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2008/03/31(月)鑑賞
父親の死後、一年間絶交状態になっていた三兄弟の関係を修復するために、長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)の呼びかけで、次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)と三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)がダージリン急行に乗り込み旅をする。
この作品に先立ち「ホテル・シュバリエ」というシュワルツマンとナタリー・ポートマンの別れた恋人同士のパリでの逢瀬を描いた短編が流れる。この作品は、三男ジャックの小説家としての背景にもなり、ダージリン急行本編にも関係がある。
初っ端のビル・マーレイがダージリン急行に乗ろうとタクシーを飛ばし、ホームを走るという場面で、当然ながら、前作「ライフ・アクアティック」の父親役を思い出す。そのビルを後ろから追い越して、ダージリン急行に荷物を放り込み、飛び乗るのがエイドリアン・ブロディーだ。
後でわかるのだけれど、そのとき身につけるサングラスは、亡くなった父の形見なのだ。
エイドリアン・ブロディは、この瞬間から、アンダーソンファミリーとして、作品に自然に溶け込んでいて、期待を持たせてくれた。その期待を裏切らず、今作では、一番演技が印象深かった。というか、今まで実はあまり好みでなかったブロディを好きになったくらいだ。
インドの旅は、フランシスの計画通りには行かず、行き当たりばったりに、色んな出来事に遭遇する。三人は言い合いも喧嘩もする。バラバラになってる兄弟は、しかし、次第に関係を修復してく。
彼らの会話には、何も説明的なせりふなどなく、本当にただ話し、飲み、食べ、旅を続けているだけなのに、観ている私たちの心の琴線に触れてくるものがある。
なぜだか、アンダーソンの作品を観ると、いつもちょっとほろりとさせられる。
兄弟が、川でおぼれそうになっている子供たちを助けようとして、一人だけ救うことができないというエピソードあたりから、彼ら3人の絆が再生され始めるのを感じる。
その亡くなった少年の葬儀に参列する3人が、スローモーションで映し出される映像は、彼らの心の中の亡くなった父親の葬儀という過去から、未来への通過地点として、時空を通り抜けるかのような印象を与えてくれる。
彼らは、父親の葬儀にも帰らなかった母親に会いに行く。
私は、会わずにいたほうがいいのに・・・と一瞬思った。
その母親(アンジェリカ・ヒューストン)は、その地の子供たちを救うために自分の子供を捨ててきたのだ。三兄弟は言う、僕たちだって母親が必要だったと言うことを・・
はじめ、その部分をどう理解してよいかわからなかったけれど、インドという地で、釈迦が、王という身分も家族も捨てて出家したことを思い出し、母親の姿と重ね合わせてみた。
そんな風に、観るべきなのかどうかは、全くわからないのだけれど。
最後、帰りの列車に乗り込む兄弟たちが、それまでずっと引きずり回していた父の思い出の詰まったたくさんのバッグ(ちなみにこれらの旅行カバンは、マーク・ジェイコブスのデザインによるヴィトンだと言うことだ)を放り投げるところで、過去の後悔を捨て、未来に開けていく家族のありようが、またまた胸に迫り、オー・シャンゼリゼの曲と共に、涙が流れたのであった〜〜。なんで泣くのよ>私!
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そうなんですよね。ウェス監督の作品はオフビートの笑いの中にほろっとするところがあるんですよね。
監督の感性を理解していらっしゃるのが現れているレビューで嬉しいです。
TBさせてもらいますね。
2008/4/5(土) 午後 6:59
ウェス監督作品で一番回数多く観ているのが「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」なんですが、回を追うごとに深みにはまっている感じです。もはやコメディー色より、シリアスな家族の再生作品としての位置づけになってしまっています。「ダージリン急行」もまた回を重ねたら見えてくるものがあるかもしれません。楽しみです。
2008/4/5(土) 午後 10:28
こんばんは!
3兄弟のやりとりが面白かったです☆
2008/4/6(日) 午後 9:29
かずさん、ごきげんよう!
全く似ていないのに、きっちり兄弟におもえましたよねぇ。
アンダーソン監督万歳!
2008/4/7(月) 午前 1:12
ウェス監督作品は、『ライフ〜』しか観ていないのですが、本作のゆる〜い感じはとても気に入りました^^。
で、私も実はエイドリアン・ブロディは苦手系だったのですが、ほんと、この映画では見事に溶け込んでましたね。
『天才マックスの世界』レンタルショップでも見つけられずに、いまだに未見なんですよ〜〜。 凄く観たいですっ;;;
TBさせてくださいね。
2008/9/23(火) 午前 10:24
Kimさん☆ライフ・アクアティックはパンフレットがすごく可愛かったので、買いました。私もね、「天才マックスの世界」だけ見てないのです。CSで放映してほしいなぁ。
TBありがとうございます。
2008/9/23(火) 午後 11:42
私はオーウェンがイマイチだったんですけど(^。^;;
他のこの監督の作品も見たくなりました(^。^;;
母親に会って、お互い考えるところは違っていたかもしれないけど、
気持ちを伝えられたのは良かったのではと思いました。
こちらもTBさせてくださいね。
2008/11/7(金) 午前 8:43
もくれんさん☆オーウェン苦手だとちょとつらいかもですね。この監督作品にはオーウェンがつき物ですからねぇ・・・
「ザ・ロイヤルテネンバウムズ」は何度も見ていると、本当に深い作品だなーと思います。コメディだったはずなのに、涙している自分がいましたわ。
TBありがとうございます。
2008/11/9(日) 午前 10:35
そうそう、淡々とした話なのに、なぜか引き込まれるんですよね。
おぉ、ラストでは涙が流れましたか。
また再見してみたくなる感じでした。 深さもある作品なのでしょうね。
TB、お願いします。^^
2009/12/30(水) 午後 10:55
サムソンさん☆ウェス監督は独特な空気感があるので、あのテンポが眠くなっちゃう人もおおいかなとは思うのですが、自分にはツボですわ〜。
TBありがとうございます。
2009/12/31(木) 午前 2:13
オネムさん、トラックバックありがとうございました(*^_^*)
わたしもTBさせていただこうとしましたが、グーグルではできず、エキスプローラーに戻ってやってきました(-"-)
遅くなって申し訳ありません。
オネムさんのレビューはさすが深いですね。母との再会のところ。母はもう悟りを開いた人という見方。感心しました。
2014/9/11(木) 午後 4:41
メタリングさん☆

ウェスアンダーソン監督作品にはハズレなしですね〜
これも味わい深い作品でした。
トラバありがとうございます。
2014/9/12(金) 午後 5:08