|
残念ながら絶版。古本検索エンジン「スーパー源氏」でも使ってお探し下さい。図書館にあればラッキー。著者は仮面ライダーの死神博士などで知られる故・天本英世。特撮や怪獣映画が好きな人で知らない人はいないはず。前に「二十四の瞳」にも端役で出ていたことを紹介したが、老け役が多かったな。世界征服を夢見る悪の科学者などを演じれば最強の俳優だったろう。指輪物語の灰色のガンダルフなんかもぴったりだったとおもうのだが。その天本が後半生でのめり込んでいったのがスペインとフラメンコだった。 「スペイン巡礼」は1979年、10ヶ月をかけてスペイン全土を放浪した旅行の記録である。「回想」はその補遺のような役割をしているエッセイ集である。フラメンコの詳しい人なら目を剥くほど有名なバイラオーラ(ル)、カンタオーラ(ル)などのアルティスタがあちこちに登場する。もう一つフラメンコには縁の深い詩人ガルシア・ロルカへの入れ込みの深さもうかがえる。本人もかなり年をとってからスペイン語をマスター、朗々とロルカの詩を読み上げていた。一度ライブで聞きたかったものだ。 スペイン市民戦争〜フランコ独裁体制のもとでロルカやアントニオ・マチャードなど多くの文化人も弾圧され、国外に逃亡しあるいは殺された。フランコの晩年にはかなり統制も弱まったそうだが、ロルカの戯曲などをやるのも大変だった時代がある。天本のそうした不当な弾圧への怒りがそれぞれの詩人への思い入れとともに感じられる。 NHKでやっていた「わが心の旅・グアダルキビール川に私の灰を」では、遺灰をグアダルキビール川にまいて欲しいというのが彼の遺言であった。その通りに実行されたと聞いている。天本の灰はアンダルシアの地にかえったのだろうか。この番組の中で短いがロルカの詩の朗読やスペイン語の唄が聞ける。 もう一つ、彼の著作では半生記の「日本人へのメメント(遺書)」がある。こちらも絶版だが「巡礼」よりは手に入りやすい。天本の強い反体制意識、反戦の思想性なども感じられる本だ。反骨精神に富んだ俳優だった。もう少し生きていて欲しかったと思う。
|
本の紹介・書評
[ リスト ]







ロルカの名前は、天本さんの何かの記事で知りました。ロルカの詩集は図書館に並んでいたので、一度読んでみたいと思っております。
2005/9/25(日) 午後 4:33 [ nor*_*x ]
まだいまほどフラメンコが盛んでなかった時代の草分け的な存在だったんじゃないか、と思います。ロルカは本当はスペイン語で声に出さないと良さがわからない詩なのかもなあ、と思いますが読んでみて下さい。
2005/9/25(日) 午後 4:47 [ BORA ]
図書館でこの本、探してみたんですが、見当たりませんでした。絶版ですもんね。。。同じタイトルで、他の人が書いた本は見つけたんですけど。
2005/10/9(日) 午後 8:06 [ heb*e*77197* ]
それは残念。出た当初は結構話題にもなっていたらしいですが。年月が立ち過ぎかな。
2005/10/9(日) 午後 9:14 [ BORA ]
天本さんといえば僕の世代だと「平成教育委員会」なんですが、あの方の生き方には憧れますね、とても実際には出来ませんが。テレビでスペイン人の生き方について熱く語っていたのを思い出しました。
2005/10/10(月) 午前 2:32
頑固者のじいさんでした。若い頃から老け役が多かったのですが晩年にようやく追いついたという感じでしたね。
2005/10/10(月) 午前 8:29 [ BORA ]
今頃なんですが、今日、「巡礼」・「回想」を図書館で借りてきました。書庫管理扱いされていて、出してもらうのに20分ほど待ちました。この暑さの中、スペインの灼熱の太陽と言い聞かせながら、読んで見ますね。
2007/7/28(土) 午後 1:54 [ Beehive ]
うーん、貴重品扱いなんですねえ。まだまだ日本で今ほどフラメンコが盛んではない頃から入れ込んでいった先駆者の一人ですね。一本筋が通った人だったんですが、以外に早く逝ってしまいました。もっとも本人は本望だったかも知れません。読んだら、感想でも記事にアップしてみて下さい。
2007/7/28(土) 午後 3:04 [ BORA ]
内緒さん、フラメンコの世界では結構、この人は知られた存在だったのですよ。スペイン語マスターしたのも、50歳くらいからじゃあないかな。ヘタなスペイン人がぶっ飛ぶくらいに、スペインの民謡を知っていたりする人でした。
2007/7/28(土) 午後 11:05 [ BORA ]
「回想」も読み終えました。こっちの方がより面白く感じられました。それにしても、50歳でスペイン語マスターするなんて、私、負けてられませんね。がんばろっと!
2007/8/8(水) 午後 6:14 [ Beehive ]
両方とも楽しんでいただいて良かったです。引きずられて、「スペイン回想」を読み返し始めたところです。改めて、天本の交友の広さを思い知らされます。そうですね、50歳なら人生まだまだこれからかも知れませんね!
2007/8/8(水) 午後 6:28 [ BORA ]