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"構造から考えたい 多世帯の住まい"

●時代の家族像を 考える

住宅設計を通して 施主家族のことはもちろん その時代の家族像をとらえているのが
われわれ住宅設計者です


近年 米国と日本の家族像を比較したアンケート調査結果は そんな意味で興味のあるところでした


親の老後は子供が「見るべき」 または「どちらかといえば」の2つを合わせた数字が 日本の55%より
米国のほうが 32%も高い87%だったことに とまどわれる方も多いかもしれませんが


その数字は 家族を取り巻く環境の善し悪しを反映するバロメータ
依然として離婚率の高い米国だから高い数字がでたわけで まだ日本では米国ほど危機的ではないと
判断できるのではないでしょうか


●親子関係は進化する!?

その調査によれば 日本では 若い世代(20〜30歳)で数字が高く 50歳代では低くなっています
若い世代で高いのは まだ実感がないからとはいえばその通りですが


そこに一縷の希望を見出すのは 私だけではないはずです


若い世代では"パラサイトシングル"など 大人になってからも親と生活をする人たちが増え
いい意味で 同居する大人同士の付き合いができるようになったから といえるのではないでしょうか


つまり このような人たちにとって "面倒を見る"というよりも"ともに暮らす"という意識が強く
かえっていい関係を生み出すことになるかもしれません


そして "こうあるべき"という親子の関係にとらわれてきた 50歳代の人たちが
本音では 「面倒を見るべき」 と素直にいいきれない胸の内も 充分察することができます


私の80代の両親は 本人たちの希望で2人だけで暮らしています 高齢になって体調も気になるので
ここ数年 週に1度くらいの割合で両親の家を訪ね食事を共にします


顔を見 会話を交わすことが両親の健康に良い影響を与えていることを 痛切に感じます


そのなかで設計者として考えることは 子供 家族が訪ねてきたときに泊まれる部屋を
必ず設けるようにしよう ということ


いつでも 人を迎えられる場所があることは 高齢の2人にとって 大きな安心につながっているのです


そんな心情的な部分を把握し 設計に組み込むシステムを 我々設計者は考慮しなくてはなりません
床を平らにし 手すりをつければよいというのが バリアフリー対策ではありません


それですむなら 老後への不安はもっと解消されているはずですから


●一つの答えは混構造システムのすまい

私は数年前から 混構造こそがこれからの家族像を 支えることのできるシステムだと考え
実際にいくつもの混構造住宅を設計してきました


この場合の混構造とは 1階が頑丈なコンクリートで 2階が軽い木造または鉄骨造にすること
私はこの構造を家族の世代的変遷に変化対応できるシステムとしてとらえています


住宅はその人が歳を重ねるにしたがって 変わらなければ対応できないもの
その尺度は あくまでも住む人にあるのです 若い世代と老いた人が好む家とでは


空間構成はもちろん 機能性そのものが異なります
日本の木造住宅は 元来 開放的な間取りと増改築に大変適した構造ですが


敷地が狭小化し プライバシーが優先される現代の家族の住まいにおいて
本来の良さが発揮できない状況です


コンクリートの床で 1階と2階を区切ることにより 遮音性は格段とアップし
その上部につくる木造の軽い住宅は 下の間取りに何ら拘束されることなく 改築することができます


1階は固定した使い方をしながら 2階を家族構成の変化などに応じて変えていくことが できるのです
当然 新築の際には細部の設計にもほかの構造と同様 またはそれ以上に手間がかかりますが


このシステムの骨格だけは残すように意識しています 内包されたシステムが
いつか 家族の変化を受け止め 役立つ日を待ちたいと思っています





                               創建築アトリエ [今井 均]


住まいと暮らしの百科 マイホームプラン
「建築家3人は語る」  2001.04掲載
(金財マイホームプラン社 発行)

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またきてくださいませ。

2006/2/24(金) 午後 7:31 [ 創建築アトリエ ] 返信する

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