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安保法制の審議によって、様々な法案の審議に
支障が生じてしまい、
民法改正案や、ホワイトカラー・エクゼンプション法案も
臨時国会へ持ち越しとなりました。

その他、労働者派遣法も当初9月1日が
施行日となっていて、6月に衆議院を通過したものの、
参議院での審議が遅れてしまい、
昨日、施行日を9月30日として可決され、
施行日が変更になったために、
再度、衆議院での議決が必要となっています。

今回の改正は、
①専門26業務で働いている派遣スタッフ
②それ以外の業務で働いている派遣スタッフ
の双方から批判があります。

①にとっては、従来は期間制限なく
派遣で働き続けることができたのに、
改正後は、3年を過ぎると人を交代する必要があるため、
雇止めとなるリスクが生じる、という点で
派遣スタッフにとっては不利益な改正案になっています。

派遣会社には、派遣先に対して、
そのスタッフを正社員として雇用してもらうよう
依頼する義務を負うものの、派遣先としては雇用義務はなく、
派遣先が拒否した場合、他の職場へ移ることになります。

②にとっては期間制限がなくなって、かつ
正社員として雇用される道もできたので、
有利な方向であるかのように思えますが、
解雇規制が厳しい現状の労働法制では、
派遣先が正社員雇用する基準は相当に高く、
実際上、派遣先を3年ごとに移りながら
ずっと派遣スタッフとして働く、という点で
現状とあまり変わりがないのでしょう。

1日の日経新聞で報じられていた調査でも、
改正案の内容について、ある程度でも「知っている」
としたのは6割弱であるのに、
「反対」「どちらかといえば反対」が7割弱
という結果になっています。
内容はよく分からないが、自分たちの地位向上には
役立たないように感じる、というイメージでの評価になっています。

記事の最後で書かれていたように、
正社員になりたい、というスタッフの要望に対して
改正案が不十分であることが反対理由になっているのに、
スキルアップのための具体的な行動を
起こしている人は少ない、というのも問題です。

調査によると、日々心掛けていることは
「日々の仕事をより上手に早くできるよう努力」
「求人情報を細かくチェック」といったもので、
勉強したいと思う分野も
英語やエクセル・ワードといった一般的なものに
留まっています。
今日、8月12日は日航機123便が
御巣鷹山に墜落してから、ちょうど30年です。
4名の奇跡的生存者を除き、520名もの
乗員・乗客が犠牲となり、単独の飛行機事故としては
史上最多、という記録になっています。

とはいえ、平成生まれの世代にとっては
自分が生まれる前の出来事であり、
映画や小説で目にするような
遠い過去の事故、という捉え方かもしれません。

この事故が契機となって、
被害者の会が本格的に活動を開始し、
日航機事故はもちろん、その後に起きた
JR西日本・福知山線の脱線事故
(こちらも、今年で10年)や
明石市の花火大会の際に起きた歩道橋上の
群集事故などにおける遺族とも連携し、
事故の原因・真相を知ろうとする努力をサポートし、
慰め合い、悲しみを和らげていく努力をしてきています。
⇒詳しくは8.12連絡会のHP


さて、話は変わりますが、高齢化社会、
特に都市部で急激に増える75歳の介護問題の解決と、
地方創生を一気に実現する政策として
日本版CCRCが提唱されています。
(まち・ひと・しごと創生本部の中に、
 有識者会議が設けられています)

「日本版」というように、もともとは
アメリカで行なわれているもので、
アメリカでは、大学が拠点となることが多く、
全米2000箇所で計75万人が
健康なうちに移住して、地域の社会貢献活動や
生涯学習に取り組みながら、老後まで暮らし続けています。

日本でも、大学を巻き込んで
受け入れを検討し始めている自治体が出てきています。
例えば、新潟県魚沼市では、
国際大学と協力して、高齢者400人(200世帯)が
居住できる街区を整備し、大学の留学生と交流してもらう
計画を作っています。

実際にこの計画を進めるためには、
・都市部で所有している持ち家を処分できるのか
 (中古住宅の流通市場を作る必要性)
・移住先で、地域に関わる仕事(必ずしも給与は出ない)
 があるのか
・大学が高齢者を受け入れる場合、公開講座のような扱いか、
 それとも、正規カリキュラムを受けさせるのか
等々、様々な問題が生じます。

自治体が音頭を取っていく点では総務省が、
移住先の自治体が介護施設を整備した際の
運営費を移住元自治体が負担する仕組みや
健康保険料・介護保険料の負担問題は厚労省が、
大学での受け入れは文科省が、
それぞれ関わってくることになります。

このように複数の省庁が関係するので、
官邸・内閣府主導で強力に進めていく必要がありますが、
「姥捨て山」批判もあるようですし、簡単には行かないようです。

しかも、東京都は
高齢者の住宅・医療・商業施設が揃った
複合ビルの整備構想を「東京版CCRC」と名づけて
民間からの出資をあわせて100億円規模の
ファンドを創設する計画も考えているそうです。
有識者会議が発表している構想(素案)でも、
高齢者夫婦世帯の平均貯蓄現在高が
2160万円もあり、しかも、
2000〜3000万円の世帯が86万以上、
4000万円以上の世帯が90万以上もあるので、
これらの富裕層を地方に逃したくない、
という狙いもあるのでしょうし、
結局、都心生まれ・都心育ちの人は
そのまま東京に残るのかな、という気もします。

成年後見制度の見直し

今日の日経夕刊で取り上げられていましたが、
成年後見制度をより使いやすくするための法改正が
議論されています。
現在、被後見人が亡くなった場合、
法的には後見人の権限は消滅します。
しかし、親族がいない場合、実際上、
遺体の引き取り、火葬の手続や葬儀手配などを
後見人が行っており、「死後事務」という名前まで付けられています。
そこで、死後事務を法的裏づけのある
=報酬を受け取れる権限に入れよう、という改正が議論されています。
その他、認知症が進んでいる被後見人が多いことを踏まえ、
家裁の許可を条件に、郵便物を後見人へ転送できるようにしたり、
医療行為についての同意権を後見人へ付与したり、
といった権限拡大も議論されています。

議論の背景には、約460万人いる、と
言われている認知症高齢者の人数に比して、
成年後見の利用者が約18万5000人、と5%足らずに
留まっていることへの危惧があります。

弁護士や司法書士らの専門職が後見人になることが
約65%、と親族後見人よりも多くなっていますが、
報酬が月2、3万円程度であるので、
専門職がそれほど増えていくことは期待できません。

いくつかの自治体では、
市民後見人育成講座を設けていますが、
報酬をもう少し増やさないと、なり手は増えないだろう、
との声が多いようです。
高齢者支援については、様々な制度が議論されています。
明日は日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community)を、
明後日は確定拠出年金加入者向けサーベイ
(アライアンス・バーンスタイン社が実施したもの)から、
資産運用に対する高齢者の意識を、それぞれ取り上げます。

刑事訴訟法等改正

4日、自民党、公明党、民主党、維新の党が
刑事訴訟法改正案をはじめとする関連法案について
修正合意しました。
これによって、司法取引や
取調べの録音・録画の義務付け、
通信傍受の対象拡大などが認められます。。

取調べ可視化は、すべての事件での法的義務
とまでは行きませんでしたが、
裁判員裁判対象事件と、
検察の独自捜査事件(政治家の汚職事件等)
については全過程の録音・録画が義務付けられます。

また、司法取引については、組織犯罪や
背後に主犯格が隠れている場合に有効であるものの、
過度に行われると、真実発見に害する結果ともなるので、
弁護人が、検察官と被疑者との協議過程に関与する
定めが設けられています。

外国人観光客による爆買が話題ですが、
外国人が多く国内に入ってきている結果、
外国人の被疑者、被告人、受刑者はどんどん増えています。
彼ら・彼女らに対しては、従来の取調べ手法だけでは
限界がある、という問題意識もあって、
司法取引の導入や、通信傍受の拡大が必要となっている
というのが立法事実でしょう。


さて、近年は会社法改正にはじまり、
行政事件訴訟法、行政不服審査法、
刑事訴訟法、さらには民法債権法など
国家の基本となる法律の改正が行われています。

まさに大立法期であり、
その背景として、国際情勢の変化(冷戦の終結、
米国一極支配が崩れてきている等)もありますが、
国内情勢も大きな要因です。

これは、昨日の記事で紹介した
『リベラルのことは嫌いに〜』の中でも述べられていました。
曰く、
高度経済成長が終わり、拡大するパイをどのように
分配するかを議論すれば済んでいた「55年体制」
(社会問題の解決は立法よりも行政指導・補助金行政で行われ、
司法による事後的解決よりも事前調整が好まれた)
が正当性・合理性を失って

①限られたパイをどのように分けるか、という
 厳しい利益対立の議論が表面化したり、

②財源確保のための経済成長を目的として
 既存勢力を仮想敵として設定したり、

といった政治的ゲームが繰り広げられるようになった
という変化です。

刑事訴訟法の改正もそのような文脈で見ることができます。
そこでは、警察・検察のマンパワーが「限られたパイ」であり、
暴力団や半グレ、詐欺グループなどの組織犯罪ないし
企業内の経済事犯が「仮想敵」として見られています。
昨日に引き続き、週刊エコノミストの記事から。
28日号の巻頭コーナー【闘論席】において
評論家の片山杜秀氏が、
日中戦争前の状況と現状とを比較しています。

今年は戦後70年という節目の年であることもあり、
なぜ日本が中国との泥沼の戦争に深入りし、
かつ、アメリカへ奇襲攻撃をかけて
ドイツとともに欧米諸国との全面戦争に突入したのか
を振り返る書籍も次々と刊行されています。
今月だけでも、筒井清忠氏が編者となって
『昭和史講義: 最新研究で見る戦争への道』が
ちくま新書から出版されましたし、
今週末には、新潮選書にて細谷雄一氏が
『戦後史の解放Ⅰ 歴史認識とは何か
日露戦争からアジア太平洋戦争まで』を発刊します。

さて、大恐慌直後から天皇機関説事件までの流れを
今の政治状況に近づけて説明すると、以下のようになります。
大恐慌直後、当時の濱口雄幸内閣(29年7月組閣)は
国際協調と緊縮財政を採用したものの、
経済学者たちから反発を受けます。
その後の犬養毅内閣(31年12月組閣)では、
高橋是清蔵相が金輸出を禁止し(金の兌換停止)、さらに
赤字国債を発行して日本銀行へ引き受けさせます。
積極財政に舵をきったわけです。
(⇒詳しい経緯は、「井上財政と高橋財政」と検索すれば
色々と説明が出てきます)

為替相場が変動制となったことで円安となったため
輸出産業が力を持つことになり、
海外に市場を求める動きが強まります。
(現実志向の)政治学者がその有力な市場として
中国大陸を名指しし、
これによって満州事変(31年勃発)が正当化されました。

さらに、国民を総動員する戦争を迎えるにあたり、
天皇を現人神として憲法を超越する存在として
位置付けることで国民を奉仕させるべき、との考えから
当時の憲法学者の通説であった天皇機関説が否定され、
これを支持する学者は排除されるという厳しい思想統制
がなされた。つまり、政治学者が憲法学者に勝った。
天皇機関説事件の翌年、37年7月に盧溝橋事件によって
日中戦争が開戦となります。

このように見ていくと、
経済学者が積極財政を支持し、
政治学者が集団的自衛権行使容認論を展開
(中国が仮想敵とされる)し、さらに
政治が憲法学者とぶつかり、
言論統制に近い雰囲気ができつつある、
という段階までは辿り着いたことになります。

日中戦争・太平洋戦争直前の日本の「空気」を
描き出す、様々な書籍が現在とオーバーラップして
見えてきてしまう事態は非常に怖いと感じます。

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反町 雄彦
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