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9月20日
某山岳地帯に大きさ48cmの巨大な足跡を発見
した現地民からの情報を得て、我が日本の誇る優秀
な探検隊、「直井科学調査班」による調査が開始さ
れた。
隊員、増川氏のコメント
「職務を全うしたいと思う。」
9月27日
未だ巨人現れず。現地の人によると、彼の巨人はそ
の地方に伝わる古来の民族「ソドップ」の生き残りと
いう話らしい。
隊長直井氏のコメント
「食料が無くなるのは時間の問題だ。」
9月30日
調査もついに10日目、増川氏、黄熱病に感染。藤原氏
には打撲、骨折が体の数ヵ所に認められる。
そろそろ調査も限界かと思われたその時、
藤原氏が叫んだ。
「見ろ!遠くに人陰が見えるぞ!」
隊長が答える。
「助かった!食料を分けて貰おう!」
隊長は急いで駆け寄って行った。
するとどうだろう。人と思われたそのカゲは近付く
につれて大きくなっていくではないか!
「巨人!?いや、それにしては小さい」
体毛に覆われた体。顔は妙に脂ぎっている。身の丈
3m弱といったところか。若しやこれが伝説のソドップ
ではないだろうか。増川隊員が歩み寄り、高熱を堪え
ながらソドップに話しかけて見る。感動の瞬間だ!
「ハロー」
するとソドップは意外にも高めのハスキーな声で
こう言った。「ヒデェイオゥ ムァス」
ヒデェイオゥ ムァス!?何だろう、名前だろうか?
どうやら言語文化はある程度発達している様だ。
握手を求める藤原隊員。その手にソドップは棒の様
なモノを差し出してきた。何だろうこれは。
ヌラリと輝いている。どうやら木ではない。いや、これは
恐らく骨だ。人のモノではない。
困惑する隊員達を遮り、直井隊長は当面の目標である
食料確保をソドップに試みた。
「イート。わかるぅ?タベルコト。」
するとソドップはおもむろに手を叩き、狂った様に
棒で大地を打ち始めた。その音が鳴ると同時に
山肌から3体の大小様々のソドップが物凄い速さ
で走り寄ってきた。
さぁ、4人揃ったソドップで何をするのかと思いき
や、陽気に手を叩き、この世の モノとは思えない
言葉で奇妙な歌を歌い始めた。以下はその時の録
音テープを日本に持ち帰った後、判る範囲内で起こ
した物である。
ユサモメン アゲェナ マニュモォニサ
アサマメン ナニヲ クリポリサ
マスカキン ヤセテ モニュモォニセ ハァァ
シコリアン ヌ シャブチトルトォリ
サッケンダァイヤ ナオイガ ニェ〜イセ
*一定でこれを繰り返す
歌い終わると彼らは再び物凄い速さで山の中へと
消えていった。隊員達も帰るしかなかった。
(画・増川弘明)
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