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紫電改のタカ

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またYahooブログ内でこの作品を語るのは自分一人らしい。有名な作品と思っていたのだが。

今年は戦後60周年。早いものだと思うが、10年前、50周年企画で集英社から出されたこの作品の単行本が手元にある。自分の少年時代、ゼロ戦は子供の間でも有名だった、というより常識のレベル。テレビアニメもすでにあった(ゼロ戦はやと、とか)。自分が紫電改という戦闘機を知ったのはこの作品を読んだからである。床屋の待ち時間などで夢中になって読んだ記憶がある。

ちばてつやはこの作品を失敗作と考えているらしい。「ちかいの魔球」のようなのりで、主人公の空中戦をスポーツのように描いてしまったからだ。もっと残された家族や、戦闘機乗りたちの日常の生活を描いてみたかったという悔いが残るようだ。この辺は、派手な空戦を描かないと掲載雑誌の売れ行きの問題があるというジレンマもあったらしい。

ちばてつや自身の作品は反戦色が強く、それはあちこちに出ている。「のたり松太郎」にだって、あの西尾のじいさんの妻と息子が長崎の原爆で死んだエピソードが出てくるくらいだ。この「紫電改のタカ」もクライマックスのタイガー・モスキトンとの闘い以降、一気に反戦色を強める。

主人公は最後、特攻隊を拒否しようとして、拒否仕切れず大空へ飛び立つ。「自分の死が祖国日本をすくうことになるのだということばを信じようと努力しながら....」。「信じて」ではない。「信じようと努力しながら」なのだ。ラストはそうとは知らずに、彼が大好きなおはぎをもって母と恋人が大分駅に降り立ったシーンで終わる。あまりにも悲しいラストシーン。ちばてつやはこういう形で、戦争への批判をこの作品に何とか盛り込みたかったのだろうと思う。

昔四国ツーリングをした際に、紫電改の実物をみたことがある。ゼロより機体は太く、ずんぐりした印象でスマートとは言い難い機体だった。そんな紫電改だが、これほどレシプロ機を生き生きとアニメのなかで飛ばして見せた作品はこれ以外では宮崎駿のもの以外には知らない。

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