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裁判所の逆襲

「1人別枠方式」が違憲無効であるとして、
公職選挙法の選挙区割り規定に対して
明確に改正を求めていた最高裁判決が出たのが
2011年3月。
 
震災の混乱がまだ続いている中で
最高裁が粛々と判決を下したのは、
遅くとも2013年夏までに次の衆院選が予定されているところ、
次の衆院選までには選挙区割りを
抜本的に改善し、少なくとも
「一票の価値」の不均衡が
2009年(最大2.30倍)より小さくなるようにしろ、
という明確な意思があったことと思います。
 
衆参のねじれや、震災復興の法整備、
原発事故の原因調査など
国会が選挙制度の抜本改正に入ることのできない
外部要因はいくつかあった思いますが、
結果論として、2012年12月に
現状の選挙区割りのまま衆院選が実行され、
一票の格差は2.43倍に拡大しました。
 
「政治は結果が全て」という言葉をよく聞きますが、
結果として1年半以上、立法不作為が
あったわけで、国会はその責任を負うべきです。
 
昨日(3月25日)、広島高裁が
広島1区・2区の選挙結果を無効とする判決
(ただし、11月27日まで無効の効力は生じない、
という停止期限付き)を下し、
本日、広島高裁岡山支部は
岡山2区の選挙結果を無効とする判決を
下しました。
昨日の広島高裁は事情判決を下さなかった理由として
1票の格差は広がっており、
最高裁の違憲審査権が軽視されている
と述べたそうですが、まさにその通りだと思います。
 
この判決に対して、ある国会議員が
「国会の独立性を揺るがしかねない」
と発言していましたが、
三権分立で、裁判所には憲法に違反する
立法(不作為も含む)の効力を否定する権限が
認められている以上、
この文脈で「独立性」という言葉を使うのは変です。
わが国の三権分立は、
国会(議会)優位ではなく、
アメリカ型の、裁判所が違憲審査権を有する
三権均衡型です。
 
もちろん、選挙管理委員会は
最高裁へ控訴して、
「選挙区割りの抜本改正するための期間としては短すぎた
(=合理的期間はまだ経過していない)」
「仮に、違憲となるとしても、国政への影響を鑑み、
事情判決にとどめるべき」
と主張するのでしょうが、
1年9ヶ月(法案成立から区割り実施までの
準備期間を半年見たとしても1年3ヶ月)もあれば、
十分に改正できる、という判断が「一般人」感覚でしょう。
 
選挙を再度実施すればお金はかかりますが、
これも一種の「公共事業」のようなものだと考えて、
すぐに1人別枠方式を廃止し、
選挙区割りを参院分も含めて一気にやり直し、
夏に衆参ダブル選挙を実施、
というのが「決められる政治」「スピード感のある政治」
だと思います。

「元」少年

最高裁は、20日、山口県光市で
当時18歳1ヶ月の少年が母子2人を
殺害した事件で、広島高裁の死刑判決を維持する
上告棄却の判決を下しました。
→判例紹介のページはこちら
 
様々な反応があったので、
書きとめておきたいと思います。
 
まずは、日本弁護士連合会。
「少年に対する死刑は廃止」を主張している以上、
(人権擁護大会での採択があります)
仕方ないことではありますが、
本件の事案についても、
会長声明として、死刑判決を確定させることは
遺憾である、という内容が
判決当日に発表されました。
→会長声明はこちら
 
宇都宮会長は、
2月の会長選挙で次点となり、
3月に決戦投票を待つ身ではありますが、
3月末までは「会長」です。
友人の弁護士は、こういう声明が出されると、
弁護士は全員、光市の事件で死刑反対なのかと
誤解される、とFacebookでつぶやいていましたが、
私としては、
こういう声明も一種の選挙対策か、
と感じてしまったりしました。
 
 
さて、この事件は1999年に起きたもので、
被告人は、すでに30歳です。
「元」少年、という不思議な呼ばれ方をしていましたが、
それは、無期懲役の場合、
最終的には出所となる可能性が高く、
少年法の趣旨から、実名報道が控えられてきた、
という事情があります。
 
最高裁が死刑判決を維持し、確定したことで、
社会復帰の可能性・更生の機会は
事実上途絶えたことを理由として、
いくつかの新聞では、実名が報道されました。
 
朝日新聞などは、思想的な立ち位置からは、
匿名報道を維持しそうに思えますが、
「国家によって生命を奪われる者は実名を
明らかにされているべきだ」という理由で
実名報道に切り替えていました。
こういう発想は「朝日」らしい、です。
 
ネットはもちろん、テレビでも、
顔写真が堂々と出るようになりました。
 
 
最後に、被害者の夫・父親の本村さんの会見で、
この事件が契機となって、
被告人側の権利だけでなく、
被害者の権利にも配慮がされるようになったことを
「歴史的意義」(こういう言葉は使っていなかったと思いますが)
として述べていたことが印象に残りました。
 
弁護士の中にも、
被害者支援で頑張っている方がいます。
本村さんは「あすの会」の活動に参加していました。
 
13年、という年月は、
裁判員裁判が導入された今となっては
あり得ないわけですが、
これだけの時間をかけたことが、
被害者遺族はもちろん、
司法制度に関わる人(裁判官、検察官、弁護士)、
そして、私たち全員に
何らかのメッセージを残していくのだ、と感じます。
被告人は、はたして、13年の中で
何を感じたのか、という点が残された疑問(課題)
ですが、これは謎として残ってしまうのでしょう。

規正法違反で有罪判決

100%控訴されることが分かっている判決を
書く裁判官の気持ちはどういうものだろう。
 
今回の有罪判決のニュースを聞いた瞬間に
感じた感想は、
 
「疑わしきは被告人の有利に」とか言うが、
どうせ自分が出した判決が最終結論ではなく、
高裁や最高裁でひっくり返ることもあるのだから、
自分の「感覚」に正直に判決に書いてやろう、
と思う方が自然かな
 
というものです。
 
弁護人にしてみると、
自白調書の任意性を否定し、証拠能力を否定すれば、
状況証拠だけで有罪になることはないだろう、
という「戦略」で、
取調べ中に録音機を持ち込んで検事の「失言」を
ゲットする「戦術」での勝利をしたのに、
裁判所は、ストーリーの自然さ、
他の証拠との整合性を重視した、
、という「不意打ち」にやられた、といったところでしょうか。
 
取調べの可視化、が話題になっている中、
自白調書の証拠能力が否定されても、
状況証拠だけで有罪にすることは十分可能ですよ、
というメッセージを裁判所が発したことは、
自白偏重の捜査・裁判を是正するためには
良い方向だと思います。
 
とはいえ、政治的には、
自民党・公明党が石川議員の辞職勧告決議を
提出するだろう、という話になっており、
復興のための補正予算や財源確保の
国会審議がまた止まってしまう、
という「政争」を生む結果にはなりそうです。
 
 
修習時代に刑事弁護の研修所教官
(普段は企業法務をメインとしている弁護士)から
言われたアドバイスを思い出しました。
 
刑事弁護は、検察官の提出した証拠を
不同意にしたり、信用性が無いと言ったり、
という「消極的」な活動だけでは不十分。
検察官が作っているストーリーを支える客観証拠を
冷静に捉え、それらの客観証拠を(一応)説明できる、
別のストーリーを考え出し、裁判所へ提示できないと
0.01%の無罪判決は望めない。
「こんなことがあったかもしれない」と裁判官に思わせる、
ある種、作家的な能力が要求される。
 
 
ぜひ、島田荘司氏に「三浦和義事件」に続き、
「陸山会事件」を書き上げて欲しいものです。

最高裁は粛々と

大地震が無かったら、もっと注目を集めていた
と思われる事件は、ここ2週間で数多くありますが、
24日に、最高裁が、
2009年の衆議院選挙について、
1票の価値が最大2.30倍になっていたことを
「違憲状態」である、と判断したことは、
画期的な判決でした。
⇒判決全文はこちら
 (PDFで44ページもありますが、
 13〜15pは、政党からの立候補者の方が
 選挙運動の面で優遇されている、
 という論点に関する判断で、
 15p以降、補足意見・反対意見が掲載されているので、
 「1票の価値」に関する最高裁(多数意見)の判断は
 12ページ目までを読めば、一応OKです)
 
小選挙区制が導入されたのが1994年で、
その際に、制度の導入をスムーズにするための
経過措置として導入されていた
「1人別枠方式」が違憲である、との判断を示した点が
特徴的ではありますが、
2倍未満であれば合憲、としているので、
1.1倍を超えたら違憲、といった極端な考えに
立っているわけではないので、注意しましょう。
 
ちなみに、「1人別枠方式」とは、
小選挙区の定数300のうち、
まず、各都道府県に予め定数1を割り振り、
300から47(都道府県)を控除した253を
人口に比例して各都道府県に配当する、という
選挙区割りの方法を指します。
 
1994年の小選挙区制導入当時は、
この方式にも合理性があったものの、
 
新しい選挙制度が定着し、安定した運用がされる段階
 
に至れば、合理性は失われる、としました。
 
そして、
①1996年の、小選挙区制の下での初選挙
 から10年以上が経過したことや、
②2000年の国勢調査結果を踏まえた選挙区の改定が行われ、
 改定後の選挙区の下で2回の総選挙が実施されていたこと、
③2005年の国勢調査結果を踏まえて
 見直しの検討がされたこと(結局、改定はされなかった)
④格差が最大で2.304倍に達し、較差2倍以上の
 選挙区の数が増加し、1人別枠方式がこのような格差の
 主要な要因となっていたこと
等の事情から、
本件選挙制度は定着し、安定した運用がされるように
なっていたと評価することができる、との判断を示し、
さらに、格差が最大で2.304倍に達し、
較差2倍以上の選挙区の数が増加し、
1人別枠方式が格差の主要な要因であることからも、
1人別枠方式の合理性は失われた、と評価しました。
 
※ これに対し、2005年の衆議院議員選挙を
 合憲とした2007年の判例については、
 1996年の、小選挙区制の下での初選挙から10年未満であったこと、
 2005年の国勢調査が行われていない段階であったこと、
 を根拠として、1人別枠方式には合理性があった、としています。
 
 
1票の格差自体について言えば、
区画審設置法3条1項が、
 
選挙区間の人口の最大較差が2倍未満に
なるように区割りをすることを基本とすべき
 
としている点について、
これは、投票価値の平等に配慮した合理的な基準
を定めたものということができる
 
との判断を示しています。
 
なお、「違憲状態」という言い方になっているのは、
2007年に「1人別枠方式」も含めて合憲判決が出ていたことから、
2009年までに制度改正(「1人別枠方式」の廃止)をしていなかったことは
合理的期間を経過したとは言えない、という論法です。

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