定し、変動を基準値の上下2%以内に限って許容している。元の金融・資本市場は制限だらけで、外国資本に対して門戸はほんのわずかに開かれているだけだ。公正に開かれた金融市場を基盤とし、為替レートが自由に変動する先進国通貨とは完全に対極にある。なのになぜ、IMFは国際準備通貨への仲間入りを許したのか。
 SDR入りで党支配延命
 IMFを背後から突き動かしたのは国際金融資本である。2008年9月のリーマン・ショックでバブル崩壊、収益モデルが破綻した国際金融資本が目をつけたのはグローバル金融市場の巨大フロンティア中国である。その現預金総額をドル換算すると今年9月末で21兆ドル超、日米合計の約20兆ドルを上回る。その利益獲得動機が習近平国家主席の野望と結びついた結果が、SDR入りである。
 元の国際通貨化は、中国とユーラシア大陸および東南アジア、インド、中近東、アフリカを結ぶ陸と海の「一帯一路」のインフラ・ネットワーク整備構想を実現させ、党支配体制を延命させる鍵である。
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 習政権は基金や国際開発金融機関を相次いで発足させようとしている。代表例が、年内設立をめざす多国間のアジアインフラ投資銀行(AIIB、本部北京)である。AIIBは国際金融市場でドルなど外貨を調達してインフラ資金とする計画で、英独仏など欧州や韓国、東南アジア、ロシアなどが参加したが、世界最大の債権国、日本と国際金融シェアが最大の米国が参加しないこともあって、信用力は弱い。このため、国際金融市場での長期で低利が必要となるインフラ資金の調達は困難だ。ならば、中国が元資金を提供するしかない。しかし、元がローカル通貨である以上、元による決済は限られる。翻って、元が国際通貨になれば、その障害は少なくなる。
 IMFのラガルド専務理事は3月末に訪中して「元のSDR入りは時間の問題よ」と、李克強首相らに打ち明けた。自国の金融市場を元決済センターとするよう北京に陳情を繰り返してきた英国を始めとする欧州主要国はこぞって支持に回った。
 米国はIMF加盟国中、唯一拒否権を持つが、ニューヨーク・ウォール街出身者が中枢に座るオバマ政権は国際金融資本の利害に敏感だ。当初こそ、態度を留保したが、北京がこの夏、金融の部分自由化を約束した途端、「IMFの条件に合えばSDR入りを支持する」(ルー財務長官)と豹変(ひょうへん)した。ウォール街では元金融で稼ごうと、シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスらが中国の大手国有商業銀行と組んでウォール街を元決済センターにする準備がたけなわだ。
 カネに飽かせて日本排除
 今後、世界では何が起きるか。元は世界最大の通貨発行量を誇る。元の発行額は今年10月、4.3兆ドル相当で、ドル資金発行規模をしのぐ。国際通貨になれば、元は国際市場でドルとの交換が保証される。経済面ばかりでなく、政治、軍事の分野で元の威力はさらに増すだろう。
 前兆をみればよい。北京は最近、元の国際通貨化をうたい文句に、国際的な元決済システム「CIPS」を構築した。ドル決済システムの代替で、米情報当局による監視から逃れたい国や勢力は元を決済通貨にできるようになった。党支配下の企業は、カネにものを言わせて、日本を排除して東南アジアのインフラを手中に収め、日米欧ではハイテク企業などを対象に「爆買い」攻勢をかけている。
 元の膨張を防ぐ手段はただ一つ。元の為替制度と金融市場を他のSDR通貨と同程度に完全自由化させることだ。市場がカネの動きを決定づけるようになると、党による市場無視は資本の逃避や元の暴落を招くリスクが高くなる。ところが肝心のIMFは「改革が進むかどうか今後も監視していく」(ラガルド氏)と弱々しい。約束違反をしても、IMFに罰則規定はないのも同然で、国際通貨元という既成事実だけが先行する。
 IMFへの貢ぎぶりでは世界一の日本は、もういい加減、口くらい出したらどうか。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)

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田村秀男の国際政治経済学
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