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今年の刑事系は、例年とは違いました。
第1問(刑法)は、
不真正不作為犯、さらに、
不作為犯に対する共犯(幇助か共同正犯か、の区別)、
第三者の過失行為が介在した場合の因果関係など、
総論の論点がメインで、
各論は、住居侵入罪&未成年者略取罪
という若干マイナーな犯罪で、
しかも、住居「侵入」の成否は、
別居中の妻が住み続けている部屋
(夫名義)に、夫が無断で作った合鍵で入った場合
に、住居侵入罪が成立するか、という
結論としては犯罪成立で争いはないものの、
理論的にどのように説明するか、
が保護法益との関係で問題となる論点でした。
平成22年(2010年)の刑事系第1問も、
それまでは財産犯の共犯処理がメインであったのが、
急に、総論の不真正不作為犯が出題されました。
(⇒その年の問題はこちら。
さらに、私がこのブログで書いた解説はこちら)
刑事系も、LECが発表しているコメント
特に書きたいことはないですが、
簡単に解説をしておきます。
例によって、判例も文献も見ていないので、
詳細な解説は、来月14日(時間は17:30〜)
に行われる分析会(by武山茂樹講師)へ起こしください。
※法務省発表の問題文はこちら
<第1問(刑法)>
不真正不作為犯の検討にあたっては、
作為義務の認定、特に、
殺意が生じた時期との関係で、
どの時点で、殺人罪の「実行行為」
(=作為との構成要件的同価値性)が認められるほどに、
為義務が差し迫ったものとなるか、
つまり、結果発生の危険性が高まっているか
を具体的に検討することが重要です。
問題文中に書かれている条件で、
①授乳等を一切行わずに24時間が経過すると
生命の危険が生じ、
②48時間を超えると、病院で適切な治療を受けさせない限り
延命が不可能となり、
③72時間を超えると、治療を受けても延命が不可能
とされているので、
7月1日の朝の授乳を最後に、48時間以上が経過した
7月3日昼の時点で、
脱水症状で体力消耗したAを病院へ連れていくべき
段階まで、作為義務のレベルが上がり、
「実行行為」性が肯定されるところ、
3日の夕方、甲が衰弱したAを見てかわいそうになり、
Aを殺害するのをやめようと考えて、
授乳を再開した行為について、中止犯の成否を検討すべきです。
結論としては、結果防止措置までは至っておらず、
「中止行為」として不十分で、中止犯は成立しません。
また、途中で、乙によるAの連れ出し(拐取)、
タクシー運転手の過失による脳挫傷が
介在行為として生じていますが、
問題文の最後に、「Aに適切な治療を受けさせたとしても
Aが助かる可能性はな」い、と書かれているので、
甲の行為(不作為)とA死亡との間の因果関係は
当然に肯定できるでしょう。
理由付けは、前田先生の3要件の総合考慮でもよいですし、
「危険の現実化」というマジックワードで
簡潔に認めても十分でしょう。
その他、丙については、正犯意思という主観面を
重視すれば、共同正犯になるでしょうし、
行為面を見ても、求めれている作為は
授乳(Aは市販のミルクは飲めない設定)ではなく、
病院へ連れて行くことであり、
丙にもその作為義務は認められるので、
幇助よりも共同正犯の認定にすべきです。
乙は、前述のように、
住居侵入罪と、親権者による未成年者略取罪
が問題となります。
乙の連れ出しは、甲の意思に反していますが、
甲はAを衰弱させているので、
その意思が刑法上の犯罪を成立させるほどに
保護すべきか、という微妙な問題は生じますが、
詳しく論じる時間はないでしょうし、
この時点では、結局Aを病院へ連れて行っても
延命の可能性はないことを指摘して
客観的にも、乙の連れ出し行為が正当化できない、
とすれば十分でしょう。
(結果無価値の立場からは、未成年者略取罪の成否に
あたって、乙の主観面を強調すべきではないでしょう)
<第2問(刑事訴訟法)>
続きはのちほど。
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