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白熱

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White Heat


ジェームズ・キャグニーは30年代に隆盛を誇ったギャング映画スターであるが、もともとはヴォードヴィルやブロードウェイで歌やダンスをしていた人だった。
小柄でずんぐりした体型はどちらかというとコメディアン向きなのだが、そのコワモテの面構えからギャング映画に主演してスターになった。
チビがデカい奴に喧嘩を売るような威勢の良さを強く感じる。
ダンスをやっていただけあって動きもスピーディーで、それが画面によく表れている。
そして、この人がギャング映画スターでありながら大衆に愛されたのは、100%悪党とは言い切れない親しみやすさと、たまに見せる哀愁のこもった表情があったからだろう。
38年の『汚れた顔の天使』などは極道ゆえの悲しみがよく出ていた。

本作はそんなジェームズ・キャグニーが演技派俳優としても成熟した49年に公開された犯罪映画。ラオール・ウォルシュ監督の凄絶なフィルム・ノワールだ。

49年という時代を考えれば強烈な映画だ。
全編に漲っている血も涙もないような世界観が凄まじい。
主演のジェームズ・キャグニー演じる犯罪者がマザコンであるという設定も歪みまくっている。
ヴァイオレンス描写などはこの時代なのでそれほどでもないのだが、根底に流れている世界観はマカロニ・ウエスタン並みである。

キャグニー演じる主人公コーディをリーダーとする犯罪集団間の裏切りや猜疑心がどぎつく描かれる。
主人公コーディの妻であるヴァージニア・メイヨの金と贅沢の為ならコーディさえ裏切る悪女ぶりも印象的だ。
このヴァージニア・メイヨがいびきをかいて寝ている登場シーンには、あのマーティン・スコセッシも驚いたという。
この時代には考えられなかったシーンだろう。

マザコンであるコーディの母親もまた狡猾な極道ぶりを遺憾なく発揮する。
可愛い息子の為なら平気で人を殺しかねない婆様なのである。
悪党がマザコンなら、悪党の母親も息子コンプレックスみたいなもので、こんな親子に挟まれた妻のヴァージニア・メイヨもたまったものではないのだが、本来は性悪女なのだから夫も姑も葬りかねない。

コーディ一派に潜り込む潜入捜査官を演じたエドモンド・オブライエンは、あの『ワイルド・バンチ』のパイク一派の最後まで生き残ったオヤジで、本作ではかなり若い。
この頃は誠実そうな感じなのだが、後にあんなオヤジになるのだから俳優というのは面白い。

ラストの主人公コーディの壮絶な死にっぷりにはクレイジーな爽快感さえ感じる。
狂気の果てのあっぱれな死に様である。
まるで東映映画『仁義の墓場』である。
アメリカ映画らしからぬ、破滅の美学である。
49年という時代によくぞこんな映画を製作したものだ。あっぱれなフィルム・ノワールだ。

  • アバター

    この映画は未見なんですが『汚れた顔の天使』を観た事があります。

    ワタシの普段、映画を観ない親父がギャグニーが最高峰のギャング役やって生前よく云ってたので。
    この映画も観なくてはいけない映画の様に思いますです。ポチ☆

    気ままに

    2011/2/9(水) 午後 5:47

    返信する
  • 顔アイコン

    私も偶然テレビで「汚れた顔の天使」を見ました♪
    そうそう、ちょっと日本の仁侠映画を思い出しました。
    キレのある動きもよかったです。

    [ - ]

    2011/2/9(水) 午後 6:26

    返信する
  • 気ままにさん

    傑ポチ有難うございます(^^♪
    これはおススメですよ♪
    『汚れた顔の天使』にあった情などひとかけらもないような非情さに驚かされます♪
    ギャグニーは小柄でスタイルも良くないのですが、顔つきに迫力がありますね♪

    そふとましん

    2011/2/10(木) 午前 10:04

    返信する
  • ぐらさん

    TB有難うございます(^^♪
    ギャグニーは小柄ゆえに動きがスピーディーですよね♪
    『汚れた顔の天使』にそれがよく出ていました♪
    結構日本の映画人にも影響を与えているんじゃないでしょうか(^^♪

    そふとましん

    2011/2/10(木) 午前 10:04

    返信する

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