ROMA/ローマ<未>(2018)ROMA
感想
ROMA という題名から ロケーションは、イタリアのローマかと思って観始めたら
こちら、メキシコシティ中心部にあるコロニアローマという通りの名前らしいです。
なにせ、言語がスペイン語の音だというのはすぐにわかるので、あれれ??と思いつつ観始めました。
監督のアルフォンソ・キュアロンが9歳から10歳くらいのころ住んでいた場所で、
当時の生活環境や、出来事(暴動)を背景に1970年ころの子供視点からのストーリーとして展開されます。
当時、監督はいわゆる恵まれた上流家庭に育ち、家政婦だった女性を主人公として描かれています。
メキシコでも白人が裕福で、赤褐色をした地元民との生活の格差、主従関係やその中で、また両者に起こりえた男女差別も織り込まれています。
前編モノクロです。
オープニングシーンはタイルの通路を水を流し、掃除をしている様子。
後で、幅の狭い駐車場として使われているこのスペースにはその家の犬が放し飼いされていて、糞が所かまわず放置されている様子や、その糞に対し、家の主人が文句を言ったり、夫人のソフィが家政婦に『犬の糞を片付けて!』といういら立った指示を出したりと、主人公であるお手伝いさんのクレオとの主従関係、階級差別みたいな図が鑑賞者には伝わってきます。
食事の世話も掃除も子供の世話もすべて家政婦に任せきりの家庭で、まだ家政婦と雇用主の関係を把握しない子供たちは、クレオのことを家族のように思ってなついています。
クレオは自由な時間に同じ立場の友人と出かけたりしています。
彼女が彼氏との間に子供ができたというあたりから、平坦な生活の中で少し問題が起きてきます。
男の方は、映画をみている最中にそのことを知らされ、『いいことじゃないの。。』とか言っておきながら、途中でとんずらしてしまいます。
クレオは、女主人のソフィにそのことを話すと、意外や、ソフィは、ソフィの医者である夫が勤めている病院に診察に連れて行きます。
妊娠したからクビとか、そういう悲運には見舞われません。
一方そのころソフィの夫は出張でカナダに行くと言って出かけたきり、家に戻ってきません。
夫婦間にも問題がありそうなのがわかってきます。
クリスマスに田舎の大農園の親戚の家に行ったり、そこで山火事がおこったり、
夫なしで一人で参加しているソフィに言い寄ってくる男がいたり、
何かしら小さな出来事や、当時の背景、あるいは現実社会に対する皮肉を込めた出来事ともとれることが描かれます。
主役はクレオなのに、近景を撮らず、遠くから、全体をとらえたカメラワークは、なにが起こっていて、どんな差別があって、母も苦しかったというようなことがわかっていない子供(当時のキュアロン監督)目線のとらえ方であり、その後、メキシコの政府と反政府側の学生運動から始まった暴動のシーンも描かれますが、
決して歴史的とか政治的とかいう作品ではなく、子供で何もしらなかった監督の生活の薄らぼんやりとした背景として存在するだけです。
恵まれた家庭に育ったキュアロン監督が家政婦さんに捧げた作品のようです。
この後は結末をネタバレしていますので、ご覧になる予定の方は、読まないでください。
クレオがその家の祖母に連れられて生まれてくる子供のためにベビーベッドを買いに行くシーンがあります。
そこで暴動に巻き込まれ、破水し、苦労して病院に行きますが、子供は死産でした。
その後もクレオは、家政婦を続け、ある日、女主人のソフィは、子供たちに父親が出て行って帰ってこないことを告げ、自分が仕事をする旨を伝えます。
そして、小型の新車を買ってきました
夫が使っていた大型の車を売り払う前に、それに乗ってみんなでビーチに行こうということになりますが、それは、夫が荷物を引き上げるときに家を離れているためでした。
ビーチで上のふたりの子供が沖に流されて波にのまれてしまいそうなところを
泳げないクレオが、海に入っていって助けます。
ビーチでみんなが涙を流し抱き合って喜んでいるときに、クレオは初めて心情を吐露します。『(赤ちゃんは)欲しくなかったの!』と。
そのシーンは、感動して涙を催しました。
静かで淡々とした日常を描いているだけの作品ですが、ここで、万難を乗り越えたソフィと子供たちとクレオが心から固い絆で結ばれた家族になったことを知ります。
その後も、家政婦としてのクレオの生活は続いていき、THE ENDとなります。
途中眠くなるようなところもある作品ですが、監督の母やクレオに対する思いのこもった良い作品です。
当時は何も知らなくてごめんよという、監督の謝罪の作品だそうです。
良い作品なだけに、これが劇場未公開だったのは残念ですが、でもまあ、よほどのことがないと、劇場にこの作品を観に行こうという人もいないかもしれません。
あまりにも地味なので・・・
私は、よい評価を知ったうえで、Netflixで観ました。
映画が三度のごはんより好きという映画好きさんにはお薦めしたい作品です。
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たしか、アカデミー賞でもダークホース的ですね・・・
どんな作品か見てみたいです・・・
2019/1/29(火) 午後 6:47 [ カイザー ]
> カイザーさん
ご訪問、コメント、ありがとうございます。
こちら外国語映画賞は獲る可能性大ですね。
2019/1/29(火) 午後 7:03
えええっ〜、、どうやってご覧になったのかと思いましたよ、そうっかNetflixって奥の手があったんだ、、これはかなり評価が高くてひょっとするとオスカーか??
2019/1/29(火) 午後 7:36
メキシコが舞台というとハリウッドの麻薬カルテルがらみの作品が多いですが、こういう作品もあるのですね。
渋い作品?観てみたいかも
2019/1/29(火) 午後 7:40
> guch63さん
こちらたいへん評価が高いので、アカデミー賞もいくつか獲るかもしれません。
1970年頃のメキシコの政情をご存知だと、背景もわかって面白いと思います。
2019/1/29(火) 午後 7:56
> アンダンテさん
そうなんですよ。
メキシコの家政婦を雇えるくらいの豊かさの家庭生活がわかって、ぐっとメキシコが近くなったような気がします。
賞を獲れば、なんらかの形で観られるようになるかもしれませんね。
お楽しみに。
2019/1/29(火) 午後 7:59
Netflixでしかみれないんですよね。やっぱり加入しようかな〜Netflixで配信の映画がノミネートは初のようですね。
ネタバレのところは読まなかったですが、地味なんですね。
近景をとらずに遠くからのカメラワークでモノクロって「立ち去った女9思い出しました。
2019/1/31(木) 午前 7:58
> LAGUNAさん
長女が帰省していた時にNETFLIX を契約していたので、観ることが出来ました。
かなりアカデミー賞でもノミネートいろんな部門でされていますよね。
モノクロなんだけど、撮影にもこだわりがありそうですよ。
「立ち去った女」というのは観たことがありません。WOWOWで放映あるといいなー
2019/1/31(木) 午後 2:37
アカデミー賞では数々ノミネートされており話題の作品ですよね。
ネットフリックスは加入してないので、見れないんです…。
この手の作品はソフト化もされないんですかね?
2019/2/3(日) 午前 0:40
> WANTED222さん
NETFLIX 制作のものがソフト化されるのかどうかわかりません。今のところないですね。
Amazonプライムに入っていたら、Netflixに飛べるから、1ヶ月だけ契約して、見たいものだけ見るという手しかないのかな…
2019/2/3(日) 午前 2:40
ネタバレは読んでいないのですが、子供の視線で、子供に見える範囲で描いているというところに興味があります。子供に見える世界が、その人にとっても歴史ですものね。オスカーレースに名乗りを上げているようなので、日本でも劇場公開されないかしら。
2019/2/3(日) 午後 9:07 [ einhorn2233 ]
> einhorn2233さん
コメントありがとうございます。
これはなかなか良い作品です。
地味ながら、正統派な作りで、見応えがあります。
何のアトラクションもないのに、引き込まれました。
2019/2/3(日) 午後 11:33
こんにちは(^^♪
これは観たいのですが、おらが村では上映があるかどうか・・・。
鑑賞したら改めて拝読に参ります!(`・ω・´)ゞ
2019/2/4(月) 午前 11:55
> 風森湛さん
NETFLIX しか見る手段はなさそうですよ。
2019/2/4(月) 午後 0:04
イオンシネマが上映をしてくれたので観ることができました、感謝。
さんざん話題になったので、観客は結構入っていました・・・途中退席者ちらほら・・
ウーーーム、近年まれにみる傑作です!
TBお願いいたします。
2019/3/25(月) 午前 0:17
劇場鑑賞ができました。凄く良かったです!監督の思いがこもってます。
TBさせて下さいね。
2019/3/25(月) 午後 9:37
> じゃむとまるこさん
途中退席者が出るのも分からないではありませんが、
映画好きの方なら、これがいかに質の高い作品かは一目瞭然ですよね。
TBありがとうございます。
2019/3/27(水) 午後 6:12
> アンダンテさん
鑑賞できてよかったですね♪
これは本当に芸術性のある質の高い作品でした。
TBありがとうございます。
2019/3/27(水) 午後 6:13
やっとのことで、キネマ旬報シネマにやってきました.
たしかに眠いのだけど(笑)、その芸術性や作品の質の高さには舌を巻いてしまいました.ネタ自体が私の感性に響かなかっただけで、素晴らしい作品と思いました.この監督、次も楽しみです♪トラバさせて下さいね.
2019/4/15(月) 午後 10:34
> チャコティ副長さん
確かに、私もみはじめのあたりで、眠気を感じました。
でも、これだけ静かに進んでいく作品なのに、砂浜のシーンでジーンときました。
トラバありがとうございます。
2019/4/16(火) 午後 10:39