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去年のクリスマス、僕と奥さん二人でフィンランドに個人旅行しました。
楽しい旅行でしたが、「キートス(ありがとう)の他にも、フィンランド語が話せたらなぁ。フィンランド語ってどうやったら身に付くのかなぁ。」と二人とも考えていました。
そして先月、本屋でタイトルに惹かれて手に取ったのが、「受けてみたフィンランドの教育」です。
東京の私立高校に通う女子高校生が、交換留学制度を利用して、フィンランドの首都ヘルシンキにある、ごく平均的な公立の高校に1年間編入した体験を綴った本です。各章、実際にフィンランドで高校生活を送った著者と、親の視点から見た説明をする著者の母親の組み合わせでまとめられています。
読み終わって、フィンランドの教育が目指すもの、それは「自分で考える力」だということが大変よくわかりました。

目次です。
第1章 留学前にやったこと
    ・子どもを高校時代に留学させることについて
第2章 塾のない世界
    ・フィンランドという国について
第3章 英語は書くことに始まり書くことに終わる
    ・論理的思考ができるようになる
第4章 フィンランド語を習得する
    ・フィンランドの語学事情
第5章 自分をいかに表現するかという国語
    ・エヴァ先生について
第6章 落ちこぼれをつくらない留年というシステム
    ・留年することをフィンランドの親はどう考えているのか
第7章 白夜とダンス・パーティー
    ・子どもを信頼する覚悟
第8章 将来を決める
    ・職業と教育

フィンランドの人は頭がいい、というのは漠然と知っていましたが、この本を買ってからインターネットで調べてみました。
調べたのは「9年間のPISA調査結果推移」です。
PISA(Programme for International Student Assessment)調査とは、15歳児を対象とする学習到達度の国際的な調査です。
2000年に第1回目の本調査が実施され、以後3年ごとのサイクルで調査が継続されています。
前回2009年は65か国、約47万人の生徒を対象に調査が実施されました。
調査は、読解力、数学を使いこなす能力(数学力)、科学を使いこなす能力(科学力)の3分野。
文部科学省サイトで掲載されている"国際学力調査"資料は次です。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/07/1284443_01.pdf

次が9年間(2003年、2006年、2009年)の推移です。
1.2003年
読解力…1位 フィンランド、2位 韓国、3位 カナダ、…14位 日本
問題解決能力…1位 韓国、2位 フィンランド、3位 香港、4位 日本
科学的リテラシー…1位 フィンランド、2位 日本、3位 香港

2.2006年
読解力…1位 韓国、2位 フィンランド、…15位 日本
数学力…1位 台湾、2位 フィンランド、…10位 日本
科学力…1位 フィンランド、…6位 日本

3.2009年
読解力…1位 上海、2位 韓国、3位 フィンランド、…8位 日本
数学力…1位 上海、2位 シンガポール、3位 香港、4位 韓国、5位 台湾、6位 フィンランド、…9位 日本
科学力…1位 上海、2位 フィンランド、…5位 日本

前回1位だったのは、上海でした。インターネットで調べてみると、上海の教育はすさまじい競争が起こっており、朝から夜まで子どもは休みなく勉強します。塾も当然通います。子どもの仕事は公園で遊ぶことではなく、勉強とも書かれている記事があります。
では、9年間ずっと上位にいるフィンランドもすごい勉強時間を取っているのでしょうか。

第2章を読んで、フィンランドの教育の全体像が掴めました。
フィンランドにはまず塾なんてものがありません。
教育費全額を国が出すフィンランドには小学校受験や中学校受験、高校受験もないのです。
入学金も授業料も無料。払うのは交通費だけ。
多くの人は家から近い学校に通わせています。
そんなフィンランドが子どもに求めているのは、問題解決に向けた勉強ではなく「本を読む」ことなのです。

それがよくわかる例がテスト前日です。
日本だったら、「勉強しなさい!」とお母さんが怒鳴っている風景がありそうです。
フィンランドでは、「明日テストでしょ。たくさん読みなさい。」と言うお母さんがいます。
実際、著者は留学先のクラス内で、テスト前になると、たくさんの本を抱えているフィンランドのクラスメイトを見ていました。

日本の学校のテストの多くは「穴埋め式」です。授業で習ったとおりに埋めていけば正解です。そのため、日本の教育はズバリ暗記が鍵です。
一方、フィンランドには穴埋め式なんて問題はなく、「記述式」(エッセイ)です。
フィンランド語、英語のみならず、生物、化学、音楽、数学さえもエッセイなのです。
例えば、生物では「あなたが耳について知っていることを全て書きなさい。」という問題がテストに出ました。
このようにエッセイがメインなので、子供達はテスト前にそれを書くだけの知識を詰め込まなければなりません。
しかし、知識を詰め込むだけではテストで合格は困難です。
フィンランドのテストが求めているのは、「詰め込んだ知識について、自分自身の意見を書くこと」にあるからです。
フィンランドの学校の読解力が高い理由はここにありました。

第3章は、英語のエッセイ作りで論理的能力が付く話を展開します。
著者が通った高校の英語クラスのテストは、自由題でのエッセイ作りでした。
フィンランド人の英語力は非常に国際的に見て高いものです。
英語はスウェーデン、ロシアといった大国に挟まれている、小国フィンランドが生き残るためには必要だという国策にあります。
母国語フィンランド語も話しますが、毎日、テレビをつけると英語のアメリカ映画なんかがゴールデンタイムに放送されています。
日本のように、吹き替え版は全くありません。
家庭の時間を多く持つフィンランド人は、幼い頃から英語を耳に聞きながら、生活するのです。
日本と比べると、圧倒的に英語と触れる時間量が違いすぎるなと感じました。
ホームステイ先の高校生がテストで書いた英語エッセイの題は「どうやって、怒ったガールフレンドをなだめるか。」。
"Be honest, be sorry"の最初の一文から、彼は人に読ませる文章を論理立てて書き上げていました。

この章の終わりでは、著者の母親が帰国後の娘から、起承転結がある会話を聞けるようになったとコメントがあります。
「人に読ませる文章」をフィンランドで1年間考えてきた成果と記されています。
この本にある体験記ですが、大学2年生が書いたとは思えないほど読みやすかったので、このコメントを読んでその理由がわかりました。

第6章では「留年」について説明があります。
私達日本人は留年という言葉を聞くと、少なからず大きなダメージが人生に起こったと捉えます。
あたかも、子ども自身の能力に欠如した部分があるかのような大騒ぎです。

フィンランドでは「留年」は「留年させてでも落ちこぼれをつくらない」というフィンランドの教育の基本理念のあらわれと記されています。
そのシステムは次です。
成績は満点の10から4までが付けられます。4が2科目あると、留年して同じ学年をもう一度やり直します。
留年は小学校からあります。
それでは、フィンランドの親は自分の子どもが留年することをどう捉えるのでしょうか。
著者がおそるおそる留年した子どもを持つホームステイ先の親に尋ねると、「"読む"のが嫌いだから当然よね。」とあっさりした答えだったそうです。読んだ本が少ないから留年した、と親は考えるので、子ども自身の能力には何ひとつ問題を感じないのです。
フィンランド人が恥じることは留年ではなく、「分からないことを分からないままで卒業すること」と記されています。

フィンランド人が学校に求めるもの、それは純粋に社会で必要となる知識技術の学習なのです。
自分の将来に必要なものですから、授業中はひたすら集中して、自分の身に付けようとします。
逆に、学校には親も生徒もそれ以外は求めません。
「教育」という言葉は、子どもを育てる意味を持っています。
本にあった表現ですが、フィンランドの学校にあるのは「教」だけです。
「育」は家庭で行われるものなのです。
そのため、学校の先生は純粋に生徒への授業に集中できて、生徒たちはその先生を尊敬して授業を受けます。
日本の学校制度と決定的に違う点がここにあります。

やっと日本でも、暗記中心の学習からの脱却が検討されはじめました。
数年後には、中学校・高校のテストでは記述式の問題比率が多くなることでしょう。
そうなれば、自分で考える力が重要となります。
子どもに本を多く読んでもらうために、まずは手本となる大人たちが本を読む習慣を持つことが大事だと再認識しています。
フィンランドという北欧の小国に興味がなくとも、子どもを海外に留学させるつもりがなくとも、子どもを持つお父さん、お母さんにはお薦めできる留学体験記の一冊です☆

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