【イチから分かる】戦没者遺骨収集 「国の責務」首相が強い意志 菅直人首相の肝煎りで発足した政府の遺骨収集特命チームが今年秋以降、先の大戦の激戦地・硫黄島(いおうとう)で、旧日本兵の集団埋葬地とみられる場所の特定に成功し、久々に遺骨収集のニュースが話題に上った。関係者の高齢化、国民の無関心など山積する課題に、「国の責務」を強調する菅首相は“風穴”をあけられるだろうか。(喜多由浩)
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遺骨収集は、長い年月が過ぎた異国のジャングルや洞窟などを捜すのだから簡単な作業ではない。戦後65年。本土以外の戦没者約240万人中未帰還の遺骨は約114万体を数える(今年3月末現在、JYMA調べ)。
戦友、遺族ら関係者の高齢化にともなって有力な情報も減り、昭和27年度から始まった国の収集事業は50年度の約3万6千体をピークに下降線をたどり続け、数年前には700体前後にまで落ち込んだ。
政府の遺骨収集特命チームは菅首相の指示で、約2万2千人の日本軍将兵が戦死(うち約1万3千体の遺骨が未帰還)した硫黄島を念頭に、今年8月に発足した。「政治主導」を掲げ、菅首相側近の阿久津幸彦(ゆきひこ)首相補佐官(当時)をリーダーに、内閣官房、厚生労働、防衛、外務の各省が横並びで参加している点が従来(厚労省が主管)と大きく違う。
特命チームは、米国立公文書館の米軍資料などから約2千体と約200体の遺骨があるとみられる集団埋葬地2カ所を特定。今年秋以降、330体分を超える遺骨の収集に成功した。過去数年同島での年間の収集数が「数十」にとどまっていたことを見れば、大きな成果と言って間違いない。同島で約30年にわたり遺骨収集を行ってきた硫黄島遺族会の永澤庄一郎会長(79)は、「米軍資料で新たな情報を得られたことに加え、国のリーダーである菅首相が強い意志を示したことが大きかった」と話す。
その菅首相は、今月14日に同島の遺骨収集現場を視察し、「(遺骨収集は)国の責務」「一粒一粒の砂まで確かめ…全力を尽くすことをここに誓う」と約束した。首相の強い意志を受け硫黄島では来年度、特別枠として予算を大幅に増額、厚労省の職員を交代で常駐させるなど、徹底した調査・収集を行うという。
ただ“強い意志”は今のところ硫黄島のみにとどまっている。同じ「国内」で、実際には相当数の遺骨が残されている沖縄では、ボランティアを中心に細々と収集が行われているのが実情。「海外」での厳しい状況は言うまでもない。
学生らを政府の派遣団に送り出しているNPO法人JYMA日本青年遺骨収集団の赤木衛(まもる)理事長は、「官民挙げての取り組みにしていくには拉致問題のように内閣府に各省横断的な恒久的な組織を設けるなど『仕組み自体』を変える必要がある」と指摘する。
特命チームがその契機になり得るのか? 国のために命をなげうった先人の慰霊をどうするのか? まさに「政治の仕事」である。
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民間参加で収集数急増も 戦没者遺骨収集事業は、「国が責任をもって主体的に行う事業」(厚労省外事室)として長く、政府の派遣団以外の収集を認めてこなかった。
ところが、一昨年秋、フィリピンで活動を行うNPO法人「空援隊」(理事長・小西理(おさむ)元衆院議員)が現地住民の情報ネットワークによる新方式を構築。国もそれを追認し、同隊に国の事業を委託する形で事実上、民間にも遺骨収集の道が開かれる画期的な転換が行われた。
新方式により、同国では年間100体以下にとどまっていた収骨数が昨年度7740体にまで急増した。だが今年秋、一部報道で「フィリピン人の遺骨が大量に交じっている可能性がある」と指摘された(「空援隊」側は否定)ため、厚労省が調査を進めており、収集事業は中断したままになっている。 |

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