与那国島で自衛隊誘致反対派である田里町議の話を聞いてきた。到着したのは12月28日だが、夜遅くまで同じく反対派の町職員の方や民間労働者の皆さんのお話を聞くことができました。田里さんは、自衛隊基地ができれば韓国のヨンピョン島のようなことになりかねないという。つまり軍事的な攻撃目標になる、ということだ。
(自衛隊誘致反対派の横断幕)
そういえば自衛隊の広報紙の役割を果たしている「朝雲」という新聞がある。あの一面の一番下の寸言というコラム、朝日新聞なら天声人語にあたる部分だが、おもしろいことが昨年11月に書いてあった。先島諸島は防衛空白地帯だから真剣に議論すべきとしながらも、「尖閣で沸騰する世論に流されず」しっかり検討せよ、と述べ「相手が本気なら小規模部隊では守りきれない」「大規模な部隊配備は相手国のさらなる体制強化を招き、かえってリスクを高めかねない」ともっともなことを書いている。さらに陸上部隊への十分な支援体制をとるとこれまた軍事的緊張の要因になるという。正しいではないか。ならやはり配備はやめておいた方がよさそうだが。
(こちらは賛成派の横断幕)
田里さんは町職員を長く勤め、昨年の町長選で一つにはこの自衛隊配備問題が焦点だったため出馬。おおよそ600対500くらい(人口は1600人くらい)、100票くらいの差で敗れた。その後町議選で町議になり、現在も配備反対の署名運動を続けている。何しろこれくらいの人口の島だと、ほとんど顔が見えてしまう。署名活動でも相手の家に上がって20〜30分話し込むこともざらだ。時間は確かにかかる。だが、それだけ琉球の島の対人関係は親密だということだ。
(ドクターコトウ診療所)
現在誘致賛成が優勢だが、これだって与那国の人口が減り続けねばこんな話は出てこなかったのではないだろうか。戦前には5000人が住み、戦後の米軍支配が及ぶ前は台湾との密貿易で人口が1万2千人に増えていた。しかしその後人口は減り続ける一方。フジテレビで作成した「ドクターコトウ診療所」は見ていた人も多いだろうが、そのロケがあった頃は1800人。それが今は200人減った。
(草を食む与那国馬)
日本の政策は、辺境の地であれ、そこに人が住み続けられるような保証を作り出しているだろうか?基地ができれば兵士や家族が住み、一時人口が増える形にはなるだろう。だが、基本的に閉じられた物資の補給システムをもつ基地の兵士が落とす金は多く期待はできない。それにいったん周辺交付金などに経済的にたよる構造になればそこからは容易に抜け出せなくなる。それから「朝雲寸言」で指摘されている問題も重要だ。
(日本最西端の碑。条件が良ければここから台湾が見える日もあるそうだ。)
本当の意味での安全保障は経済のことを考えなければならないと田里さんは主張する。台湾との交流事業などに長く携わった田里さんは経済特区化などの要求も国に対して提案していたが、評価はされながらも基準が厳しく容認されなかったそうだ。過疎地域で、人口減が続く地域で人が生き続けるためにはどうしたらいいというのか。この問題を東京へ帰ってどう訴えるか、考え込んでしまう旅行になった。