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判決は9日に下されましたが、
29日の日経新聞の「真相深層」で
取り上げられていたので、
改めて紹介します。
法人税を納税する際、
連結納税の対象となるグループ会社の
赤字は通算して、
個別の会社の黒字を減らすことができます。
本件では、日本IBMの持ち株会社が、
日本IBM株を米国のIBMから購入し、
その後、日本IBMへ売却(日本IBMから見ると
「自社株購入」)した際に
赤字が発生(取得原価と譲渡価格との差
によって生じたもの)し、
その赤字と、日本IBMの黒字を
相殺して連結納税したところ、
国税当局は、
この行為を不当な租税回避であるとして
東京地裁に訴えていたものです。
争点は、米国IBMから(持ち株会社を通じて)
自社株(日本IBMの株)を購入した行為が
専ら節税(租税回避)目的であったか、
それとも、グループ再編という事業目的があったか
(→譲渡損は「結果」として生じたものであり、
目的はあくまで事業再編)、という
「内心」の話であり、国税側としては、
IBM(米国も含め)の内部資料をいかに集められるか
が勝負の決め手であったところ、
米国の内国歳入庁の動きが鈍く、
米国IBMの内部資料で目ぼしいものが入手できなかった点が
敗因であった、と報じられています。
そもそも、この手法での「節税」は、
今では法改正によって使えなくなっており、
日本IBMの上記行為は法改正前だったのだから、
普通に考えると、制度の濫用という問題はあるにせよ、
よほど主観事情が悪くない限りは、
適法と判断すべきと感じます。
記事内では、鳥飼弁護士の意見として
「最高裁は、近年、法律で明確に
規制されているかを厳格に見る傾向がある。
今回の判決もその影響を受けたのではないか」
という見方も紹介しています。
法人税減税も大事ですが、
国税当局の裁量が広いままだと、
法人税減税の狙い(企業活動、
特に設備投資の活発化、
海外からの投資を呼び込む等)
が中途半端になってしまいます。
本件は、弁護士の活躍の場の広がり、という点でも
注目すべきものと考えます。
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法律全般
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すでに、成立を前提に1月9日に
記事を書いていましたが、
28日、成立しましたので、一応、コメントを。
最近の報道は、以下のような論調です。
・法科大学院制度が、開設当初の理念
(法曹養成を点からプロセスへ)通りになっていない。
特に、未修者(社会人・他学部)の志願者が減っていること、
さらに、法学部への志願者すら減っているのが致命的。
・バイパスである「予備試験」に人気が集まるものの、
全く無制限に予備試験を実施し続けることは、
法科大学院をますます空洞化させるものであり、
何らか制限が必要。
・しかし、予備試験を制限すると、ますます法曹を目指す人が
減ってしまい、「優秀」な層がいなくなってしまうのではないか、
という危惧がある。
LECをはじめとする予備校の商売としては、
法科大学院の在院生は
予備試験を受験できない、としつつ、
年齢制限は一切設けない
(高校生でも学部生でも受験できる)
というのが一番良いのですが、
学部生が在学中に予備試験に合格して、
法科大学院に行かずに司法試験受験→弁護士、
というルート(しかも、大手渉外事務所に就職)
が確立しつつある点について
大学教授は決して好意的には見てくれていないようで、
なかなか厳しいところです。
法科大学院へ通う金銭的負担が
予備試験を目指す人の一番の動機となっているところ、
年齢制限をしてみても、
結局、法科大学院への進学者はそれほど増えず、
在学中は予備試験の対策をしつつ、
就職活動を行い、卒業後、民間企業に入りながら
予備試験を受験し、合格したら退職して
司法試験対策に専念、という「仮面」就職も
登場してしまうようにも思われ、
まずは、働きながら通学・修了でき、
かつ、司法試験合格も比較的高い確率で可能な
法科大学院を増やしていくことが
この問題の本来的な解決であろう、と
(理想論であるとは分かりつつも)書いてみたりします。
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先週は、司法試験、予備試験の本試験があり、
今週からはスタッフが戻ってきて、バタバタしていますが、
私自身は、18日の予備短答当日も、
地元(中野区)の青年会議所(JC)のイベント
わんぱく相撲中野区大会(今年で第38回!!)
の実行委員長を務めていたので、
準備、後の諸手続きで忙しく、久しぶりのブログ更新となります。
タイトルの、「あと10日」は、
今月30日(金)に、夕方から開催する、
同じくJC主催のイベントの紹介です。
中野駅北口改札の出たところすぐに、
ピンク色の、かなり目立つ横断幕を設置したので、
天気さえ晴れれば、それなりの集客は見込めるのでは、
と期待しています。
昨年は、私が第二成人式の担当でしたが、
2月の寒い時期の開催で、
内容的には、区長、若手区議、そして荻上チキ氏も招いて、
ちょっとハイレベルでした。
今回は、屋外開催で、屋台・ゆるキャラ、さらに
中野区の観光大使(アイドル的)も招いて、
敷居をかなり低くしていますので、
お近くをお通りの方はぜひどうぞ(LEC社員は就業中の時間ですが)。
北口改札を出て、エスカレーターを昇ってすぐの、
北口暫定広場にて
16時から、第二成人式 〜もうちょい大人になる日〜
18時から、区長選挙公開討論会
の2イベントを開催します。
ちなみに、「第二」は40歳のことではなく、
25歳を意味します。
これは、多くの選挙で立候補が可能となる、
被選挙権が認められる年齢のことで、
劇場型・観客型の民主主義ではなく、
参加型民主主義へ、政治への関心を高めるためのイベント、
という位置づけです。
ちなみに、いわゆる「岩盤規制」に風穴をあけて、
既得権益を打破し、新しい成長分野・業界が伸びていくよう
規制改革を進めていくための
国家戦略特別区域の基本メニュー(※)を定める際、
当初、地方議会が議員の被選挙権の年齢を
独自に決められるようにする、という案もあったそうですが、
全国一律の制度にこだわる総務省の強い抵抗で見送られた、
とのことなので、
経済成長につながるようには思えませんが、
この「25歳」というのも、1つの規制にはなっているようです。
※「医療」「雇用」「教育」「都市再生・まちづくり」
「農業」「歴史的建築物の活用」の6分野であり、
現在、東京都や、大阪・京都・兵庫の関西3府県、
沖縄県、新潟市、福岡市、養父市(兵庫県内の小さな市)
が名乗りを上げている。
⇒国家戦略特別区域に関する資料
(第5回の諮問会議)はこちら
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最近、政権与党が憲法改正に前向きで、
特に、集団的自衛権行使をめぐって9条の改正が
議論されている中、
「護憲」(主に、9条維持)の立場でのイベントについて
自治体の後援を得ようとすると、
政治的中立性が確保できない、という理由で
後援を断られる、という事態が起きています。
⇒ニュースサイトのリンク先はこちら
この問題について、
公務員は憲法尊重擁護義務を負っているのだから、
「護憲」イベントには当然、後援を出すべき、
という極端な言説も目にしますが、
96条がある以上、憲法自体が予定している改正手続に
則って行われる以上は、改正の限界を超えるか否か
という学術上の論点はあるにせよ、
「護憲」方向のイベントを後援しない自治体は
尊重擁護義務違反だ、とか
「改憲」方向(特に、政府解釈での
集団的自衛権行使容認論を評価する方向)
のイベントを後援することは立憲主義に反する、とか
簡単には決められないところです。
ちなみに、NHKでも取り上げられていましたが、
日本青年会議所(実質は、市町村単位で組織は
分かれています)が「憲法論議推進委員会」を立ち上げ、
国民的な議論を盛り上げよう、という活動(セミナー)を
47都道府県で実施しています。
(⇒詳細はこちら)
青年会議所は、基本的に「公益」社団法人で、
政治的中立性を旨としていますが、
東京JCは、過去にも、首相公選制導入を訴えたり、
公職選挙法の改正(戸別訪問の解禁や、ネット選挙等)
をテーマにしたり、といった程度には、主義・主張を持っています。
自民党は、船田氏のインタビューを聞く限りでは、
最も国民の意見が割れやすい9条の改正は
後回しにして、比較的賛同が得られやすい
96条の改正、環境権の創設について
国民投票を行う考えです。
一般論としては、
制定から68年もの間、一度も改正されていないのは
奇異であり、硬性憲法のハードルが高すぎる、とは感じます。
そして、「押し付け」か否かは措いておくとしても、
理想国家アメリカの中でも、さらに
自由主義や平和主義の理念を強く信奉していた
マッカーサーのスタッフによる原案が基となった現行憲法について
①平和主義の定めが今の国際環境に即しているか
②統治の定めが政治・行政の意思決定に悪影響を与えていないか
③最後に、日本国の伝統・国民性に合っているか
を議論する(そもそも、立憲主義は普遍的なので、
③のような考慮をすべきでない、という議論も含めて)
ことは非常に大事です。
どのように変えるか、の中身を見せずに、
改正「手続」だけを先に国民投票で変更するのはおかしい、
という意見もあるようですが、
現状、各方面から批判が出ているように、
自民党は、すでに、このように変えたいという中身を
見せてしまっているので、私としては、
まずは96条の改正から国民投票を実施、という順序は
合理的かつ適正であると感じます。
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3月14日、著作権法の改正案が閣議決定されました。
今の通常国会に提出され、成立すれば、
来年(2015年)1月1日から施行されます。
著作権は、特許や商標とは異なり、
登録を必要とせずに創作行為のみで権利が発生し、
しかも、権利を譲渡しても、創作者には著作者人格権
が残る制度であるため、
作者・著者・作曲家・作詞家が創作の対価として
報酬を得ることができるようにする、という
シンプルな財産権ではなく、創作者の名誉や
作品へのリスペクト、といった精神論が権利の中に
入り込んでいます。
また、映画、ゲーム、放送(テレビ・ラジオ)、音楽、
出版という多様な形態があるにもかかわず、
それらをすべて一本の法律で規定する、
パッチワーク的な法律になっている点も問題とされています。
この問題は、近年のデジタル化によって
ますます複雑になっています。
例えば、今回の法改正の直接の発端となった、
紙の書籍からスキャンデータが作られて流通、
という「自炊」の問題は、
アニメや小説などの大衆作品にとどまらず、
学術書についても生じています。
法学部生・法科大学院生が教科書の持ち運びを嫌って、
iPad等に電子化された教科書(数十冊!)を入れて、
検索しつつ読んでいるのを見ると、
世代間ギャップ・デバイドを感じますし、
そのデータは自分が持っている紙の基本書から
スキャンしたものに限られず、USBメモリ等に入って
流通している、と聞いたりすると、
今回の改正案の趣旨である
「近年、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、
電子書籍が増加する一方、出版物が違法に複製され、
インターネット上にアップロードされた海賊版被害が
増加していることから、紙媒体による出版のみを
対象としている現行の出版権制度を見直し、
電子書籍に対応した出版権の整備を行う。」
も非常に納得できるものです。
もっとも、紙からデジタルへ、そして拡散、
という問題にとどまらず、
現状のコンテンツビジネスが
クラウド化・ソーシャル化、そして
(それらの前提としての)モバイル化の影響を受け、
さらに、主要事業者がすべて
海外(アメリカ)発であることにも注意が必要です。
アップル、アマゾン、グーグル(Youtube)、
マイクロソフトの4社が競い合いつつ推進しているのは、
音楽、書籍、映画、ゲームなどを楽しむユーザーを
丸抱えしてしまおう、という動きであり、
iPod、iTunesで成功したエコシステムが
本(電子書籍)、映画にまで拡大しています。
音楽に比して、データ容量が格段に大きくなるため、
ダウンロード(所有)から、クラウドでの利用へ
変わりつつあります。
著作権法については、KADOKAWAから出版されている
『グーグル、アップルに負けない著作権法』
(角川歴彦。ただし、第4章では、対談形式で
中山信弘氏、川上量生氏、長尾真氏、
村瀬拓男氏、伊藤穣一氏の5名が登場します。
法律の専門家から経営者、さらに
IT技術開発の権化的な人まで幅広い人脈を
持つ角川氏の偉大さ・考えの深さが
これらの対談を読むだけでも分かります)
を今月、読んでいて、どこかのタイミングで
書いておきたいと思っていたので、
明日から3回シリーズで
・コンテンツのクラウド型流通
・スマートテレビ(4スクリーン化)
・エコシステム(クラウド事業者による「独占」)
について書いていきます。
前置きが長くなりましたが、最後に、
今回の著作権法改正案の概要を紹介して
この記事を締めます。
(すでに、文部科学省のサイトに条文等が
アップされています)
<背景(立法事実)>
※角川歴彦氏と村瀬拓男氏(弁護士)の対談が元ネタ
紙の本しかなかった時代は、
印刷→在庫を持ち流通させる、という
「ものの売買」でコントロールできたので、
ことさらに出版者の権利を主張する必要はありませんでした。
しかし、デジタル化(電子書籍)により、
権利の明確化が必要な時代となりました。
これが、「出版者の権利とは何か」が議論され始めた契機とされます。
従前、レコード製作者や放送事業者には
著作隣接権が認められていて、報酬請求したり、
海賊版を流通させている業者への差止や
損害賠償請求が認められていました。
これは、「音楽・映像」が特定の有体物の形をとらずに
流通していくものであったので、
目に見えない「権利」を明確にしないと
コントロールできなくなる、という違いがありました。
本についても、近年では紙媒体の形を取らずに、
デジタルデータ自体が流通し始めた
(青空文庫のようなものをイメージすると
分かりやすいと思いますが、
Kindleで購入した書籍が、1つのIDを使って
様々な端末で閲覧できる=クラウド化、というのも
大きなインパクトです)ので、
音楽・映像と同様に、出版者にも
何らかの権利隣接権)を認めるべき、との声が強くなりました。
映画の場合、そもそも多数の人が創作に関与するので、
映画監督や制作会社に著作権を一本化できる、
という法制度になっています。
角川氏曰く、
書籍についても映画と同じ発想にすべきで、
本の中には、単独著書・作家が1人で執筆、
というものだけでなく、
編集者と作家との共同作業であったり、
多くのスタッフが関与する本も増えていて
(雑誌のように、ライターと編集者がいるイメージ)、
著作者が権利を専有する制度よりも、
パッケージ化して流通に置いた出版者の側にも
何らかの権利を認め(著作者が出版者へ委ね)、
流通を促進させていくべき
との考えです。
<改正案の概要>
出版権の中身として、
「文書・図画」での出版(流通)に限定せず、
①CD-ROM等の記録媒体での流通
②インターネット送信によるデジタルでの流通
の2つを追加しました。
これによって、出版権を著作者から設定を受けた人
(出版権者)は、ネット上の海賊版業者等へ
差止・損害賠償請求ができます。
なお、従前から、出版権者が権利を有しながら、
作品を流通に置かずに塩漬けにする問題点への
対策として、出版の義務が81条で規定されていたところ、
出版権の拡大に伴って、紙での出版に加えて
・原稿引渡しから6か月以内にインターネット送信行為を行う義務
・(観光に従い)継続してインターネット送信行為を行う義務
が追加されました。
<出版者からの反応> ※日本出版者協議会のHPより
海賊版対策が可能になることを歓迎する声が多いですが、
以下のような指摘もあります。
公衆送信行為(インターネット配信)のみでも
「出版権」と定義すると、ポータルサイトの運営者等、
プラットフォーマー、電子配信業者も出版権者になれる。
ブログ、メールマガジン等にも第二号出版権(電子出版権)
が設定可能となり、第二号出版権者というかたちで
出版権者の無制限な拡散が引き起こされ、混乱が予想される。
この声明文は、「出版者」と「出版社」の併記が残っていたり、
精緻せずに出された印象が強いですが、
全体のトーンとしては、
従前の、紙媒体での出版権の設定を
受けていた業者に対して、
インターネット上の海賊版への対抗措置を認める立法だけを
期待していて、出版権概念の拡大、
そして、出版者の形態が増えることは
目的に比して「やり過ぎ」、という趣旨かな、と思います。
私自身としては、この改正案に特段の問題点があるようには
感じませんが、門外漢ではありますし、
角川氏の前述の本を読めば読むほど、
この著作権の世界は奥が深いな、と感じるので、
この記事はこの程度で締めたいと思います。
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