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 造反つぶしで、話題を独占する小泉自民党。これに対し、思わぬ政権交代選挙でチャンスが回ってきた岡田民主党だが、これまでのところ、ずいぶんスローで、ぬるい対応でしかない。また、実質的な首相選出が、最大の争点だけに岡田党首自身の個人的魅力が重要な要素になる。しかし、もともと、マスコミ対応を苦手にしているだけに、あいかわらずの無味乾燥な役人的口調で、テレビを通じたアピール力が決定的に乏しい。個人的な魅力、人間味を演出する余裕がなく、何も伝わってこないのだ。現代の政党政治型選挙は党首の一対一の決闘でもある。この選挙で民主党が負けるなら、政策、選挙戦術の巧拙以上に、党首個人の魅力、アピール力の差が決め手になりそうだ。感情を操り、大衆に直接訴える能力はリーダーにとって最大の資質だ。

 衆議院選挙の争点は、いつも同じ。政権選択あるいは、実質的な総理大臣の選出だ。候補者や政党の名前を書くだけの選挙に多くの争点を盛り込むことは、もとより不可能。郵政民営化の是か否かという1イシューについて、国民の判断を求めたいというのは小泉首相の希望でしかない。実際のところは、郵政も、靖国も、外交も、財政も、その政治スタイルも、顔かたちの好き嫌いを含めて、小泉か岡田を選ばざるを得ないのである。現在の政党主導の選挙制度では、自民党議員あるいは公明党に投票することは、たとえ、アンチ小泉で地元議員を支援するためであっても小泉首相への信任投票になり、民主党への投票は岡田首相実現へ一票を投じたことになる。

 すなわち、現在の衆議院選挙は、有権者の投票行為に、地域の代表を選出するという古典的な国民代表の論理にとどまらず、より踏み込んで、政権を創出するという政党政治の機能を重視しているのだ。したがって、一つ一つの政策ではなく、地元の候補者の善し悪しでもなく、ただひたすら小泉か、岡田か、さあ、どっち?という選択にならざるを得ない。

 そして本選挙の枠組みが、政党主導にもなればなるほど、ここにいたる政党内の民主的プロセスが重要になる。各政党の候補者の決定は重要な作業で、本来は、党内で実施される予備選挙を通じて、その資質、リーダーシップがきびしく問われるべきものだ。しかしながら、日本では予備選挙は存在せず、党内民主制度、近代化が著しく立ち遅れている現状がある。おかげで、自民党だけではなく民主党も2世、3世候補のオンパレードだ。

 現在の自民党、民主党はイデオロギーも政策的にも違いはない。誰が政権を取るかということだけが焦点だ。どちらが好きかという選択であると同時に、両方ともNO!という選択はできないという条件がついている。最近は、株式会社でも株主責任が問われる時代だ。有権者の責任も小さくない。いわれるまでもなく、国民は失政の責任は取らされるわけだが。

2)衆議院を不信任した参議院

 小泉首相は、「参議院での法案否決は小泉内閣の不信任」との論理で衆議院を解散して、総選挙で国民に真を問う道を選んだ。これも考えて見れは、すごいことだ。まず、議会と行政府の関係の問題がある。議院内閣制の日本の統治制度は、もともと三権分立という原則に忠実でないが、それでも、議会と行政府の間には緊張関係があり、時には対立が生じる。議会で絶対過半数を持つ政権であれば、政権運営は比較的容易だが、過半数ぎりぎりや少数政権では、政策実現はもちろん、政権維持もおぼつかない。

 この議会と行政府のの緊張関係を、明確にしているのが、衆議院の内閣不信任と、内閣による解散権のメカニズムだ。双方の意見が対立する政局混乱の最終決着の道を示している。しかし、今回の場合、衆議院では可決、否決したのは解散権の対象外である参議院だ。その結果、内閣を支持したはずの衆議院が解散されたのである。どう考えても、憲法が想定している、議会と行政府の対立の構造と、その救済策ではない。本格的な政党政治の時代を迎えて、重大な問題提起になったことは確かだ。

 しかも、今回の衆参での異なる判断は、両議院とも自民公明の与党多数の状況下で生まれたものだ。これが、衆参で多数勢力が逆転する場合には、頻発する可能性がある。参議院議員はその身分が6年、解散なしと安定している。衆議院で圧倒的多数をとり、政権に付いたとしても、参議院での少数派状態が、次の選挙、あるいは、その3年後の選挙まで変わらないかもしれない。そもそも、参議院は衆議院と同じ判断をしていれば、その役割が埋没し、独自色を出した瞬間、その意義が厳しく問われる存在といえる。

 日本国憲法制定の過程でも、連邦国家でもない日本に2院制は、不要との判断もあったくらいで、その存在意義は希薄だ。されに、選挙制度の改正によって、衆参ともに同じような、政党中心型選挙に変わっている。つまり、参議院は良識の府というが、同じ目線での代表選出になっていて、一段とその意義がうせているのが実態だ。政権づくりや政争と距離を置いていれば、無駄ではあってもマイナス要因も少ないが、今回のように政局の焦点になるようだと一気に問題が表面化する。内閣との緊張関係の核心部分である、「不信任と解散」のバーターがなく、6年の安全地帯にいる参議院は、政権交代が常態化する時代にはネガティブに機能するリスクが大きい。憲法改正があれば、参議院の廃止、あるいは、権能の抜本的見直し、代表選出方法を含めて検討すべきものだ。

 今回の衆議院解散、総選挙にいたる経緯は従来の日本型あるいは自民党政治からは予測のつかないもので、良くも悪くも小泉式ケンカの流儀を見せてもらった。さて、一連の流れについては、いくつか考えさえられるとことがあった。

1)いわゆる造反派は、なぜ、首相のライフワークである郵政改革つぶしに固執したのか?
中身やその手法に問題があるからといって、賛成できない自民党議員ではあるまい。随分長い間、自民党政治を見せてもらってきたが、政策・理念で党内反対派が徹底抗戦したことはない。政府案に反対が起こるのは、必ず政局がらみであり、反主流による党内クーデターともいえる事態だった。要するに、自民党内の争いの本質は、改革派対抵抗派の図式では、もちろんなく、純粋な権力闘争と見るのが正しいだろう。

 しかし、不思議なことは、反主流派が、その急先鋒であった亀井氏もふくめ、大した戦略をもっておらず、衆院での僅差可決により、参院での法案つぶしが現実化、解散への流れが強まるにつれて、かえって困惑が拡大したように見えた。つまり、小泉執行部に対して本格的に対抗するだけの陣構えがないままに、法案阻止に走ってしまった。それを見透かされて、解散、公認はずしの返り討ちを受けてしまった。亀井氏など親分はともかく、これに続いた子分連中は、とんだ貧乏くじを引かされることになった。途中で、手打ちをする作戦だったにしても、迫力のなさ、腰砕けが、徹底粛清という最悪の結果をまねいた。

 選挙区事情で、どうしても反対しなければ次の選挙で勝てないという議員がどれほどいたか知らないが、信念として郵政改革法案に反対というのであれば、それは本来、党内論議の中で行われるべきもの。与党対野党の対決になる本会義では、政党政治の論理が支配する。まあ、こんなことは自民党議員は百も承知だろうが、政党政治は妥協の連続、そのすべをマスターすることで政権維持を最大の目的にしてきたのが自民党。少なくとも、首相が一貫して執着する郵政民営化ぐらいにも妥協できない議員が、自民党に所属していることの方が驚きだ。

 日本では、大して話題にもなっていなかったが、BBCやCNNではこの週末、カムチャッカ半島東海岸沖で、スクリュに魚網をからませて、動きの取れなくなったロシア海軍の小型潜水艇救出がトップニュースになっていた。5年前には、事故への対応が悪く100名以上の死者を出したこともあり、大きな関心を集めていた。

 今回ロシアは、事故から1日後に、アメリカ、イギリス、日本に救援を要請した。事故地が遠隔地であること、酸素の残量について矛盾した報道がなされるなど心配されたが、いち早く現地に入った英国海軍の無人ロボットが網をカットするなどして、無事救出にいたった。米海軍もより高性能のロボット艇を空輸したようだが、結局、早く到着したイギリス製のスコルピオンと呼ばれるロボットが活躍した。

 それにしても、戦略的な潜水艦を多数持ち、救助の必要性があるのだろうが、伝統ある英海軍の機動力、技術力はすばらしい。場所は太平洋の北端、イギリスからは縁遠いところだ。その英海軍がお膝元である、アメリカ、日本をさしおいての大活躍だ。日本は、横須賀、函館から「ちよだ」「うらが」など艦艇4隻を派遣したようだが、到着は、酸欠後の月曜日以降に予定されるなど、完全に戦力外だった。

 相対的に国力が低下する英国が、それでも国連の常任理事国でい続けようとする気概を見せてもらったようだ。日本の方は、郵政法案、解散問題、広島など国内で手一杯だったろうし、気持ちはあっても、空輸できるくらい小型で、すぐに使える装備がなければ何も出来なかった。自国の沿岸での活動しか想定されていないのなら、艦艇輸送用の救難機材で十分なのかもしれない。しかし、本気で、常任理事国入りを考えるなら、やることはいっぱいあるね。まだまだ、そのレベルではないことだけは露呈した。

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