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今日(12日)付けの経済教室では、
住宅政策・都市再生を研究テーマとしている
平山洋介教授による論文が載っていました。
2000年代から、すでに景気後退・
非正規社員の増加などを原因として
パラサイト・シングル=若者が親と同居して未婚のまま
という現象は言われていましたが、
平山教授は「住宅・土地統計調査」から具体的な
データを示しています。
曰く、
25〜.34歳で新たに世帯主となった数は、
1994〜98年には101万世帯であったのに対し、
2009〜13年には66万世帯にすぎない。
(この間、少子化で若者人口も減っているが、
3分の2まで減るのはかなり急激)
さらに、25〜.34歳で新たに世帯を作った人が
その後、転居しているか否かも見ると、
1994〜98年には101万世帯のうち73%
(70万世帯以上)が転居したのに対し、
2009〜13年には66万世帯のうちわずか48%
(31万世帯)にすぎず、
この世代が親元から離れず、
仮に離れたとしても結婚をしていない
(結婚すると、多くの場合、転居を伴うはず)
という少子化の根本原因がデータ上も明らかになっています。
政府は、新・三本の矢の1つとして、
希望出生率1.8を実現、という数値目標
が言われていますが、
晩婚化・非婚化が今後ますます進行していくことを
考えると、結婚した夫婦が希望・理想とする
子供の数を可能とするような施策(保育園の整備、
子供の医療費・教育費への補助等)だけでは
人口1億人維持、という大きな目標には全く届かない
ことが明らかです。
安い賃料(都市部で月7万円未満)の物件を
整備すれば、若者が親元を離れて独立する、
という単純な構図ではないとは思いますが、
平山教授が指摘されている以下の3点は
外国との比較で日本の若者支援が不十分であることを
如実に示しており、もっと、多くの人が指摘すべきだと感じます。
①欧米では、大都市における低家賃住宅を
政府・自治体が公的賃貸住宅として
「非市場」的に提供するのが普通で、
2010〜11年のデータで、全賃貸住宅に占める
公的賃貸住宅はロンドンでは24%、
ニューヨークでは38%であるのに対し、東京は11%
②しかも、上記11%には社宅も含まれている。
高度成長期、そして80年代までは大企業を中心に
社宅が整備され、地方から上京して都市部で
大学に通っていた若者が卒業後にそのまま
低コストで都市部に住み続けることができた。
しかし、景気低迷の影響等で、社宅は急減し、
木造アパートなどの低家賃住宅も、
老朽化・劣化のために取り壊されている。
③東京都だけで借家世帯の統計データで
世帯年収別の世帯数を見ると、低所得側(500万円以下)
へ少しずつ傾いてきているのに、
月額家賃別の世帯数では、5万円未満の数が減って、
7万円以上の数が増えてきている。
収入と家賃を比べているので、インフレ・デフレの影響は
あまり受けないデータであるので、
収入が伸び悩む中、低家賃住宅の供給が減らされて、
可処分所得のうち家賃に占める割合が増えていて、
仮に子供がいた場合に、その子供を独立させる余裕はなく、
その子供の給料を一部、家に入れさせることで
何とか生活を維持できている、という状況が見えてきます。
従来、多くの政策は持ち家を促進するもので、
景気悪化時に住宅ローン減税を行なうとか、
エコポイントを住宅にも適用する等、
景気刺激策とセットになっていました。
しかし、長期的に見れば、
若者が早めに親元から独立していくことこそ、
消費を喚起する効果が高いので、
住宅政策が持ち家から賃貸(特に、若者向けの公的賃貸の拡充)
へ移行していくとよいな、と感じます。
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