|
1950年代後半、在日朝鮮人の朝鮮民主主義人民共和国への帰国運動が相次いだ。日本では在日コリアンへの差別はまだ根強く、韓国では軍政が続き民主化運動への過酷な弾圧が続いていた。この帰国運動には革新勢力だけではなく、保守派まで支持していた。共和国の宣伝は「地上の楽園」というものだった。だが、そこはユートピアではなかった。1962年この北朝鮮の実情を総連幹部が最初に告発した本が「楽園の夢破れて」(関貴星)であった。左翼陣営は当時反共本の一つとして軒並み無視したようであるが、真実の告発本だったのだ。現在、「北朝鮮1960―総連幹部・最初の告発」(宮崎学と梁石日対談付き)として復刊してるので、興味あれば読んで頂きたい。 ながなが出足を書いたが、「ビレッジ」は北朝鮮問題とは何の関係もない。森に囲まれた古い因習のようなものに縛られたかに見える小さな森で起きた事件を描いたものである。冒頭葬式のシーンで始まる。墓石に1890−1897とあるから7歳の子供だったのだろう。森には怪物がいて、赤はそれを呼ぶ不吉な色として嫌われている。そう言うわけで、誰も町へは行こうとしない。ある日、横恋慕で恋人が刺されてしまった目の見えない女性が、森を抜け町へ行き薬を取りに行く決断をする。彼女は無事に森を抜けることができるのか。 一見、ホラー映画かミステリーのような雰囲気だが全く違う。終盤で意外などんでん返しに遭遇する。人は、ないものをどこまでも求める。ユートピアのように。この世に楽園なんて存在しないのに。人はどこまでも苦しみと悲しみを背負い、生きていくしかない。どこの社会でも。その存在しないユートピアを求めたのが在日帰国者運動の一つの側面でもあった。オウム真理教事件や60年代末に流行った若者のコミューンもそうだろう。 見終わってはかなさだけが残った。どんでん返しにはがっかりする人もいるかも知れないけど、これはお勧め映画である。ウィリアムハートや、シガニーウィーバーなどの芸達者が脇役陣で出ている。主演陣含め、演技はさすが、というところ。BGMもぴったり雰囲気に合っている。
|

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー






ふうん、、オカルトチックな映画かと思っていましたがそうでもないのですね。最後のどんでん返し?それは聞かないほうがよさそう☆
2006/4/25(火) 午前 10:18
最近そこそこ面白くても複数回の鑑賞に堪える映画がなかなかなかったのですが、これは見返してみたい映画で、自分にとっては傑作。他人にとってはわかりませんけどね。好き嫌いはすぐ分かれそうな作品です。
2006/4/25(火) 午後 6:52 [ BORA ]