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2017.12.31 08:00 http://www.sankei.com/premium/news/171231/prm1712310032-n1.html
【田村秀男の日曜経済講座】大甘の「一帯一路」参加論 死のロードに巻き込まれるな
政財界・メディアでは中国の習近平国家主席が推進する広域経済圏構想「一帯一路」への参加熱が再燃している。北京も盛んに甘い声で誘ってくるが、ちょっと待てよ。その正体は「死のロード」ではないのか。
一帯一路は2014年11月に習氏が提唱した。ユーラシア大陸、東・南アジア、中東、東アフリカ、欧州の陸海のインフラ網を整備し、北京など中国の主要都市と結ぶ壮大な計画だ。中国主導で現地のプロジェクトを推進する。資金面でも中国が中心となって、基金や国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」を15年12月に北京に設立済みだ。
一帯一路とAIIBにはアジア、中東、ロシアを含む欧州などの多くの国が参加しているが、先進国のうち日本と米国は慎重姿勢で臨んできた。国内では「バスに乗り遅れるな」とばかり、産業界、や与党、日本経済新聞や朝日新聞といったメディアの多くが積極参加を安倍晋三政権に求めてきた。安倍首相もAIIBには懐疑的だが、一帯一路については最近一転して、「大いに協力する」と表明するようになった。
自民党の二階俊博幹事長は先週、中国で開かれた自民、公明両党と中国共産党の定期対話「日中与党交流協議会」で、一帯一路での日中の具体的な協力策を話し合った。一帯一路、AIIBへの参加問題は日中平和友好条約締結40周年を迎える来年の大きな対中外交テーマになりそうだ。一帯一路やAIIBが中国共産党主導の粗暴な対外膨張主義の一環と論じてきた拙論は、捨ててはおけない。
グラフは一帯一路沿線地域・国向けの中国政府主導のプロジェクトの実施、契約状況と国有企業などによる直接投資の推移(いずれも当該月までの12カ月合計値)である。新規契約は順調に拡大し、中国の対外経済協力プロジェクトの約5割を占めるようになり、習政権の意気込みを反映している。
半面、プロジェクトの実行を示す完成ベースの伸びは鈍い。中国企業による一帯一路沿線への進出を示す直接投資となると、水準、伸び率とも極めて低調だ。習氏の大号令もむなしく、実行部隊である国有企業は投資を大幅に減らしていることが読み取れる。
背景には、北京による資本流出規制がある。中国は3.1兆ドル超と世界最大だが、対外負債を大きく下回っている。中国の不動産バブル崩壊への不安や米金利上昇などで巨大な資本流出が起きかねず、資本規制を緩めると外貨準備が底を尽きかねない。北京は中国企業による対外投資を野放しにできなくなった。カネを伴うプロジェクト実行にもブレーキがかかる。
他方、一帯一路の「金庫」の役割を果たすはずのAIIBは外貨調達難のために半ば開店休業状態にある。AIIBは北京による米欧金融市場への工作が功を奏して、アジア開発銀行並みの最上位の信用度(格付け)を取り付けたが、AIIBが発行する債券を好んで買う海外の投資家は多くない。
四苦八苦する習政権はぜひとも世界最大の対外金貸し国日本の一帯一路、さらにはAIIBへの参加が欲しい。資金を確保して新規契約プロジェクトを実行しやすくするためだ。その見返りに一部のプロジェクトを日中共同で、というわけだが、だまされてはいけない。
中国主導投資の道は死屍(しし)累々である。習氏は12年に政権を握ると、産油国ベネズエラへの経済協力プロジェクトを急増させてきた。同国は反比例して経済が落ち込み、実質経済成長率は16年、マイナス16%に落ち込んだ。経済崩壊の主因は国内政治の混乱によるのだが、ずさんな中国の投資が政治腐敗と結びついた。
中国投資が集中したスーダンもアフリカのジンバブエも内乱や政情不安続きだ。中国と国境を接している東南アジアは今、中国化が急速に進んでいる。ラオスやミャンマーでは中国国境の地域ごと中国資本が長期占有してつくったカジノ・リゾートがゴーストタウン化するなど、荒廃ぶりが目立つ。中国が輸出攻勢をかけるカンボジアは債務の累積に苦しみ、中国からの無秩序な投資に頼らざるをえなくなっている。
ティラーソン米国務長官は10月、「中国の融資を受ける国々の多くは膨大な債務を背負わされる。融資の仕組みも、些細(ささい)なことで債務不履行に陥るようにできている」と警告した。麻生太郎財務相も11月、AIIBを「サラ金」に見立てた。一帯一路やAIIBへの参加は泥舟に乗るようなものなのだ。
(編集委員)
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2018年01月01日
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【お金は知っている】国連の対北制裁強化で追い込
まれる習主席 「抜け穴」封じなければ米から制裁
の恐れ
中国の対北朝鮮貿易と国連制裁
国連安全保障理事会は先週末、11月末に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し
た北朝鮮に対する新たな制裁を決議した。石油精製製品の対北輸出上限を年間50万バ
レルに引き下げることが主な内容だ。
2018/1/1
本欄は国連安保理が8月に決めた上限枠200万バレルは中国の2016年の対北供
給量に匹敵することから制裁効果に疑問を呈してきたが、トランプ政権も同じ見方を持
っていたのだろう。今後の問題は、中国の習近平政権がきちんと履行するかどうかだ。
米政府は中国などの対北石油製品輸出は年間450万バレルと推定し、今回の決議で
その9割が削減されるという。50万バレルまで削減するためには、ロシアや中東など
中国以外からの石油製品の対北積み出しルートを全面封鎖するのに加えて、中国も16
年比で4分の1以下まで出荷量を抑えるしかなくなる。
北朝鮮と国境を挟んで陸ルートで結ばれている中国からは闇取引で石油製品が高い価
格で供給されてきたが、これからは習政権がそうした裏ルートを厳しく取り締まらない
限り、米国から対中制裁を受ける恐れがある。
中国は核実験やミサイル発射を繰り返す北に対し、今年春までは貿易を拡大してき
た。国連制裁そのものが「大甘」だったからだ。グラフは中国の対北石油製品輸出と、
北の最大の外貨獲得源である石炭の対北輸入の推移である。一目瞭然、オバマ米政権ま
では北京の対応はまさに馬耳東風といったところだった。
対中強硬策をちらつかせるトランプ政権になって、ようやく中国が重い腰を上げ、米
国が示す厳しい対北制裁決議案に難色を示しながらも、緩い内容の制裁案にすることで
妥協してきた。8月には北の石炭と鉄鉱石・鉄鋼製品輸出禁止に同意し、9月には米国
案を骨抜きにしたうえで原油と石油製品の対北輸出規制に応じた。
グラフは中国側が発表する税関統計が基本になっており、闇ルートは含まれないが、
正式ルート上は中国の対北石油製品輸出、石炭輸入とも、3月頃から急減傾向にある。
米フロリダでの米中首脳会談を機に、中国側の対北政策が徐々に変化したことをうかが
わせる。
トランプ大統領は習氏に対し、大統領選で公約していた対中高関税の適用を棚上げす
る見返りに対北朝鮮政策での対米協力を強く求める一方で、国連制裁破りの中国企業や
2018/1/1 印刷用ページ - zakzak
地方金融機関に対し、制裁を科してきた。口先だけで、ほとんど対中制裁しなかったオ
バマ前政権と違って、トランプ政権は強硬策を辞さない態度を鮮明にしている。
年明けの焦点は中朝国境の緊迫化だ。北がさらに核実験・ミサイル発射を繰り返すよ
うだと、トランプ氏は石油製品に続き原油の対北供給禁輸を習氏に強く迫るだろう。習
氏がそれに応じない場合や、制裁の抜け穴封じをしないときは、トランプ氏は中国の国
有大手商業銀行への金融制裁カードを切るだろう。追い込まれるのは金正恩(キム・ジ
ョンウン)労働党総書記ばかりではない。習氏もそうだ。(産経新聞特別記者・田村秀
男) |
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