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【田村秀男のお金は知っている】米株価が動かす米中貿易交渉

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 世界の株式市場が大荒れだ。米中貿易戦争と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが最大の変動要因だが、株価は米国景気を大きく左右する。
 グラフは、米国の株価と名目国内総生産(GDP)の長期動向である。株価は大小のでこぼこを繰り返しながら上昇基調を続けてきたが、最近時点で下方に向いている。GDPは長期的に右肩上がりで、でこぼこになることはめったにないし、あっても比較的短期間で下落局面が収束している。ただ、目をよく凝らすと、GDPが下落または伸びが止まった時期がいくつかある。
 1990〜91年、2001〜02年、06〜09年、15〜16年で、いずれも株価の下落や低迷にひきずられている。株価の下落が激しかったのは01〜02年のドットコム・バブル崩壊期、08年のリーマン・ショック前後で、リーマン・ショック後の09年前半から1年間は名目でマイナス成長に落ち込んだ。
 米国のGDPと株価はどの程度、共振するのか。統計学でいう「相関係数」を計算してみた。相関度の最大値は1で、「完全相関」、つまり100%相関する。
 1985年12月から2018年9月までの期間の株価とGDPの相関係数は0・96で、極めて高い値が出た。トランプ政権が発足した17年1月以降の相関係数は実に0・99で、ほぼ完全相関である。つまり米経済のトレンドは株価とともに動き、その傾向はトランプ政権の下でさらに加速している。
 つまり、米景気動向を判断するためには、米株価を注視すればよいことになる。その米株価は乱高下が激しい。米中貿易戦争が緩和するとみられると株価は上昇し、激化する恐れが生じると下落する。
 それよりもっと株価を短期的に動かすのはFRBの金利政策である。FRBのパウエル議長は昨年12月の利上げで株価が急落するのをみて、今月4日には利上げ停止と受け取られる発言を行うと、株価は急速に回復している。
 FRBの利上げが当面ないとなると、株価に大きく影響するのは米中貿易戦争、さらにはそれと密接な関係がある中国経済の減速である。トランプ大統領は中国によるハイテク窃取と巨額の対中貿易赤字に関して強硬策をとっているが、他方では株価をさかんに気にしている。
 昨年12月10日付の米ウォールストリート・ジャーナル電子版によれば、「トランプ氏は自身の仕事ぶりに対する評価を測る指標として、支持率と同様、ダウ工業株30種平均の動向に重きを置いている」。株価急落を受けると、「ホワイトハウス内外の顧問を呼び、急落を招いたのは米中首脳会談のせいではないと確かめようと躍起になっていた」という。中国の習近平国家主席とのアルゼンチンでの会談で、株価が上がることを期待していたとも読み取れる。
 2年後の大統領再選をめざすトランプ氏は景気を維持したい、そのためには株価を堅調にさせたいと狙う。その思惑が米中貿易交渉の行方に影響しかねない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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