風船子、迷想記

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国際情勢

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 日米首脳会談で、笑えるネタをBBCの動画で発見したので、お知らせする次第です。ほほえましくもあり、まさか本番もこの調子じゃないだろうなと不安になったり…私の特ダネかと思っていたら、知人から「NHKでやってた」と報告があった。NHKは、カメラマンの注文をめぐる誤解を指摘したのだろうか。どんな風に報じたのか、知りたいものだ。

 場面は、ホワイトハウスでの両首脳フォトセッション。日本人カメラマンたちが、カメラ目線の写真がほしくて、両首脳に向かって日本語で「こちら、お願いしまーす」と声をかけていた。すると、トランプ大統領が安倍首相に「彼らはなんていってるんだ?」と質問。安倍首相の答えは…動画をご覧ください。首相の「通訳」に対するトランプの反応、さらに、それを受けてのわが首相の表情にご注目あれ。


http://www.bbc.com/news/world-europe-38935923

「通販生活」最新号をパラパラめくっていたら、国連PKO活動と自衛隊との関係について、きわめて明快な説明をみつけた。意外な場所で意外な収穫だった。

2000年、私はインドネシアから独立が決まった東チモールに国連職員として派遣され、PKO部隊の幹部として1200人からなる多国籍軍を統括しました。
 ある日、ひとりの兵士が独立反対派の民兵に惨殺される事件が起こりました。それに対して、我々は武装ヘリを使って民兵を追いつめ、全員射殺しました。犯罪者として捕まえるのではなく、「交戦相手」として攻撃したのです。
射殺命令を出したことは今でも私のトラウマになっています。


発言者は、東京外大教授で元国連PKO幹部の伊勢崎賢治氏。

同氏の説明では、国連PKOは当初、当事者との中立性を重視し、戦闘が発生したら撤退するのが原則だった。この原則を適用して1994年のルワンダ紛争で撤退した結果、100万人規模の大虐殺が起きた。この反省から、PKO部隊は武器を使用しても現地住民を保護する責任がある、との考えに変わったという。

99年、当時のアナン国連事務総長が「PKO部隊は国際人道法を遵守せよ」との声明文を出しました。国際人道法とは、交戦時に守るべき最低限のルールを定めたもの。

つまり、アナン氏の声明の意味は「PKO部隊は交戦主体になれ」「住民を保護するためなら中立性をかなぐり捨てて武器を取れ」ということです。この声明以降、PKOのあり方はガラッと変わったのです。
私の「射殺命令」はこのアナン声明に従った結果でした。


 今、陸上自衛隊が派遣されている南スーダンは、まだ情勢が不安定で武力衝突の可能性は高い。派遣されている陸自部隊がインフラ整備を行う施設部隊であっても、武装勢力に追われた住民が駐屯地に逃げ込んで来たら、武装勢力と戦わなければならない。
しかし、日本国憲法には「国の交戦権を認めない」とあり、自衛隊は
に認められているのは「正当防衛」の権利だけ。自身の「正当防衛」だけで住民保護はできない。ここには大きな法的矛盾がある。

 伊勢崎氏はこう指摘する。

本来なら「PKO部隊は交戦主体になる」と宣言された時点で日本は自衛隊の派遣をやめるべきでした。自衛隊の海外派遣を継続するなら、少なくとも国民投票で憲法九条を改正して法的矛盾を解消する必要があります。


 
 
 フランスのヴィシー政権はわずか4年間の対独協力だったが、それでもそのとき誰がどういうふうにドイツに内通したのかについての徹底究明は手控えられた。第四共和政の指導層の中に大量の対独協力者が含まれていたからである。彼らの戦時中のふるまいを暴露して、彼らを処罰し、公職から追放した場合、戦後フランスの行政機構そのものが瓦解するリスクがあった。

 ヴィシー政府のテクノクラートが第四共和政のテクノクラートに「横滑りした」という事実が歴史的検証の主題になるまで(ベルナール=アンリ・レヴィの『フランス・イデオロギー』を嚆矢とする)「自由の国」フランスでさえ40年を要したのである。
 
 朝鮮の日本統治はそれよりはるかに長い期間、35年にわたって続いた。
 植民地統治に協力した朝鮮人テクノクラートの多くは戦後そのまま「反共の砦」の独裁体制の指導層に「横滑り」した。
  この35年にわたる植民地支配のあいだに、「対日協力」的な朝鮮人テクノクラートや軍人や警官は彼らの同胞を抑圧し、収奪する植民地官僚に加担してきた。
それがどのように組織的に行われたのかという歴史問題は現在の韓国においては決して触れることの許されないタブーである。

 それが暴かれれば「日本軍国主義による支配」の犯罪性が希釈されるリスクがあるからである。「被害国」韓国の「加害国」日本に対する倫理的優位性が犯されるリスクがあるからである。戦後70年間の韓国の統治の正統性そのものに対する不信感が吹き出すリスクがあるからである。

 そして、仮にそのような研究が公表された場合、日本の極右政治家や極右知識人がどれほどうれしげにそれを書き立てるかは誰にでも簡単に想像できる。
 韓国の人々にとって自国歴史の暗部を摘抉することは、どれほど痛みを伴おうとも、国家の根幹を健全なものとするために避けることのできない作業である。けれども、現在の日韓関係のような環境では、そのような研究に手を染める歴史家は自動的に日本の極右政権を利することになる。だから、できない。
でも、この歴史研究が果されない限り、韓国社会は「喉に骨が刺さったまま」である。

 韓国の歴史家が20世紀の韓国史を冷静に分析できる立場を確保するためには、「韓国の歴史の暗部を摘抉すること」が現在の韓国にいかなる不利益ももたらさないという保証がなければならない。そして、今の日韓の外交的関係はまさに「韓国人自身が韓国社会の問題を分析する」作業そのものを構造的に妨害しているのである。
 愚かでかつ有害なことである。

  日韓の連携と友好関係と相互信頼の深化は、韓国人自身が自国の歴史に向き合うために必須の条件なのである。私はそう思う。

「内田樹の研究室」

http://blog.tatsuru.com/


 日本による植民地支配時代に対日協力した朝鮮・韓国人の実証的研究について、韓国内でタブーになっているかどうか、私には判断する能力はない。ただ、おそらくそうだろう。朴裕河氏の「帝国の慰安婦」があれほど韓国内で反発されたのも、そのタブーの一端に韓国人自身が触れたからだろう。

 上記論点は、内田が指摘するように、日本人が韓国に向かってやると、「おまえもヒトのこと、言えんのかよ!」といった低レベルの罵詈雑言になってしまう。韓国人自身が冷静に自国近代史の自己批判をできるようになれば、それは日本にも自国に対して同じような姿勢を迫るものになり、今とは段階を異にした日韓交流となるはず。

 それは、笑えない状態になっている「お笑い北朝鮮」にも何らかの影響をもたらす…いや、これは夢想かもしれない。
英国総選挙は意外な結果となった。事前の世論調査を材料に、マスコミは「保守、労働の二大政党とも過半数に届かないのは確実で、焦点は選挙後の連立問題」と報じていたが、結果は与党・保守党が過半数を確保し、保守党単独政権が決まった。

 風船子は、1997年のブレア政権誕生、2001年の労働党圧勝、2005年のイラク参戦でボロボロになったブレア政権の辛勝と、3回続けて英国総選挙をロンドンで「見物」した。それゆえ、英国の総選挙は気になる。
 確かに直前まで大半の英国メディアも接戦を予測していた。人気のないミリバンド労働党首が4月のテレビ討論で意外に健闘したこともあり、「労働党第一党の可能性も」の声もあった。
 
 先進国でこれだけ予測がはずれることは珍しい。「安定を求めたから保守党が勝った」という屁のツッパリにもならないものも含め、さまざまな分析が報じられているが、「事前予測がなぜはずれたのか」についてぴったりくる説明はなかなか見当たらない。あえて言えば、労働党勝利が現実味を帯びてきただけに、保守党が直前で力を入れた「労働党とスコットランド民族党(SNP)が組むと、英国が分裂する」というネガティブ・キャンペーンが土壇場で効いたのかもしれない。

 気の利いたコメントして、「労働党は二つのナショナリズムに負けた」というのがあった。時事通信は、これはかつてのブレア側近であるアンデルセンの発言だとしているが、ガーディアン紙は、スコットランドの労働党指導者ジム・マーフィーの発言として下記のように引用している。昨年の独立をめぐる住民投票でスコットランド独立の現実味を英国民は痛感した。そこでスコットランド人はSNPに投票し、イングランド住民の多くは「英国領土縮小」を嫌って、SNPと連立を組みそうな(労働党自身は、SNPとの連立を明確に否定していたが)労働党を敬遠した、というわけだ。

“We were hit by two nationalisms. A Scottish nationalism reassuring people that they could vote SNP and get Labour. And an English nationalism stoked up by David Cameron: warning vote Labour and get SNP.

 “Unsurprisingly, forced into an artificial contest between English nationalism and Scottish nationalism, many Scots, including many no-voting Scots, chose the SNP. And let’s be clear: it wasn’t just in Scotland that the SNP cost Labour votes.”


 ちなみに「ナショナリスト」は日本では国家主義者だが、英国では北アイルランドが好例だが、「ナショナリスト」は英国から分離を主張する地域の民族主義者のことを意味する。逆に「英国はひとつ」を主張するのは「ユニオニスト」と呼ばれる。

 ガーディアン紙には、SNPを利用して労働党つぶしを画策した人物として、オーストラリア人の選挙参謀を紹介していたので、紹介してみる。

In Australia, Crosby and his longtime business partner and collaborator Mark Textor also honed their electoral technique of “wedge politics”: finding an issue that can be exploited to split off an opponent’s traditional supporters. With typical shrewdness and ruthlessness, Crosby identified the surge of Scottish nationalism in recent years as a wedge that could be used against Labour, both in Scotland and in England.


 「二つのナショナリズム」を利用する戦略は、まんまと成功した。しかし、保守党の内部からは、「今回の戦略は、スコットランド内の親英派を損ない、またイングランド・ナショナリズムをあおったため保守党が急進的な右派路線に傾きかねない。近視眼的で長期的にみれば危険なゲーム」との懸念も出ているそうだ。
 今回は、イラク情勢についての専門家の分析を要約で紹介してみよう。
出典は、高岡豊(中東調査会上級研究員)の「『イラクとシャームのイスラーム国』は何に挑戦しているか」(「世界」2014年8月号)

 「イラクとシャームのイスラーム国」(※高岡は、ISISをこう呼ぶ。理由は後述。以下は「イスラーム国」と略・風船子注)は最近突如として出現したわけではない。2004年ごろから活動をはじめた団体を前身としている。

 報道機関によって、イスラーム国は、ISISやISILと表記が異なっているが、これは組織名に含まれている「シャーム」の訳に左右されているからだ。シャームは文脈によりさまざまな範囲を意味するが、これを「シリア地域」ととればISISとなり、「レバント(地中海東岸を示すフランス語)」ととればISILとなる。

 イスラーム国の究極の目的は、イスラム世界からキリスト教、ユダヤ教の侵略を排除し、シリア、イラクを含むすべての国家を除去し、単一のイスラム統治を実現することにある。それを考慮すると、「シャーム」の訳は地域を限定する「シリア」でもなく「レバント」でもおかしい。「シャーム」のままがよい。

 イスラーム国はかつて従っていたアルカイーダから、「シリアはヌスラ戦線という別の団体にまかせるので、イラクに専念せよ」と指示を受け、国家の枠組みに依拠するアルカイーダのやり方に反発して、敵対するようになった。イスラーム国の主張が、既存の国家を超える性格を持っていることが重要な点だ。

 ちなみにレバントは、ウィキペディアによれば、下記の意味。

 レバント (Levant) とは東部地中海沿岸地方の歴史的な名称。厳密な定義はないが、広義にはギリシャ、トルコ、シリア、キプロス、レバノン、イスラエル、エジプトを含む地域[1]。現代ではやや狭く、シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエル(およびパレスチナ自治区)を含む地域を指すことが多い。歴史学では、先史時代・古代・中世にかけてのこれらの地域を指す。
レヴァントは英語の発音だが、もとはフランス語のルヴァン (Levant) で、「(太陽が)上る」を意味する動詞「lever」の現在分詞「levant」の固有名詞化である。
 高岡氏の分析を続ける。

 イスラーム国の躍進の背景には二つの原因がある。

 一つは、イラクの政治体制の破綻。イラクの選挙制度は、政党による選挙連合と、当選後の院内会派の不一致を容認している。そのため、各政治勢力は、宗派的スローガンなどで最も票を取りやすい連合を組んで選挙運動を展開し、選挙後は、自派の権益を最大化するために選挙時とは別の勢力と院内会派を組む。これにより、少数派スンニー派だけでなく、イラクの有権者全体が政治過程から疎外されている。米、サウジなどが現状打開のために挙国一致体制を強調するが、これは役職・権益分配の政争が続くだけで抜本的対策ではない。

 第二に、米主導の「テロとの戦い」の破綻。
 イスラーム国は、2004年に「タウヒードとジハード団」としてイラクに現れたが、イラク社会から孤立し2011年時点で国外への移動を検討するほど追いつめられていた。これを蘇生させたのが、シリア危機だった。「国際社会」はアサドの敵対勢力なら何であれ「正しい」として活動を黙認した。イスラーム国は、これを利用してシリアの反体制武装闘争のために供給される資源を受け取り、生き返った。つまり、イスラーム国による破壊と殺戮は、イラクなら「憎むべきテロ」とみなされるが、シリアなら「大義ある反政府活動」として認められた。これは「テロとの戦い」にとって致命的な抜け穴となった。 そして今や、イスラーム国は、イラク軍が放棄した武器を奪取し、シリアでの戦闘に投入しているといわれている。

 イスラーム国は、イラク国内での権益獲得を目的とせず、第一次大戦後の欧州諸国による中東植民地支配を通じて形成された政治秩序(彼らは「サイクス・ピコ体制」と呼んでいる)の打倒を公言している。だから、イラクを連邦化して「スンナ自治区」を設置しても、イスラーム国が武器を捨てるとは思えない。
 

 欧米が「敵の敵」として武器や物資などで支援した相手が、やがて「手ごわい敵」になる前例が、ムジャヒディンやサダム・フセインなど、中東ではたくさんの前例がある。

 マリキ政権崩壊は時間の問題のようだが、高岡分析によれば、イラク問題はすでにイラクの国内問題ではなく、シリア、イランなど周辺国を含めた地域問題化しており、政権交替で解決するような段階ではない。

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