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偶然だと思いますが、先週行われた
司法試験の公法系第1問(憲法)で
題材となった、タクシー事業者への許可
に関連する訴訟の仮処分決定が、
昨日(23日)、大阪地方裁判所で出されました。
タクシー業界は、規制緩和と強化の間を
行ったり来たりしており、
当初、行政側の裁量が広い認可制であったのが、
規制緩和の動きの中、槍玉にあがり、
一定基準さえ充たせば誰でも事業開始できて
運賃も自由に決めることができる許可制へ移行しました。
しかし、新規参入が増えた時期と
景気後退期が重なったことで、
競争激化・運転手の待遇低下を招き、
再度、「タクシー事業適正化・活性化
特別措置法」(今年1月に施行)によって
地域ごとの運賃の幅を定め、
その運賃幅を超えている業者(あまりに低額な業者)には
行政が運賃変更の勧告や命令を出すことができる
(従わない場合、最終的には事業許可の取消処分まで
下せる)、という制度が始まりました。
昨日、大阪地裁で下されたのは、
エムケイや、提携の個人タクシー事業者が、
国を被告として
運賃変更命令を出さないよう、
差止めを求める仮処分申請を行ったことに対し、
差止めを認める決定であり、
国が地域ごとに運賃幅を定める「制度」自体は
合憲であるが、近畿運輸局長が
定めた運賃幅は「事業者の利益を具体的に
斟酌しておらず、裁量権の範囲を超えている」
としました。
行き過ぎた裁量行政・護送船団的な行政指導
に対して、司法がストップをかけた、という点で
非常に意義があるな、と感じます。
その他は、水曜(21日)に出された、
2つの差止判決で、1つ目は、
大飯原発(敷地内を活断層が通っているか
議論になっている)の再稼働を認めない
として、福井地裁が下したもので、
関電(被告)が、冷
「却機能が失われる事態を
招く地震の規模は1260ガルを超えるケースであり、
そのような規模の地震はこの地域では起きない」
と主張したのに対し、
裁判所は、
「1260ガルを超える地震が来ない根拠はない」
「それより小さい地震でも、外部電源・給水が断たれる
危険性はある」と指摘して、
原発から250キロ圏内の住民には
具体的危険(原告適格を基礎づける法律上の利益)
がある、との判断を示しました。
2つ目は、厚木基地(海上自衛隊と米軍が共同使用)
の夜間・早朝における自衛隊機の飛行を
差し止める判決で、横浜地裁が下しました。
この訴訟は、1976年(私が生まれた年!)から
始まっており、過去、騒音被害について
損害賠償を認める判決は出ていたものの、
飛行差止めを認める行政訴訟は初めてで、
「自衛隊機運航に関する防衛相の権限行使」を
公権力の行使に該当するものとして、
差止め訴訟の対象にできる、とした点が画期的です。
実際上、自衛隊機はすでに周辺住民に配慮して、
夜間・早朝の発着は控えているところ、
米軍の飛行については行政も裁判所も関与できない
(一種の治外法権)となっていて、
住民の救済にはまだ不十分、という評価もありますが、
行政訴訟の本格的活用に道を開いた、といえます。
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