窯ぐれ日記

こともなき世を面白く・・・

歳時記

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2013年の詩―2の1

晩春
 
★ 葉の裏をめくればひと葉胡蝶かな
 
 
★ 年ふるも姐(ねえ)やのままに桑の花
 
 
★ 咳一つただ事ならぬ放哉の忌
 
 
★ 少女らの語らい行きしミモザかな
 
 
★ ムスカリは北の民呼ぶ蒼さかな
 
 
★ 春の園横文字だらけの花盛り
 
 
★ 命とは斑模様の潮干潟
    
 
★ 入学子かたことかたと走り行く
 
 
★ 子よ孫よ林檎の花は咲かんとす
 
 
★ おやまあと続けば煩い春の蚊
       
 
★ 沈思より醒めて鳴き出す遠蛙
 
 
★ 春燈や小袖の裏の淡き影
 
 
★ カルメラをほろほろ食へり春の夢
 
 
★ 死してなくりしている眼張(メバル)かな
      
 
★ 朝顔を蒔いて白露の色にあり
 
 
★ ルイーゼと名付けられても猫の春
 
 
★ 伊邪那美の忘れ形見と牧開く
 
 
★ 常世(とこよ)から戻れやここの磯焚き火
 
 
★ 海原を裂磯笛にけり
 
 
★ 浅黄(あさぎ)あり萌黄(もえぎ)もありて山笑う
 
 
★ 春暁(しゅんぎょう)や貝売る人の声ひとつ
 
 
★ 駘蕩(たいとう)と渡る田風を呑みにけり
          
          
★ 蒼天の流るる時や竹の秋
 
 
★ 吾子(あこ)なれば苺ミルクのままにあれ
 
 
★ きな臭くなって惑うや昭和の日
        
 
★ 逃げ水は駱駝の背な揺れまま
 
 
★ 焼けるまでみんな一緒のめざしかな
 
 
★ 風炎(ふうえん)や黄土となりて街は飛ぶ
 
 
★ おちこちと干潟の穴や春の果
 
 
★ 清冽な雫となりて夏に入る
 
 
 
 
初夏
 
 そよと来てゆらと答若葉かな
 
 
 穴子飯て無聊を癒しけり
 
 
★ 葉の裏を見せて哭(おら)ぶや青嵐
 
 
★ 乙女らのうはぎに染むるも裾かな
 
 
★ コロポックルの足跡見たり蛇苺
 
 
★ 首夏なればアンドゥトロワで歩きけり
 
 
★ 御仏も三尺下がる楠落
 
 
★ 朋(とも)寄らば見納めむとて御柱
 
 
★ ボヘミアン冷たきを宿しけり
 
 
★ 時ふりて騅(すい)もおら虞美人草
 
 
★ 葉陰をば澱(おど)み濃くして烏蝶
 
 
★ 気が付けば只中の花茨
 
 
★ 夏暖簾色(しき)なき人がくぐりけり
 
 
★ 手をかざしコア仰ぎみる薄暑かな
 
 
★ 発(た)てば鳴き鳴けば惹かるるひな雀
 
 
★ 分け入れば木(こ)の下闇に埋(う)む声
 
 
★ 海霧(じり)湧きて埠頭たちまち無口なり
 
 
★ 動けども動くはずなし樟脳(しょうのう)舟
 
 
★ ギヤマンと呼べば緋羅紗(ひらしゃ)の匂立ち
 
 
★ 螻蛄(けら)鳴くや背戸に零る月明か
 
 
★ 夕さればががんぼ煙る手も足も
 
 
★ 凪の間に遊ぶ月夜のくらげかな
 
 
★ だけ訪(と)うて忍冬(にんどう)咲きにけり                  
 
 
★ 捨てし子を止まず尋ねむ不如帰(ほととぎす)
      
 
★ 草生(む)してこもる精気や晶子の忌
 
 
★ 黄金虫さ迷うファラオのなるか
 
 
★ ソーダ水八分音符にはけたり
 
 
★ ハンモックてユーミン(遊民?)のリズムを聴く
                    
 
★ 蔓(つる)垂れてくりともせぬ噴井(ふけい)かな
 
 
★ 卯の花や木戸に掛けたる不在札
 
 
★ 影つれて一直線の不如帰
 
 
 
 
仲夏
 
★ 青として青に染まずや菩提樹の花
 
 
★ 人の世を恋しと訪(と)わむ梅雨の星
 
 
★ 枇杷食へば皐月の富士の被さりぬ
 
 
★ 転寝(うたたね)を覚めて泡はく金魚かな
 
 
★ 佇むは十九の我か五月闇
 
 
★ 目覚ればとたんの闇に子規(しき)
 
 
★ 動ぜずや背広姿が鱚(きす)を釣る
 
 
★ 幼子(おさなご)の胸乳(むなぢ)とさぐる夏の浜
 
 

2013年の詩―1の2

★ それぞれの幼き顔や芋植うる
 
 
★ 弥陀仏の哀しき(たま)よ春北斗
 
 
★ 蕗味噌を食て名代の酒三合
 
 
★ 卒業子門を出でたり入ったり
 
 
★ シャボン玉逢うて別れてまた逢うて
 
 
★ 糸瓜を蒔けど子規達(たつ)遠くあり
 
 
★ 今日一厘明日は一分の木の芽かな
 
 
★ 心には二物のありや養花天(ようかてん)
 
 
★ 日送りに踏むは現か幻
  
 
★ 春障子影がこそりと喋りけり
 
 
★ 吼(ほ)えすさぶ恋もありなんヒース咲く
 
 
★ 己が身をと咲かせて散る法師
 
 
★ 白き尾をのたうつままに春の富士
 
 
★ トンネルを出でれば辛夷の花盛り
 
 
★ 糸さより明日はカジキとなる身ぞや
      
 
★ 月は朧もの問たげに田も畠も
 
 
★ 春の猫ふにり蕩けて眠りをり
 
 
★ 木の間よりぽと出でたるかな
 
 
★ 手折れよと言わんばかりに老い桜
          
 
★ ひとひらはひとひらのまま散る桜
 
 
★ 揚げ雲雀ぷつんと切れてま逆さま
 
 
★ 森羅万象目玉けろけろ夜半の春
 
 
★ ばか貝を食て駄法螺の百万遍
 
 
★ 散り桜幾千万里の間(あわい)かな
 
 
 雨垂れの音高くして桜散る
 

2013年の詩―1の1

一年間で詠んだ句の全を、大河ドラマを風に総集編としゃれてみました。
読み返すと、爺さんの生活も案外めりはりのあるもんだなぁ。
というより、極楽トンボか(笑)
 
 
 
晩冬
 
★ 冬籠りて手足は動きけり
 
 
★ 銀鱗と鰤網あがる荒(すさ)の海   
 
 
★ 蛇の穴ただ黙々と冬深し   
 
 
★ 冬の蛾の眠りを覚ます羽音かな  
 
 
 吐く息の長く尾を引く寒さかな
 
 
 一斉に背中向けたる日向ぼこ
 
 
★ 凍て雲は曲がり角ゆく淡き陰 
 
 
★ 湯気立てて牧ゆく馬冬の雨
 
 
★ 大雪や我もかつては縄文人
 
 
★ 香を連れて冬の館を出でにけり
 
 
★ 神妙のまといつくよな庭燎(にわび)かな
  
 
★ 斯く斯くを生きてしまった寒晒し
 
 
★ 受験子の影うらゆらと春隣り
 
 
★ 瓷瓶きりりと立ちて冬椿
 
 
★ 納豆汁臭いは我の味なりき
 
 
★ 寒稽古テレビでだけにしておこう
 
 
★ 満天の中にあるより枯木星
 
 
★ として恥じる我あり寒の水
 
 
★ 鼻の根を擦て起きる寒夜かな
            
 
★ 越し方のかこち顔する寝酒かな
 
 
★ 潜(くぐ)るほど光り千切れて冬木道
 
 
★ ビル蕭々(しょうしょう)と春待ち月の今宵かな
 
 
★ 着膨れて行き交う人や啜るティー
 
 
★ 冬ぼうし揃い被りて婆(ばば)行く
 
 
★ 淡々(あわあわ)と波の花咲く能登路かな
 
 
★ 冬浪の砕けし果ては鳥にあらず
 
 
★ 埋火の目覚めほつほつ紅の色
 
 
★ よつこりとうさぎ顔出す野辺路かな
 
 
★ 堀端の石それぞれに日脚伸ぶ
 
 
★ 春信の唄を聴きつつ摘む豆
 
 
 
 
早春
 
★ 薄紙の削がるるままに浅き春
 
 
★ まっさらな顔する人よ春時雨
 
 
★ 黒目だけ宙を舞いたる白魚(しろお)かな
 
 
★ 襟よせて蕾だんまる余寒かな
 
 
★ サワークリームみたいに溶けてゆきたい春の昼
 
 
★ 子らもまた雁風呂地にぞ住む
 
 
★ 孫一才(ひとつ)我六十二にして春の宵
 
 
★ 贅沢の極みとばかり春の炉明かし
 
 
★ 折れ枝の滴る乳や春嵐
 
 
★ 水子とは斯くなるものか春の雪
 
 
★ バレンタイン言うたところで栓もなし
 
 
★ 春卵こつんと割って食にけり
 
 
★ 履いて辿る旅路や春の土手
 
 
★ 啄木鳥(けら)のごと畑打つ人の往き還り       
 
 
★ 朝一番コップ飲み干す雨水かな
 
 
★ 霜くすべ闇より暗く包みをり
 
 
★ 佐保姫(さおひめ)の潤む吐息や雨の里
 
 
★ 万葉の草摘みけらし今とても
           
 
★ ブランコの揺れて届かぬ汝と我
 
 
★ 陰のまた内に陰棲む朧月
 
 
★ 婆座して魚氷(ひ)に上る日和かな
         
 
★ 春愁匂ふネオンや路地の裏
 
 
★ 石ころのころばる先春きざす
 
 
★ 春猫を抱いて海鳴り遠くあり
 
 
★ 雨止みて大地くゆらす春の陽
 
 
★ 陽炎の向こうにいるは別の我
 
 
★ 夜半(よわ)過ぎておとなう月や雛の宿 
 
 
★ 婆の顔母の顔似る雛(ひいな)かな
 
 
★ 鳥雲になれど残るる声ひとつ  
 
 
 
 
仲春
 
★ 啓蟄や湯殿に軽(かろき桶の音
 
 
★ あそこには畠あり人あり畦火立つ
 
 
★ 風もまた遊びすぎたり春の暮れ
 
 
★ マラルメの誘ふが如き春の雲
 
 
★ おうという声の聴こえて木の根開(あ)く
 
 
★ 長靴に付けば嬉や春の泥
 
 
★ 想定内とほざくか今日の春嵐
 
 
つづく

仲冬の詩―2・2014年

元旦から小寒まで     *太字はの季語
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 元日。すべてが新鮮に見える。
 
風らいの 身にも読点 去年今年(こぞことし)
 
元旦や そっと出したる 足袋の色
 
 
 
 
 
 二日。何だかなぁ(笑)
 
初夢も リメイクばかりの 歳となり
 
 
 
 
 
 三日。てんやわんやのお正月でした。イメージ 1
 
集ふれば 百歳違いの 三が日
 
 
 
 
 
 
 
 四日。最初からこんな早くては・・・
 
まっさらな 時を刻んで はや四日

仲冬の詩--1

大雪から大晦日まで     *太字はの季語
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 寒く乾燥しきっているのに、
どこかが潤っている。
 
微かにも 土の声きく 霜夜かな
 
 
 
 窯焚きが終わり、深夜に祝杯を挙げる。
 
独り居の 酒の肴や 隙間風  
 
 
 
 老母の部屋の引き戸を開けると、
いつも炬燵に入り、綿入れを着た彼女の背中がある。
それはかつて妹を背負っていた姿につながる。
 
ねんねこの 背なはしづかに 多弁なり
 
 
 
 そうでしょう?
 
極月や ふとんの中の まるきもの
 
 
 
 あれほど陶酔させられる匂いもない。
 
眠りから 覚めて夢見の 根深汁 
 
 
 
 三島由紀夫の描いたビジョンと
対峙する時なのかもしれない。
 
四畳半 居ても立っても 憂国忌
 
 
 
 出会いの分だけ別れもあるなぁ。
 
冬の潮 往きて帰らぬ 道もあり
 
 
 
 昨日は兜屋画廊へ、
ブラジル生まれの好青年、ラファエル・リマ君の個展を拝観。
強風が吹き抜ける冬空の都会で僕の見た風の姿、二題。
 
木枯しや 銀座二丁目 交叉点
 
 
 
 昨日の続き。
 
からころりん 転がり出でし からっ風
 
 
 
 従姉の納骨式で大月の猿橋というところへ出かけた。
途中、中央線は日野付近で多摩川を渡る。
色彩のない風景に一本の黒い川筋。
 
くだら野を 裂きて流るる 魂(たま)の川
 
 
 
 途中、上野原を過ぎたころから山間となり、
陰影の濃い山肌にうっそうと裸木が茂る。
降り注ぐ微分された陽光。
 
冬木立 万華を浴びて 生えにけり
 
 
 
 途中、鳥沢の辺りは、広い渓谷になる。
向かいの山の中腹に、小さな集落が見える。
 
遠き家(や)に ぽかり冬日の 留まりぬ
 
 
 
 墓は集落のはずれ、小高い山の頂にあった。
起伏のある冬景色の底に、人々の暮らしが沈潜する。
 
落日の 置き忘れたり 冬紅葉
 
 
     
    
 
 
 
 この快感がたまらない。
 
手にかろく 土の響くや 大根引
 
 
 
 ということで・・・
 
初雪や 千両万両(せんりょまんりょ)の 角隠
 
 
 
 今日は、「ザ ロンゲスト デイ」の反対(笑)
電車の車窓から町を眺めていると、
それぞれの家の窓に閉じ込められた夕日が・・・
 
窓窓に 落日のある 冬至かな
 
 
 
 でしょ!
 
かいつぶり きょとんと出でし 池の面(おも)
 
 
 
 下町散策は、師走に限る。
 
凍雲や 根岸界隈 辻のうら
 
 
 
 希望さえあれば生きられる。
この世から虚無がなくなりますように。
 
星蒼く 博士の夢む イヴの夜や
 
東の博士たちは、メシアに会えるだろうか。
 
 
 
 空気が重たいからかなぁ。
 
わらし子の 行儀よさげな 冬座敷
 
 
 
 いっただきまーす(笑)
 
風呂吹きの ほろりほどけて 肌の色
 
 
 
 ことさら哀れを誘う鰯です。
 
涙目に 海原恋ふる かな
 
   * 涙目の鰯=潤目鰯、ちょっと変化球投げてみました(笑)
     潤目鰯は冬の季語。
 
 
 
 菊の花というと雨月物語の「菊花の契り」
あれは、男色物語だという説も・・・へこ(笑)
 
菊枯れて 左門の約も 哀れなれ
 
 
 
 何もなかった・・・にはできないか(笑)
 
ふうふうと ひと年(とせ)散らす 蕎麦湯かな
 
 
 
 まっ、それが人生?
 
煩悩の つき終わらねど 除夜の鐘

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