|
こうの史代の「夕凪の街 桜の国」がいよいよ韓国で出版される。(画像は今日の朝日新聞夕刊記事)「投下はやむを得なかった」という前書きが加わったことには反発も感じるが、韓国側の出版社の見解ということが明記されるそうなので今回はやむを得ないだろう。少なくとも太平洋戦争末期の原爆投下について韓国、中国と日本では受け止め方に隔たりがある。今目の前で、イラク戦争という新たな戦争が続いている中で、それとどう向き合うのか考える素材は多い方がいい。この作品の出版がその一石を投じることを願う。
|
本の紹介・書評
[ リスト | 詳細 ]
|
昨日はトヨエツ主演で太宰のドラマをやっていた。録画したが冒頭しかまだ見ていない。まあ、トヨエツの太宰治も悪くはないな、と思うけど。 中学生の頃にははまった作家である。もっとも強烈だったのは「人間失格」。「パンドラの箱」「正義と微笑」はそれの対極にあるような作品だったが、これも太宰と言う人間の二つの側面だ。教科書にも載っていた「走れメロス」は多くの人々に知られている作品で、彼のもっとも明るい側面を表した小説だが、その逆の世界が同じ人間の中に存在している。不安定と思うか。でも、それが人間なのじゃないだろうか。 獄中にいたとき「津軽」を差し入れてもらって読んだけど、あの頃ほどにはもうのめり込めなかった。青春時代、一番うつろいやすい時期にこそ感じるのが太宰の作品なのだろうか。
|
|
石埼 学さんが本を出します。まだ手元にないので本人からの社会批評社の紹介記事を丸ごと転載です。三多摩でも出版記念集会開催の動きがあります。 憲法状況の現在を観る ―9条実現のための立憲的不服従 石埼 学/著 出版元: 社会批評社 四六判 168頁 並製 本体1500円+税 ISBN4-916117-67-0 C0036 はじめに
日常生活の中で、憲法、とくに憲法9条を意識することはあまりないでしょう。しかし数年のうちに、日本政府の統治下で生きているすべての人が、好むと好まざるとにかかわらず、憲法9条を日常的に意識せざるを得ないときがきます。 「戦時に備えるための国民保護訓練に参加してください」と自分の住んでいる自治体や消防団から声がかかるかも知れません。「自分の安全は自分で守る」というスローガンを見聞きした人は、すでに多いでしょう。 何が起こっているのでしょうか。イラク戦争に「参戦」した日本政府は、国内の日常生活をも「戦争モード」に変えようとしています。権力者に服従する「正常な市民」と「不審者」とに私たちを分断しようとしています。 この本は、こうした憲法状況を批判する闘いの本です。生きることとは闘うことであると私は思っています。 闘いの場を、このような形で提供してくださった社会批評社社長の小西誠さんに心から感謝します。 2005年9月17日 石埼 学 目 次 はじめに 第1章 新しい立憲主義のために 1 足踏みする「改憲」 2 もうひとつの憲法問題 3 暴力の噴出の「兆候」 4 立憲主義とは 5 立憲主義の歴史における「9条」の意義 6 「9条」のために 第2章 「憲法改正国民投票法」の基本原理 1 基本的な視点 2 国家権力統制手段としての憲法改正手続き 3 憲法改正権とは何か 4 憲法改正権の具体化 第3章 「国民保護体制」という虚妄 1 「有事」の定義から見える虚妄 2 「国民保護体制」構築から見える虚妄 3 具体化の段階で見えてくる虚妄 4 東京都の経過から見える虚妄 第4章 「生活安全条例」―安全格差社会という問題 1 「生活安全条例」とは何か 2 いくつかの「生活安全条例」から検討する 3 東京都安全・安心まちづくり条例の検討 第5章 言論弾圧に抗して 1 広がる言論弾圧 2 立川反戦ビラ入れ事件 3 表現の自由の大切さ 4 ビラの受け取りと拒否 5 ビラは迷惑か 6 「迷」「惑」な民主主義 第6章 「強者社会」の中での平和的生存権 1 9・11総選挙について 2 「正しい」原理を言明する人は誰か 3 何が「正しい」原理とされているのか 4 「正しい」原理を取り戻すために 第7章 立憲的不服従のために 1 困難な抵抗 2 立憲主義を支える個人像について 3 鶴見俊輔の「市民的不服従」 4 立憲的不服従へ |
|
93年初の海外旅行で兼初の海外ツーリングを果たした。翌年の目標はオーストラリアになった。どっちかというとオーストラリアの方が海外ツーリングの窓口は早かったのではないだろうか。とにかく大陸である。ヨーロッパもそうだけど、ただ広いところ、という感じのする国である。そう言うところをバイクで走るのはやはりライダーの本望である。 旅の事前に読んだ二冊を紹介。「恐るべき空白」は1860年、初の大陸南北縦断探検隊が出発。北の太平洋岸に到達する直前までいき、引き返したが、途中で遭難。アボリジニに助けられた1名を除いて全滅する話である。当時は、この程度でも宇宙旅行をするのと同じくらい覚悟が必要な旅だったのだ。現在でも、内陸にある道でも民家もスタンドもしばらくない一帯では予備のガソリンや搬送車でもないと遭難しかねない道があるそうだ。(そんなところにどうして道が..) 「熱風大陸」はその本に触発された椎名誠がやったオーストラリア旅行記。冒頭の方に「世界3大ブス大国」の一つはオーストラリアで、一位は文句なしでオランダだ、とかいう国際紛争になりかねない暴言が書いてあるが、私はそんなことはもちろん思いませんでした、ハイ。 ところで94年のオーストラリアツーリングはブリスベンを出発、4日間でケアンズに達してそこでバイクを乗り捨てた。東海岸は人口密度がもっとも高いところだそうだが、それでもスカスカ。街を出ると畑・森・草原、たまーに人家やスタンドがありまた畑・森・草原のひたすら繰り返し。何十キロも人家がない何てざらである。北海道どころではなかった。これで人口密度が一番高いのなら、内陸じゃ確かに遭難することもあるかもなあ、と思った次第であった。
|
|
石丸次郎氏はアジアプレス・インターナショナル 大阪オフィス代表である。このフリージャーナリストの集団に所属する吉田敏浩さんに自分の受けた弾圧について取材を受けて、岩波新書「ルポ 戦争協力拒否」のなかで取り上げてもらっている。イラク戦争報道での綿井健陽さんなどなかなか気鋭のジャーナしストを抱えたところでもある。石丸さんは数百人もの脱北者への聞き取りをベースにしながらこの2冊を書いた。 「北のサラムたち」(インフォバーン) 「北朝鮮難民」(講談社現代新書) 他に訳書に「涙で描いた祖国」(風媒社)がある。石丸さんの関連した著作では以上3冊に目を通している。 9/17日朝首脳会談後、人の薦めもあってまず目を通したのがこれらだった。石丸さん自身は会談後の講演の中で金正日体制下の抑圧のひどさは知ってはいても、拉致事件そのものには確信がなかったという。あまりにも荒唐無稽、と映ったからだろう。しかし、大量の脱北者からの聞き取りによる政治抑圧や、飢餓のひどさに関する記述は説得力がある。 脱北者をかれは「北朝鮮難民」と呼ぶ。国際的には脱北者は難民認定されてはいない。しかし、実際住むことができないほどの経済的な困窮・政治抑圧にさらされているわけでその難民認定を行うべきではないか。そのような主張に基づきこう呼ぶ。彼らも自分らが助かりたい一心で、大げさに誇張したり事実を歪曲したり、ということはあるそうだ。だから大量の聞き取りを行って、矛盾や事実関係の精査を行って真実の姿へたどり着くしかない。北朝鮮国内での開かれた取材が不可能ならこれ以外に方法がない。 これらの著作で出てくる公開処刑や強制収容所の実態は明白な人権侵害である。国際的に問題にされ是正されるべきだ。また、一方これらの問題を考える上で民族排外主義や差別主義にも陥ってはならない。右派からは平然とそうした主張が出てくる。石丸さんはかつて韓国にも留学、韓国内の民主化運動にも心を寄せていた。そんなリベラルなスタンスだから、拉致報道後のその危険性にも憂慮し、報道内容を批判する議員会館内での集会などにも関わったりしている。この問題をめぐってはジャーナリストの中でもっとも信頼できる人物だと思う。 なお以前紹介した辛淑玉さんの「鬼哭啾啾」の中でも彼は登場する。そもそも脱北者と彼女が会って話をするきっかけを作ったのも石丸さんだったそうだ。まだ拉致問題、朝鮮民主主義人民共和国について何も読んだことがない、というならまず彼の著作を推薦する。 |


