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解説&ストーリー
「そして父になる」「海街diary」の是枝裕和監督が第71回カンヌ国際映画祭でみごと最高賞のパルム・ドールを受賞した衝撃と感動の社会派ドラマ。
都会の片隅で万引きなどの犯罪で食いつなぐ一家が、貧しいながらも幸せな日々を送る姿と、そんな彼らを取り巻く厳しい現実を、血のつながりを超えた家族の絆とともに描き出す。
出演はリリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林。
高層マンションの谷間にポツンと取り残されたように建つ古びた平屋の一軒家。
そこに治と妻・信代、息子・祥太、信代の妹・亜紀、そして家の持ち主である母・初枝の5人が暮らしていた。
治は怠け者で甲斐性なし。彼の日雇いの稼ぎは当てにならず、一家の生活は初枝の年金に支えられていた。
そして足りない分は家族ぐるみで万引きなどの軽犯罪を重ねて補っていた。
そんなある日、治は団地の廊下で寒さに震えている女の子を見つけ、彼女を家に連れ帰る。ゆりと名乗るその女の子は、両親のともに戻ることなく、そのまま治たちと暮らし始めるのだったが…。 (allcinemaより)
感想
公開当時見逃した作品。
アカデミー賞ノミネートの凱旋として再上映されたので、劇場で観ることができた。
オスカー授賞式が終わった後、午後3時35分からの1日1回上映に駆け込む!
ええ〜〜、こんな時間にシネコンに来たことはなかったのだけれど、
なんと、この作品の箱は老人で満杯!びっくりした。
樹木希林世代でないのは私だけか??っていうくらい年寄りばかりの鑑賞者。
「ローマ」をNetflixで観て、そちらが外国語映画賞受賞したので、どうしても比較したくなって鑑賞した。
今の日本が抱える家族の様々な問題を包含する設定。
貧困、犯罪、虐待、ニグレクトなど、豊かなようで、実はそうでもない日本で、隅に追いやられた家族の形を究極にデフォルメしたような家族として作り上げられた作品だった。
悪事を働きながらも、その途中で見つけた不遇の子供2人を擬似家族に迎え、本物にはなりえない家族なのに、本当の親の害悪から助け出すところが、なんだかファンタジーっぽい設定だけれど、家族という形態に必要な子供2人の存在は、この作品には欠くべからざるものとなっている。
動物と子供が出てくると、それだけで、心を動かされる。
そして、その子供たちは成長過程にあるから、自分たちを保護してくれる立場だけれど決して正しくはない大人たちの真の姿と、普通であることの倫理観を、おそらく、かすかに肌で感じる部分があるだろうことも伝わってくる。
短い言葉やふれあいの中で、それぞれの人生の背景を瞬時に伝える脚本が素晴らしい。
その中で、この家族の頼りにならない父親役治を演じたリリー・フランキーが発した「俺にはそれ(万引き)しか教えるものがないからさ。」という言葉が、妙に印象に残ってしまった。
うすら微笑みながらこの言葉を言っている矮小な男の自己評価の低さとみじめさを含みつつも、彼にはそれしか生きる道のない育ちであったことがひどく悲しかった。
そして、亡くなった老人の遺体を埋めているときに治が発したたった一言でわかる信代と彼とのいきさつ。
セリフが本当に素晴らしい。
こんな擬似家族の行く末はどうなるのか。。。と誰もが思いながら観たことだろう。
男の子の行動の結果、ことが明らかになる。
ここからの描き方が、もう少しコンパクトに、印象深く描けなかっただろうか。
しっかり最後までわかるのはよいのだが、どうもそこに至るまでの芸術的作品が普通の解説エンディングにおちてしまった気がする。
もちろんその蛇足的エンディング部分にも、観るべき部分があるのだけれど、どうもこの辺りの処理の仕方が、もったいないような気がした。
最後になるが、全編を通して、芸達者な俳優たちの中でも、安藤サクラのぶっちぎりの上手さはなんだ!うまい、うますぎる。
朝ドラ向けの「まんぷく」バージョンの安藤サクラとは別人で、この状況、求められる表情を演じ分けられるのがまた怪優とよべるくらい素晴らしいのだろう。
安藤サクラの出演する作品はハズレなしなのか。
そして、「ローマ」との比較。
片やメキシコの上流社会とその家政婦を描き、もう一方は、底辺の日本人を描きだすものの、どちらも家族が核をなす。
海辺のシーンも共通している。
しかしこれ、「ローマ」に軍配を上げてしまうのだなぁ、わたしも。
Netflixを少し大きめのTVモニターで観ただけにも関わらず、モノクロの映像の成功なのだろうが、猥雑さが省かれるのと、両者のカメラワークの違いにより、「ローマ」の方が、撮影が良い、映像がきれいだと思ってしまった。
掘り下げ方の深いのは「万引き家族」なのだけれど、そのつつきまくらなさが「ローマ」を少しばかり格調高くみせている。
足ることを知った作品とでもいうのか、描きこみ過ぎない距離感が好ましいのだ。
まあ、でも、ここらあたりは好みの問題で、どちらの作品も同等に素晴らしいものだと思う。
是枝監督作は、邦画をあまり観ない私なのに、劇場鑑賞率が高いということは、それだけ評価の高い作品だという証明かもしれない。
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ワタクシ、これは見逃したのです。
でも、全くドラマなんか見ない夫が一人で見に行って、相当気に入ったらしく、夫としては珍しくそのあともう一度観に行ったようです。
私も見逃し上映に行きたかったのですが、そちらも見逃してしまったようで、DVDを待つしかなさそうです・・・。
2019/3/1(金) 午後 8:54
私も劇場で2回観てしまいました.「ローマ」との比較論面白いですね.アプローチ、映像手段は違えど、“家族”を描いたことに違いはないですね.ナイスとな.
2019/3/1(金) 午後 8:58
2つもトラバさせて下さいね.
2019/3/1(金) 午後 9:01
> メタリングさん
劇場鑑賞できなかったのですね。
残念です。
DVDは4月に出る予定ではなかったかな?
是非ご覧ください。ご夫婦で感想を話し合うのも良いかもです。
私は1人で浸って、涙もチョロチョロ流しつつ観られたので、良かったです。
2019/3/1(金) 午後 9:18
> チャコティ副長さん
是枝監督作を全部観ていると、監督のこだわりどころがわかってくるような気がします。
本作はギリギリセーフで劇場鑑賞できてラッキーでした。
「万引き家族」の方が、「ローマ」より、一般受けはすると思います。
子供たちもメインでない脇の俳優たちも、素晴らしくて、贅沢な作品でしたね。
2019/3/1(金) 午後 9:23
> チャコティ副長さん
2つトラバありがとうございます。
2回目を観ると、より細かい部分が心に刺さるでしょうね。
2019/3/1(金) 午後 9:25
「ローマ」を早く見ないと、ですね。
この作品は受賞するかどうかよりも、出演の役者もテーマもなかなか面白かったです。
TBお願い致します。
2019/3/1(金) 午後 9:57
> atts1964さん
俳優の演技、本当に良かったですよねー!
子供のところは、一番のウィークポイントなので、ポロポロ泣きながら見たました。
トラバありがとうございます。
2019/3/1(金) 午後 11:10
軍配は”ローマ山”ですか??どっちも未だなので両方見てから比較してみます。ワタシは取り合えず”グリーンブック”へゴー、して来ます。
2019/3/2(土) 午後 1:03
> guch63さん
「グリーンブック」、私は今夜のレイトで観る予定です。
朝からすごい花粉アレルギーで、眠くなる方の薬しか効かず、今から昼寝です〜
感想楽しみにしています。
2019/3/2(土) 午後 2:59
なるほど、そうかもしれませんね。描きすぎると面白さは減りますね。ラストもいかにもって感じで勿体ない。途中までの危うさは絶品だと思います。TBしますね。
2019/3/4(月) 午後 10:32
> シーラカンスさん
これは良い作品でした。
色々考えさせられたし、感じさせられたし、俳優たちの演技も堪能できたし、満足度の高い作品でした。
TBありがとうございます。
2019/3/5(火) 午前 1:01