オネムの映画鑑賞メモ

2019年素晴らしいドラマのような1年になりますように!

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バラカ 桐野夏生


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震災のため、原発四基がすべて爆発した! 
警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。
彼女がその後の世界を変えていく存在だったとは――。
ありえたかもしれない日本で――世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。
想像を遥かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン。

子供欲しさにドバイの赤ん坊市場を訪れる日本人女性、酒と暴力に溺れる日系ブラジル人、絶大な人気を誇る破戒的牧師、フクシマの観光地化を目論む若者集団、悪魔的な権力を思うままにふるう謎の葬儀屋、そして警戒区域での犬猫保護ボランティアに志願した老人が見つけた、「ばらか」としか言葉を発さない一人の少女……。人間達の欲望は増殖し、物語は加速する。そして日本は滅びに向かうのだろうか――。
                                                               (amazonより)


3.11後の近未来にまで及ぶフィクション。
プロローグでは、原発爆発後、警戒区域を老人の域に達しているボランティアたちが、
置き去りにされた犬を捕獲しようとしていたとき、犬たちに交じって2才の女の子を見つける。
その子、バラカをめぐる、壮大な物語の始まりだ。

時間は被災前に戻り、大学時代の友人、大手出版社で働く木下沙羅、テレビ局のディレクターをしている田島優子、元広告代理店勤務ながら、会社を辞め離婚もし、葬儀社で務める川島雄祐の関係が描かれる。

それと並行して、日系ブラジル人のパウロとロザ夫婦とその娘ミカの家族の生き別れを描いている。
パウロとロザはドバイに出稼ぎに行くが、パウロがそこからドイツに仕事に行っている間に、ロザとミカの消息が分からなくなる。
ドバイに戻ったパウロは、二人の行方を探り、ロザが死んだこと、そしてミカは闇のルートで売られてしまったことを知る。

42才になっている沙羅は男性不振に陥り、子供だけを手に入れたいと思い、優子からの情報で、ドバイで子供を買えることを知り、2人で現地に行く。
そこでは子供は皆バラカという名前で呼ばれている。

沙羅が2万ドルで買った子供がパウロの娘ミカだった。

その子バラカのその後は、ご興味のある方は読まれたらよいと思う。

前半の主要人物の描写や、日本に来て2歳になったバラカとカワシマの表情や姿かたちを想像させる作者の筆致はいつもながらに素晴らしいものがある。


震災・津波に会い、ボランティアに見つけ出され、その1人豊田に育てられ10才になったバラカが、反原発推進派とそれをつぶしていこうとする、政府ぐるみの原発推進派のプロジェクトに巻き込まれていくあたりは、時代的にまさに今から近未来へとつながる様相で、ありえるかもしれないお話として、様々な勢力の思惑や陰謀が交錯し、多くの犠牲者を出しながら、バラカの安住の地を求める旅が続いていく。

しかし、後半になって、陰謀の背景となる政府は、形を見せず、あいまいで、作者の政治的志向をはっきりと打ち出す作風でもなく、最も悪魔的な人物の迎える結末が、そんな簡単な退場でいいの??という疑問をもたらし、偶然なのか行き当たりばったりなのかと思ってしまうほど、この作者にしては衝撃度も精緻さも感じられず、少し残念な作品になっているように思う。

ただ、ストーリーは尋常ならぬ面白さなので、650ページにわたる本作を、少しずつ読んだ私でも5日ほどで読了できたほどなので、興が乗れば、2,3日で読破できると思う。

桐野夏生というと『OUT』と言ってもいいくらい、あの作品は素晴らしかったので、それに比べるとやや見劣りするのは否めない。

しかし、本好きの方は、ぜひとも読むべき作品のように思える。

この作者の作品の根底にいつも垣間見られるグロテスクさは本作でも感じられて、
人間の暗部を覗きたい向きには、彼女の作品にしてはまだ軽めだと思えるので、
一応お薦めということにしておこう。

ちなみに、私はこれもkindleで買ったので、650ページにも及ぶ作品とは知らずに読み始めて、長さを感じずに読了してしまった。

*
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ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。
 同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。
 なぜ赤の他人をここまで気にかけてくれるのか? 気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で鬱になり自殺した男のニュースだった――


これもkindleで買って1時間ちょっとで読み終えられた小品。

ふら〜っと線路に落ちそうになった隆と彼の腕をつかんでにっこり笑った同級生を名乗るヤマモトとの会話が大部分のこの作品、大変読みやすく、ブラック企業にトラップされた若者を救うに十分な説得力のある内容でした。
平易な文章ときちんとした構成で、なかなか優秀な読み物でした。

報われない仕事に埋没して、鬱になったり、そこまでいかずとも、体や精神に変調をきたしている若者は多いだろうから、こういう作品を読んで、
辞める勇気をもらうのもいいんじゃないかと思います。

仕事の様子や、隆とヤマモトの会話が、リアルで、how to ものより心に入ってきて、救いになったり、元気をもらえる作品じゃないかなと思いますし、
第一短くて読みやすいですから、疲れた体にビタミン剤を飲むように、凝り固まった心を開放していってくれるんじゃないでしょうか。

私みたいに仕事において自己主張できる人間には必要なかったかもしれませんが、
身近にこういう助けが必要なひとは少なからずいるような気がします。

何より大切なのは自分の人生。

そんな当たり前のことが分からなくなっているあなたに・・・

*

長いお別れ

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ストーリー

帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。
ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、
迷子になって遊園地へまよいこむ、
入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。
著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。
                                                                          (amazonより)


感想

京都の美術館への行き帰りの電車の中でkindleで買ったのを読んでしまいました。
読み進みやすい作品でした。


認知症、現在進行形の私の母です。
まだこの物語の認知症老人の域にまで達していない軽度の認知症ですが、
この東昇平のおよそ10年間に渡る進行の度合いを追っていくと、
似たようなことが今後起こるのだろうなと、シミュレーションできます。

本当に家族の顔や名前が認識できなくなったり、
排便にまつわる粗相があったり、
いやだっ!という拒否が唯一の意思表示になったりしていくんでしょうね。

妻の曜子は三人の娘たちに連絡を取りながら、
そして、どうしようもない時には手を借りながら、
できる限り自宅介護しようとしています。

これを読んで、症状が進んできたら、早い目に特養の申し込みをしようと思いました。
どうしようもなくなってから、家族だけで手に負えなくなってからでは遅いと思いました。

親だからと言って、情に流されて、自分の責任でなんとかしようとはしないでおこうと
決意を新たにしました。

この5月の後半に母と一緒に暮らしている妹は、娘が次の仕事で東京に行ってしまう前に、2人でポーランドに旅行するのです。
その時に、ショートステイを契約し、母も一度は納得していたのですが、
昨夜、電話がかかってきて、『どうしてもホテルで暮すのはいやだ!』と言い出して、説得できずに、それなら、お姉ちゃんに自分でその間の面倒をみてもらように電話しろと言われて、妹がかけてよこしたのです。
まあ、あちらでは、私より、きついことも言う妹と、自分はボケてないし、なんでもできるからと思い込んでいるプライドの高い母との間で、バトルがあったようです。

結局、また私のところで面倒をみることになりました。

認知症というのは、本人に言っていいものなのかどうなのかわかりません。
この小説でも本人は自分の状況を把握していないし、認知症だということは
言われたかもしれないけれど、忘れたか、、とにかく、認知症にかかっている人は、
自分がどれだけ、家族に迷惑をかけているかということはわからないんですよね。

この家族に比べたら、私と妹は、常にどちらかは母の近くにいて面倒をみられる状態ではあるけれど、腹が立ったら、相手を傷つけてしまうようなことを言ってしまいそうになります。

この小説の家族は、かなり良心的に介護していたなと思います。
父親の尊厳を守り通したのですからね。

ユーモアを交えて描かれているから、読みやすくはあるけれど、
現実は修羅場だろうなと思いました。

*











死のドレスを花婿に

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「その女アレックス」の作者、ピエール・ルメートルによる本作は、アレックスよりも先に書かれたものらしいです。

ーソフィー
ーフランツ
ーフランツとソフィー
ーソフィーとフランツ

という4章展開となっています。

高学歴で恵まれた才能がありそうなのに、子守の仕事をしているソフィーの生活からはじまり、彼女が、精神面や記憶面に問題を抱えているらしいという状況がわかってきます。
彼女が子守をしている家庭に泊った翌朝、幼いレオがソフィーの靴紐で首を絞められて死んでいるのを、家族が出払い、家政婦が家に来るまでの間に、見つけたソフィーは、
記憶があいまいで、自分が殺した自覚はないものの、逃亡生活を余儀なくされる。
そして、その途中でも・・

どうして、彼女がそんな精神状態になったかということは、次のフランツの章であきらかになります。

ネタバレすると面白くなくなるので書きませんが、本作は、「その女アレックス」に
勝るとも劣らない驚愕のサスペンスと、怒涛の展開で、読み始めたらやめられない面白さでした。

ピエール・ルメートルという人は、少し、ヒッチコックの影響も受けていると認めていますが、とにかく、登場人物に動きがあるというのか、背景や心情描写で停滞してしまわないスピード感があり、読むのにももちろん面白いけれど、映画にしても絶対にヒットするだろうなというストーリーを作りだしています。

「その女アレックス」とはまた全く違った趣なので、暇つぶしの読書にはぜひおすすめいたします。

*


その女アレックス

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「週刊文春2014年ミステリーベスト10」堂々1位! 「ミステリが読みたい! 」「IN POCKET文庫翻訳ミステリー」でも1位。

早くも3冠を達成した一気読み必至の大逆転サスペンス。貴方の予想はすべて裏切られる――。

おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。
ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、慟哭と驚愕へと突進する。

「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。
 
 
感想
 
確かにサクサク読めました。
面白いです。
 
誘拐がメインなのかと思っていたら、予想を裏切られました。
アレックスが入れられている檻に自分が入れられたらと考えただけで、体が硬直して発狂しそうになりました。
 
アレックス側の描写と、警察側が交互に、割と少ないページ数で、語られていくので
途中で滞ってしまうということがないんですよ。
老眼でもどんどん読み進めていけました。
面白くないと、途中で放ってしまう、今日この頃なんですが。
 
フランスものにしては、変に読者まかせみたいな微妙な雰囲気もなく、明快です。
 
ミステリーとしては、「ミレニアム」シリーズや「チャイルド44」を読んだ時ほど、熱出そうになるほどのめりこみはしませんでしたが、
登場する刑事たちが、個性が際立っているというか、ちょっとデフォルメされすぎなんじゃないのというくらいの面白さで、掛け合いもうまくいっています。
 
警部のカミーユ・ヴェルーヴェンの過去や、誘拐されたアレックスの過去も明らかにされてきて、内容の膨らませ方もちょうどいい感じです。
 
たくさんミステリーを読んでいる方にとったら、アレックスの過去に起こったことについては見当がついてしまうかもしれませんが。。。
 
最後の警察の落とし前のつけ方がやったね!って感じでしょうか。
「●●」か「○○」か?っていうのは、よく作品の決着のつけ方の分かれ道に
なるところなんですが、これはこれでいいんではないかと思いました。
 
ドラマのLAW&ORDERなんかだと、必ず、納得いかなくても●●のほうが優先されて悶々と観終わることもあるのですが、これは読後感は悪くないほうなんじゃないかと思いました。
映像化もされるようなので、いつになるのかわかりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
 
ピエール・ルメートルという作家は初めてでした。
また翻訳が出たら読んでみたいです。
 
*
 

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