ここから本文です
日本陸海軍研究所
いつもご訪問いただいてる皆様、本当にありがとうございます。

日本陸軍と突撃

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3


昭和3年に改正発布された歩兵操典や戦闘綱要に基づいて作成された『野戦歩兵小隊長必携』より。これを読めば、日本陸軍の理想とする歩兵突撃が分かる。批判は、この理想が実行されたか否か、問題点がどこにあったのか、という事の検証からやるべきだと考えています。

日露戦争後の偕行社記事には、日本だけでなく海外の白兵突撃についての研究論文が紹介されている。それらに共通することは、火力に頼りすぎていて戦闘がダラダラとしたものになり、時間の無駄となっているという認識。歩兵の前進に合わせて砲兵射撃も前進していき、突撃実施の時には、砲兵射撃の着弾点に飛び込む勢いでなければならない。これには強い精神力が必要だ、とされていた。これが白兵突撃における精神主義の1つ。これをやらなければ、せっかく砲兵射撃で制圧した敵防御火力が復活し、突撃破砕射撃で歩兵はやられてしまうのだ。

砲兵火力で敵の防御火力を破壊出来ないのか?と疑問に思われる方がいるかもしれない。答えとしては、砲兵火力のみでは敵防御火力陣地の破壊は困難。これは、日露戦争奉天会戦での28サンチ榴弾砲の成果から得られた戦訓。榴弾砲射撃は砲弾の性能も相まって、破壊という面では効果は少なかった。
ドイツ観戦武官の評価としては、重砲は敵を怖がらせるには十分だったが防御施設の無効化は出来なかった。結局、歩兵が突撃しなければロシア側は陣地を放棄しなかった、としている。つまり、砲兵と歩兵とが緊密に連携しなければ意味がない、ということだ。

歩兵戦闘で精神主義が強く言われている理由には、敵火力に対するだけでなく友軍支援火力に巻きこまれてしまうという恐怖にも打ち勝つことが含まれている。友軍支援火力の味方撃ちを恐れず敵に突っ込むことが、結局は損害を少なくすると考えていたのである。

この記事に

           第一章 密集

            要旨

 第百二十三 密集隊形ハ軍隊ノ団結力ヲ維持シ且指揮官ノ掌握ヲ容易ナラ
 シメルモノニシテ敵火ノ効力甚シカラサル所ニ在リテハ成ルヘク此隊形ヲ
 以テ停止シ運動スヘキモノトス特ニ夜間ニ在リテハ此隊形ヲ以テ突撃ヲ実
 施スルコト多シ
 第百二十四 中隊密集教練ハ中隊ヲシテ其団結ヲ鞏固ニシ中隊長ノ号令ニ
 従ヒ各種隊形ノ用途ニ鑑ミ確実ニ規定ノ動作ヲ実施シ得シムルヲ主眼トス
 第百二十五 中隊密集教練ヲ準備シ且分隊、小隊ノ団結力ヲ鞏固ナラシム
 ル為中隊密集教練ノ規定ニ従ヒ分隊、小隊ヲ以テ教練ヲ行フヘシ但号令中
 「中隊」ノ語ヲ「分隊」、「小隊」ニ換フ
 第百二十六 中隊密集教練ニ在リテハ小隊長ハ其小隊ノ為スヘキ動作ヲ小
 声ニテ予告スルモ妨ナシ又整頓、隊形変換等ニ在リテハ小隊ノ動作ヲ監視
 スルモノトス
 第百二十七 側面縦隊ニ関スル事項ハ特ニ定ムルモノノ外併立縦隊ノ為規
 定セル事項ヲ準用ス  

この記事に

開くトラックバック(0)

          第二篇 中隊教練

           要則

 第百二十一 中隊ハ戦闘単位ニシテ中隊長ヲ核心トセル志気結合ノ基礎ナ
 リ乃チ中隊教練ハ中隊ヲシテ如何ナル場合ニ於テモ中隊長ノ意図ニ従ヒ衆
 心一致能ク攻撃精神ヲ発揚シ歩兵戦闘ノ惨烈ナル状態ニ耐ヘ克チ其精神的
 団結ヲ保チテ戦闘ヲ実行シ得ル如ク練成スルヲ主眼トス此趣旨ニ基キ善ク
 訓練セラレタル中隊ハ予メ修得セサルコトト雖能ク制式及法則ノ適当ナル
 応用ニ依リ目的ヲ達シ得ルモノトス
 第百二十二 中(小)隊長ハ中(小)隊ヲ指揮スル為号令若ハ命令ヲ、分隊長
 ハ分隊ヲ指揮スル為通常号令ヲ用フ

この記事に

開くトラックバック(0)

           第四章 戦闘間兵卒一般ノ心得

 第百十一 戦闘ハ行軍及劇動ノ後開始スルヲ常トシ且数昼夜ニ亙ルコト多
 シ故ニ兵卒ハ勇猛沈著能ク自信ト耐忍トヲ以テ有ユル困苦欠乏ニ堪ヘ歩兵
 戦闘ノ惨烈ナル感情ニ克チ以テ戦闘ノ要求ヲ充足シ得サルヘカラス
 第百十二 兵卒ハ敵ノ火力熾ニシテ死傷極メテ多キトキト雖自己ノ責任ヲ
 自覚シ従容自若トシテ事ニ当リ決シテ逡巡スヘカラス凡テ疑惧退走ハ敗滅
 ニ陥リ猛烈果敢ナル前進ハ常ニ勝利ヲ得ヘキモノナルコトヲ銘肝スヘシ
 第百十三 敵陣内ノ戦闘ニ在リテハ常ニ粉戦ヲ惹起ス此時ニ方リテハ一兵
 卒ト雖勇敢ニシテ機宜ニ適スル行動ヲ為ストキハ能ク戦勝ノ基ヲ開キ得ル
 モノナリ故ニ兵卒ハ指揮及ハサル場合ニ於テモ時々刻々変化スル戦況ニ応
 各々所信ヲ決行シ特ニ己ヲ捨テテ捷ヲ得シムルノ覚悟アルヲ必要トス
 第百十四 兵卒ハ防禦ニ在リテハ専心其位置ヲ固守シ決シテ動揺スヘカラ
 ス敵兵愈々近接スルニ従ヒ我カ火器ノ殺傷力益々多キコトヲ確信シ泰然逆
 襲ノ時機ヲ待ツヘシ若弾薬ヲ射尽シ又ハ敵ノ重囲ニ陥リタルトキハ自己ノ
 銃剣ニ信頼シ最後ノ勝利ヲ求ムルコトニ勉ムヘシ
 第百十五 指揮官ノ死傷多キハ実ニ戦場ニ於ケル常態ナリ故ニ兵卒ハ縦ヒ
 指揮官ヲ失フニ至ルモ志気ヲ阻喪スルカ如キコトナク益々勇奮率先範ヲ示
 シ自ラ他ヲ率イルノ概ヲ以テ戦闘スルヲ要ス此際戦勝ノ栄誉ヲ獲得シ得ル
 ト否トハ一ニ懸リテ残存セル者ノ雙肩ニ在ルコトヲ銘肝スヘシ
 第百十六 兵卒ハ戦線ニ於テ負傷スルモ百法手段ヲ尽シテ戦闘ヲ継続スヘ
 シ而シテ遂ニ戦闘ニ堪ヘサルニ至レハ指揮官ノ命ニ依リ弾薬ヲ戦友ニ交付
 シテ徐ロニ戦線ヲ退クモノトス
 第百十七 数個ノ部隊相混淆シ新ニ区分セラレサルトキハ兵卒ハ最寄分隊
 長ノ指揮ヲ受ケ奮闘スルコト所属分隊長ノ下ニ於ケル如クナルヘシ
 第百十八 軍紀厳正ニシテ沈著セル歩兵ハ射撃ニ依リ優勢ナル騎兵ノ襲撃
 或ハ飛行機ノ地上戦闘参加ヲ撃退シ又砲兵ノ猛射ヲ受クルモ其間断ヲ利用
 シ前進ヲ継続シ得ルモノトス
 第百十九 瓦斯攻撃ヲ受クルカ或ハ之カ警報ヲ聞クカ若ハ撒毒シアルヲ予
 察シタルトキハ直ニ比隣相伝ヘ別命ヲ待タス各自迅速確実ニ防毒面ヲ装著
 スヘシ
 防毒面ノ離脱ハ小隊長以上ノ命令ニ依ルヲ本則トス
 第百二十 兵卒ハ許可ナク其所属部隊ヲ離ルルコトヲ得ス若任務ヲ帯ヒス
 或ハ尚戦闘ニ堪ヘ得ヘキ軽傷ニシテ恣ニ戦線ヲ去リ又ハ戦闘中命令ヲ受ケ
 スシテ負傷者ヲ介護若ハ運搬シ其他任務ヲ受ケテ一時戦線ヲ離ルル場合ニ
 於テモ其任務遂行後速ニ復帰セサルカ如キハ卑怯ノ行為ニシテ軍人ノ本分
 ヲ傷クルモノトス
 兵卒若所属部隊ノ所在ヲ失ヒタルトキハ直ニ近傍ニ於テ戦闘スル部隊ニ合
 シ其将校ニ届告シ其命ニ従フヘシ而シテ戦闘終レハ直ニ其所属部隊ニ復帰
 スルヲ要ス

この記事に

開くトラックバック(0)

 『作戦要務令』の第七十四は高等司令部、その他の司令部および本部における「情報記録」について述べられている。
 情報記録は、例えば敵情(兵力、団隊号、編制、装備、行動、配置、企図等)地形(作戦地一般の地形、交通網、地図の価値等)後方(補給、資源)軍政等に区分整理し、時間をおって蒐録してこれを利用し、また必要のものを伝達するのに便利なようにするものである。
 第七十五は、審査した情報の報告、通報上注意すべき事項について述べられている。

この記事に

開くトラックバック(0)

[ すべて表示 ]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事