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地域によって発効日に差がありますが、
東京や大阪、名古屋などの大都市がある
都道府県では10月1日から最低賃金が引き上げられました。
東京都では従来の888円から19円アップの907円、
大阪府では20円アップの858円、
愛知県でも、同じく20円アップの820円です。
⇒都道府県別の詳しい最低賃金額はこちら
最低賃金を上げることは、予算を必要とせずに
広く一般国民(特に、バイトで働く低収入の人)からの
支持が得られるため、
政権の支持率アップとして使われることもあります。
今回は、デフレ経済からの脱却のために
政府が大企業に対してベースアップなどの賃上げを
求めていたことの延長、と言えます。
ただ、最低賃金を恣意的に動かすことは
労働市場を歪める恐れがある、として経済学者からは
批判がよくされます。
例えば、サービス産業の生産性分析で著名な
森川正之氏は「賃金構造の官民比較」というペーパーで
都道府県ごとに、民間企業と官公庁とで
どの程度の賃金格差があるか、を分析・発表しています。
⇒こちらからグラフを見ることができます
一都三県では官公庁と民間企業との間には
あまり差がないのに対し、
民間企業の賃金水準が低い地方では格差が大きく、
官公庁(県庁・市役所や、官庁の出先機関)の賃金が
相対的に高く、地方で公務員人気が高いことの要因にもなっています。
この話と最低賃金がどう繋がるか、というと
最低賃金の地域間格差は、ちょうど
官公庁の賃金の地域間格差に近い形になっていて、
東京などの大都市圏では、最低賃金は低すぎる
(最低賃金を大きく超える時給1200円くらいでないと
人が採用できない業種が多い)のに対して、
地方に行くと、実際には最低賃金よりも低い時給でも
応募はたくさん来るのに、
政府が安易に最低賃金を上げてしまっているので、
(民間から見ると相対的に)高い時給で人を採用せざるを得なくなり、
企業収益が低くなり、結果的に全体の民間求人が減ってしまうるか、
もしくは、個々の企業において
従業員の勤務時間を減らしたり、
より酷い場合には、サービス残業化して賃金不払いが生じる、
といった問題が生じていきます。
官民の地域間格差を考えると、
東京圏の最低賃金をもっと極端に上げる(時給1100円とか)か、
逆に、地方の最低賃金を極端に下げる(時給500円)か、
のいずれかの対応が合理的なことになりますが、
後者は、企業よりの政策であるとして国民から批判されて
支持率が低下しそうですし、
前者の場合、労働集約的な産業は東京圏から脱出せざるを得なくなり、
都市に集積するメリットが損なわれてしまう、
という問題もあります。
最低賃金はいったん決めてしまうと、
今回のように、ほぼ一律で20〜30円上げていく、
といった微調整しか出来ず、根本的な解決は難しいという点で
漸進的な改革しかできない、という規制改革の難しさを象徴しています。
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2015年10月01日
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