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経済はだれにでも分析できる。そして、国内の政策や世界の外交・安全保障・軍事も経済を通してその真偽を見抜ける。

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2018.5.12 10:00
【田村秀男のお金は知っている】中韓首脳来日、真の魂胆は日本の円 恫喝に屈した韓国、トランプ攻勢に悩む中国

 今週、東京に集まった中国の李克強首相、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が安倍晋三首相と会う目的が北朝鮮対策だと考えるのは甘い。真の魂胆は通貨スワップ合意だ。中韓とも、日本の円資金がのどから手が出るほど欲しい。(夕刊フジ)

 興味深いのが、韓国経済新聞の社説「醸成されつつある韓日通貨スワップ再開の雰囲気」(5月7日付日本語電子版)である。スワップ協定は韓国側の慰安婦合意の不履行をみて、日本側は交渉を拒んできた。同社説は「南北首脳会談、米朝首脳会談の開催をきっかけに日本国内で『ジャパンパッシング』に対する懸念が強まり、日本が通貨スワップ再開に前向きな態度を示す可能性がいつよりも高まった」と期待する。蚊帳の外に置かれことを恐れる日本はこの際、韓国との関係改善に努めるだろうと思い込んでいるようだ。日本の通貨当局からの円資金融通を渇望する余りの幻覚なら、ちょっと笑える。
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 韓国は昨年10月、中国に頼み込んで人民元とウォンのスワップ協定を結んだが、北京当局によって取引が統制されている人民元は使い勝手が悪い。円ならドルやユーロなど主要通貨と自由に交換できる。

 日本を早急にスワップ協定に引きずり込みたいと焦る理由は、米トランプ政権の通商政策にある。韓国は米韓自由貿易協定の破棄をちらつかせるトランプ氏の恫喝(どうかつ)に屈して、「為替条項」盛り込みに同意した。同条項によって韓国は為替市場への介入ができなくなる。外資と輸出依存度が極端に高い韓国は外貨の融通を受けて市場波乱に備えなければならない。

 中国もやはりトランプ攻勢に悩まされている。対米貿易黒字の大幅削減に加え、知的財産権侵害がとがめ立てられて広汎な中国製品に制裁関税が適用される。当局によってがんじがらめに規制されている金融市場の自由化・開放も迫られている。しかも、国内の企業や投資家は規制の網の目をくぐって巨額の資本を外に逃す。「米中貿易戦争勃発」ともなれば、外資を含め動揺が広がり、資本逃避が加速し、通貨危機に陥る不安が生じる。

 グラフは中国の外貨準備を海外からの対中直接投資と対比させている。外貨準備は2015年に急減した後、昨年から徐々に回復しているように見えるが、直接投資との差はわずかである。中国の外準は直接投資を通じて流入する外貨を繰り入れる「上げ底」構造にあり、いわば外資によって支えられている。外資の流入が細り、逃げ出せば、外準が空洞化しかねない。

 もちろん、年間4200億ドル(約45兆7400億円)に上る対外貿易黒字も外準の源泉だが、大半を占める対米黒字は2000億ドルの削減を迫られている。外準が3兆ドル以上あろうと見かけだけで、金融市場危機には対応できそうにない。頼みは日本のカネだ。

 沖縄県の尖閣諸島問題などを受けて13年に失効した日中通貨スワップ協定の再開に向け、北京は李首相訪日に乗じて、水面下で対日懐柔工作に懸命なのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
2018.5.19 10:00
【田村秀男のお金は知っている】怯える習政権…トランプ政権が2000億ドル貿易黒字削減を要求
 米トランプ政権は今月初旬に北京で開かれた米中通商協議で対米貿易黒字2000億ドル(約22兆円)削減を求めた。(夕刊フジ)
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 この対中強硬策について、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のチーフ・エコノミクス・コメンテーター、マーティン・ウルフ氏は9日付のコラムで、「2000億ドルもの削減要求はばかげている」とトランプ氏を非難。「米国が築き上げてきた貿易制度を支える非差別主義や多国間協調主義、市場ルールの順守といった原則に反する」「トランプ政権よりも国益をよく理解している米国人は、米国が対立を望むようならいずれは孤立するということを理解すべきだ。それが自分勝手ないじめっ子となった指導者のたどる運命である」(10日付日本経済新聞朝刊の翻訳記事から)という具合である。

 2000億ドル削減はトランプ政権が事前にまとめた対中要求案のたたき台「米中貿易関係均衡に向けて」に盛り込まれている。まず、2018年6月から12カ月間で1000億ドル、さらに19年6月から12カ月間で1000億ドルを追加し、20年には18年に比べて2000億ドル削減すると期限を設定している。

 同時に中国による知的財産権侵害やサイバー攻撃の停止、進出米企業に対する投資制限の撤廃、中国企業の米情報技術(IT)企業買収に対してとる米側の制限措置の受け入れなどを求め、中国側には報復するなと迫っている。その過激さから、FTは「最後通告」だとみなしたわけだ。

 実際に、米中は「貿易戦争」に突入するだろうか。上記の要求案のただし書きを読むと、同案はあくまでも事前に用意された草案であり、対中協議の進展具合で見直されるとの説明付きだ。大上段に振りかぶって相手を威圧し、大きな譲歩を引き出すのがトランプ流取引だとすれば、結果はめでたく握手、という可能性も否定できない。

 現に、トランプ氏は米国から部品供給禁止の制裁を受けている中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が経営難に陥るのをみるや、「救済の手を差しのべてもよい」と中国の習近平国家主席に申し出る始末である。6月12日にシンガポールで開催される史上初の米朝首脳会談を控え、習氏の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対する影響力行使を見込んだうえでの妥協だ。

 それでも、拙論の見るところ、米中摩擦の鍵を握るのはやはり2000億ドル削減の可否である。グラフは中国の対外収支と米国の対中貿易赤字の対比である。中国の貿易黒字の大半を占めるのは対米黒字だ。貿易黒字から、国民の海外旅行、特許使用料、進出外国企業の収益など差し引いた経常収支で大きく減る。最近では年間2000億ドルを下回る。

 対米黒字を2000億ドルも減らせば、経常収支は赤字に転落する。すると中国は外貨準備を取り崩さざるをえなくなりかねない。外準こそは中華経済圏構想「一帯一路」など習政権の対外膨張策の軍資金である。習氏はおびえているはずだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
https://www.sankei.com/premium/news/180422/prm1804220012-n1.html
2018.4.22 08:00
【田村秀男の日曜経済講座】つじつま合わせに奔走する官僚たち 「財務」本来の使命忘れたか

 学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる公文書改竄(かいざん)や口裏合わせ工作の露呈に続く、セクハラ問題による福田淳一事務次官の更迭。相次ぐ不祥事でささくれだった財務省の外皮をはぎ取ってみると、国家と国民を豊かにする使命を果たさず自壊するいびつな構造が見える。

 財務省が日本経済に占める地位は絶大である。一般会計と特別会計の歳出純合計は平成28年度で363兆円、国内総生産(GDP)の67%を占める。このうち、国債借換償還額を除いても254兆円で47%である。国内で支出されるカネの7割近く、あるいは実体経済の5割近くを財務省が差配していることになる。

 カネは情報と一体になっているのだから、財務官僚は政財官学、さらにメディアにも強大な影響力を直接、間接に行使できる。首相も、国会議員も、財務官僚の協力がなければ無力だ。財務官僚がおごるのは無理もない。

 だからといって、「絶対的権力は絶対に腐敗する」という英国の格言を財務官僚に当てはめるつもりはない。一連の不祥事は「絶対的権力」者としてはあまりにもちまちましている。いじましいほど、つじつま合わせに奔走する小ざかしいだけの小物役人の作為であり、できそこないのドタバタ喜劇である。

 早い話が福田氏のセクハラ問題調査に関する財務省声明(4月16日付)だ。「一方の当事者である福田事務次官からの聴取だけでは、事実関係の解明は困難」とし、被害者とされる女性記者の「協力」を求めた。これには「二次被害が出る」と与党からも反発が出るほどだったが、矢野康治官房長らは通常のトラブル並みに双方の言い分を聞くのが当然と信じきっていた。セクハラ事件で配慮すべき社会的要因は頭の中にはない。

 財務省主流の主計局などで予算の歳出と歳入のバランスにこだわり続けているうちに、まずはきちんとつじつまが合わないと落ち着かない性分になったのだろう。

 森友文書改竄問題はどうか。佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の国会答弁と矛盾しないように決裁文書を書き換えた。国有地売却価格を約8億円値引きした理由をもっともらしくみせるために、ゴミ撤去の口裏合わせをよりにもよって森友学園側に依頼した。最高学府の法学部出身者が多数を占める財務官僚がルールを踏みにじる。帳尻合わせに執念を燃やす企業の経理オタクのようである。筆者の知り合いの元財務省幹部は「後輩たちは経理屋か」と嘆く。

 確かに、財務官僚式財政学は経理的思考方法そのものである。歳出削減と増税によってこそ、財政は均衡、つまり健全化すると信じてやまない。足し算、引き算を基本に、帳尻を合わせる家計簿に似ている。財務省のホームページでは、国の財政を家計に例え、一家計のローン残高5397万円に相当すると堂々と論じている。国民は金融機関経由で政府債務の国債という資産を持ち、運用している。それを国民の借金だと言い張り、緊縮財政や増税への賛同を求める。

 賃上げ幅が物価上昇率に追いつかないとデフレ経済になり、GDPの6割を占める家計消費が減る。なのに財務省は消費税増税によって物価を無理やり押し上げる。アベノミクスによって回復しかけた家計消費は消費税増税によって、しぼんだままだ。国家財政を経理屋が担うから、日本はいつまでたってもデフレから抜け出せないのだ。

 財務は資産と負債のバランスで成り立ち、債務が増えないと資産は増えない対称的な関係にある。企業なら株式発行や借り入れによって資金調達して負債を増やし、設備投資や企業買収によって資産を増やす。財務とは、成長を考え、実現するための中枢機能である。
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 グラフは、日本全体の資産・負債のバランス構造を表す。国家経済は貸し手と借り手で成り立つ。借り手がいないと国は成長できない。国民は豊かになれない。資本主義なら、企業負債が家計の資産を先導する。グラフでも企業は負債側にあるが、株式を除くと昨年末で616兆円の純資産を持っている。家計と同じく貸し手側だ。となると、家計が豊かになるためには政府に貸すしかない。政府が借金を減らすなら、貸し手の家計は為替リスクのある海外に貸すしかない。

 財務官僚は増税で家計から所得を奪うことしか頭にない。財務官僚は「財務」を忘れてしまった。優秀であるはずの頭脳でも使われないと弛緩(しかん)し、空洞化する。凡人があきれるほど低次元の素行に走るはずだ。

(編集委員)
http://www.sankei.com/premium/news/180421/prm1804210005-n1.html2018.4.21 10:00
【田村秀男のお金は知っている】エリート官僚が「スケベ親父」になる真のワケ
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自他共に認めるエリートの財務官僚だが…
 皮肉をこめて言うのだが、天下の財務官僚が品性に欠けるスケベ親父同然だったとは、失望した。福田淳一財務事務次官の「セクハラ」疑惑である。(夕刊フジ)

 福田氏は女性記者相手ではないと抗弁しているが、「真相解明」と騒ぐのがばかばかしい。森友学園関連の決裁文書改竄(かいざん)といい、森友への国有地売却での虚偽の口裏合わせ工作といい、問題の次元が低すぎるのだ。

 1998年に発覚した大蔵省(現財務省)接待汚職(いわゆるノーパンしゃぶしゃぶ)事件を想起する向きもあるが、当時の大蔵官僚は開けっ広げだった。

 バブル経済の余韻が漂う90年代前半、大蔵省某幹部は知人が部屋を訪ねてくると、やおら机の引き出しを開けて、「夜の予定はずっと埋まっていて、大変だよ」と、接待元の名刺をずらり並べて披瀝(ひれき)する。この名物官僚は接待された料亭でどんちゃん騒ぎを起こした揚げ句、階下の一角で開かれていた知り合いの宴席になだれ込んだ。

 当時の大物官僚と現在の小物官僚の共通点は、エリート「無謬(むびゅう)」神話にある。「THE BEST AND THE BRIGHTEST(最良で最も賢い)」者は間違いを犯すはずはないとの思い込みのことである。「THE BEST AND THE BRIGHTEST」はケネディ・ジョンソン政権時代のマクナマラ国防長官ら最良・最賢グループが先導したベトナム戦争の失敗を題材にしたD・ハルバースタムの著書(1972年)の題名として広く知られ、米国ではいまなお批判の的だ。残念ながらわが国メディアと与野党議員の多くはエリート官僚が担う政策に目を向けない。

 80年代後半に日本をバブル経済へと誘導したのは、大蔵官僚主導の「プラザ合意」に続く超低金利政策で、米財務省と組んだ大蔵省が日銀に強制した。90年代初めのバブル崩壊を深刻化させたのは大蔵省通達による不動産融資規制や地価税導入だった。97年の山一証券など一連の大手証券・銀行の破綻は大蔵官僚によるにわか市場原理主義が背景にある。

 証券や銀行業界からの接待にさんざん興じていたくせに、情勢が厳しくなると市場による淘汰(とうた)こそが正義とばかり、切り捨てた。いまなお、抜けきれない20年デフレも消費税増税と緊縮財政が元凶だ。

 財務官僚は自己にとって都合の悪い事項は削り、嘘のつじつま合わせに励む。それに対し、メディアや議員の多くは安倍晋三首相に忖度(そんたく)して嘘をついた、と責めるのだが、嘘つき体質のエリートが作り上げる政策については極めて従順で肯定的である。政策が欺瞞(ぎまん)に満ちているなら、そっちのことこそ国家・国民の命運に関わる重大さにも関わらずである。

 既定の財務省路線である増税と緊縮財政では経済が萎縮することは明白だが、先達の失敗を認めない以上、転換できない。想像を絶する財務官僚の自堕落ぶりは、ひょっとして、無力エリートが抱えるストレスのなせる技かもしれない。(産経新聞特別記者・田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/180428/prm1804280014-n1.html
2018.4.28 10:00
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【田村秀男のお金は知っている】「為替条項」は日米通商を壊す 粘り強くトランプ政権を説得すべき

 先週の日米首脳会談で両国は、通商問題についての新しい対話開始で合意した。トランプ政権側の狙いは為替条項付きの日米自由貿易協定(FTA)の締結にある。為替条項によって、日本側は通貨・金融政策で大きな制約を受けるばかりではない。2国間の貿易不均衡を是正できないし、日本経済を停滞させかねない。(夕刊フジ)

 まずはグラフを見よう。日米の貿易収支を円ベースの日本側統計とドルベースの米側統計の両面で追い、円の対ドル相場と対比させている。対米黒字のトレンドは円ベースとドルベースではかなり違う。黒字額は円ベースの場合、円安に連動して黒字が増え、円高とともに減る。その点では、米側の主張通り、為替条項は不均衡是正には有効と見えるが、虚像である。

 トランプ政権が目指す貿易赤字の縮小は、もちろん米側統計のドルベースのほうである。ドルベースの対米黒字は円ドル相場に反応しないのだ。

 統計学でいう円ドル相場とドルベースの貿易黒字の相関係数(完全な相関関係は1)は0・1と相関関係はなきに等しい。円ベースの場合、為替相場との相関係数は0・86と極めて高い。

 円高ドル安になっても、逆に円安ドル高でも対日赤字水準はほとんど変わらない。円高ドル安でも米国にとって対日赤字は減らないのだ。

 円ベースで動く日本経済のほうは、円ドル相場に翻弄される。1ドル=80円未満の超円高だった2012年前半、日本の対米黒字は年間4兆円台だったが、同年末のアベノミクス開始後の円安傾向とともに円ベースの黒字額は膨らみ、14年以降は6兆〜7兆円台に達した。この黒字増加額は国内総生産(GDP)の0・4〜0・6%に相当する。

 経済成長率がゼロ・コンマ%台の日本の命運はまさに円ドル相場で左右される。為替条項によって、日本が半ば強制的に円高ドル安政策をとるハメになれば、景気はマイナス成長に落ち込み、円相場に連動する株価も下落する。

 日本経済はデフレ圧力とともに沈む。だからといって、米国経済が対日赤字削減で浮揚するわけではない。日本の需要が減退すれば米国の対日輸出も減る。為替条項は日米双方にとって何の成果ももたらさないどころか、日米通商を破壊しかねない不毛の選択だ。

 為替条項は日銀の金融政策を制約するばかりでなく、急激な円高局面での円売りドル買いの為替市場介入も米側の厳しいチェックにさらされる。これら日銀や財務省にとっての不都合さをタテに為替条項に反対したところで、トランプ政権は引き下がるはずはない。むしろ、日本側が為替条項をいやがるのは、意図的な円安をもくろんでいるからだとする疑いを強めるだけだろう。

 安倍政権としては上記のように、為替条項は日米の経済にとって不毛な結果しか生まないと、粘り強くトランプ政権を説得すべきなのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
田村秀男の国際政治経済学
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