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会計系資格とは、
公認会計士、税理士、簿記を指します。
法律系資格は
司法試験、弁理士、司法書士、行政書士などです。
 
受験生から見ると、
これらを両方目指す人はほぼ皆無なので、
「違い」を考える必要はないですが、
対策講座を提供する予備校の側から見ると
いくつか「違い」があります。
 
まず、法律系では、
1人の講師が試験科目全てを教えることが多く、
会計系では、
財務会計(簿記)、管理会計、監査などの科目ごとに
講師が分かれていることが多いです。
 
普通に考えると、
試験内容が高度化・複雑化した場合、
科目ごとに専門性を高めた人が
教えた方がよい、とも思えます。
 
しかし、試験合格を考えた場合、
ある期日までに、試験科目をバランスよく
勉強して、合格点を取るカリキュラムが求められます。
そして、科目ごとに講師が異なる場合、
それぞれの講師が個々人の考えで
受講生へ情報提供することを許すと、
合格に必要な情報をはるかに超える
量・深さが詰め込まれる危険性があります。
そこで、「この科目はここまでを教えて、
これ以上は教えない」という制限が厳しく
設定されます。
 
全ての試験科目を1人の講師が
教えるのであれば、
科目間のバランスは講師自らが調整できますし、
「あるべきバランス」は唯一絶対ではなく、
複数の考え方があり得るので、
講師の裁量が広くなります。
 
 
また、試験で問われる「正解」も
法律系と会計系では異なります。
法律系で論文試験が課される場合には、
唯一絶対の「正解」はありません。
論理的一貫性があれば、全く違う結論に至る答案でも
同様に高評価を得られますし、
判例に沿って書いていればOK、とは限りません。
 
短答(択一)試験メインであったとしても、
数値化された正解を導くことが多い
会計系の試験とは違います。
会計系は、ある一定の手順で解かないと
正解にたどり着けない、又は非常に時間がかかる、
ということが多いです。
講師がやるべきことは、
「この問題はこういう手順で考えるんだよ」
というマニュアルを教えることです。
 
前述のように、講師ごとの「個性」を出されると
科目間のバランスが崩れるので、
講師自身もマニュアルに縛られており、
そして、
講師が受講生に提供する内容も
マニュアル中心となります。
 
法律系では、短答(択一)で、
一定の手順が要求されることはありません。
旧司法試験の刑法のパズル問題は例外ですが、
現行の司法試験、予備試験、司法書士、
行政書士、弁理士、いずれのマークシート形式の問題も
肢のどれから読んでいっても正解できます。
「手順」を意識することは無いでしょう。
 
「手順」をマスターするためには、
問題演習の量を増やし、
スピードを速くすることが求められます。
テキストも、数学のチャート式参考書のように、
問題の解法が中心であり、
抽象的な説明は少なくなります(理論科目は例外です)。
 
文章で書かれているテキストは、
分かりやすく具体例を交えて、
アクセント(マーカーを塗ったり)つけて
講義する講師が解説してくれると、
「分かったつもり」になります。
これに対して、数字で唯一の正解を導く
問題演習が多く掲載されているテキストでは、
自力で正解を出すことができなければ
「実は分かっていないこと」がすぐに判明するので、
そのまま放っておくと脱落してしまいます。
 
そこで、講師が学校に常駐したり、
インターネットで24時間以内に応答したり、
時には、電話で質問を受けたりして
質問対応を充実させます。
 
これは、講師の「報酬」確保の面でも
好都合です。
全ての科目を1人が教えるのであれば、
年間を通じて講義があり、
講義だけである程度の報酬を稼ぐことができます
(ここでは、予備校の「専任」講師を想定)。
これに対して、
1つの科目しか教えることができない場合、
その講師が、テキスト制作や答練作成の能力を
持っていれば、講義が無い時間は
制作で稼ぐことができるので問題ないですが、
普通は制作能力を持っている人は希少なので、
講義が無い時間に何をして稼ぐか、
という問題が出てきます。
講師であれば、質問対応は誰でもできますから、
質問対応で一定の報酬が得られることは
講師にとっても好都合なのです
(会社としても、生活が保障されないと
 講師へのなり手が出てきませんから、
 人材確保上、必要な措置でもあります)。
 
ただ、質問対応を迅速に行うためには、
講師間で講義内容が統一化されている要請が
さらに高まることになり、
マニュアル化が加速することになります。
 
マニュアル化は、受講生にも講師にも良いこと、
と思われがちですが、
試験制度が変わったり、傾向が変わったり、
といった外部の変化に対応して
マニュアルを日々更新・変更する必要があり、
誰がこのアップデートを担当するのか、
という問題が生じます。
 
法律系では、講師自身が
本試験問題を見て、分析・研究して
補助レジュメを出したりして
微調整をしていくことになりますが、
会計系では、そのような講師の「個性」は
制限されることが多いので、
「中央集権」的に、マニュアルを改変する必要が生じます。
 
 
「中央集権」と書いたように、
科目ごとの中心となる講師が出現し、
「講師同士の勉強会」を立ち上げる場合があります。
「勉強会」というと聞こえは良いですが、
「派閥」としても機能するので、
学校の割り当てや講義時間の割り振りを
そのリーダー格の講師が取り仕切る、
という状況になる恐れもあります。
 
今まで述べたのは、受講生が目にする
「講師」の違いですが、
教材や模試の制作を合格者ないし
合格レベルの受験生に担当させてよいか、
という違いも大きいです。
法律系では、最終的には
講師や元裁判官などがチェックするとしても、
第一段階の制作物は、
直近の合格者ないし受験生が担当することが多いです。
 
これに対し、会計系では、
合格した直後の人が教材制作に関わることは少なく、
特に、受験経験者が受ける演習講座、
直前期の模試は、長年、1つの科目に関わり続けてきた
ベテラン講師が最初から制作し、
受験生はモニターとしてちぇっくする程度、
という関わり方が多いように思います。
 
講師が1つの科目に特化している、
という事情もありますが、
このような違いが生じる原因は、
「裏となる資料」の多寡だと考えています。
 
法律系では、多くの基本書(教科書)があり、
重要な判例(全科目あわせれば月に20件はあるでしょう)
の解説もあり、
これらを「裏」とすることで、
受験生でも(チームとなれば)、それなりの質の
問題を作成できます。
これに対し、会計系では、
管理会計の一分野を除き、
「学者」という存在が少なく、
「裏となる資料」もそれほど多くないので、
合格したての人や、まして受験生が制作すると、
かなり似通った問題になってしまって、
本試験とは程遠く、また、演習としても役立たないもの
となってしまうのではないか、と思います。
 
会計大学院があるから、そこの修了生なら
制作能力があるだろう、と思われるかもしれませんが、
現在、会計大学院は会計士試験とは全く
関係ないカリキュラムを提供しており、
そもそも試験対策の知識に欠けています。
 
以上、法律系資格の発想では
会計系資格の対策講座を
組むことは難しいな、と思う今日この頃です。

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