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男の名はミハエル。
ある日深い眠りから目覚めると、それは起こった。
その朝は目覚ましの音が変な方向から聞こえてきた。
普段ある方向に目覚ましを殴って止めてやろうと手をやると、壁に勢いよくあたった。
おかしいと思って目を開けると自分は確かに壁に殴られていた。
しかし反対側を見ると確かに目覚ましがあった。
それを止めて辺りを見ると「あれっ?」
なんと鏡に映るはずの世界が広がっていた。
一階へ降りるための右回りだったはずの螺旋階段が右へ曲がれば地獄行き。
水道の蛇口を冷水方向に回せば火傷する。
ミハエル呆然
そしてビックリ
なんと最後には妙に興味がわいてきた。
家族に相談すれば怪しまれ、自分を疑えば迷路の中にチェックイン。
ミハエルは仕方がないから1日を鏡の世界で過ごすことにした。
するとミハエルは気づいた。
一階へ降りるとき、初めて手すりを握って降りた。
トイレに入るとき、初めて意識して扉をあけた。
縦書きの本を読むとき、初めて左から右へと読むのになれずに、読む方向を意識した。
鏡の世界でミハエルは無意識を意識した。
夜になって眠る時、ミハエルは目覚まし時計を優しく反対側にセットした。
そして翌朝
目覚ましがなる。
ミハエルは得意気に昨日と同じ方向に手を伸ばした。
壁に激突した。
鏡の世界は消えていた。
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