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2018.7.7 10:00
【田村秀男のお金は知っている】「トランプ弾」が中国市場を直撃 世界を巻き込む「チャイナショック」にうろたえるな

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中国、米国、日本の株価と人民元の対ドル相場(データ:CEIC)
 いよいよ7月6日。トランプ米政権は知的財産権侵害を理由に対中制裁の第1弾を放つ。中国の習近平政権はただちに米国に報復すると虚勢を張るが、借金まみれ中国経済は不安だらけだ。「トランプ弾」の直撃で、「チャイナショック」が世界中に飛び散りかねないが、うろたえるな。(夕刊フジ)

 チャイナショックとは、中国の株式市場の動揺が世界を巻き込むことだ。2007年2月の上海株大暴落が最初のケースで、世界同時株安をもたらした。15年夏には人民元切り下げを機に上海株が急落し、中国からの資本逃避が激しくなった。習政権は資本規制を強化する一方で、不動産相場をつり上げた。さらに外為市場操作で人民元安に歯止めをかけて、投資家をかろうじてつなぎとめてきた。それでも資本逃避は昨年、2000億ドル(約22兆円)に上った。

 国有企業など産業界は国内外からの借金が膨らみ続けており、企業の借金総額は米国を6兆ドル、日本を15兆ドルも上回る。銀行や企業は外貨不足を補うため外国の銀行から2500億ドル借り入れ、その結果何とか外貨準備は3兆ドル台にとどまる。

 金融が四苦八苦の中での米国との貿易戦争勃発である。トランプ政権は知的財産権関連の制裁などに加え、中国に対して対米貿易黒字3750億ドルのうち2000億ドルの削減を要求している。対米輸出の急減は避けられず、中国企業の収益が大きく圧迫される。債務返済が滞ると、金融機関の不良債権が膨らむ恐れが高まる。

 中国の金融は対米貿易黒字に支えられている。発券銀行である中国人民銀行は流入する外貨を原資にして人民元資金を発行し、国有商業銀行を通じて企業や不動産開発業者、地方政府、家計に貸し出す。この金融の量的拡大によって、08年9月のリーマン・ショックを乗り切り、高度成長を維持し、合わせて軍拡路線を推進してきた。

 外国との全ての商取引による外貨収支を示す経常収支黒字は昨年1650億ドルで、対米貿易黒字よりも2000億ドル以上少ない。トランプ政権はまさにその弱点を突く。貿易戦争に伴ってドルの流入が大きく減ると、人民元発行が制約を受け、金融を引き締めざるをえなくなる。すると需要が低迷し、企業収益も不動産相場も不振に陥り、借金を返せなくなる。

 窮余の一策は人民元の切り下げだ。米国による対中制裁関税の度合いに応じて、人民元を安く誘導し、輸出競争力の低下を防ぐ。人民元の対ドル相場は米中貿易交渉が決裂した5月以降、少しずつ下がり続けている(グラフ参照)。

 明白な人民元切り下げをすれば金融市場が大きく揺れ、巨額の資本逃避が起きかねないから、当局は忍び足だが、敏感な中国投資家は上海株を売り急ぐ。日本の市場もざわつくのだが、冷静に注視し、放っておけばよい。元凶は借金まみれの中国固有の脆(もろ)さにある。トランプ弾が来なくても遅かれ早かれ自壊は免れない。(産経新聞特別記者・
2018.7.5 23:16
貿易戦争懸念…揺れる上海市場 チャイナショックに慌てるな 編集委員・田村秀男


 中国側の報復は承知の上だろう。トランプ米大統領は6日、対中制裁関税の第1弾を放つ。狙いはカネとハイテク両面での対中封じ込めで、習近平政権の経済・軍事拡大路線に立ちはだかる。揺れる上海株式市場から「チャイナショック」が世界に飛散しようと、日本は中国脅威の抑止という大局を見据えるべきだ。

 トランプ政権は5月初旬の北京での米中貿易協議で、対米貿易黒字(米側統計で昨年3750億ドル)の2千億ドル削減要求を突きつけた。6月には、ハイテクなど中国からの輸入品2千億ドルに追加関税をかける準備を始めた。上海株価と人民元相場は貿易戦争懸念とともに下落を続けている(グラフ参照)。

 習国家主席は「殴られたら殴り返す」と強気だが、中国の成長モデルは極端なドル依存だ。中国人民銀行は流入するドルを原資に人民元を発行し、金融を量的拡大してきた。米国のハイテク企業買収、中華経済圏構想「一帯一路」向け投資も外準がよりどころだ。

 過去10年間の対米黒字合計額は3.2兆ドルで人民元資金発行増加額の9割以上に相当する。オバマ前政権までは対中貿易赤字を放置し、中国の膨張を手助けしたが、「米国第一主義」のトランプ政権は対決策に転換した。
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 中国の経常収支黒字は縮小基調にあり、今年3月までの年間で1200億ドルである。当局の規制にもかかわらず資本逃避は止まず、同3100億ドルに上ると推計される。外準減少を食い止めるため、中国は昨年2400億ドル以上、外国から借り入れた。

 国有企業など中国産業界は世界でもダントツの借金依存経営で、国内外からの借金は昨年末20兆ドルを超えた。対米貿易戦争に伴って輸出機会が減れば、債務不履行が続出しかねない。高関税に伴う輸出競争力低下を相殺するための窮余の一策は人民元切り下げしかないが、外貨債務負担は増え、金融危機の引き金を引きかねない。当局は人民元を買い支えているが、グラフが示すように下落が止まらない。資本逃避が加速しつつあるようだ。

 米欧の専門家は中国の金融不安を「チャイナショック」と呼び、世界の株式市場への波及を懸念するが、あわてることはない。共産党が支配、管理する硬直的な市場はもろく、いずれ自壊は免れない。「トランプ砲」のとどろきは崩壊時期を早めるのだ。

2018.6.30 10:00
【田村秀男のお金は知っている】対トランプ氏、習近平氏の虚勢極まれり 対米貿易は輸出が輸入を圧倒


中国の対米輸出入 データ:CEIC、中国税関総庁
 トランプ米政権は7月6日、知的財産権侵害に対する制裁として、中国からの輸入品340億ドル(約3兆7000億円)分に25%の関税を上乗せする。中国側も同日に同額の報復関税をかける。米側はこのあとさらに160億ドル分を追加制裁し、中国側もやはり同じタイミング、同額の追加報復で対抗する。(夕刊フジ)

 中国の習近平国家主席・共産党総書記は徹底抗戦する構えだ。習氏は先日、北京で開かれた欧米多国籍企業20社首脳との会合で、「欧米では左のほほを殴られたら右のほほを差し出せ、との考えがある」とした上で、「殴り返すのがわれわれの文化だ」と語ったという(6月26日付米ウォールストリート・ジャーナル=WSJ=紙)。

 敵が一歩前に出れば一歩下がり、敵が一歩下がるときに二歩前に出る毛沢東以来の共産党の伝統戦術をとらない。習氏は一歩も引かないというが、この戦いはどうみても中国側の分が悪い。グラフが示すように、中国の対米貿易は輸出が輸入を圧倒している。トランプ大統領はそれを見越した上で、中国が報復すれば、制裁対象額をさらに2000億ドル追加すると示唆している。

 習政権が同額で対抗しようとしても、中国の対米輸入は1500億ドル前後にとどまる。それでも全面対決するなら米国からの輸入全てに高関税をかけなければならないが、そうなると中国企業は米国に依存する主要部品や機械設備などのコスト高に苦しみ、収益力や輸出競争力の大幅低下を招く。

 報復金額で対抗できないとなると、進出米企業や対米輸入品に対するさまざまな許認可を遅らせるなど、党官僚がいつもよくやる陰湿な嫌がらせを駆使するだろう。さらに、党は得意の大衆動員による米国品不買運動をしかける可能性もあると、WSJ紙は警戒している。
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 しかし、党独裁体制特有の不透明きわまりない行政や司法の妨害行為や不買運動の市民への強制は米企業ばかりでなく外国企業全体に「チャイナリスク」を自覚させ、対中投資を細らせる。本欄でも既報の通り、6月上旬のカナダでの主要7カ国(G7)首脳会議宣言で、中国の不当な貿易・投資のルール違反を批判している。

 実のところ、中国経済全体を見渡すと、中国は今や米国との貿易戦争に耐えられるほどの体力はない。国際決済銀行(BIS)統計によれば中国企業の借金は昨年末で20兆ドル、国内総生産(GDP)の1・6倍で、米国の同14兆ドル、GDP比7割を大きく超える。しかも、企業と金融機関などの外国からの借り入れは年間で2500億ドルも増やしている。対米輸出が急減し、しかも企業収益が悪化すれば金融危機に陥りかねない。

 企業の国際競争力を維持し、輸出をてこ入れするためには人民元レートの切り下げに踏み切るしかないが、そうすると、資本逃避が加速し、やはり金融危機の恐れが高まる。まさに出口なし、習氏の虚勢極まれりである。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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