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今年で、東日本大震災から3年となりました。
この間、衆議院議員総選挙があり、政権交代で
自民党・公明党の政権へ戻り、
昨年夏の参院選でねじれ国会も解消され、
東京都だけを見ても、震災直後の混乱の中で行われて
何となく現職の続行となった都知事選が、
一昨年の年末、そして、今年の年初に立て続けに
再選挙となって、オリンピック・パラリンピック招致の
追い風もあって、それなりにバランスの取れた方が
知事となって、新しい年度が始まろうとしています。
原発事故、放射能汚染の収束はもちろん、
津波で大きな被害を受けた地域の復興、
被災者の生活再建も、まだまだです。
直接に被害を受けた方の記憶が風化することは
なくても、都心を含む多くの地域では、
関心が薄れてしまっているのが現状だと思います。
何年経過、という切りの良い時期にだけ
過去を振り返ってしまうのは仕方ないところですが、
震災遺構のような、目に見える形のものを
遺すことも必要だと感じます。
最近、一人ひとりが、情報の記録を
自分の外(GoogleやDropboxなど、クラウド上)に
持つようになっていて、写真なども現像するより
とりあえずデータで保管、必要な時に検索
という流れになっています。
(最近のIT系の話題としてGoogle Driveのストレージ料金が
大幅値下げとなって、
100GBが従来の月額4.99ドルから1.99ドルへ、
さらに、1TBが月額49.99ドルからわずか9.99ドル、となりました
⇒ニュースソースはこちら)
ネット上で写真や動画が残っているからといって
リアルの建造物等を遺す必要性が低くなるわけではありませんが、
バーチャルでの保存コストがほぼ無料に近づくと、
リアルで何かを残す、継承していくコストが
相対的に高まってしまう、という問題があります。
また、災害の記録を形あるもので残そうとすると、
被害者からは、「それを見るたびに惨状を思い出すようで
苦しい」という声が出て、
財政負担をする行政からは、「他にお金を使うべき
事業(都市インフラの整備や、被災者への支援)がある」
という声が出ることも多く、
遺すためのハードルはどんどん高くなっていきます。
原爆ドームですら、1960年代初めには
取り壊しの方向へ傾きかけたことがあるそうです。
文化財保護法等で史跡指定するハードルは高いようで、
また、建物だけを遺すのではなく、
周辺地域まで含めて過去の災害を思い返す空間として
残しておかないと、結局、周囲から浮いた存在として
30年後、50年後には、誰も訪れない、
廃墟スポット的になってしまうように危惧します。
原爆ドームの歴史を見ると、
終戦から10年後、1955年に丹下健三設計の下で
広島平和記念公園が完成した際に
原爆ドームを起点とした空間として設計されたことが
大きかったようです。
現時点で、岩手県宮古市の
たろう観光ホテルや、
陸前高田市の奇跡の一本松など、
保存が決まったものがある一方、
宮城県気仙沼市の第18共徳丸は
すでに解体・撤去され、南三陸町の
防災対策庁舎も保存されるか未定(検討中)、
という状況です。
財政負担については、寄付を募っていったり
資料館的なものを併設して少しお金をもらう等
対策は考えられますが、
何を継承するために遺すのか、3年経った今、
改めて考え直した上で、最終的に
議会・行政で決めていくべきと考えます。
その際、津波の怖さや人間の過信
(科学の力で自然を押さえ込むことができる、
という驕り)を後世へ伝える、
という抽象的な意義ではなく、
具体的な便益、例えば、その遺構が「観光資源」になるとか、
年に1度、何らかの式典が行われる場になるとか、
原爆ドームにおける「平和記念公園・式典」的なものが
必要ではないかと思います。 |
法律全般
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目の前に選挙公報が2つあります。
1つは、来月7日(金)が投票日となっている
平成26・27年度日本弁護士連合会会長選挙。
もう1つは、9日(日)が投票日となっている
東京都知事選挙です。
東京都は都民が約1300万人で、
有権者数でも1000万人以上。
これに対し、弁護士は、全国あわせて約3万3000人で、
実際に投票へ行く人は半分程度なので、
8000〜9000票を獲得すれば当選となります
(実際には、「都道府県に置かれる単位会の3分の1
以上で得票数が上回ること」という別の要件が
入ってくるので、単純に得票数が多いだけで当選、
とはなりませんが)
日弁連の広報を見ると、
2008年に第一東京弁護士会の会長を
務められている、村越進氏は
・若手弁護士の支援
・弁護士の活動療育の拡大
・憲法と人権を守る
といった無難な主張ですが、
対立候補の武内更一氏は、
「政府は、国会での絶対多数を背景にして、
(中略)日本を戦争のできる国にしようと暴走
(中略)弁護士はそのような国家権力に対して
民衆の盾にならなければなりません。
(中略)弁護士と日弁連を、あらかじめ攻撃し
弱体化を図った」のが、
司法制度改革であった、という
新たな見方(陰謀史観?)を展開されています。
都知事選挙で「即時、原発ゼロ」を言うのもどうか、
と思いますが、
日弁連の会長選挙で
・全原発の廃炉、再稼動阻止
・特定秘密保護法撤廃
・改憲と戦争を許さない(集団的自演権の行使容認に反対)
といった政治的主張が前面に出てくるのも
いかがなものか、と感じてしまいます。
さて、個人的な見方としては、
日弁連会長選挙も、
都知事選挙も、無難な人が選ばれる結果となりそうです
(参考資料:やまもといちろう氏のブログ)が、
2月1日の夜10時から、
ドワンゴ等インターネット事業者主催で
都知事選の立候補者
宇都宮健児氏、田母神俊雄氏、舛添要一氏、細川護煕氏の4名による
公開討論会(ニコニコ動画等で中継)が開催されます。
⇒詳しくはこちら
告示日後に、合同・個人演説会ではなく
第三者主催で複数の立候補者を呼ぶ討論会
を開催することができるなら、
実質上、第164条の3第2項は空文化することになり、
東京青年会議所としても喜ばしいことです。
細々ながら、このブログでも、
この2月1日の討論会の告知を行い、
少しでも多くの方に、この討論会を見た上で
誰に投票するか(そもそも投票所へ行くことが重要です)
を決めて欲しいと思っています。
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このブログを書いている午後7時45分現在。
明日(18日)、開催予定の東京都知事選・公開討論会の
出演者は、宇都宮氏と田母神氏の2名のみ。
細川氏はそもそも正式な出馬会見を
行っておらず(15日予定だったものが
17日へ延期され、さらに20日へ延期)、
「脱原発」以外の政策作りに
手間取っていたり、過去の佐川急便からの献金(借入?)
に対する対立候補者やマスコミからの追及への答弁を
準備していたり、で時間が掛かっていると言われており、
まだ交渉中ではありますが、
なかなか厳しい状況です。
これが故意(意図された)後出しジャンケンなのか、
判断が難しいところですが、
舛添氏は、細川氏が明日の討論会へ出演しないことを前提に
「正式な(主要な)候補者が出演しない以上、自分も出ない」
という理由で、欠席を表明しているそうです。
自民党の党本部や、都議にも働きかけをしており、
一部には、明日の討論会に舛添氏は出演すべき、
と言って、そのように要請してくれてもいるのですが、
本人(タイミングが悪いことに、大島へ行ってました)
にうまく連絡がつながらず、
伝聞ですが、囲み取材の中で、
「討論会には出演しない」と明言、とも聞いております。
原田謙介さんのブログでも紹介してもらいましたが、
自分と同格の対立候補が出演しないから、自分も出ない
という判断は、その人自身が「後出しジャンケン」しているのと
結果的に(有権者にとって)同じことになります。
政策議論をしっかりと聞いた上で
誰に投票するかを決めたい、という有権者の想いがあり、
後出しジャンケンはそれを裏切るもの
(有権者の関心はどうせ低いのだから、
話題性・知名度で判断してもらえば十分、
という考え方が背景にある)です。
細川氏は政策づくりが間に合っていないので
仕方ないかな、と思う部分がありますが、
舛添氏は過去の都知事選の出馬経験もあり、
宇都宮氏と同等に、準備は入念にされていることでしょう。
この状況で出演しない理由は、
失言を恐れて、失点を減らそうという意識かもでしれませんが、
告示日後になれば、
候補者同士で政策に関する討論ができるのは
テレビ等の短い時間に限られ、
街頭演説では、小泉首相が前面に出て、
舛添陣営の露出をどんどん減らす作戦を採るでしょうから、
このタイミングで、比較的長い時間
自身の政策を語ることができる、
このチャンスを活かさずにどうする、とも思います。
「いつやるか、今でしょ」という言葉を送って
この記事を締めます。
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14日の日経夕刊で、
国の天然記念物に指定されている
希少な淡水魚「ミヤコタナゴ」を
1000匹以上飼育していた人が、
文化財保護法違反及び
種の保存法違反で書類送検された、
というニュースが出ていました。
報道によると、犯罪になるのは、
2012年5月に無償で譲り受けた行為で、
譲り受けた段階では28匹だったのが、
13年7月段階で、あまりに増えすぎてしまって、
この人が文化庁へ連絡したところ、
飼育の事実が発覚した
という経緯で、確かにニュース性
(面白さ・滑稽さ)があります。
ちょうど2日前、井の頭公園へ行った際に、
日本古来の水辺の生物(特に、水田等に関連した淡水魚)
が絶滅の危機に瀕している、という話を
ガイドツアーで聞いていて、
その際に、
・「ミヤコタナゴ」は希少であること、
・飼育のために、特別なエサが必要であること
・繁殖のために二枚貝が必要で、
他の魚の卵が混じらないよう
春に北海道の川まで行って、貝を採取してきて
水槽に入れて、繁殖させている
といった情報だったので、普通の人が繁殖させるのは
お金も手間もかかって大変だったはずで、
この送検された人は本当にこの魚が好きだったんだな、
と感じます。
ちなみに、環境省は絶滅危惧種を
レッドリストとして指定し、随時、更新しています。
身近なところでいうと、
メダカも「汽水・淡水産の魚類」カテゴリーに入っています。
井の頭公園の池はボートで有名ですが、
現在、水の汲み出し作業の準備中で、
今週末から水をどんどん汲み出して、
25・26日の週末には、池の水を減らした状態で、
池の中にいる外来種(バスやカミツキガメなどが有名)を
駆除する予定、となっています。
意外と面白そうですが、カミツキガメは下手に扱うと
大怪我する危険性もあり、
捕獲はしっかりとした人をボランティアとして募集済らしいので、
普通の方は見学のみ、となります。
東京近郊にお住まいで、興味のある方はどうぞ。
ちなみに、この記事のカテゴリーを「法律全般」としたのは、
一連の活動が、外来生物法、という法律に準拠しているため、です。
(⇒環境省のHPはこちら)
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12月10日、最高裁が
女性から男性へ性転換した後に
女性と婚姻した場合にも民法772条の
嫡出推定が及ぶ(生まれた子の「父」となれる)旨
の決定(戸籍の訂正を認める判断)を下しました。
(判決全文はこちら)
判決そのものは事実経緯も含めて
4ページ程度ですので短いですが、
5人の裁判官のうち、
2人が補足意見(結論は同じで、理由付けを詳しく述べる)を書き、
2人が反対意見を書いており、
婚姻の法的意義、772条の趣旨、
生殖補助医療(人工授精や代理母など)
に関する法整備の議論など、非常に興味深い議論が
判決文の中に含まれています。
ちょうど、『ブラックジャックによろしく』の4巻
(不妊治療の結果、産まれた双子の一方が
ダウン症であった、というケースを扱ったもの)
を読んだ直後であったので、
寺田逸郎裁判官の補足意見の背後にある
婚姻イコール子供を持つこと、という通念に
安易に賛成し難い部分もあり
(不妊に悩む夫婦が、「完璧な子供」を欲しがる現象)、
色々と考えさせられました。
事実経緯も含めて、
法律論について述べていきます。
事実経緯は以下の通りです。
女性から男性へ性転換したX1が
女性X2と婚姻した後、
X2が他の男性から精子提供を受けて
懐胎・出産した子について
自らを父とする届出を区役所に提出したところ、
役所(そして原審たる高裁も)は以下のような
論理構成で、父の欄を空欄とする戸籍として受理しました。
曰く、
性転換をしても、従前の生殖機能を失うだけで
男性として生殖機能を持つわけではないので、
この子とX1との間の血縁関係は全く認められず、
いわゆる「推定の及ばない嫡出子」として、
父子関係が否定される、という理論です。
さて、最高裁の意見は比較的シンプルで、
・性同一性障害者の性別の取扱いの
特例に関する法律(特例法)は、
性転換後の法令の適用について
転換後の性別(本件では「男性」)とみなす、
とされている。
・民法772条の嫡出推定が及ばないのは、
妻が子を懐胎した時期において
夫婦間に性的関係を持つ機会が無かったことが
明らかである場合(過去の判例では、
「事実上の離婚をして別居中で交際を完全に
絶っていた事案」や「夫が出征していた事案」)だが、
性転換後には他方の性と婚姻できることを
認めておきながら、婚姻の主要な効果である
772条の推定について「常に及ばない」とするのは
特例法の趣旨からして相当でない。
という2点が主な根拠となっています。
この決定を理解するには、
民法772条の趣旨を正しく理解する必要があります
(以下、木内裁判官の補足意見を参考にしています)。
母子関係は出産という「事実」によって認められるのに対し、
父子関係は、血縁を問題としてしまうと
厳密にはDNA鑑定を経ない限り認められないことになり、
非常に煩雑であるし、法的安定も欠くので、
民法772条は、夫婦間に生まれた子供について
夫との父子関係を推定しています。
ただ、前述のように、夫婦間の性交渉が不可能である場合には
「推定が及ばない」とされます。
ここで問題となるのは、不可能かどうかを
誰が判断するのか、という点です。
反対意見は、生物学的に、性転換後の男性は
生殖能力を持たないのだから、
この「推定が及ばない」場合に当たる、としています。
しかし、多数意見は、この「性交渉の不可能性」について
外形的に第三者から見て明らかであること、を要求します。
つまり、夫が出征中であったり、刑務所にいたり、
完全に別居していたり、という事情は外形的に判断できますが、
「性転換後の男性(戸籍上も男性)がもともとは女性であった」
という事実は、外部の第三者からは窺い知ることができない、
と考えるのです。
このように理解することが特例法の趣旨に合致することは
明らかですし、
時々、民法772条の「推定が及ばない」事案について
血縁の不存在の確定的な証明があった場合、
と説明しているテキストを見かけますが、
それは、嫡出否認の訴えと、「推定が及ばない」場面を
混同しています。
さて、木内裁判官の補足意見の中で
もう1つ重要な指摘は、子の利益の観点から見て
自分の父親が血縁上の父でないことを
両親が意図しない形で知ってしまうのは危険、
という考慮です。
特別養子という制度が認められているのも、
実際には血縁関係にない親子において、
その「育ての親」がどのタイミングで、
そして、どういう風に真実を子供に告げるか
(もしくは、一生告げないか)、はその両親が
慎重に判断すべき事柄であって、
予期しないタイミングで、子供が知ってしまうリスク
は減らすべきだからです。
この性転換後の婚姻のケースでも同様です。
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