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死体となって発見されたクラスメイトは隼人の友達のSだった。
Sと隼人は仲が良かったぶん、隼人は悲しんだが時が経つにつれて、隼人は心の中で何か鼓動を感じてならなかった。
Sは天井から首吊りにされていた。そう、「されていた」つまりこれは紛れも無い他殺である。そして、背中には血で書かれたバツの文字。
学校の周りには警察が立っていて、教室にはオレンジテープが貼り付けられた。
「何で!?」「誰がこんな酷いことを!!」「絶対に許せない!!」
この世の終わりを見たかのような怒号が隼人の背中で響く。
そこには、Sの両親も居たが、隼人にはその声だけは聞こえなかった。いや、聞かなかったと言うべきか?
そして、隼人は決心する。「犯人は俺が捕まえる。なんとしても仇をとる!」
周囲の子供達は隼人のこの決心を応援したが、隼人は内心ではこの事件を楽しもうとしていた。
そして一週間後、学校はまた開校された。
生徒が登校を終えた後、全員が体育館に集められた。
「先日起きてしまった、我が校の生徒が他殺されるという事件は大変痛ましいものであります。・・・・・」
校長の長話が始まった。隼人は何一つ聞いていなかった。いや、聞けないほど心が踊っていたのだ。
校長の話が終わって、授業が始まるとそこには普段となんら変わりの無い学び舎があった。
「円周率πが3.05より大きいことを証明せよ。じゃぁ、M君!」
「円周率は3.14だから3.05より大きいです!」
「ぶっぶーーーー!ハイじゃあ、隼人君!」
「単位円をCとして、円Cに内接する多角形Aを書くと・・・・・。」
「正解!すごいねぇ〜、これ東大の入試問題だよ!!!」
「楽勝だな。」
周囲から拍手が起きた。隼人は独り、優越感に浸っていた。まるで、皆殺人事件のことなど忘れたかのように、平和な教室がそこにはあった。
「じゃあ、隼人君次の問題ね。」
「来い!!」
「フェルマー最終定理を証明せよ!」
「・・・・・・・・・・。。。。先生できるんですか?」
キーンコーンカーンコーン・・・・
「あ、チャイムだ。じゃあ、授業は終わりね。」
先生は逃げた。
これもまた、よくある日常の風景だった。
しかし、隼人は気付いてしまった。
普段、先生は文字定数に”エックス”を用いるが、今日は”エー”を使っていた。
そして、給食になって、またクラスメイトの1人の行方がわからなくなった。
先生たちの顔が一瞬にして青ざめた。
まるで、悪魔でも見たかのような、そんな目で互いに話し合っていた。
行方不明だった、その子は保健室で見つかった。体調が悪くて、休んでいたのである。先生はホッとした。
先生たちの心の悲劇の劇場は、幕を半分開けてまた閉じた。
しかし、悪魔はまた産声をあげてしまった。
隣同士で一緒に給食を食べていたMが、スプーンを口に運んだ瞬間、倒れた。隼人は倒れるその子を抱きかかえ、必死に問いかけるが反応は無かった。
既に死んでいた。。。。
Mが使っていたスプーンの裏を見ると、そこにはバツの文字が赤い字で書かれたいた。
教室の空気がまた、黒色にすりかわった。悪魔のダンス劇場の幕があがった。
戯曲「第二の犠牲者」終
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