全体表示

[ リスト ]

["サニタリー"を見直す]

"今こそ こだわりたい水まわり"

●機能に優れた「サニタリー」

「Sanitary」とは、「衛生的な」という形容詞ですが 建築ではバスルームや洗面所 トイレを指す
名詞として使われています


近年 このスペースは住宅のなかでもっとも面積当たりのコストをかけるところとなっています


たとえば 浴室ではバスタブに自動でお湯がはられたり リモコン操作ひとつで湯温を一定に
保てることなどは 当たり前となりました


また 床暖房 暖房換気乾燥機なども 多くの家で設置されるようになりました
トイレは様式がほぼ100%にまで普及し 後を追うように温水暖房洗浄便器も
もはや標準的な設備になりつつあります


このように 豊富なサニタリー機器のカタログからうまくセレクトすれば
設備的には 満足のいく環境がつくれる時代となりますした


しかし これはあくまでも形容詞であるところの「Sanitary」
すなわち機能面での話に限ってのことです


●水まわりの広さは それほど必要ない

トイレや浴槽といった場所が 衛生上の機能を満たすことは前述の通りですが 特に日本の場合は
伝統的に精神性や文化性が 重視されてきました


サニタリーという言葉だけで納まりきれない役割が 期待されてきたのですが
そしてそれは 現代の日本にも受け継がれています


湯につかるという行為のなかに コミュニケーションがある温泉などは
その代表的な例といってよいと思います


”衛生”だけでない心の癒しを求める場所
それを満たすためには サニタリーは どのように設ければよいでしょうか


ここは基本的には 個人として日常的に使用する場所 プライバシーを守る場として
窓やフェンスの設け方により 完全に外(家族を含めて)からの視線を遮ることが必要です


また 安心してひとりになれるよう セキュリティにも配慮したいものです


スペースに関しては それほどの広さは必要ないといえると思います
狭いことが ある種の安堵感を与え リラックスさせるものです


かつての文学者のなかには トイレを愛し そこを発想の場とした人も珍しくなかった
という話もうなずけます


●限られたスペースにも 楽しさはプラスできる

こう考えていくとわかるように やはり水まわりは住宅内において大変重要な場所であり
設計者としても 必然的に力を注ぐ場所ということになります


実際 私が設計したお宅でも 住宅の打ち合わせの場であまり発言しないご主人が
浴室の広さや仕上げだけには希望を出されるというケースは 多いものです


しかし 価値観が多様化し 加速度的に変貌する現代の社会構造のなかでは
疲れているのは 夫ばかりではありません


妻も子供たちも さまざまなかたちでストレスを受け 疲れています
疲れを癒すのは 非日常的なレストランの食事や旅行だけではないはず


まず 住宅こそリラックスできる そして自分自身に戻れる場所でなくてはなりません


建築家として 一日の生活が終わりに近づき ま新しい湯に体を沈め 夜のしじまに一瞬包まれた時
身も心も開放され 明日への新しい希望や勇気さえも湧いてくるような 空間にしたいと思うのです


例えば最近完成させたあるお宅では サニタリーにちょっとした楽しみの部分を組み込んでみました
それは 1.5m四方の小さな中庭で これを囲むように寝室 洗面室 浴室を配したのです


そのどの部屋からも 中庭を通して空が望め無限に広がる空間性を確保することができました


また 寝室のカーテンを開ければ バスタブにつかるご主人と
鏡に向かう奥さまが声を掛け合ったり というシーンも生まれそうです


サニタリーは 裸になった心身を直接的に癒す場所 疲れも その癒し方もさまざまなのですから
軽々と型に はまったものとしないうように したいものです




                               創建築アトリエ [今井 均]


住まいと暮らしの百科 マイホームプラン
「建築家3人は語る」  2001.03掲載
(金財マイホームプラン社 発行)
 

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事