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1957年の作品ということは私が生まれた年。半世紀以上前の古い映画なのに、妙に引きつけられるのは過去の時代へのノスタルジーなのか。池部良というとどうも「宇宙大戦争」や「妖星ゴラス」などのSF特撮、あるいは「青い山脈」という自分の親の世代で知らない人はいない有名作品が思い出させられる。が、この映画ではなんだかずいぶん身勝手・無責任男の島村を演じている。 しかしこの映画の魅力は第一に岸恵子の演技力。この頃の岸のかわいさ、美しさはすごい。白黒映画なのだが、かえってそこが墨絵のような美しさとなってまるですぐれた日本画を見ているようだ。過去に見た映画でフランス映画「シベールの日曜日」を思い起こさせられる。妻子ある男と恋に落ちる芸者駒子ともう一人の女性葉子の間の愛と憎しみを描いた作品なのだが、冒頭書いたように今の時代では男の身勝手が目立つ作品。 それでも岸の演技力、池部の静かな雰囲気で救われている。俳優のチョイスを間違えるといやな作品になっただろう。八千草薫演じる葉子は、あえて岸を食わないように押さえた演技。この人もその気になれば岸を食ってしまうような妖艶な演技が可能だったはずだが。映画全体は冗長な部分もありもう少しテンポ良く進めて短くすれば評価も高まったと思う。 だが、男と女の世界はいつまでもこんなことが繰り返される。好きな女性に「私きれい?」と迫られたことはないか?(時に胸をはだけたりしながら・・・。理性失うよね。)ないあなたは、多分やはり少し不幸だ。あれば人生観がかなり変わると思う。 なお音楽は團 伊玖磨だが、全編で弦楽器を中心にした古いイタリア映画でも見ているような心地よい音色を聞かせてくれる。殺伐とした情勢をしばし離れてこんな映画で古いモノクロの世界に浸るのもたまにはいいだろう。 |

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