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マヨヒガに向けて飛び立って10分ほど。
目の前に何かが現れた。 が、霊夢と魔理沙はそれを無視し、飛ぶ。 無視された何かは、怒って再び彼女らの前に現れる。 「コラーッ!あたいを虫するんじゃないわよ!!」
「おい⑨、虫じゃなくて無視だぜ?」
「キーッ!ムカついたわ!あんた達、あたいと勝負しなさい!」
突然現れた青い女の子。
その娘には氷の羽が生えており、髪もリボンも服も全部青かった。 また、彼女の周りの空気は白いもの・・・・・・即ち凍った空気中の水分が漂っている。 繭はそれを見て、 「もしかして、あなたチルノちゃん?」
じたばたしている青い妖精、⑨もといチルノは、繭の声を聞いて落ち着きを取り戻す。
それを聞いて初めて、チルノは繭の存在に気付く。 「あんた、名前は?」
「繭よ、月白 繭」
「ふぅん、まゆね。あたいは――」
と胸を張って手を胸に置き、いつもの台詞を言う準備をしていたが、
「――チルノちゃんでしょ?氷の妖精の。(自称)さいきょーなんだってね」
繭に台詞を取られ、そのポーズのまま固まる。
ピシッ、という音がチルノから聞こえた気もするが気にしない。 それを無視し、再び霊夢と魔理沙はマヨヒガへ向かって飛び始める。 数秒後、またすぐに追い付いて来たチルノ。
今度はスピードを出していたので、もっとスピードを出して追って来たのだろう。肩で息をし、息が切れている。 少し休んで息が整ったのか、ようやく発言する。 「あ、あんた達、勝手に行くんじゃ、ないわよ」
「だってアンタと勝負する必要ないもの。それに彼女、繭を紫のところに連れて行かなきゃなんないし」
うんうんと、珍しく茶々を入れない魔理沙も頷く。
それを聞いてポカーン、としていたチルノだが、 「そ、そう!なら行ってもいいわよ。あたいも用がある者を引き止めるほど鬼じゃないわ」
えっへん、と胸を張っているつもりのようだが、3人は呆れている。
引き止めるってさっきそうだったじゃん、とは繭。 はぁ、相手してられないわ、は霊夢。 全く凄いヤツだぜ、と魔理沙。 三者三様だが、3人とも同じことを思っているだろう。 「じゃあ行くわよ」
「気をつけなさいよ」
と、意外とあっさりと行かせるチルノ。
こんなにも物分りの良い彼女は、明日は雪が降るかもしれない。 まぁ、雪程度で済むのなら問題ないのだが。 ・
・ ・ そんなわけでチルノを後にした3人は、ようやくマヨヒガに着いた。
そこには掃除をしている金髪の女性が居た。 まるで九尾狐の尻尾のような髪の毛で、チャイナドレスに似た、青い服を着ている。 その女性は飛んでくる霊夢たちに気付き、呼びかける。 霊夢と魔理沙の2人も、それに応えるように彼女の側に降りる。 「どうしたんだ、霊夢に魔理沙」
「ええ、ちょっとね。ところで藍、紫は起きてる?」
「いや、来て頂いて悪いんだが、生憎と紫様はまだ寝ているんだ」
やっぱりか、と予想通りの答えが返ってきたので呆れる3人。
まぁ、紫なら仕方ない、と思い返し、どうするかを考える。 藍と呼ばれた女性は、八雲 藍という、八雲 紫の式神。
また彼女も橙という猫又の式神を連れている。 「だが橙と協力して起こしてみよう。ちょっと待っててくれ」
と言い残し、橙を呼んで境界を開き、家へと帰る。
藍が境界を開けるのは、紫が渡した符のお蔭で、これはある種家の鍵ような役割を果たしている。 数十分後、藍だけが出てきた。
頭を抱えていて、少しやつれた様な感じだ。 「何とか紫様を起こせたよ。だけど無理矢理起こしたから少し不機嫌だ。
・・・・・・それでも会うか?」 「もちろんよ、そのために来たのだから」
繭も魔理沙も頷く。
藍に念を押されたが、そんなの関係ないのだ。 正直、この後は繭だけで充分なのだが、連れて来た責任等を含め、霊夢と魔理沙は付いて行く。 「わかった。じゃあ入れ。 ・・・・・・ところで、聞くタイミングを逃したのだが、その娘は誰だ?」 境界を開いた後になって、今更な質問が出てきた。
それはごもっともであるが、と同時に確かに、と思う。 「私は月白 繭です。外来人で、紫さんの能力でこっちに来ちゃったらしくて」
「なるほど、それで。
だったら君は普通の人間だろう。なら、紫様には気を付けなさい」 納得したようで、改めて念を入れる。
霊夢と魔理沙は普通の人間とは違い、弾幕はもちろんスペルカードも使える。 よって、普通の人間よりも戦えるため、藍は繭を心配したのだ。 繭もそれを理解し、 「はい!」
元気よく返事をした。
3人は藍に案内され、境界の中へと踏み込んだ。 ・
・ ・ 境界を抜けると、3人は昔からの日本家屋の玄関の前にいた。
幻想郷と外来の狭間に住んでいて、恐らく誰も訪れてこないというのに、わざわざ「八雲」という表札を出している。 ここは私の家だということを強調したいのか? まぁ、そういうことは今回はどうでもいい。とにかく、紫に会わなければ。 「紫様を呼んでくるから、そこの居間で待っていてくれ」
藍はそう言い残し、紫の寝室へと向かう。
3人も言われたとおり、居間で紫を待つ。 数分後、お茶を持った橙が入ってきた。
自分の分を含め、6人分を用意するとは、流石紫の式の式と言うべきか。 しかし、まだ少し幼いためか、6人分の湯呑みと急須を持つには少し非力のようで、ここまで何とか辿り着いたかのようにふらついている。 見ていて危なっかしいので、繭は立ち上がり、橙が持っていたお盆を下から支える。 「大丈夫?」
「うん、ありがとう!!えっと・・・・・・」
「繭だよ、月白 繭」
「ありがとう、まゆ!!」
幼j――もとい小さな女の子の笑顔は、純粋無垢、穢れが全くない。
橙はまさにそれで、繭のお姉ちゃん本能(?)がくすぐられ、お盆を受け取って机に置いた瞬間、橙に抱きついた。 頭一つ分ぐらい低い橙を、包み込むように抱き、繭は満足そうな、恍惚とした笑みを浮かべていた。 「ふぇ、ま、まゆ!?」
「いや〜可愛いなぁ〜、橙は。妹にしたいぐらい!!」
「あ、あの、えぇと///」
橙は繭の腕から抜け出そうと、必死に腕をじたばたさせるが、いかんせん身長が違うし、可愛いものを見付けた繭の力が半端ない。
よって、小柄で非力な橙には、到底繭の腕から抜け出すことは不可能だった。 そんなことをしているうち、ようやくこの家の主であり、目的の人物、八雲 紫が藍に連れられてやって来た。 「何をしているの、橙?」
扇子で口元を隠しながら、投げかける。
その言葉で、その周囲の空気が固まった。 ・
・ ・ 「そう、なるほど。理解したわ」
さっきの非礼も含め、紫に今回のことを話した。
繭のこと、幻想入りして今までの経緯、もちろんさっきの出来事も。ありとあらゆることを全て。 紫が原因を、繭の身に何が起こったのかを話し始める。
それを見計らい、他の5人はお茶を飲みながら聴く。
「あなたが幻想入りしてしまったのは恐らく――」
「恐らく?」
紫が真剣に話すので、ゴクリと喉を鳴らしてしまう。
全員が自分の目を見て聴いているのを確認した後、間を置いて話す。 「恐らく――――――私が寝惚けて間違って能力を使ってしまったことねっ、てへ!」
可愛くも無い人がぶりっ子をしても、正直ウザいだけだ。
今それを、その場に居る全員が感じたことだろう。もちろん、この作者も感じた。 が、口に出すと紫のとんでもないお仕置きが待っているので、口が裂けても決して言わない。 「あら、皆どうしたの?」
「い、いやぁ何でもないわ」
「あらそう。
・・・・・・・・・それで、繭。あなた、すぐにでも帰りたい? 今は博麗大結界も安定しているし、いつでもあちらに送り届けられるわ。 ここで過ごした時間は、あちらにはあまり影響されないし。どうするの?」 ・・・・・・繭は、正直迷っていた。
今まで夢見てきた幻想入り。それが今果たされている。 中学時代、あまり良いものではなかったが、それでも楽しい思い出はあった。 だけど現実もそれほど甘い物ではない。正直、逃げ出したい。 そんな風に思っていたけど、中学校はずっと我慢して、今は高校生活に足を踏み出そうとしている。 それは何故か? それは・・・・・・・・・・・・。
「あの、紫さん!」
「なぁに?」
「私・・・・・・待たせている人が居るんです」
それが、彼女の答えだった。
「私、中学校生活はあまり良い物ではなかったんです。
でも、大切な友達が居たんです。皆が居てくれたから頑張れた。だから大切な思い出がある。 そんな・・・・・・そんな人が一杯居る!私を待っているんです! だから私は、帰りたい。皆が待っているあの世界に!!」 一同は騒然としている。
あの大妖怪、八雲 紫を前にして、こんなに大きなことを言えるのだ。 下級の妖怪なら縮み上がるはずだ。ましてや普通の人間なのだ。それで済むはずが無い。 だが現に、繭は微動だにしていない。 「・・・・・・そう、わかったわ。
あなたがいたところに境界を開くから待っていなさい」 「は、はい!」
そう言って隣の部屋に入っていった。
外来に境界を開くのは簡単だが、場所を細かいところまで限定して開くのだ。集中力と根気が必要なのだろう。 紫が準備を終えるまで、しばらく談笑することにした。 「はぁ〜、短い間柄だったな」
「ええ、少し知り合っただけだけど会えなくなるものね」
霊夢と魔理沙は繭の帰りを少し残念がっていた。
魔理沙は繭の命の恩人といっても過言ではないし、霊夢はここまで案内してくれた。 思い返すと、繭にとって2人は、帰る為に必要な存在だ。 どちらかが欠けても繭は帰れなかっただろう。 2人はそんなつもりはないだろうが、繭はそう思っていた。 「繭、境界が開けたわ。準備なさい」
「あ、は〜い」
紫が襖を開け、上半身だけ出し、繭を呼ぶ。
呼ばれた繭も返事をし、行動に移る。 その言葉で、その場の空気がしんみりとしてしまった。 ・
・ ・ 「準備は良いかしら?」
「はい」
決意を秘めた目をした繭が返事をする。
その目に答え、境界の前から一歩下がり、道を開ける。 繭は一歩前に出て、自分がいた元の場所へと繋がる境界を見つめる。 どこに出るかはわかっているけど、やはり怖い。 境界は無数の目や手がうごめいていて、普通の女の子なら叫んでしまうだろう。 だが、知っていた繭はそんなことしなかったし、そもそも気味が悪くても、これを使わなければ帰れない。 「・・・・・・よし!」
もう一歩進んで境界に入ろうとした。が、
「待てよ!」
その一言で立ち止まる。
声の主はもちろん・・・・・・魔理沙だ。 「さよならぐらい、言ってから帰れよ」
確かにそれもそうだ。常識だ。
魔理沙に言われ、自分でも納得した繭は、振り返る。 それも今までで一番良い笑顔を添えて。 「皆さん、ありがとうございました。おかげで家に帰ることができます。
魔理沙、私を助けてくれてありがとう。私、あのままだったら死んでいたかもしれないから。 霊夢、ここまで連れて来てくれてありがとう。他の皆さんも、本当に感謝してます! ・・・・・・帰るのは名残惜しいけど、私はあっちで元気に暮らすので、心配しないでください。 最後に。皆さんのこと、忘れません。それでは、さようならっ!」 最後の言葉を言った瞬間、すぐに境界のほうを向き、走り出す。
すぐに行動に走り出したため、繭の姿は見えなくなる。 「・・・・・・もう、行っちまったんだな」
「そうね」
こうして、繭は去っていった。
―――――来たときの下着を魔理沙の家に置いていって。 ・
・ ・ 「うわっ、とと!」
腕をバタつかせたものの、見事に倒れてしまう。
しかもスカートなので、下着が丸見えだ。 「いたたた・・・・・・」
身体の汚れを落としながら立ち上がり、キョロキョロと周りを見回す。
その景色は、幻想入りする前・・・・・・つまり、元の世界に戻ってきたのだ。 繭は、さっきまでのことを思い出し、つい顔がにやけてしまう。
それもすぐに隠し、家に帰ろうと電車に乗る。 ・・・・・・その足取りは、今までよりも軽いように思えた。
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神様と化した皆さまより頂きものっ
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さっきまでとは打って変わって、ほこほこ顔の繭が居た。
こんなに笑顔なのは、もちろんシャワーを浴びたからだ。 1日ぐらいお風呂に入らなくても、人間大丈夫だが、やはりそこは女の子としては避けたい。 昨日は魔法の森をさまよい、ずっと寝ていて、お風呂に入る時間なんてなかったので、出発する直前にシャワーを浴びたのだ。 現在繭は、魔理沙に掴まり、彼女の箒に乗って博麗神社に向かって飛行中だ。
上空を飛んでいるので、魔法の森の瘴気は受けないが、その代わり少し肌寒くなる。 それは等しく訪れるようで、 「うぅ〜。さ、寒い〜」
「あともう少しだ。もうちょいの辛抱だぜ」
そうやって繭を元気付けながら、博麗神社へと急ぐ。
急ぐためにスピードを上げたせいで、繭はとても寒そうにしていたのは知らないだろう。 ・
・ ・ 通常ならこの博麗神社に参拝に来るためには、それから見下ろせる長い石段を登らなければならない。
また、その通り道には妖怪の住む森が生い茂っているため、普通の人間は近寄らない。 よって、博麗神社にはそれほど人は訪れず、そしてそこの巫女もあまりやる気ではないため、どんどん廃れている。 まぁ、宴会のときは主に妖怪で、お祭りのときは人間と妖怪が入り混じり。と、ごく限定された時期には人々が出入りしているが。 「って、何よこのナレーション!?腹が立つわねぇ〜。
・・・・・・で、何の用なの、魔理沙?あと、その後ろの娘は誰?」 「まぁまぁ、それは追々話すから、とりあえず上がらせてもらうぜ」
「はぁ・・・・・・わかったわ」
「ありがとうございますっ!」
魔理沙の後ろから出てきて、この神社の巫女、博麗 霊夢にお辞儀をする。
繭は昨日と同じ学校の制服。 霊夢はいつもの巫女服。袖以外は普通の。 上着が肩のところで切れていて、袖だけ腕につけているような感じだ。 そのおかげ(?)で、巷では「腋巫女」なんて呼ばれている。 また、ある館のメイド長には、赤と白の巫女服を着ていることから、「紅白」とも呼ばれる。 「だからナレーションっ!やめなさいって言ってるでしょッ!!」
・
・ ・ 霊夢は2人を玄関まで案内し、家に上げる。
魔理沙はいつも出入りしているため、家の造りや間取りは全部知っている。 よって霊夢がお茶を用意すると言って台所に行っても、繭を連れて居間に行くことができるのだ。 そして、霊夢が来るまで居間で待機している。 しばらくして、3人分の、湯気が立ったいかにも熱そうなお茶を持って居間に入ってきた。
それぞれに行き渡り、それを一杯飲み、一息ついたところで話し始める。 「それで魔理沙。一体どういうことなの?」
「う〜ん、私もよくわからないんだが、とりあえず彼女、月白 繭は外来人なんだ」
その言葉にピンと来て、すぐにあいつ・・・・・・とある誰かへの恨みを呟く。
が、客、しかも見知らぬ相手が居る前なので、最小限に留めて自重する。 その黒いオーラ(?)が収まって、魔理沙は繭に自己紹介を促す。 繭は頷き、名乗ろうと立とうとしたが、それはいいと目で霊夢に言われ、腰を浮かしていざ立ち上がろうとする前に再び腰を戻し、座りなおす。 「えっと、月白 繭です。魔理沙の言葉通り外来人です。よろしくお願いします」
「よろしくね、繭。私は――」
と言いかけたところで、魔理沙が遮った。
「あっ、大丈夫だぜ霊夢。繭は私らのことを知ってるようだからな」
なっ、と繭に同意を求め、繭もまたうん、と頷き返す。
霊夢は自己紹介する気だったようで、胸に手を置いたポーズで止まっている。 しばらくして顔がポカーンと呆け、それを誤魔化すかのように咳払いし、少し赤くなった顔で話し始める。 「そうなの。まぁ、何で知ってるかは聞かないわ、面倒だし。
それで、繭はどうしてこの世界に来たの?」 さりげなく本題に入ったので、繭は呆気に取られ、頭に?を乗せている。
数秒後、魔理沙が肘打ちし、我に返る。 はっ、となり、ここに来た自分の目的をようやく思い出す。 「えっと――」
・
・ ・ 前回のような解説は必要ないだろう。
どうせ繰り返しても文章が短くはならないのだから。 「――なるほどね。話はわかったわ。
それで原因なんだけど・・・・・・」 それで言葉を切ってもったいぶる。
繭と魔理沙の2人は、霊夢が緊迫した空気を纏っているのに気付き、ゴクリと喉を鳴らす。 机越しに少し霊夢に詰め寄り、原因とは?、と続ける。 「原因とは――――紫の悪戯ねっ!」
腕組をして目を瞑ってもったいぶった割には、随分と普通な答えである。
語尾に(キリッ、とでも現れそうだ。 紫のことをよく知っている魔理沙は、やはりか・・・・・・、と頭を抱えて唸る。 被害者の繭は、恐らく紫のことも知っていたのか、意外と動揺していない。 「あれ、2人ともどうしたの?」
その後自分でも納得するようにうんうん、と頷き、目を開けたら意外と落ち着いている2人が居たので、どうしたのか様子を覗う。
「いやぁ、私もそれを疑ってたからな」
「私は、その・・・・・・外来でそういった悪戯をしている紫さん(の二次創作)を見たことがあるので」
今更な原因なので、2人とも落ち着いていたのだ。
そもそも繭は、朝食のときに魔理沙に聞かれて恐らくと前置きして、紫の仕業だと聞いた。 その旨を霊夢は聞いていないので、あんなに自信を持って発言したのだ。 恥ずかしいことこの上ない。 「いい加減しろっ!!ナレーション!!夢想封印で閉じ込めるわよっ!!
じゃあ、繭は紫のことを知ってるのね?」 「はい。紫さんだけでなくマヨヒガの皆さんも知ってます」
「わかったわ。じゃあ3人でマヨヒガへ向かいましょう!紫に何とかしてもらわなきゃっ!」
3人は頷き、早速準備に取り掛かる。
まぁ、準備といってもさっきのお茶を片付ける程度だが。 それでも一応準備には変わりないので、軽く霊夢を手伝い、素早く行う。 全員が揃ったところで、ふと霊夢があることに気付く。
「そういえば繭は普通の人間だけど、飛べるの?」
この幻想郷では、もちろん普通の人間は飛べない。
そもそも普通の人間は外来でも飛べるはずがない。 が、ここでは村で暮らす人間以外は大概飛べる。 それは、ゲームとして色々成り立たないからであろう。 「それは心配ないぜ。私の箒に乗せるからな。そもそも、箒に乗せて連れて来たんだぜ?その点は問題ないんだぜ」
親指を立て、グッと霊夢に向ける。
それなら大丈夫、と再び飛ぶために空へ顔を向ける。 繭も魔理沙に掴まり準備は万端だ。 そして、彼女らは飛んだ。紫の居るマヨヒガを目指して。
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少し茶がかった黒く短い髪。銀色のフレームの眼鏡をかけた少女が目覚める。
「・・・・・・ここは、どこ?」
緑に生い茂った木々が少女を包んでいる。
そのことから、彼女が居る場所は恐らく森だということが覗える。 が、ここの木々は、緑――いや、深緑を通り越してほとんど黒ずんでいるように見える。 それは、その森をさらに包んでいる瘴気と思われる、怪しく舞う黒がかった紫色の霧が原因だろう。 この瘴気は、本来は人間には毒だ。なのに人間である彼女が平気なのは何故だ? 「うっ、つぅ・・・・・・く、苦しい」
どうやら突然こんな森に跳ばされたように、キョロキョロして周りの状況を掴み取ろうと一所懸命だったようで、自分が瘴気に犯されているとは万に一つ思わなかったらしい。
天然というか何と言うか・・・・・・。 そんなことはどうでもいい。このままでは彼女が危険だ。
妖怪や妖精、普通ではない人間など、特殊な者ならこの状況を打破できたのかもしれない。 だが彼女はそんな都合の良い者ではない。 ただの、普通の、人間。一般人である。 そんな彼女がこの森自体に居るのはおかしいことであるが、今はそんなことはどうでもいい。 彼女がどうなれば助かるのか? そんなことを考えている、その時であった。 「? どうしたんだ、お前?」
「・・・・・・」
「ありゃ、瘴気で気絶しちまってるのか・・・・・・。
仕方ない。うちに連れて帰って看病するか」
長い金髪をした少女が、彼女のそばへと、文字通り降りて来る。
白いブラウス。黒いサロペットスカート。白いエプロン。先のとんがった黒い帽子。 これらから導き出される答えは―― ――魔女。
その少女は、そう呼ばれても不思議でない格好をしていた。 さらにそれを決定付けるようなものを持っている・・・・・・そう、箒だ。 彼女は黒と白の魔女のような格好に、箒を手にしている。 さっきはこれで飛んでいたのか、と理解する。 「さて、しっかり摑まってろよ!・・・・・・って気絶してるんだっけ。
そんじゃま、私が落ちないようにバランス取りながら飛ぶかね」
そんな独り言を残し、自分の家へと向かう魔法少女――いや、その表現では若干の誤解を含むと思われる――もとい魔女の少女は、その森の瘴気はもちろん、夜の闇にも負けないくらいの黒い服で飛んでいった。
・
・ ・ 太陽が昇り始める時間。
空が白み始める頃だ。その頃に朝の早い鳥は、その鳴き声で人々を眠りから目覚めさせる。 その目覚めは、昨夜の魔法の森――瘴気が漂っていたあの森だ――で倒れていた少女も例外ではない。 「・・・・・・ここは、どこ?あれ、でも私。森に居たんじゃ――」
「よっ、起きたか」
「なっ!?」
突然後ろから声がしたので、振り返り相手を確めもせず後ずさる。
が、ベッドから落ちてしまう。あまりにも綺麗だったので、自分でも落ちてから起き上がるまで時間を要した。 「お、おい!大丈夫か!?」
魔女の少女は慌てて彼女に近寄るも、さっきまで彼女が掛けていた布団を被り、身を隠してしまう。
そんな彼女の姿は、はたから見たら怯えている事は手に取るようにわかるし、またその身が震えているのも物語っている。 「はぁ・・・・・・。
私は霧雨 魔理沙だ。種族は人間、職業(?)は魔法使い。 ほら、お前は誰だ?」 魔女の少女、霧雨 魔理沙は少女に自己紹介をさせようと問う。
敵意を感じさせず、ゆっくりと彼女に近づく。 ベッドの前に立ったとき、素早く彼女が被っている布団を剥ぎ取り、彼女の具合を窺う。 剥ぎ取られたので、今度は手で顔を隠す。
が、その他は隠れていないので、大体の彼女の容姿がわかる。 彼女の通う学校の制服と思われるブレザー――今時の女子学生のようにミニスカートにしている――を着ている。 背は大体魔理沙と同等か、もしくは少し小さいかぐらい。 ・・・・・・ミニスカートで体育座りをしたら下着が見えてしまうというのは気にしていないのか? そんな彼女に痺れを切らしたのか、手をどかし、その目を見つめあう。
これでようやく彼女の顔が判明する。 ほとんどの者はこう思うだろう・・・・・・髪を黒く染めた長門 ○希だと! 案外、似ているのだ。目は少し違うと思うが、それを差し引いても有○に似ている。 「あ、あのっ、ええと・・・・・・」
この反応。この表情。
これは俗に言う消失○門と呼ばれる有希のようだ。 「・・・・・・もう一度聞くぜ?お前の名前は?」
今度は目と目を見つめ合って優しく伺う。
この魔理沙の努力で、ようやく彼女が口を割る。 「・・・しろ・・・ゆ」
「は?」
「つき・・・しろ、ま・・・ゆ。
・・・・・・月白 繭、です」 蚊が鳴く声とは言わないが、捻る出すような、そんな小さな声で、ようやく自己紹介を済ませた。
しかしそれが済んだらまた顔を隠し、そっぽを向く。 それが警戒心からのものか、それとも照れからなのかはわからない。 が、謎の少女の名前が月白 繭だとわかり、魔理沙は 「よろしくな、繭!」
その言葉と共に右手を彼女の目の前まで持っていく。
その手を繭はじっと見つめる。 その意味を察してはいたが、中々それを実行できなかった。 またもやそれに苛立った魔理沙は、 「ほら握手だっ!」
と無理矢理繭の右手を左手で掴み、自分の右手で握手をする。
成すがままにされてきょとんとしている繭は、少し混乱しているようだったが、握手をしたという事実はある。 よって魔理沙は笑顔になり、そのまま右手を引き、繭を立たせ連れて行く。 「じゃあ朝食だ!早く食べないと冷めちゃうぜ!」
「えぅっ、あぅ!」
強制的にベッドから立たされ、部屋から出され、階段を降り、1階へと連れられるが、その前に何とか眼鏡をかけることに成功する。
危なっかしいながらも、コケずに階段を降りて、朝食だ。 ・
・ ・ 「いただきます」
「いただきますだぜ」
長い時間のように思われたが、実際は全然時間が経っていなかったのであまり冷めていない。
その証拠に、魔理沙特製なめこ汁も、ほんのりではあるが、また湯気が立っていた。 朝食のメニューは、白米、なめこ汁、焼きしいたけ、きのこと山菜の和え物。
どこを見ても、きのこ、キノコ、茸。きのこ尽くしだ。 「美味しい・・・・・・」
「だろ?天然物だからな」
「天然物?」
「そうだ、このきのこは全部私が採ってきた物だ」
「そうなんですかぁ〜」
時折そんな感想を呟きながら、食事は進む。
魔理沙も繭の感想によって解説し、繭を驚かせる。 魔理沙は昨夜、繭を運んだ後、夕食を食べたので昨日は1日3食を食べた。
が、繭はその後朝までぐっすりと熟睡していたので、昨日は恐らく1日2食。計算では約6,7時間食べていなかったことになる。 そうなると、胃の中は空っぽなのはほぼ当然だ。 だから繭は魔理沙よりも早く食べ終わり、満足して魔理沙を待っていた。 「お前、早いな・・・・・・」
「い、いえ。昨日の夜、何も食べていないだけなので」
「ふぅ〜ん。
・・・・・・そうだ、昨日の夜といえば、何で魔法の森のど真ん中で寝てたんだ?普通の人間じゃ死んじまうぜ?」 魔理沙は食べながら、ごもっともといえる質問を投げかけた。
食事中とはいえ、口に物を入れたまま喋るのは感心しない。 粗食しながら魔理沙は繭の返事を待つ。 「えっと、気が付いたらあそこに居たんです」
「どういうことだ?」
「高校の入学届を出した後、家に帰る途中で穴みたいなのに落ちて、気が付いたら・・・・・・というワケです」
「ふぅむ」
その時の前後を思い出しながら、途切れ途切れに話し始める。
魔理沙は食べ終わり、右手を顎の下で支え、左手で右手の肘を支える。 一応、彼女が考える熟考のポーズ・・・・・・らしい。 う〜ん、と唸りながら目を瞑り、ある答えを導き出す。 「そりゃ多分紫の仕業だな」
「紫って、八雲 紫さんのことですか?」
「そうだぜ、良く知ってるな?」
「はい、実は――」
・
・ ・ 「――なるほど、つまりはこういうことだな。
繭は外界の、日本の人間。それで私らが異変解決のために弾幕勝負をやっているゲーム、東方Projectがあり、それを繭はやっている。 また繭は私らのイラストを描くのが好きで、ブログという日記で紹介し、友達の多くもプレイしていたり私らを知っている。 それで、高校という学校に入学するための届を出した帰りにスキマに落とされ、今に至ると」 「はい、全く持ってその通りです」
という風に要約しているようだが、実は繭の受け売りで、繭自身わかりやすく普通に説明したのだ。
つまり、要約するところなんてほとんど無い。にもかかわらず魔理沙が要約しようとしたのは、多分彼女の意地だ。 「それで、魔理沙さん。私はどうしたら外界に戻れるんでしょうか?」
「とりあえずこの片付けをしてからだ。繭も手伝えよ。
っと、それとだ。私に敬語は使わなくて良いからな」 「はi――うん!」
〜〜少女整理中〜〜 魔理沙の手伝いで皿洗いなども終了し、お茶を淹れて一息つきながら話す。
繭も慌てず、魔理沙の答えが帰ってくるまで待っている。 「とりあえず霊夢んところに行って相談するしかないな。あいつなら紫と接点あるし、大結界を守護している巫女だし。
そういや繭はこういうことは知ってるんだったな」 「うん。他にも色々知ってるよ、秘密だけど」
すっかり敬語をやめ、同年代の友達と話すような感覚だ。
実際身体は見ればわかるし、年齢もほぼ同じぐらいだ。 魔理沙の方も、友達感覚で気楽に話している。それだけ彼女に社交性があるのかもしれない。 「んじゃあ支度して早速行こうぜ」
「あ、ちょっと待って」
「ん、どした?」
箒を手に取り、玄関へと向かおうとする魔理沙を呼び止め、話そうとする。
が、赤面するのみでモジモジしている。 両方の手の人差し指を突き合っている、と言えばわかるだろうか? 「何だ?言ってみろ」
「えっと、その///
わ、私、女の子だし、それにその・・・・・・き、昨日、お風呂入ってないし・・・・・・///」 遂に魔理沙の目を見て話すことが出来なくなり、耳まで真っ赤にしながら俯いてしまう。
その声も空気に消え入るような、とても小さな声で、耳を澄まさなければ聞こえないほどだ。 「ははははは!」
「わ、笑わないでよ〜!」
「ふははは!悪い悪い」
笑った魔理沙に、真っ赤な顔が幾分か治まったが、それでも頬はまだ赤い。
赤い頬の顔で涙目で恨めしそうに魔理沙を睨む繭。 そんなことをしても萌えるだけなのに・・・・・・。 それでも繭なりに睨んで、魔理沙の言葉を待つ。 「よし、じゃあシャワー浴びて来い。それから博麗神社に行くZE☆」
「ありがとう!」
その声を聞いた瞬間、繭の顔の赤みが取れ、ぱぁぁ、とみるみるうちに笑顔になる。
さっきまで睨んでいたのが嘘のように、魔理沙への顔が、目が。感謝の意を込めたものになる。 早速浴びようと風呂場へ向かう。 が―― 「――魔理沙!」
「ん?どした?」
「えっと・・・・・・」
それは魔理沙にお風呂に入っていないことを言い、入りたいという意を伝えたときと同じ表情だった。
が、今度は本当にこれは頼んで良いのか考えた、乙女の恥じらいが含まれている。 目だけがそっぽを向き、ちらちらと魔理沙を見るも、やっぱり目と目が合わない。 やがて、話す決心が付いたのか、目と目を合わせ、魔理沙を見る。 「その・・・・・・///し、下着は、どうすれば・・・・・・?」
今からでは店は開いていない。
が、魔理沙の家には現在、新品の女性の下着は存在しない。 よって、繭に与えられた選択肢は2つ。 1.魔理沙が何度か使ったことはあるが、綺麗な下着を借りる。
2.下着を穿かない。 それは、年頃の乙女に選ばせるには結構辛いものだ。
それでも繭は、迷わずに選んだ―― ――1を。
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えーお祝いゆうかりんですっ!!! |

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今回は、ブロ友の一人である月白 繭様へのお祝いSSなどを書いてみました。
お祝いなのに絵ではなく、誠に申し訳ないです^^; 拙い物ではありますが、見てくださったならば、嬉しい限りです(^^) では、早速・・ てゐ「いや〜めでたいねぇ〜」 幽香「えぇ、本当に。合格おめでとう、繭。」 てゐ「あんた、何か母親みたいねぇ(ニヤニヤ」 幽香「あら、煮られるなり、焼かれるなり好きな方を選んでも良いのよ?」 てゐ「どっちも一緒ウサ・・」 幽香「ところで、貴女はもうお祝いは済んだとか言ってたわね」 てゐ「実は、試験を受けている間、私がずっと傍について応援してたからねぇ」 幽香「あら、幸運を呼ぶ兎の力は伊達じゃないということかしら?」 てゐ「まぁね♪でも、幸運は人の頑張りに付随するもの。私の届ける幸運は、頑張る背中をほんの少し後押しするにすぎないんだけどね」 幽香「成程ねぇ・・ただの兎にしては良い事を言うじゃない。ほら、私からはこれよ?」 てゐ「ん?何それ?」 幽香「これだから花を嗜まないものは嫌ね。この花はスイトーピーよ」 てゐ「嫌だねぇ、これだから歳を重ねたおb…ごめんウサ」 幽香「ふふふ・・いいのよ?あと3秒謝罪が遅かったら消し炭にしてたとこだけど♪」 てゐ「あんたが言うと洒落にならないウサ」 幽香「花言葉は『やさしい思い出』と『門出の祝い』よ」 てゐ「ふ〜ん、あんたわかってるねぇ〜。思い出とは過去のことだけじゃない。これから作られるであろうことも、立派な思い出。これから、やさしい思い出をたくさん作っていって欲しい、なんてね」 幽香「あら、ずいぶんと悟ってるのね。やっぱり、とてもただの兎には見えないわ」 てゐ「そりゃあ、私は地上で最も長く・・しまったウサ」 幽香「ふーん?その辺もっと詳しく教えてくれないかしら♪」 てゐ「い、因幡さんちのてゐちゃんは・・かわいいかわいいちびっこ兎ウサ♪」 幽香「あらそう♪それは良かったわ♪」 てゐ「・・せ、戦況の悪化を確認!!てゐちゃん、撤退するウサ!!」 幽香「あら、まだ遊びは終わっていないわよ?・・と言いたいとこだけど、ここが祝辞の場だったことに感謝するのね」 幽香「では、改めて本当におめでとう、繭。これからも色々な事が待ち受けているだろうけど、貴女ならきっとやれるわ」 てゐ「ちょ!?あんただけで締めるとか、ずる・・」 幽香「あら、まだいたのね。ふふ、ちょうどいいわ♪・・マスタースパァク♪」 幽香「ほら、ちょうどよく祝福の花火が上がったわ(ニッコリ」 幽香「では、ごきげんよう♪」 てゐ「も、もう、あの花の妖怪と一緒はこりごりウサ・・」 〜あとがき〜 まずは・・駄文、失礼いたしました^^; ばばーんと公開しても良いという許可を頂けたので、記事として掲載しようと思いますw ん?ばばーん?B・A・B・A・A? 幽香「何が言いたいのか・・」 永琳「教えてくださると・・」 紫 「嬉しいですわね♪」 ・・ピチューン☆ はい、誠に申し訳ありませんm(__)m 繭さんと言えばこのキャラ!!というお二方、幽香さんとてゐに、合格を祝ってもらいました!! 改めまして、合格、本当におめでとうございます!! そして、個人的には、この二人はどっちも攻めキャラ・・ どちらがより強いかを考えた結果、力が智を凌駕する結果となりましたw てゐ・・最後、損な役回りで申し訳ないorz ちなみにてゐの口調は、素のツッコミと動揺した時だけ語尾が変わるということで・・ え?分かりづらい?・・精進致しますm(__)m あと、花言葉は、色などで細かく分ければ色々あるらしいのですが、 花全体としては↑のような感じということで、採用させていただきました(^^) ・・でも、花言葉って「そんな意味もあるのか」ってことが平気であるから怖いですよねw(殴 では、改めまして、合格、本当におめでとうございます!!(^−^) 今後もどうかよろしくお願い致します!! てゐ「ふふふ・・計算通りウサ。これで「悲劇のヒロイン」てゐちゃんの人気は確実ウサ」
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