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日本陸海軍研究所
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 集中のために行われる鉄道輸送は通常、戦役の当初は間断なく実施される。その輸送における途中の給養は、通常定められた給養停車場において行い、当該停車場司令官もしくは特に設置された機関がこれを担任することとした。このため輸送指揮官は、発車停車場の出発前および給養停車場到着後、当該停車場司令官等に対し給養人馬および給養区分(朝、昼、夕食)を告知することとした。ただし、小規模な輸送で前述した機関がない時は、被輸送部隊自ら給養を実施するため、通常所要の人員を先遣し給養準備をさせることとした。
 また、情況によっては、列車内において炊事をさせることもある。
 鉄道輸送間の兵員への給養は、特に食堂施設において行うか、または出発前もしくは途中の停車場において弁当を支給し、車内において食事をさせることとした。また食事に要する湯茶は、適当の停車場においてこれを準備するものとした。
 給養停車場は、なるべく大市街、衛戍地等給養品の調達、給水に便利なだけでなく、糧秣庫、炊事場、食堂、休憩所、便所等の特種設備を設置する必要がない停車場を選定する必要があるとした。給養停車場の数は、軍隊の輸送中24時間に3回、概ね適当な時刻において給養できることを基礎として決定するものとした。ただし、大規模な輸送にあっては、全ての軍隊を常に同一停車場において給養することは適当ではないことから、適宜その数を増加することを可とした。
 給養停車場における所要糧秣は、その地を所管する経理部より直接、停車場司令部に交付するか、もしくは該経理部において請負者に命じ供給するものとした。
 馬糧は通常、出発の際に若干を携帯させ、その他は途中の停車場において支給することとし、この場合多くは1日に2回に分けて与えることから、給養停車場中で糧食のみを支給して、馬糧を支給しない場所がある。また馬匹の水および飼付は、車輌に搭載のまま車内において麦袋および水嚢でもって行うものとした。このため輸送指揮官は輸送間飼料の配合に注意し、なおかつ水および干し草の飼与を励行して、馬匹の保健に意を用いること、特に暑熱が激しい季節において極めて必要であるとした。
 輸送途中あるいは下車後における給養上、必要があると認められた時には、人馬に規定外の糧秣を携帯させ、あるいは特に列車内に積載携行させることがある。しかしながら、その携行すべき数量には自ずから制限があるものとした。
 
 

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 この給養法は、舎主より糧秣の供給を受けて軍隊の給養を実施することをいう。
 この場合では、地方の食習慣を顧慮し、舎主の供給量が完全定量よりも少ない場合については、これに満足しなければならないとした。しかしながら、舎主より供給する糧秣が不充分で定量に充たない時は、その直属上官は舎主に対し補足させる必要がある。もし舎主が不足分を補足できない時、部隊長は舎営司令官を経てこれを市町村吏に不足分を要求することとした。
 地方の情況によって市町村に対し合同で糧秣、特に馬糧について供給させることが必要な場合がある。またこの場合の実行に際し、舎主の調理による食事を供給させる場合と、舎主より供給される糧秣を軍隊が自ら炊事する場合とある。このいずれを実施するかは情況によって、部隊長が適宜これを定めることとした。
 舎主の供給する糧秣により給養する時は、携行糧秣を節約し、軍隊の労務を省き、かつ給養実施を速やかにし、軍事上および経済上において利益とする所が非常に大きい。ことに現金でもって即時に代金を支払う時は、人心を懐柔し、かつ連続して給養を実施できる利がある。このため、情況が許せばなるべくこの方法を用いることを可とした。しかしながら、戦地においては到る所の土地は決して豊饒ではなく、かりに豊饒であったとしても、大兵を数日間にわたって給養を実施することは困難であるだけでなく、作戦の情況、住民の風習、意向ならびに財政上の理由等により、これを用いる機会を制限し、特に行動間のような場合にはほとんど実施しがたいことが普通である。このため、通常内地にあって広く舎営をする場合もしくは兵站地区内等において施行されるに過ぎないものであるとした。
 いずれの場合にあっても、この給養法に依ろうとする場合には、高級指揮官は部隊に命令するに先立ち、町村長または個人に対し、契約あるいは徴発の方法をもってその供給を命じ、準備させることを必要とした。
 軍隊はこの給養実施に対し、特に現金でもって支払う命令がない時は、舎主より供給を受けた人馬数あるいは品目、数量および日時、部隊号等を記入した所定の証票を交付し、これでもって後証とすることを必要とした。

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 この給養法は、軍隊が直接購買もしくは徴発した糧秣によってただちにその部隊の給養を実施することを言い、なるべく購買の方法によってこれを実施することを可とした。
 広く地方糧秣を利用することは、給養を円滑にすることに大きく効果があり、いわゆる「敵の糧による」の主旨に合致するだけでなく、高級指揮官の給養業務を幾分軽減し、なおかつ携行糧秣を節約することができる等の利があるとした。このため、人馬ともに特に代用品の使用に着意し、現地における食習慣を調査・研究して、なし得る限りその使用範囲を拡張すると共に、必要であれば原品を製造して嗜好の増進を図る等、徹底的にこれの利用しなければならないとした。しかしながら、一方では保健上の関係をも顧慮することが必要であることから、当初より無謀にこれを利用することは避けることを可とし、漸進的に現地食材に慣熟させるよう努めなければならないとした。
 
(1) 各部隊が直接行う購買
 各部隊が直接購買した糧秣により給養させる方法は、つとめてこれを励行することを適当とした。給養品の全部を部隊において直接購買することは、資源豊富で敵情・時間等に余裕ある場合でなければ実行は困難であるとした。しかしながら、状況に応じ、一部についてこの方法により給養することに努めることを可とした。各部隊に対し直接購買をさせる場合にあっては、高級指揮官は購買地域および標準価格を指定し、各部隊は該指定に従って適宜、購買を実施することとした。
 調弁地域は、部隊において利用できないような広域にわたることがないようにしなければならない、とした。これに対し大部隊が密集して宿営する場合等には、適当に宿営地付近の部隊を配当し、混合と競合とを来さないようにする必要があるとした。
 標準価格は各品種ごとに単価を規定するものとしたが、やむを得ない場合においては、単にその概略を示すだけになる場合もある。

(2) 各部隊が直接行う徴発
 各部隊が直接、地方糧秣を徴発するには、高級指揮官はその部隊に一定の地域を指定し、該部隊の徴発隊でもってその地の徴発を行うものとした。この方法は、ややもすれば軍紀を紊乱し、住民の意嚮を害しやすいことから、特に細密な規則と至厳な監視を必要とするだけでなく、該隊の指揮官は必ず将校をもってこれに任じるべきものとした。またこの徴発法は資源を節約しかつこれを平等に使用できない弊害があることから、給養品を後方より輸送しもしくは給養品を購買することができない等、やむを得ない場合に限り行うこととした。しかしながら、これらの弊害はその実行法によっては減少させることができ、また戦地にあってはこの方法によらなければならない場合も少なくない。また非常の場合に際しては、各部隊長あるいはその地において指揮を執る上級先任の将校は、徴発の権を有するものとした。
 

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 師団または軍においては、必要に応じ各その管区内に糧秣を集積して携行糧秣の補
充を行い、あるいは直接各部隊の給養に充てるものとした。倉庫による糧秣とは、軍
隊が直接倉庫等より糧秣の分配を受けて給養を実施し、各部隊は通常大行李を差遣し
てこれを受領するものとした。
 野戦倉庫は、当該経理部長によって設置されるものであり、その糧秣は購買、徴発
もしくは追送によるものとした。
 分配を容易にしかつ大行李の使用を適当にするためには、倉庫所在地と部隊宿営地
の距離をなるべく短縮し、駐留間においては少なくとも半日行程以内にしなければな
らない。このため、必要であれば適宜、支庫を設けることとした。
 倉庫の糧秣による給養は最も確実であり、かつ資源を節約できるが、給養品の準
備・集積のため時間を要することから、多くの場合軍隊駐留間において行われること
を通例とした。しかしながら、行軍間にあっても、特として倉庫の糧秣により給養を
行うことを有利とすることがあり、これはすなわち輜重等に要する糧秣補給のために
軍隊通過後の地帯に倉庫を設置し、情況が許せば戦列部隊あるいは騎兵旅団等に対す
る補給のため軍の前方側方等に倉庫を開設することがあった。
 倉庫より補給する糧秣の品種は、情況により一定しないが、薪炭、藁、生野菜等は
通常、部隊に直接調弁させることが多かった。

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 軍隊の携行する糧秣による給養とは、携帯糧秣、大行李もしくは輜重に積載する糧
秣でもって給養を実施することをいう。
 携帯糧秣は、各自が携帯する予備糧秣のことであり、この糧秣は他に給養の方法が
なく、やむを得ない時に部隊長の責任でもってこれを使用するものとした。そして部
隊長は、部下の所有する携帯糧秣の情況を把握し、これを使用する時は速やかに、高
級指揮官に報告するものとした。また、携帯糧秣は各人馬常に完全にこれを保持すべ
きものであり、各級幹部は常にこれに関して勝手に消費しないよう部下を監視しなけ
ればならないとした。部隊長は、自己の責任によって携帯糧秣を使用する場合といえ
ども、これの補充はすこぶる困難であることを顧慮し、つとめて使用を節し愛惜する
ことを図らなければならず、その一部といえども、情況の許す限りは努めて、他の給
養法によることを必要とした。もし携帯糧秣を使用し、すぐに高級指揮官より補充を
受けることができない場合にあっては、部隊長は努めて速やかに代用品によりこれを
補充して置くことを必要とした。
 大行李に積載する糧秣は、所属部隊長自らこれを使用して、部下の給養に充てるも
のとする。しかしながら、定規糧秣は保存および運搬に適当であることから、高級指
揮官よりこの糧秣以外のものを補充されることを予知できる場合においては、該部隊
長はなるべく定規糧秣の使用を避けるのを可とした。そして、軍隊行動間においては
通常輜重の糧秣でもって補充されることから、まず大行李糧秣を使用することを適当
とし、一地に駐留して倉庫より補充を受ける場合には該補充糧秣を使用し、大行李の
定規糧秣を残置することを可とした。
 輜重に積載する糧秣は、その属する高級指揮官はこれでもって大行李糧秣の補充に
使用するものとした。そして直接この糧秣でもって各部隊の給養に充てるのは、駐留
間等において積載品保存の関係上更新を要する場合の時のように、稀に行われるに過
ぎないとした。
 
 携行糧秣を消費した場合においては、すぐにこれの補充を行い、爾後の行動に支障
がないようにすることを必要とした。補充の方法は次の通りである。
 1.携帯糧秣
  (1) 輜重に積載している糧秣によって補充。
  (2) 兵站において前送される携帯糧秣によって補充。
  (3) 大行李の尋常糧秣でもって一時繰り替え補充。
  (4) 現地物資でもって補充。
 携帯糧秣は、戦況その他の必要により、命令でもって一時これを増減することがで
き、捜索部隊等にはしばしば、糧食を増加携帯させる必要を生じるが、人馬の負担量
には制限があるのと、輜重は直接戦闘力に影響を及ぼすことから、過度に増加しない
よう顧慮しなければならないとした。
 2.大行李糧秣
 大行李糧秣の補充は高級指揮官が命じるものとした。
  (1) 輜重に積載している糧秣によって補充。
  (2) 各部隊において調弁した現地物資によって補充。
 大行李糧秣の補充のために高級指揮官は、なるべく速やかに補充すべき糧秣の種
類、地点および時刻ならびに補充を受けるべき部隊等、所要の事項を命じることを必
要とした。また輜重隊長は、上記の糧秣交付のため、師団命令に基づき所要の部隊を
前進させ、高級指揮官は糧秣主任官を糧秣交付所に派遣してこれを受領し交付させる
こととした。また、時として輜重より直接、各部隊に交付することを必要とする場合
もある。

 3.輜重に積載する糧秣
 輜重に積載する糧秣の補充は、以下の諸方法中、時宜に適したものをもって行う。
  (1) 兵站において前送した糧秣により補充する。
  (2) 倉庫の糧秣により補充することがあり、これは現地物資もしくは追送品と
   した。
 携帯糧秣もしくは大行李糧秣の補充は、輜重の積載する糧秣でもってこれを行うこ
とを本則とする。したがって高級指揮官は、機を失せずなるべく速やかに輜重隊長に
交付すべき糧秣の種類、数量、地点、時刻、要すれば交付直後における行動に関して
命令するものとした。また、現地物資でもって輜重に積載する糧秣の補充を行うにあ
たっては、その品種と梱包とに注意し、なるべく保存および運搬に適当であるものを
選択する必要があった。

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