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様々な探査機が、太陽系内の惑星や衛星、小惑星へと飛び、地上の望遠鏡からは見えない表明の様子を間近に撮影して、私たちに送り届ける時代になりました。約50年前に、アメリカや旧ソビエト連邦が地球以外の天体、『月』へ着陸し表面の物質を持ち帰って地球の実験室に持ち帰ってきました。 日本は、初代「はやぶさ」探査機で、月以外の天体の表面から直接採取した物質を初めて地球に表面の物質を持ち帰った国になりました。そのはやぶさ探査機をさらに発展進化させた「はやぶさ2」が、現在小惑星りゅうぐうの表面の物質を採取し、さらに今度は、地中内部の物質を地球に持ち帰るべく奮闘中です。
はやぶさ2が小惑星りゅうぐうへの着陸後、上昇中に高度30メートルで撮影した小惑星の表面写真。今後さらに難易度の高い地中内部からのサンプル採集を目指す。
太陽系内の天体の直接探査が行われる時代になり、地上から天体を望遠鏡で観察するという行為が、ますます面白くなっていると感じます。
それは私たちの持っている小さな天体望遠鏡で見える月などの天体の姿と探査機が天体の間近で迫り撮影した驚くべき天体の姿をを見比べることができるようになったこと。私たちが直接歩き、見て触れることもできる地球上の地形や景色と、他の天体に着陸した探査機が撮影する、今まで未知の他天体の光景との対比が、新鮮な驚きと発見が満ちているからに他なりません。
Copyright: NASA/JPL
ミニバン程の大きさがある6輪駆動の火星探査車キュリオシティーが撮影した、火星の広漠としたパノラマ写真。もちろん木や動物の姿はない。僅かな大気と水の存在が確認されたことから、地中に始原的な生物がいるのではないかと期待する学者も沢山いる。ヨーロッパやアメリカは、近い将来、火星の地中に潜むかもしれない生命体を見つける探査車を火星に送り込む準備に余念がない。2020年代初頭から半ばには実現しそう。
Copyright: NASA/JPL
火星の地平線に沈む太陽。地球上で見られる夕焼けとは違い、太陽やその近辺の空は美しい青色に染まる。個人的には、この火星の赤い大地の青い夕焼けを、死ぬまでには見てみたいとも思うが.....
Copyright: ESA/NASA/JPL/University of Arizona
ヨーロッパ宇宙機関のホイヘンス着陸機が着陸へ向けてパラシュートで降下中に撮影した、土星の衛星タイタンの上空からのパノラマ画像。湖か海に面した土地に見える。地面には川がうねり、波打ち際ともみえる地形のようだ。一度行ってみたいとも思うが、マイナス200度近い極寒の世界と聞き行くきが失せてしまった。(笑)
いくつかの例を、さまざまな天体画像を見ながら考えていきましょう。 まずは、土星の衛星のタイタン。タイタンは太陽系の惑星のまわりを公転する衛星の中で二番目に大きな衛星で、分厚い大気をまとっています。その大気の底は、地球と同じように、山や谷や川や海があることが分かっています。分厚く霞んだ大気に覆われているため、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が着陸機を送り込むまで、その表面の様子はよく分かっていませんでしたが、着陸機が着陸に向けて降下する最中に上空から撮影した写真には、地球上にあるのとそっくりな地形が写っていたのです。
Copyright: ESA/NASA/JPL/University of Arizona
ホイヘンス着陸機が撮影した、干上がった河原のようなタイタンの地上写真。丸い石の形は、かつて河川の上流の岩が川に流されて転がるうちに丸くなったことを意味している。地球上の河原の丸石と同じ理屈だ。ちなみに撮影時の天候は曇り。マイナス180度 気圧約1.5気圧 湿度50%(とはいっても水ではない) 北北西の風 0.3m/sec
着陸後に送って来た画像も驚くべきものでした。川の流れに流されてきた河原の丸い石が沢山うつりこんでいたのです。近所の河原で見かけた景色そのものと言って良いでしょう。ただ地球と違うのは、気温でした。太陽から遠く離れたタイタンの気温は、マイナス190度。丸い石に見えたものは、花崗岩より硬く凍りついた氷。氷が地球上の石の代わりになっていました。そして地上には、その低い温度でも液体として存在できる液体メタンや液体エタンの雨がふり、その液体メタンやエタンが氷でできた地面で川の流れをつくり、山を削り谷を作って、そして液体メタンや液体エタンの海に注いで、そこから蒸発したエタンやメタンが雲を作り、液体メタンや液体エタンの雨を降らしていたのです。地球上で岩盤を形成するのは岩ですが、タイタンでは水が硬く凍った氷がその役目を果たし、地球上では水が担うことを液体エタンや液体メタンが担っている不思議な世界だったのです。
望遠鏡でとても表面が良く見える天体といえば月です。月を観察すると、沢山のクレーターに覆われている部分や、平な部分、山脈などの地形が見えます。地球で見たような地形もありますが、地上には少ししかないクレーターが沢山あったり、また水が流れてできた川のようなものは見えませんし、地球上の地形と比べるととても険しい地形が多いことにも気づきます。なぜでしょうか?そしてなぜこんなに沢山のクレーターがあるのでしょうか?
それには理由があります。地球や月ができた数十億年前は、沢山の小天体が太陽系内を飛び交っていましたから、そうした天体が月にも地球にもぶつかりました。地球上にも沢山のクレーターができました。月は地球の1/4しかない小さな天体だったので、表面に水が流れることも、海ができることもなく、また地球より小さいために、内部が冷えるのもはやく、早々に火山活動が収まってしまいました。そういうわけで、一度できたクレーターは、雨や風に晒されることもなく、侵食もされずそのまま表面に残りました。火山活動も早々に止まり、月の表面は太古よりそのままとなりました。一方地球はというと、大量の小天体が降り注いだ大昔には、一度表面は月とおなじようにクレーターで覆われましたが、雨や川の流れによる侵食や、火山活動や、プレート運動による表面の更新で、その時代のクレーターは全て消えてしまったのです。地球上に残っているクレーターは、いくつかありますが、ほとんどは、侵食や風化や地質活動により数万年から数十万年で消えてしまうのです。
Copyright: ESA/DLR
雲が掛かっている火星の表面。大気がある証拠でもある。
さらに他の天体に目を転じてみるとしましょう。たとえばヨーロッパ宇宙機関の火星探査機が撮影した火星の写真を見てみると、月ほど沢山のクレーターは無く、有っても形が崩れています。それは火星には大気があるので風化が進んでいるのです。またある時代には液体の水が存在したこともあり、干上がった川の跡が探査機からの写真に写っていたりします。そして現在は火山活動は止まってしまったようですが、巨大な火山や火山活動の跡が見つかっています。そうした侵食や風化、地質活動があったことにより、ちょうど月と地球の間の特徴を兼ね備えた地形となっているのです。
氷に満たされた火星のクレーター。美味しそうな外観である。シュガークラストのかかった有名パティシエ作のスイーツに見える。やはり月に見られるクレーターと比べると、侵食や風化の影響が見て取れる。
Copyright: NASA/JPL
火星のクレーター。薄いが大気がある火星は風化による侵食などで、クレーターの縁が崩れ堕ちている。中央に堆積した砂には砂丘が見える。この砂丘は、おそらくは風の産物だと思われる。 ウルフクリーククレーター、数万年前に落下した小天体によりできたクレーターです。オーストラリアのノーザンテリトリーの乾燥地帯にある。あと数万年もすれば、侵食や風化で消えてしまう運命だ。 Copyright: NASA/JPL
木星の衛星のイオは、木星の潮汐力で常に歪められ、その時内部に生じる熱が噴火のエネルギーの元になっている。衛星全体に火山が点在し、太陽系の星の中でも最も噴火活動が激しい。硫黄や硫黄化合物に覆われ溶けたチーズボールのような色合いが....食欲をそそる(笑)
地面は火山活動により常に更新されるため、クレーターは見当たらない。
Copyright: NASA/JPL
黒い噴煙を吹き上げるトリトンの火山。地球のように溶岩を吹き上げているのでなく、液体窒素を噴出する極寒の火山だ。カビたメロンパンのような外観が印象的だが、イオと同じく地面の更新がはやくクレーターは僅かしかない。
木星の衛星のイオや天王星の衛星のトリトンの表面には、ほとんどクレーターがありません。ごく薄い大気はありますが、表面を流れる水もないのに、クレーターはほとんど見当たらないのはなぜか?この二つの衛星は、火山活動や地質活動がとてもはげしく、その地表の更新がとても早いのです。クレーターができてもあっという間に、跡形も無くなってしまうほど激しい地質活動があると考えられています。
Copyright: NASA/JPL
個性的な木星の四つの衛星の姿。右からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。左の二つは、地質活動により地面の更新がはやく、ほとんどクレーターが見当たらない。右の二つの衛星の表面はクレーターだらけだ。火山活動や地質活動がほとんど無いか低調なため。イオを除く右側三つの衛星は表面の氷の下に液体の水の海があるようだ。火星とともに独自の生命体を育んでいる可能性もあり、詳しい探査が待たれている。 地上から天体望遠鏡で観察して、表明の地形が手に取るように分かる天体は月、おぼろげながら概略の表面の変化が見えるのは火星だけですが、これらの天体を望遠鏡で良く観察し、その地形のできた意味を考え、また地上の景色や地形を普段から良く観察し、色々考えて見ることは、探査機から送られてくる素晴らしい写真の数々を楽しみ、また望遠鏡での天体観測をより興味深く楽しくするためにも、とっても大事なことだったりするのです。 みなさんも、天体望遠鏡での星空観察をより楽しくするためにも、普段から観察力を発揮して宇宙を楽しんでみてくださいね!それは直接望遠鏡を覗いているときも、各国の宇宙探査機のサイトを覗いているときも、海や山へ出かけているときも、同じようにこれまで以上に好奇心をもって接してみてください。
普段見慣れている地上の景色さえも、今までとは違った視点で新しい発見があるはずです。
下記に世界各国の宇宙探査機のサイトへのリンクを貼っておきます。
さまざまな素晴らしい画像や動画を楽しめます。特にNASAは圧巻です。
●宇宙科学研究所
はやぶさ2
火星衛星探査計画(MMX)
水星探査計画(日本とヨーロッパの共同探査計画)
金星探査機あかつき
●ヨーロッパ宇宙機関
火星探査機 マーズ・エクスプレス
●米国NASA
米国版はやぶさ 小惑星探査機 オサイリス・レックス
土星探査機カッシーニ
火星探査車 キュリオシティ
火星探査機 インサイト
木星探査機 ジュノー
太陽探査機 パーカーソーラープローブ
冥王星&TNO天体探査機 ニュー・ホライズンズ
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2019年02月24日
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