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こういう原題こそ邦題付けろよと言いたくなるが、「シリアナ」とは、「アメリカの利益にかなう中東の新しい国」を意味するワシントンのシンクタンク業界用語。余計な邦題など不要なのかもしれない。
中東諸国やアメリカの石油利権をめぐる陰謀を描いており、中国も絡む。群像劇のスタイルをとる骨太な傑作。
人脈や組織の設定が複雑で、相関図を作成しないと混乱してしまいそうな映画ではある。描写もあまり親切心は無く、説明的な台詞もナレーションもない。画面を構成するサインを注意深く見る必要がある。 同時進行する話は4つ。
ジョージ・クルーニー演じるCIA工作員のバーンズは、長年イランなどで非合法活動を行ってきたが、デスクワークへと退くことを決意し、最後の活動としてとある中東の産油国における作戦に赴く。 とある中東の産油国の王位継承者ナシール王子は、マット・デイモン演じるエネルギー業界アナリストのウッドマンを相談役にして、自国の天然ガスの掘削権をアメリカ1国に依存せずに、中国の企業に移すことを画策する。
アメリカのエネルギー関連企業であるコネックス社は、カザフスタンの掘削権を得たキリーン社と合併することなり、ジェフリー・ライト演じるワシントンの大手法律事務所に所属する弁護士のベネットはこの合併に関する調査を行う(コネックス社に有利になるよう)。
コネックス社の精製施設で働いていた他の中東諸国からの出稼ぎ労働者ワシームは、2社の合併話の煽りを受けて解雇されてしまう。転職先が見つからない中、過激な思想を持つイスラム神学校の男がワシームに接近してくる
日本人にはわかりにくい部分が多いが、まず、アメリカの弁護士というものは人を弁護する以外に、この映画で描かれているような調査業務まで行い、政財界のフィクサーのような役割をしているのが驚く。日本にこんな弁護士はいない。
エネルギー関連企業であるコネックス社とキリーン社の合併話には司法省の承認が不可欠であるらしく、一民間企業同士の合併といえどもお上の承認が要るのは日本の電力会社みたいなもので国策が絡むのだろう。
本作の監督・脚本はスティーブン・ギャガン。製作総指揮にはジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグが名を連ね、『トラフィック』のスタッフが再結集している。それゆえなのか、全体のタッチはソダーバーグ的。
個人的には好きなタッチなのだが、説明的ではないので相当に集中しないとストーリーにおいて行かれる。 アメリカ依存脱却の理想に燃えて民主的な国づくりを唱えるものの、アメリカの画策により王位継承を邪な弟に奪われ、あげくアメリカにより爆殺されてしまうナシール王子と、失職した後にイスラム過激派に感化されて自爆テロで果てる労働者ワシームに、中東産油国の縮図を見る思いだ。観ていて痛切な思いがにじむ。
それにしても、よくぞこんな映画をアメリカが製作したものだ。
シナリオの基になったのが、元CIA工作官ロバート・ベアの『CIAは何をしていた?』という告発本。多少の脚色はあるにせよ、この映画で描かれるような事はいかにもアメリカがやりそうだ。
公開からもう12年経過しているが、根本は今も何も変わってはいないだろう。
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こんにちわ(*´-`)
ストーリーは分かりにくいですが、何度か見てると分かってくる感じでしょうか?
音楽のアルバムでも、そういったものありますね。
プログレ系長尺ものなんて、構成が分かって来るまで、良さが分からんかったです。
しかし、一度分かってしまうと、引き込まれてしまうことが多いです🤔
[ han ]
2017/4/9(日) 午後 0:32
> hanさん
この映画はある程度の事前知識が無いとわかりにくいかもしれませんが、まあ、アメリカが中東でこういう策略を立てて暗躍してるってのはみんな何となくわかりますかね。
ただ、政府、民間企業、弁護士まで暗躍してるってのが、有り得そうだけど、ここまでやるか!って感じです。
2017/4/9(日) 午後 6:01
こんにちは☆
気になりながら見逃していました。
もう12年経っていましたか......
[ yutake☆イヴ ]
2017/4/9(日) 午後 9:45
トラフィックとコンテイジョンの間にこんなのがあったとは知らなんだ。
クルーニーはピースメイカーてのもありましたね。
[ キヨモジ ]
2017/4/10(月) 午前 5:56
尻穴、、、、まったく知りませんでした
ジョージ・クルーニーってどうにもフロム・ダスクとかピースメーカーとか馬鹿映画的なのに出てる印象しかないのですが、コレはどうなんでしょ?らしくなく硬派な感じはしますけど。
2017/4/10(月) 午後 5:38
> yutake☆イヴさん
こんばんは♪
12年経ってますが、全く色褪せてはいませんよ♪
2017/4/10(月) 午後 6:48
> キヨモジさん
クルーニーはハリウッドにうじゃうじゃいるリベラルの一人でしょうね。
わりとはっきりそういう言動しますね。
2017/4/10(月) 午後 6:51
> 気ままにさん
クルーニーはこの映画の制作も兼ねていて、体重を増やしてこの役に臨んでいて、本気度が伝わってきます。
硬派な感じで悪くないです。
2017/4/10(月) 午後 6:55