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【田村秀男のお金は知っている】10%消費税でデフレの“泥沼”抜けられず…際限ない消費低迷へ
2019.3.30 10:00経済金融・財政
田村秀男のお金は知っている
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 拙論が24日付の産経新聞朝刊「日曜経済講座」で、10月に実施が予定されている消費税率の10%への引き上げの凍結を求めたところ、読者からさまざまな反響があった。多くは増税時の混乱についてだ。


 例えば、政府が増税の衝撃緩和策としている中小業者店舗でのキャッシュレス決済に対するポイント還元については、中小業者の受け入れがばらついており、10月までに態勢が整いそうにないという実情。食料品も品目によっては軽減税率の対象になるかどうかの線引きが微妙だ。そんなありさまで、小売りの現場は頭が痛いだろう。

 景気対策としては、防災を名目にした公共投資が地方の特定地域に今回だけ集中するが、人手不足で消化難、しかも翌年は発注が激減する。何という稚拙で計画性のなさか。政府の知性を疑う。

 折しも、世界景気の先行き懸念により株価不安が高まっている。度重なる消費税増税による経済への災厄に目を背け、10%への引き上げをもくろむ財務省を後押ししてきた日本経済新聞などメディアの多数派の論調は相変わらずだが、一部はビビり始めた。

 24日付日経朝刊はポイント制解説記事の末尾で、「足元では海外経済の減速を受け、景気の先行きが不透明になっている。3月の春季労使交渉では、大企業でも賃上げ率が18年を下回る例が目立った。増税が消費者心理に与える影響は大きく、消費を支えきれるかどうかはまだ見通せない」と付け足している。

 安倍晋三政権は結局のところ、新年度予算成立後、4月初めから5月下旬にかけて、消費税増税の先送りに踏み切るとの観測が市場に出るのも無理はない。

 拙論はそんな浮ついた景気観に同調するつもりはない。海外経済不安は昨年から始まっている。デフレ圧力が続く間は消費税増税すべきではないと、いたってシンプルに繰り返してきた通りだ。

 1997年度の増税以来、日本経済は慢性デフレに陥り、20年以上たっても脱デフレ成らず自滅、という惨状を憂慮するのだ。デフレ病はアベノミクスが2012年12月に始まったあと、症状はかなり緩和したが、14年度の増税でぶり返したままだ。

 
 グラフは、1997年度増税前からと2014年度増税前からの各5年間の実質正味家計消費の推移を追っている。「正味」とは、国民経済計算では最終家計消費に加算されている持ち家のみなし家賃を除外した分である。

 一目瞭然、97年度増税後よりも、14年度増税後のほうがはるかにショックは大きく、しかも元の水準に回復しないまま、家計消費が低迷を続けていることがわかる。97年度、14年度とも駆け込み消費と増税後の落ち込みが激しかったのだが、税率5%よりも8%のほうがはるかに大きな重圧となって、家計を苦しめている。

 政府は今秋の増税ではポイント還元などで駆け込み消費を和らげるので、反動減、消費不況を避けられるというが、浸透が疑わしい期間限定の一時的措置だ。税率10%という重税で消費は際限なく低迷が続くだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)

https://www.sankei.com/premium/news/190406/prm1904060001-n1.html

【田村秀男のお金は知っている】安倍首相は「令和」機に消費税と決別を デフレ不況深刻化の元凶

 5月から「令和」の時代に移ることになった。漢和辞典によれば、「令」の原義は神々しいお告げのことで、清らかで美しいという意味にもなるという。日本の伝統とも言える「和」の精神にふさわしい。
 だが、ごつごつとした競争を伴う経済社会では、清らかに和やかに、では済まされない。
 野心と挑戦意欲に満ちた若者たちがしのぎを削り合ってこそ、全体として経済が拡大する。経済成長は国家が担う社会保障の財源をつくり出し、競争社会の安全網を充実させ、和を生み出す。社会人になっていく若者たちの負担が軽くなるし、家庭をつくり子育てしていけるという安心感にもつながる。
 そこで、新元号決定直後の安倍晋三首相の会見をチェックしてみると、「次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会」「新しい時代には、このような若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代であってほしいと思っています。この点が、今回の元号を決める大きなポイント」と「若者」に繰り返し言及し、若者が「令和」時代を担うと期待している。
 だが、超低成長のもとでは「令」も「和」も成り立ち難い。若者は経済成長という上昇気流があってこそ、高く飛べると楽観できる。ゼロ成長の環境下では、殺伐とした生活しか暮らせないケースが増える。
 グラフは、平成元年(1989年)以来の日本の実質経済成長率の推移である。日本と同じく成熟した資本主義の米欧の年平均の実質成長率が2〜3%台だというのに、日本はゼロコンマ%台のまま30年が過ぎた。原因は人口構成の高齢化、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどを挙げる向きが多いが、ホントにどうなのか。

 高齢化はドイツなど欧州でも進行している。アジア通貨危機では直撃を受けた韓国はV字型回復を遂げたし、リーマンでは震源地の米国が慢性不況を免れた。いずれも日本だけがデフレ不況を深刻化させた。経済失政抜きに日本の停滞は考えにくい。
 最たる失政は消費税にある。政府は平成元年に消費税を導入、9年(97年)、そして26年(2014年)に税率を引き上げた。結果はグラフの通り、実質成長率はよくても1%台に乗るのがやっとで、家計消費はマイナス続き、外需頼みである。
 消費税はデフレ圧力を生み、経済成長を抑圧するばかりではない。所得が少ない若者や、子育てで消費負担が大きい勤労世代に重圧をかける。今秋の消費税率10%への引き上げは、首相が力説した、若者が担うはずの「令和」時代に逆行すると懸念せざるをえない。
 首相はデフレ下の増税に決別し、経済成長最優先という当たり前の基本路線に回帰すべきだ。その宣言は秋の消費税増税中止では物足りない。思い切って消費税率の引き下げを打ち出す。平成が終わり、令和にシフトする今こそ、政策転換のチャンスではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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