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司法試験

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いよいよ実務基礎へのコメントです。
今年は、民事において、
「XY間は贈与ではなく使用貸借であった」
との立場で準備書面を作成する、実務的な設問が出され、
刑事において、犯人性ではなく、
公判前整理手続きにおける証拠開示が問われました。
 
新しい傾向の問題となったので、
戸惑った方も多かったことと思います。
8月15日の午後2時から、3時間の講義で
水道橋本校にて「実務基礎・新傾向対策講座」
(受講料:5,400円)を実施します。
同時中継もしますので、東京におられない方も含めて、
予備試験受験生、さらには、法科大学院生にも
ぜひ受けて欲しい講座です。
⇒中継先など、詳しい情報はこちら
 
今年の問題の解説も行いつつ、
民事については、間接事実の評価が問われやすい分野を
刑事については、証人保護の諸手続きや
犯罪被害者支援の制度、訴訟遅延を防止する制度など、
普段の勉強では疎かになりがちな手続の中で、
最低限、ここは押さえるべき、というポイントを、
それぞれ解説していきます。
 
告知が長くなりましたが、以下、
簡単にコメントしていきます。
まず、問題文は法務省のサイトをご覧ください。
 
<民事>
設問1〜3は、要件事実の典型問題であり、
ここで確実に得点を稼ぐことが大事です。
設問1は、債権的登記請求権が訴訟物であるので、
登記請求を根拠づける債権の存在、すなわち
贈与契約の存在のみで足りる、という点を説明します。。
 
設問2は、短期取得時効の要件事実、という
典型問題です。
条文(162条2項)の各と要件を挙げた上で、
占有者は、所有の意思をもって、善意で、
平穏・公然に占有する者と推定される(186条1項)こと、
占有期間について、同条2項により、
始期と10年経過時の両時点での占有の事実を
主張すればよいこと、
そして、援用が要件事実として必要であることを
時効学説(不確定効果説の停止条件説)に基づいて説明します。
長々と書かずにコンパクトな論述ができるためには、
少なくとも一度は、この要件事実について
答案表現の練習をしておくことが必要だったでしょう。
 
設問3は、所有の意思がないこと、が抗弁になる、
という結論だけを書けばよいです。
 
本問で一番差が付いたのは、設問4でしょう。
これは、自己の立場(使用貸借)に有利な証拠を
挙げるだけでなく、
反対の立場(贈与)を推認させる間接事実への反論も
求められています。
 
登記済証は非常に重要な書類であり、
軽々しく、他人(息子であっても)に渡すものではないので、
なぜ保管させたのか、うまく理屈をつける必要があります。
Yの言い分としては、「旧建物を取り壊す際に保管を依頼した」
とのことですが、これをそのまま書くよりは、
ゆくゆくはXに相続させたいと思っていたので、
返却を求めなかった、という感じで、少しXに花を持たせる位は
した方がよいかな、と思います。
普通に考えると、建物取り壊しと、土地の登記済証は
無関係であるように感じられてしまうので。
 
自己の立場に有利な事実としては、
・贈与契約の書面がない
・所有権移転登記もない
・贈与税の申告もしていない
といった事実が挙げられます。
ただ、親子間という特殊事情があるので、
契約書面や移転登記の不存在が
それほど決定的な意味を持たない、とも言えますし、
親子間での土地贈与において
正直に贈与税を申告することが一般の人に
どれだけ期待できるか、という問題もあります。
実際、Xはそのように反論しているので、
この反論への再反論を書いていく必要があります。
本件土地(甲土地)の上には、3000万円もの
建設費用をかけて建物が建てられているので、
普通であれば、土地の占有権原を明らかにしておこうと
するのが(親子間であっても)自然であって、
仮に、本当に贈与であったのなら、
Xは一度くらいはYへ移転登記を求めたはずである、
という再反論が良いかな、と思います。
 
設問5は、依頼者意思の尊重・確認に欠けること、
そして、事件終了時に報酬についての十分な説明に
欠けること、を職務基本規程の条文を指摘しつつ
説明すれば十分です。
 
 
<刑事>
前述のように、今年は犯人性が出題されず、
事実認定の問題(設問3)としては、弁護人の立場から、
被告人Aが、強盗の共謀を基礎づける認識
(=Bがバットを持っていて、かつ、それを使って
被害者から財物を強取する予定であったこと、の認識)
に欠ける、という認定を、証拠に基づいて行う必要があり、
従来の、犯人性の論証とは真逆の立場が求められました。
 
設問1は、求釈明の条文上の根拠、
どのような事実について釈明を求めるか、
さらに、その理由、という3つを漏らさずに回答できたか、
が大事です。
本番で焦っていると、書き洩らしてしまうことも多いので
注意が必要です。
共謀について、起訴状段階(公訴事実の特定)では
その日時、成立過程を明らかにする必要はない、
というのが実務の扱いですが、弁護人としては、
どのようにして強盗が共謀されたのか、
詳細を明らかにせよ、という釈明は当然、行うべきです。
加えて、Bがバットを持っていたことをAが認識していた、
と起訴状にある点についても、いつ・どのように認識したのか、
を明らかにせよ、という釈明が考えられます。
 
設問2では、類型証拠という概念をある程度は
理解しておくことが前提として必要でした。
Vの供述録取書はすぐに思いつくと思いますが、
本事件の争点として、本当にVはバットで殴られたのか、
が問題になるので、客観証拠として、
医師の診断書、ないし医師の供述録取書も
証拠開示の対象として重要になります。
3つ挙げる必要があるので、残る1つは
Vが立ち会ったとされる実況見分調書が無難でしょう。
 
設問3は、AがBのバット所持を認識していなかった、
とする証拠を挙げていった上で、
さらに、Aには正犯意思がないことまで触れて、
強盗ではなく窃盗、
さらには、共同正犯ではなく幇助、
という主張をするのが弁護人です。
ここら辺の感覚は、二回試験では当然に求められますが、
予備試験レベルでは、単に、強盗を否定しただけで
満足してしまった受験生も多かったことと思います。
 
最後に、設問4だけ、検察官の立場として
行うべき訴訟手続きが問われています。
伝聞例外で、321条1項1号(裁判官面前調書)は
マイナーなので、本件のように、B自身が被告人となっている
法廷での証言を、共犯者が被告人となっている公判で
用いる、という場面を知らなかった人もいるかもしれません。
さらに、本件では、公判前整理手続きが絡んでいるので、
316条の32の「やむを得ない事由」が認められないから、
その書面の証拠調べ自体が認められない、との
弁護人からの反論も考えられます。
弁護人が反論してくることは、設問内で明示されているので、
会rに、316条の32を知らなくても、現場で
公判前整理手続の条文を調べていく粘り強さ(諦めの悪さ)
が大事です。
ただ、今回の実務起訴は、1問90分で解き切れるか、
という「時間」の制約も厳しかったので、
この設問4が時間不足になってしまった人も多いです。
ですので、結果的には、あまり差が付かない問題になっている
可能性もあります。
この点は、皆さんにご協力いただいた
「論点リサーチ」の結果も踏まえて、お盆の講座で話をします。
従来、一般教養科目は第三者の著作物が
引用されており、法務省のサイトで見ても
問題文の一部しか分からない状況でしたが、
今年は、「エリートの周流」論(ヴィルフレド・パレート)
及びドラッカーのポスト資本主義社会、
知識労働者・サービス労働者の説明を基に
<設問1>「学歴主義」が果たしてきた役割
<設問2>現代日本社会における「エリート」
について、短く論述することが求められました。
⇒問題文はこちら

日本では、「階級」というものがイメージしにくいですが、
大衆に対するエリート、という概念は
少数派(近代以前は王族・貴族、
産業革命・市民革命以後は資本家)の利益代表
として捉えることができます。
そして、現代では、知識(情報)の量・質ともに
飛躍的に増大し、多くの産業が知識産業化しているので、
抽象的概念を扱うことのできる能力が
ますます重要となっています。

「学歴主義」は、シグナリング理論の典型とされますが、
設問2のドラッカーの未来予測(観測)にあるように、
知識労働者の役割が重要となっている中、
現代のエリートは、多くの情報を取捨選択し、
分析・統合・活用(付加価値を生み出す)ための
学習経験を積む必要があり、
人的資本論としての高等教育がまさに必要となっています。

エリートの周流は、多数派が変わっていく社会、
すなわち、変化の激しい社会を前提にしています。
「学歴主義」が果たす役割は、
単なるシグナリングではなく、
変化を先読みして、次世代のエリートを作り上げていくこと、
として捉えると、設問1と2が繋がります。

さて、一般教養を先に書きましたが、
続けて、刑法、刑事訴訟法です。
⇒問題文はこちら

<刑法>
刑法各論、特に財産犯が問われており、
旧司法試験の第2問に近い出題形式です。
論点主義的にはなりますが、
構成要件の要素ごとに、問題となる点を
丁寧に指摘していくことが大事です。
例えば、甲の罪責だけでも
・密輸入された仏像が「財物」として
 刑法上の保護対象となるか
・どのような点で、Vの錯誤があるのか
・どの時点で「交付」が認められ、
 1項詐欺罪が既遂となるのはどの時点か
・2項強盗の「利得を得」といえるのか
・「暴行又は強迫」の意義
・240条後段は殺意ある場合を含むか
・殺意ある場合の未遂・既遂の判断基準
・Vがナイフを取り出しているので、
 甲の行為は正当防衛に当たらないか
・(乙に盗品等保管罪が成立する、とした場合)
 財産犯の本犯者に、盗品等の罪の教唆犯が成立するか
そして、最後に
・詐欺罪、盗品等保管罪の教唆犯と、
 強盗殺人未遂罪との罪数関係
という、10個もの論点が登場します。

<刑事訴訟法>
法制審議会が、
詐欺・横領、汚職事件などの経済犯罪、
覚せい剤や銃刀法違反などの組織的犯罪について
共犯者の犯行について自白した場合に
起訴の見送り、適用罰条を軽いものとする、
求刑を軽くする等の「見返り」を与える
司法取引の導入を検討しています。

本問は、贈賄側の建設会社社長に対して
「本当のことを話してほしい。
この部屋には君と私しかいない。
ここで君が話した内容は、供述調書にはしないし、
他の警察官や検察官には教えない。」
などと言って、供述を引き出した「約束による自白」の事例について
任意性に疑いのある供述として証拠能力が否定されるか否か
(自白法則)と、ICレコーダーでの録音という
伝聞該当性、秘密録音の問題が問われました。

司法の廉潔性をどこまで重視するか、
によって結論は変わるでしょうが、
警察官との「信頼」関係が出来上がっていれば、
この程度の約束でも、供述者には大きな利益誘導となりますし、
捜査官の誘導に乗って虚偽自白
(裏付け捜査を受ける可能性はない、と考えて
この場さえ乗り切れればよい、という気持ちになる)
をする危険性があり、さらに、
他の警察官には教えない、と言っていたくせに
黙って録音までしていた、という「不意打ち」性を加味して、
「任意性に疑いあり」とすべきだと考えます。
論文試験へのコメントの前に、
最近、気になった記事を。
 
総務省が今年度の情報通信白書
(⇒概要はこちら)において、
「ビッグデータ」を企業が活用したことにより、
平成24年に、全産業を合わせて
61兆円、売上高の押し上げ効果があった
と発表したそうです。
 
流通業(卸売業・小売業)だけでも
28兆円もの嵩上げがあった、
とのことですが、
流通業の売上は平成23年で134兆円にすぎない
(←経産省のデータより)ところ、
従来は埋没していた購買行動をデータ分析するだけで
売上が2割も増えるわけないだろ、とツッコミを入れたくなります。
山本一郎氏も同様の感想をブログで【悲報】として
書いており、我が国随一のシンクタンクである
官僚機構までもが、ICT産業の大風呂敷(口車)に
乗せられているかと思うと、暗澹たる気持ちです。
 
セブンイレブンの鈴木敏文氏がよく語っていますが、
POSデータを活用して単品発注する、という仕組みですら、
コンビニの競合他社で導入するには容易でなく
(卸との関係や、物流・配送の仕組みを変える必要がある)、
企業内のデータ取扱量が増えたからといって、
マーケットそのものが拡大するわけではなく、
普通に考えれば、他の店で買うはずだった人を
自分の店へ呼び込んだり、ネット経由で気軽に購入させたり、
といったゼロサムの状況が普通であり、
産業全体で売上の押し上げがあるとは思えません。

さて、前置きはこの程度にして、
昨日に引き続き、予備試験・論文式試験
民法・商法・民事訴訟法へのコメントです。
⇒問題文はこちら
 
<民法>
設問1は、
請負契約の瑕疵担保責任が問題になることさえ
気付けば、それほど難しくはなかったでしょう。
 
本件のような注文者Aの意向から見れば、
耐火性・防水性の性能が同一であっても、
手触り・光沢が異なることは「瑕疵」として評価できます。
 
そして、敷地内に積み上げられたタイルについて
Aが請負人Cに対して、色合いが違うのでは、
と問い合わせてもいるので、636条の、
「仕事の目的物の瑕疵が…注文者の与えた指図によって
生じた」とは言えないので、Cは免責されない
という点まで配慮しましょう。
 
設問2は、債務不履行の3類型のいずれで
法律構成するか、がポイントです。
事案の7で、「3か月以内に」工事を完成させるよう
請求、とあり、事実の8では
その3か月が経過しても
Cは工事に全く着手しなかった、とあるので、
履行遅滞で構成すべきでしょう。
債務不履行は認定できますが、問題は
損害があるのか否か、という点です。
 
B邸と同じような外観の家に住みたい、
というAの願いがCの債務不履行によって
不可能になった、という気持ちの問題だけを
考えると、慰謝料相当額だけ、となりそうですが、
不動産の売却時期を自ら決めることができず、
売らざるを得ない状況に追い込まれた点に
経済的損害を認定することも可能でしょう。
 
<商法>
設問1は、利益相反取引
設問2は、募集株式発行の無効事由
という典型論点でした。
 
BはX会社の取締役であるので、
もし、BがY会社の代取でもあったなら
直接取引に該当します。
しかし、BはY社の創業者で、かつ
9割の株式を保有しているものの、
平取締役であるので、形式的には
利益相反に当たらないことになります。
この原則論を指摘した上で、
実質的な利益相反性を論じる、
という「順序」を守ることを心掛けましょう。
 
無効事由の論証においては、
特に有利な払込価額での発行を
総会の特別決議事項としている趣旨と、
既存株主の不利益は取締役への
損害賠償請求で治癒できる点を書けばよいでしょう。
 
<民事訴訟法>
建物所有者に対する建物収去土地明渡請求訴訟
において、家屋の賃借人が登場し、
その占有者を被告とする建物退去請求訴訟を
追加する方式は、
別訴提起して併合審理を申し立てるか、
もしくは、主観的追加的併合(最高裁は否定)を
申し立てるか、という論点です。  
 
設問2では、Wの参加方法として
Yの側に参加する参加承継だけでなく、
三面訴訟となる独立当事者参加もあり得ること
に気付けるか否かがポイントです。
昨日(17日)は、最高裁第1小法廷が、
DNA鑑定で親子関係が否定されていても、
民法772条の嫡出推定は及ぶ、
との判断が示されました。
賛成3人、反対が2人(両方とも裁判官出身)という
微妙な、ギリギリの判断となりました。
 
原審となっている2件とも、
北海道訴訟は離婚が成立、関西訴訟の夫婦は別居中で、
いずれも子は母と生物学上の父とともに暮らしているそうなので、
法律上(戸籍上)だけ、元の夫が父親であるのは不自然なので、
DNA鑑定によって嫡出推定はくつがえる
(夫が服役中・単身赴任中の懐胎のように「推定が及ばない」とする)
と解釈すべき、と個人的には思いますが、
このような判決を下すと、DNA鑑定を推奨する結果となり、
さらには、技術の発達によって条文の運用が大幅に変わることを是認し、
実質的な立法を最高裁が行なってしまう、という問題もあります。
 
裁判官出身の2人が、DNA鑑定を優先すべき、としたのは、
社会(科学技術)の変化を踏まえて、
最高裁が積極的に動いて問題解決すべき、と考えたから、
とも言えます。
民法の規定を重視して、
「親子関係に関する規律は国の基本的な枠組みに関する問題であり、
旧来の規定が社会の実情に沿わなくなっているのであれば、
立法政策の問題として検討されるべき」とした
桜井龍子裁判官(行政官出身)や
「法解釈で対応できないような新たな規範を作るのであれば、
国民の中で十分議論した上で立法をするほかない」とした
山浦善樹裁判官(弁護士出身)は、
司法の役割について謙抑的でした。
 
また、昨日は、ベネッセの個人情報漏洩について
実行犯とされる人物が逮捕されました。
不正競争防止法違反で刑事罰もあり得る、
ということを40歳近くにもなる人(しかも、SEのリーダー的存在)が
知らなかった(少なくとも、行動の歯止めにならなかった)のは
驚きではあります。
 
弊社にとっても他人事ではないので、
どういう経緯で漏洩したのか、を早急に明らかにして、
システム会社でのセキュリティレベルの向上も
至急、進めていく必要を感じます。
 
国内では、父子関係を巡る最高裁判決&
不正競争防止法違反での逮捕、と
「法律」関連の事件がありましたが、
もう1つ、国外では、ウクライナ東部で
マレーシア航空機(民間機)が撃墜されるニュースがありました
親露派が軍用機と間違えてミサイルを発射したのではないか、
との報道があり、ロシアと諸外国との対立が再燃しそうな
危険な雰囲気を感じます。
 
 
さて、前置きが長くなりましたが、
タイトルにあるように、今日から4日間連続で、
7/12・13に実施された予備試験論文式の講評をしていきます。
 
今月末から、LECでは徹底検証会を実施しますし、
お盆期間の8/15(金)には、傾向が大きく変わった
実務基礎科目について、今後の勉強の仕方について
3時間ほどで有料講座も開講する予定です(私が講義をします)。
 
この記事では、簡単なコメントをしていきます。
まず、憲法・行政法の問題文はこちら
 
<憲法>
地元の商店街と、ショッピングセンター等の大型店との対立、
を憲法問題で扱うとどうなるか、
という点では面白かったですが、
設定には色々と疑問があります。
 
商店会への加入義務を制定する条例は
実際に存在するのかもしれませんが、
売上高に応じた会費設定は既存会員も納得しないはずです。
電気製品や宝石などを売っているお店と、
日用品・食品・文具などを売っているお店では、
「売上(客単価)」は全く異なるので、
会費負担が変わってくることになりますが、
売上が多いか少ないか、と儲かっているか(利益)は別問題です。
 
そもそも売上高の把握は、
税務申告を基に行なうのだと思いますが、
税務申告の情報を、国税庁から地方自治体へそのまま
転送してよいのか、という点も疑問なので、
この制度を運用するためには、各店舗に自主的に
売上高を申告させる必要が生じてしまいます。
 
この問題の狙いは、憲法21条1項の
加入しない自由を論じさせることにありますが、
この自由への制約を、
経済的側面とは区別された、会社の理念・意思決定
と関連させて論じるべきです。
 
それぞれのビジネスに、業界団体が存在しますが、
業界団体に入ることは、会費負担とともに、
その団体の意思決定に拘束されることを意味します。
例えば、商店会の加盟店は
・地域の高齢者や子供への配慮
・地域のお祭り等に連動したイベント
・街路灯やネオンサインの設置
への協力を強制されることになるところ、
C社(B店)の経営方針と矛盾する部分が出てくる、
といった話を書かないと、
「結局、会費を払うのが嫌だから
商店会に入りたくないのであって、
問題となる人権は、C社の営業の自由にすぎない」
という反論に勝てなくなってしまいます。
 
この文脈で言うと、
大型店の存在は、幹線道路を自動車で来るお客さんを
主なターゲットとしているのであって、
駅からの歩行者、地域居住者をターゲットとする
商店街の活性化は、
大型店にとって、それほど必要性が高くないし、
それほど恩恵を受けているわけではない、
という「本音」をうまく表現する必要があると思います。
 
<行政法>
複数の法律構成、個別法の解釈があり得る中で、
いずれの主張が当事者にとって有利か
を検討する問題は、実務的であり、良問でした。
 
従来は、行政事件訴訟法の訴訟形態、
訴訟要件の理解を試す出題が大半でしたが、
本問は、行政手続法や、
地方自治法238条の4第7項
(行政財産の使用許可)の趣旨など、
論点の幅が広がりました。
個別法の解釈はそれほど難しいことが
要求されているわけではありませんが、
70分という時間内では非常に難しかったでしょう。
 
設問1の、申請に対する応答と不利益処分との違い、
取消訴訟だけで済むか、それとも
義務付け訴訟を併合提起するか、という話と
設問2の、裁量の広狭の話が書けていれば、
個別法の解釈や、
個別的事情のあてはめ
 =①Cが魚市場の近くで飲食店を経営してきたことが、
   法1条の定める「水産業の健全な発展」に寄与してきたこと
  ②魚市場が縮小、廃止となって、関係施設も撤去された後、
   Cが一般利用者をターゲットとしていること
  ③事情変化によって、Cの立場が変わったこと
などがうまく書けなくても差はつかないと思います。

1000件目・関心事3つ

ちょうどワールドカップの決勝が早朝
行われ、ドイツの決勝ゴールは見ることができました。
左サイドを突破したアンドレ・シュールレは23歳、
そのパスを受けて、ボレーシュートを決めた
マリオ・ゲッツェは22歳。
西・東ドイツ統一後に生まれた世代が世界で活躍しています。
日本で言うと、「平成」世代、とほぼ同じです。
 
また、昨日は滋賀県知事選挙があり、
嘉田由紀子現知事が後継として指名した
三日月大造氏(前民主党衆議院議員)が当選しました。
自民党・公明党が支持した候補(元経済産業省官僚)
が敗れたことで、
安倍政権の原発再稼働に向けた動きに支障が出ることや、
10月の福島県知事選挙、11月の沖縄県知事選挙への影響も
言われております。
地方選挙で現職の声が強いので、順当とも言えますが、
集団的自衛権の閣議決定も多少は影響したでしょうし、
中央で保守的な意見が強くなると、
地方では、リベラル系の首長が出る、という流れは
変わらないな、と感じます。
 
さて、この記事で1000件目ですので、
関心事について、3つほど書いてみます。
1つ目は、科学技術や社会制度、人々の意識が
「教育ビジネス」へどのような影響を与えるか、です。
<教育>と<ビジネス>の1つずつを見ても
大きな影響・改革が進行しています。
安倍政権になって以降、大学入試改革や
グローバル人材育成、職業教育などの経済界からの要請に
応えた改革が急速に進み、
初等教育においても、道徳教育の推進、
教育委員会に首長の意向を反映させる等、
中央集権的な改革が進みつつあります。
中高生については、二極化が進み、
海外も含めた難関大学を早期に目指す層と
個別指導塾による底上げ層との断絶が深くなっています。
そして、デジタル化・ソーシャル化・クラウド化が
コンテンツビジネス、労働集約産業へ与える影響も
同時に考える必要があります。
 
2つ目は、冒頭のワールドカップの話とも絡みますが、
今の20代(1989年の冷戦終結後に生まれ、
物心ついた時点ですでにパソコンが普及していて、
思春期にはすでに携帯もSNSもあり、
エンタメの需要もデジタルで行ってきた世代)
が、雇用(労働)や消費(産業)、
さらには政治(選挙)や社会(コミュニティ形成)
へどのような影響を与えていくのか、という点です。
「コミュニティ」について言えば、20代・30代で
都心から地方へIターンして、農業に従事する人が
確実に増えています。
その地域に古くからいる70代以上(エルダーズ)と
若年層とをうまく繋ぐ役割が、アラフォー世代に
要求されているように思います。
 
3つ目は科学技術の進歩について、です。
民間が新たな発想でロケット開発を行い、
その技術が、より低燃費の飛行機開発にも
つながるのではないか、と見ています。
様々な電子機器がインターネットにつながること(IoT)は
乗っ取り・不正アクセスの危険性はあるものの、
車の自動運転(事故回避)や、
日々の健康管理(高齢者の見守りだけでなく、
健常者も身に付けている端末で日常的に診断できる)など、
応用範囲は広いと思います。
遺伝子の分野も日進月歩で、DNA診断はより安価で、
より確実なものとなるでしょうし、
オーダーメイド的な、患者の体質に合った投薬によって
内科のカバーできる範囲が広がるでしょうし、
ナノロボットを呑みこんで体内で手術、というSF的なことも
あと10年ほどで可能になるでしょう。
シンギュラリティ(Technological Singularity)についても
私は楽観派で、人工知能の暴走や、「新」人類との対決ではなく、
革新性(競争)と平等性(不公平の是正)を両立できる 、
GDP以外の、精神的充足や「幸福度」、個々人の成長(達成感)などの
精神面を盛り込んだ指標に基づく経済制度(資本主義を超える、次のもの)
を実現するに、そういった知能が活用されるものと信じています。
 
以上、関心事を書いてみましたが、
これらが実現されるまでは、この記事を続けていたいものです。
 
※明日の記事から、予備試験・論文式試験の簡単なコメントを書きます。
 LECのサイトでは、17日(木)から論点リサーチを始めます。
 その論点リサーチのチェックもしつつ、感想をこの記事で書きます。

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