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経済はだれにでも分析できる。そして、国内の政策や世界の外交・安全保障・軍事も経済を通してその真偽を見抜ける。

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http://www.sankei.com/economy/news/180128/ecn1801280004-n1.html
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2018.1.28 08:00
【田村秀男の日曜経済講座】賃上げ主導の「脱デフレ」 政府は緊縮財政で邪魔するな 

 安倍晋三首相は今月22日に衆参両院本会議で行った施政方針演説で、賃上げ主導による脱デフレに意気込んだ。経団連と連合も3%賃上げに前向きなので機運は上々だが、ちょっと待てよ。20年間も日本経済に取りついてきたデフレ病を、賃上げ頼みで克服できるのだろうか。

 日本の慢性デフレの期間は1930年代の大恐慌時代の米国をはるかに上回る歴史上未曽有の経済事象で、米欧流の経済学教科書では説明できない。特徴は緩慢な物価低落傾向の中で賃金がしばしば物価以上の幅で下がることだ。

 モノやサービスの値下がりは一般の家計にとってみれば悪くないことなので、デフレ病の自覚に乏しいのだが、何となく懐具合が寂しくなってきたと感じる。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によれば、デフレが始まって以来、「暮らし向きが悪くなった」との回答比率が「良くなった」を上回っているのはそんな背景による。

 従って、賃上げが脱デフレの鍵になるという考え方は、正社員、パートを問わず勤労者全体に恩恵が及ぶという条件付きだとしても、いかにももっともらしい。慢性デフレが始まった平成9年12月を100とした賃金水準と消費者物価指数を見ると、昨年9月時点では賃金は96.5であるのに対し、物価は100.1。両者間のギャップは3余りだから、3%賃上げは確かにつじつまが合うが、単純過ぎる。

 全体的なモノやサービスの需要の伸びを表す経済成長率が名目で1〜2%の中で3%賃上げが全雇用の9割を占める中小・零細企業に浸透するとは考えにくい。人手を確保するためとはいえ、製品需要、つまり売り上げが2%程度しか伸びないのに、経営者がそれ以上の幅で賃上げに踏み切るには覚悟がいるだろう。

 繰り返すが、日本では物価下落を上回る速度で賃金が下がる「賃金デフレ」に陥りがちだ。今は物価がわずかずつ上がる傾向にあるが、賃上げ率がインフレ率を下回る限りデフレ圧力が加わり、需要が押し下げられる。総需要を左右する政府・日銀の財政・金融政策が、賃上げ以上に脱デフレの鍵を握るはずだ。

 金融は、日銀の異次元緩和政策が円安局面を演出し、輸出企業を中心に企業収益を好転させてきたが、円安は外部要因によって左右されがちだ。日銀の黒田東彦総裁は大規模な金融緩和とマイナス金利政策の堅持を強調して、円高阻止に努めているが、トランプ政権要人の「ドル安容認」が伝わった途端、外国為替市場で円が大量に買われる始末だ。円高による収益源を恐れる企業は賃上げに慎重になりかねない。

 財政はどうか。グラフは22年度から30年度までの国の一般会計からみた財政の緊縮・拡張度と、民間給与の増減額を対比させている。緊縮・拡張度は前年度に比べた歳出の増減額から税収の増減額を差し引いて算出した。財政支出が増えると拡張型と解釈する向きもあるが、税収の増加額がそれを上回ると民間の所得を政府が奪う、つまり、緊縮型とみなすのが当然だ。30年度は国の一般会計予算案を、前年度の補正後と比較している。
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 24年12月にアベノミクスが始まって以降、24年度を含め明確な拡張型に転換したのは28年度のみだ。対照的に民間給与はほぼ一貫して増加し、国内需要増に貢献している。消費者物価指数と並ぶ代表的なインフレ指標である国内総生産(GDP)項目の総合物価指数であるデフレーターは給与が上がれば上向くが、緊縮財政によって下押しされるトレンドが読み取れる。

 緊縮財政の最たるものは、26年4月の消費税率8%への引き上げだ。26年度の給与増額2.7兆円に対し、財政の緊縮額は8.4兆円、GDPの1.6%にも上った。巨額の民間需要を政府が取り上げる。その後、デフレーターがマイナスに落ち込んだのは増税のせいである。

 安倍首相は、施政方針演説で「4年連続の賃上げにより、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいる」と強調したが、民間給与がつくり出す需要増を奪い取ってきたのは政府のほうである。

 政府は31年10月に消費税率10%への再引き上げを予定しているばかりか、軽減税率導入に先駆けてサラリーマン増税を予定するなど、緊縮財政路線を堅持している。賃上げ主導で脱デフレを早めに実現するつもりなら、安倍政権はさっさと大型補正を組んで財政の緊縮度をゼロにし、民需の足を引っ張らないようにすべきだ。さて、春闘でどれだけの賃上げになるのか。

(編集委員)
2018.1.27 10:00
【田村秀男のお金は知っている】賃上げだけで脱デフレ可能なのか 「暮らし向き悪くなった」という家計が多い理由
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賃金と物価の推移
 安倍晋三首相は22日の衆参両院での施政方針演説で、賃上げによる脱デフレ達成に決意を表明した。経団連も3%賃上げに前向きで、連合も春闘に向け意気込んでいる。まさに政官の足並みがそろいつつあるのだが、賃上げは脱デフレの必要かつ十分条件といえるのか。(夕刊フジ)

 拙論はかなり前から、日本の慢性デフレの特徴は物価の下落を上回る速度で賃金が下がることだとし、1、2年の短期間よりもより中長期の賃金、物価のトレンドを重視すべきだと説いてきた。企業の賃上げ判断は当座の業績次第なので、円高や輸出など外部環境に左右される。仮に、今春闘で一定程度の賃上げが実現したとしても、翌年以降も賃上げ基調が続くとは限らない。

 家計を預かる主婦も、そのことはよくわかっているので、給与が多少上がったからと言って、財布のヒモを緩めるとは限らないだろう。

 1997年度の消費税増税に始まり、20年間も続いてきた慢性デフレは身構える家計心理を生み出してきた。

 グラフは96年以降の賃金、物価の推移である。昨年9月時点での消費者物価は20年前の水準に戻ったが、賃金水準は約3・5%、下回っている。賃金はアベノミクスが2012年12月に始まったあと徐々に上向いているが、物価がはるかに大きく上昇し、賃金は実質ベースで下がっていることが読み取れる。前回の本欄で引き合いに出した日銀の生活アンケート調査で、暮らし向きが悪くなったという家計が多いのも無理はない。

 元凶ははっきりしている。14年4月の消費税増税である。消費税率3%の引き上げは消費者物価を2%程度押し上げるのだが、賃金水準はゼロ・コンマ台しか上がらない。安倍政権は一貫して脱デフレを最優先すると宣言してきたが、消費税増税という真逆の政策を受け入れて、脱デフレ軌道を自ら壊したのだ。

 安倍首相はさすがにこの誤りに気付き、消費税率10%への引き上げを2度にわたって延期した。19年10月には非常事態でもない限り再増税を実施すると昨年の参院選時に公約した。増税に伴うデフレ圧力をかわすための条件が3%賃上げというわけだ。

 ここでもう一度、グラフを見よう。第1次安倍内閣の07年までの数年間、賃金水準は物価水準を超える幅で回復した。要因は当時の日銀の量的緩和と円安、輸出の好調だったが、08年9月のリーマン・ショックが勃発し、急落する物価よりも急激に賃金が落ち込み、先進国で最も厳しいデフレ不況に陥った。

 今回も日銀の異次元金融緩和、円安、輸出という3点セット頼みの脱デフレ期待である。日銀の黒田東彦総裁は23日の政策決定会合で緩和策の続行を決めたが、円安と輸出増が続くとは限らない。

 脱デフレを確実に実現するためには内需をしっかりと拡大させる政策、言い換えると財政支出を金融緩和に組み合わせることが欠かせないはずだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
地方創生の個々のケースは極めて小さいが、多様性と物語性に富んでいる。一人の若者が地方で起業すれば、家族を含め地方で定着する若者、子供たちの数が増える。さらに何人か後に続けば若者コミュニティーが生まれる。大消費地と地方を結び、小口資金融資で支える。新田さんの試みは、バンカーにふさわしい。
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2018.1.13 10:00
【田村秀男のお金は知っている】外貨準備増は中国自滅のシグナル 習近平氏の野望、外部からの借金なしに進められず

中国の外貨準備、対外負債の推移
 新聞各紙は「中国の外貨準備、3年ぶり増加」(日経新聞8日付朝刊)などと報じた。日経新聞は北京の資本規制によるものと解説しているが、それだけでは習近平政権の窮状がわからない。
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 中国の外準の増加は外部からの外貨による借金で支えられているだけで、外準が増えることは中国経済の強さではなく、脆弱(ぜいじゃく)さを物語るのだ。

 まずはグラフを見よう。習政権発足後の外準、対外負債の推移を追っている。外準の減少が昨年初めに底を打ち、徐々に持ち直してきたのだが、トレンドは2014年後半以来、下向きが続いている。対照的に対外負債は増え続け、昨年9月時点で負債は外準の1・6倍以上に達する。

 1年前と比べた増減を見ると、外準は昨年12月にプラスに転じたものの、15年初めから昨年9月まではマイナス続きだ。負債のほうは16年末から急増し、その一部が外準に流用されている。負債は外国からの直接投資と外債発行や融資に分かれるが、昨年からは外債・融資が急増している。直接投資のほうは外資の撤退が相次いでおり、新規投資から撤退分を差し引いた「純」ベースは黒字を保っているものの急減している。

 外部からの投資と言っても、多くは中国や華僑系企業が香港経由でケイマン諸島などタックスヘイブン(租税回避地)に設立したペーパーカンパニーによるもので、逃げ足が速い。不動産バブル崩壊不安が生じると、途端に引き上げる。しかも、中国系企業は資本逃避の術を心得ているので、当局の規制の網の目をくぐり抜ける。

 そこで、習政権はルールに従う日米欧などの外資系企業に目を付け、さまざまな難癖や規則を持ち出し、あの手この手で外貨の対外送金に待ったをかける。

 他方で、中国人の海外旅行者はアリババなどのスマホ決裁を利用して、日本などでショッピングする。代金は中国国内の銀行口座から引き落とされて対外送金されるので、それも外貨流出要因だ。安心・安全で高品質の日本製品は共産党幹部とその家族も欲しいから、購入を規制しない。おかげで、東京や大阪の百貨店や家電量販店、レストランなどはほくほく顔で、スマホ決済を受け入れる店舗が急速に増えている。

 おまけに、トランプ米政権の大型減税や米金利上昇のあおりを受けて、中国からの資金流出圧力は高まる一方だ。思い余った習政権は今月からカードによる海外でのカネの引き出しを制限したようだが、中国人にとって対外送金の抜け道はいくらでもある。

 こうみると、習氏が日本に対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や広域経済圏構想「一帯一路」への参加を懇願する理由がよくわかるだろう。中国は外部からの借金なしには、習氏の野望を前進させられない。

 人民元国際化は打開策だが、海外で元の自由市場が生まれると、中国本土の元管理相場が脅かされる。習氏の膨張主義は限界に直面している。日本は一帯一路など手助け無用だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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