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今週を振り返ってみると、
法律・判例に関するニュースが多かったので、
簡単に振り返ってみます。
<14日>
立教大学法学部の学生が、
13日に、「閉店セール」を行っている
店の多くが実際には閉店をしておらず、
これは景品表示法の「有利誤認」に該当するとして
消費者庁へ対応を要望した、という話が報道されました。
予備校でも、合格実績表示などで、
この有利誤認が問題となることは多いです。
また、書名で安易に「ナンバーワン」とか
「最速」とか付けることも問題になります。
以前、簿記のテキストで、「最速マスター」はマズイ、
と言われたので、「光速」へ変えたのを思い出しました。
<15日>
12日に、渋谷区が、同性間のカップルに対して
婚姻届けは受理できないものの、
夫婦と同等の権利を認めるよう民間業者へ求める
書面を発行する条例を作る計画を発表しました。
そして、15日、世田谷区の保坂区長が、
世田谷区でも同様の条例を作る意向を
同日開催のLGBT成人式の場で発表しました。
同性婚が認められないことの問題としては、
例えば、
①ルームシャアが認められない不動産を
借りる場合、片方だけが賃借人となるため、
その賃借人が死亡すると、部屋を出ていかざるを得なくなったり、
②長年交際してきたのに、その相手が入院しても面会が許されず、
末期ガンなどの重病になっても情報を教えてもらえず、
最終的に亡くなったときにも会社に忌引を認めてもらえなかったり、
といった不都合が多くあります。
民法の婚姻規定の改正は時間がかかるので、
地方自治体のこういう対応は素晴らしいと思います。
<16日>
この日は、15日に所沢市で実施された
小中学校へのエアコン設置を巡る住民投票の話が
大きく報じられました。
私も、16日の記事で扱っています。
<17日>
この日、大塚家具で、更なる父娘の内紛が起きました。
創業者である父は、過去の成功体験を捨てられず、
他方、2009年に社長に就任し、その後、昨年の夏に
いったん解任されたものの、先月、社長に復帰し、
今月12日には、創業者が退任する形で決着がついたと
思われていましたが、その解任された創業者(勝久氏)が、
今度は、自身の取締役就任などを求めて
株主提案を行った、という発表が行われました。
なお、家具販売のスタイル、店舗のあり方を巡る
経営方針の違いについては、東洋経済オンラインの記事
が詳しいです。
LECの場合、創業者の方が過去をどんどん否定しようとして、
私の方が守旧派に近い立場を採ることが多いのですが、
今回の騒動については、まさに父から東洋経済の記事を
読むよう薦められていたので、ずっとウォッチしていて、
16日の会社の朝礼でも、この件を話題にしていました。
娘さんの社長復帰、創業者の退任で、
会社内部の人事は決着がついて、
あとは、大株主として残る創業者が株主総会の場で
経営責任を問う、という程度だと思っていましたが、
それほど甘くはなかったようです。
<18日>
個人情報保護法とマイナンバー法の一部を改正する法案
の概要が、16日開催のIT総合戦略本部で発表されていましたが、
一般には、この日、公表されました(資料はこちら)。
すでに多くの人が問題視していた、
<オプトアウトの方式(個別に同意を得る必要がない)だけで、
企業がすでに集めていた個人情報を目的外利用できる>旨の規定
は削除されました。
(以前の改正案に対する批判的な記事として、こちらを参照)
なお、個人情報保護法への関心が圧倒的に高いですが、
マイナンバーの利用範囲の拡充について
医療分野で、名寄せの手段として活用すれば
ビッグデータによって、予防医療を充実させ、
医療費の抑制が可能になるのでは、と言われており、
個人的にはこちらに興味があります。
ただ、今のところ、
1.健康保険組合による特定健康診査情報(特定健診)の管理
2.地方公共団体の間で予防接種の履歴情報の連携
(ただし、医療機関でマイナンバーは扱わず、
行政機関の間で情報連携をする「機関別符号」を利用)
といった程度なので、複数の医療機関で受けた治療・投薬の
記録を一元管理、というレベルまではかなり遠そうです。
<19日>
この日の朝日新聞は、朝刊1面で
「最高裁が初の憲法判断へ
夫婦別姓・女性の再婚禁止期間をめぐる2訴訟で」
という見出しで、
1審と2審では、いずれも夫婦別姓を求める原告の訴えを
退けていたのに対し、最高裁が、大法廷での審理を行う旨
決定したことを大きく報じていました。
夫婦別姓は、子供が産まれた場合の名字をどうするか、
という点が一番の難点ですが、
先ほど紹介した同性婚も含めて、
夫婦のあり方が多様化しているので、
夫婦同氏の原則はそろそろ見直してもよいかな、
というのが個人的感想です。
<20日>
19日、最高裁が、新株を不当に安価で発行したことに
伴う経済的損害を、新株の譲受人へ請求した訴訟で、
1審・2審では、原告(株主)が勝訴していて、
「当時の株価は7000円を下回ることはなく、
発行額は著しく不公正だ」との主張を認め、
発行価額1500円との差額5500円×4万株の、
合計2億2000万円の支払いを命じていたのに対し、
最高裁は
「非上場会社が株主以外に新株を発行する場合、
客観的な資料に基づき合理的な算定方法で
決められた発行価額であれば不当とは言えない」として、
1500円という発行価額は
会計士が決算書などの資料を踏まえて
直近の取引事例から算定したものであって、
不当ではない、と結論付けました。
原告側代理人、被告側代理人それぞれが、
この判決を聞いたときの衝撃を思うと
原告側は地獄へ突き落されるような衝撃で、
被告側は天国に舞い上がるような気持ちであったろう、
と、他人事ながら、想像してしまいました。
<21日>
日経1面で、「NHK受信料 ネットにも」
との見出しで、今年中に、有識者会議を立ち上げ、
ネット端末しか持っていない世帯からも
受信料を徴収する方向での法改正を
2017年の通常国会に提出(18年から施行)
できるよう、検討を始めた、という報道がありました。
テレビ番組がネットでも同時配信&
オンデマンド配信されるのは、時間の問題でしょうし、
2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて
個々人の好みに合わせた番組配信も必要になります。
ロンドン・オリンピックの際には、
BBCが、ネット中継で、同時に24ものチャンネルで
様々な競技を同時並行で放映しました。
ただ、スマホまで含めれば、ネット端末を持っていない世帯は
ほぼ皆無であると思われ、そうなると、徴収の人件費をかけるよりも、
税金の形で全世帯から強制的に徴収すべき、
という議論になるはずで、そうなるとNHK自身の国有化、
という話にもつながりそうです。
<22日>
同じく日経1面で、東京証券取引所が、
1部、2部に上場している企業に対して、
社外取締役を2人以上選ぶように促す
上場規則案を6月から適用する、という話が報道されました。
改正前の会社法の時点で、東証は
上場会社に対しては、社外取締役を1人以上
選任するよう義務付けていたところ、
会社法改正によって、その義務付けが法制化されたので、
東証のルールでは、よりガバナンスを強化する方向にするのは
当然であり、わざわざ1面で報道する程ではない、
とは思いますが、記事によると、
東証1部上場の1814社のうち、独立性の高い社外取締役が
2名以上選任されているのは2割にすぎず、
4割は1人、残り4割弱は0人、という状況だそうなので、
今後、渉外事務所のパートナー弁護士を中心に、
社外取締役への需要がますます高まっていくことでしょう。
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法律全般
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「ブラック」という言葉をうまく使ったパロディが、
いわゆるホワイトカラー・エクゼンプション法案について
作られています(⇒リンク先はこちら)。
この議論が平行線になってしまう原因は、
経団連がイメージしている対象者が
・専門的技能を持っていて、会社よりも
優位な立場で条件交渉できる人
・働いた時間と成果が全く比例せず、
一人で落ち着いて考える(思索)時間も
必要となる業務に就いている人
・仕事の報酬は、「社内外から認められること」
「新たな(より難度の高い)仕事」という位に
仕事そのものが好きな人
であって、このような人たちについて
労基法の労働時間や休憩、休日の規定が
硬直的過ぎるし、自宅でのテレワークを導入するのも難しいので、
裁量労働制の適用範囲を広げて、
かつ、企業側が労働時間をチェックしなくてもよいようにしよう、
という考え方であるのに対して、
労働組合や、労働者側の弁護士からすると、
・外回り営業や、内勤の事務職を含めて、
ルーティン作業よりも「企画」業務が増えているので、
この考え方を導入すると、対象者が際限なく広がってしまう
・飲食や医療・福祉、SEなど、勤務が深夜に及ぶことが
常態化している労働集約的な業務が対象になってしまうと、
サービス残業を合法化するだけの結果になる
・しかも、企業側が労働時間を管理する義務がなくなると、
無茶な仕事振りが横行し、責任感の強い人だけが
最後まで残って働き続け、結果的に過労死に至る、
という最悪なケースが起きる
という危惧を感じてしまう、という
根本的なすれ違いにあります。
私自身は、経団連っぽいスタンスではありますが、
多様な働き方を許容すると、アルバイトや子育て世代が
主要な役割を担うようになり、他方、様々な事情で
急に休んだり、早退したり、ということは不可避なので、
支店長なりが休日だったはずの日に出勤せざるを得なかったり、
遅くまで残っていたり、という風に
特定の人が長時間労働、という問題は起きやすくなります。
ですので、インターバルの規制(前日の勤務が終了してから
最低でも12時間は空けること等)は必須でしょうし、
事業所ごとに、エクゼンプション対象者にだけ
業務が集中しないような法規制は必要だと感じます。
ちなみに、「ブラックジャックによろしく」の作者である
佐藤秀峰氏は二次利用を緩やかに認めている
(いわゆる「クリエイティブ・コモンズ」を実践している)ので、
パロディを作って広く公開することに躊躇は生じにくいですが、
現在、交渉中のTPPで、著作権の期間延長とともに
論点となっている「著作権侵害の非親告罪化」が
国内でも法制化された場合、
日本のオタク文化、クール・ジャパンの肝とも言える
パロディや二次創作について、自己抑制が働いてしまう
という危惧が指摘されています。
ブラック法案によろしく、を見ながら、TPPを思い出したので、
そのことも一言、紹介します。
福井健策弁護士が、様々なネットリンクを貼って
TPPの著作権問題について「まとめ」を書いておられるので、
最後にその記事を紹介します。
著作権問題に関心のある方は必読です(リンク先はこちら)。
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なぜか、朝日新聞が1面で大きく取り上げていましたが、
昨日(6日)、共産、社民両党を除く与野党8党1会派から
成るプロジェクトチームが、会合を開き、今の通常国会で
選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を
再提出することで一致しました。
「再」提出、とあるように、
本来であれば、昨年11月にいったん提出されていたものの、
衆議院解散によって廃案となっていました。
憲法改正の国民投票で18歳以上が投票できる、
とされたことで、国政選挙でも、18歳以上に投票権が付与されるのは
規定路線ではありましたが、今回の合意によって
来年夏の参院選で18歳が投票できるようになることが期待されます。
従来、20歳になると、民法上の行為能力者となって、
単独で有効に契約を締結できるようになり、
タバコやお酒も許され、投票権が与えられる、
という風に、一気に「大人」になる、という感じでしたが、
投票権が18歳に引き下げられたので、
すべてを20歳区切りとするのではなく、段階的に、
16歳だとこれができる(現状でも、女性は法律上の婚姻が可能になる)、
18歳だとこれができる(風俗営業法は、いくつかの施設につき
18歳未満の立ち入りを禁じており、現状、パチンコや雀荘は18歳未満は
入店できないのが建前)、
20歳だと、22歳だと、25歳だと…といった考え方になっていくでしょう。
参議院議員選挙は、比例代表による議席獲得が多いので、
政党間の違いも出やすいので、
高校内で、実際のマニフェストを使った模擬投票とか、
政治参加教育が盛んになってくれるとよいな、
と思う今日この頃です。
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久しぶりに、「法律」ネタを。
先週木曜(22日)に、ヤマト運輸が
①今年3月31日をもってクロネコメール便を廃止すること、
②4月1日以降は、「信書」に該当しないことが明確である
<法人が多くの宛先へ送るカタログ、パンフレットなど
(事前に内容を確認することが前提)>
に限定した新サービス「クロネコDM便」へ移行すること
の2つを発表しました。
⇒発表のサイトはこちら
この発表については、BLOGOSの記事でも
郵便法の条文を具体的に引用して解説してありますが、
このブログでも、簡単に問題点を紹介します。
郵便法4条2項は、信書の定義を
「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、
又は事実を通知する文書」と定めています。
この「特定の」という部分が問題で、
DMであっても、宛先ごとにカスタマイズされる場合も多く、
パンフを送る際にも、頭紙で、
受取人に向けたメッセージが書かれる場合もあるので、
グレーゾーンは残ることになります。
ヤマトの発表を見る限り、
信書ではないから、全員へ一律の内容を送るはずで、
送付の際に一律のカタログ等であるか
中身をチェックするプロセスを経る、ということになります。
この点が疑問です。
封を開けた状態でヤマトに渡して
ヤマトが中身をチェックした上で封をしてから出す、
とは考えにくいので、
送り主としては、封をした状態でヤマトに渡すが、
ヤマトは、「信書」に当たらないことを確認する趣旨で、
無作為に、中身をチェックすることがありますよ、
と送り主に認めさせるのか、という話になりますが、
ここで、刑法133条の信書開封罪が登場します。
この客体の「信書」は、郵便や宅配されるものに限らず、
封がされていて、特定人から特定人への文書であれば
全て該当します。
もちろん、故意犯なので、信書には該当しないと思っていたので、
封を開けて中身をチェックしました、という言い訳はできますが、
「信書ではないかも」と思っていたからこそ、
わざわざ封を開けたんでしょ、ということで、
未必の故意は認められそうです。
「信書」を郵便局に独占させることの問題点を
指摘した態度は素晴らしいと思いますが、
「信書」に該当しない範囲を厳格に定めてサービス提供する、
という場合、中身チェックをするのか否か、
チェックする場合、信書開封罪との調整はどうするのか、
というのが疑問として感じる今日この頃です。
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7日は、関西における公務員合格者の
祝賀会・交流会でした。
会場は、大阪のヒルトンホテルでしたが、
近畿圏は、西は兵庫県から、東は、京都府を越えて
和歌山県・奈良県まで広がっており、
梅田駅前本校や京都駅前本校は、
これらの県からもJRで1時間圏内であるので、
様々な自治体の内定者が集まってくれました。
東京から見ると、京阪神は一体に見えますが、
和歌山や奈良はかなり離れているように感じられますが、
JR西日本は、中国地方はもちろん、
滋賀、和歌山、奈良を含み、さらに、
北陸の、福井・冨山・石川の3県をも広く含んでいます。
藤村龍至氏は、「列島改造論2.0」という議論
(詳しくは、こちらのサイトで)の中で、
大阪ステーションシティを、都市経済圏を
再編成する存在として位置付け、
また、地域の行政がJRの開発に依存している、
として、6社の区分をそのまま道州制の単位にすべき、
との説を主張されていますが、
和歌山や奈良の自治体合格者が梅田へ通ってきている話を
聞いて、そのJRシステムの議論を思い出したりしました。
当日の来賓が、多士済々で、
立命館大学公共政策大学院(公務研究科)の
研究科長である、鵜飼幸雄氏、
大阪府の特別顧問を務めておられる、山中俊之氏、
奈良県生駒市の副市長をされている
小紫雅史氏(1997年に環境省へキャリア官庁として入省。
その後、若手官僚の立場で霞が関改革を訴える
プロジェクトKの立ち上げにも関与し、
2011年に、公募により奈良県生駒市副市長に就任)、
さらには、『近大マグロ』ブランドをプロデュースされた
大久保良雄氏(LECサイトに、インタビューを掲載しています)
の4人に起こしいただきました。
4人とも、未来志向の考え方をお持ちで、
・前例踏襲での仕事の進め方は、早晩行き詰まること
・民間以上に、費用対効果や顧客志向が要求されること
・そもそも官と民の対立(私企業の暴走を行政が規制によって
適正化する)という発想は古く、民を活性化して協働するのが官であること
といった話を盛んにされていました。
公務員になって、2、3年もすると
この話を忘れてしまう人が大半だと思いますが、
100人に1人でも記憶の片隅に残っていて、
何かのきっかけに思い出してもらえれば、
地域も国も、良い方向に進んでいくだろう、と
楽観的な気分になったりしました。
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