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久しぶりに、司法試験以外の
試験ネタを書きます。
最近、政治ネタを書くことが多いですが、
時期的には、安倍氏の「再チャレンジ」について
書くべきところですが、
昨日、司法書士の筆記試験の合格発表
がありましたので、司法書士と弁理士について
ちょっと紹介します。
「弁護士」は比較的、知名度の高い資格ですが、
司法書士と弁理士を知っている人は
業界通です。司法書士は、不動産系の商売や
銀行に勤めている人なら知っているはずで、
その他、市役所や公民館・デパートでの
法律相談の時に会ったことがある、
という方もいらっしゃるかもしれません。
最近は、簡易裁判所での代理権が
認められたので、
少額の訴訟や調停事件などで
皆さんの代理人となって、
お金を回収したりもしてくれる、
「街の法律家」といえます。
もともとは不動産の売買や抵当権設定における登記や、
企業の役員変更・合併などの登記手続きを担当することが
多く、これらの伝統的業務に加えて、
最近では、簡裁代理権や成年後見、
消費者被害の回復のための法的手続きなど
幅広く活動をしています。
実は非常に合格率の低い試験で、
今年は2万4875人が受験し、
合格者は841人(合格率は3.4%)でした。
10年以上、受験し続けている、という人も
多くいます。法科大学院開設当初は、
司法書士受験生がローへ転向する、
という動きも見られました。
受験人数が、昨年よりも1840人減って、
その分、合格者も37人減っています。
合格率を3%程度に維持してしまっているのですが、
業務の広がりを考えれば、もっと増やしてもよい
とも思われますが、弁護士業界を「反面教師」と
している感があります。
さて、筆記試験合格者は、この後に
口述試験があるのですが、欠席しない限り
ほぼ100%合格できます。
不動産を扱うので、一説には、
反社会的勢力からの資格者が出ないように、
という目的で口述試験が実施されている、
という話もありますが、受け答えだけでその筋の人、
と判断されてしまうような人は
そもそも目指していない(し、合格もできない)、
と思うので、その説はあまり説得力がないです。
いずれにせよ、「今までは」不合格者が出ていない、
というだけなので、それなりには対策
(過去問を見ていく程度)をしているようです。
LECでは、土曜(9/29)の11時から、
鈴木大介講師による、
「口述試験突破法と簡裁訴訟能力認定考査対策」
というガイダンスが
池袋本校を拠点に、全国同時中継で実施されます。
合格された方は、ぜひどうぞ。
ちなみに、口述模試の受付もホームページで
受け付けています。
次に、弁理士です。
息子が母親に弁理士試験に合格した、
と報告したら、
「便利屋さん、なんて儲からないわよ」と
言われた、というジョークがありますが、
製造業で特許に関わっていたりしないと
ほとんど知ることがない資格ではあります。
発明について特許権を取得したり、
デザインについて意匠権を取得したり、
商品名について商標を取得したり、
といった「無体財産権(知的財産権)」
の申請・取得の代理をする、
というのが基本業務です。
もちろん、取得した知的財産権を活用して
ライセンス契約を結んだり、
特許侵害をしているライバル企業を訴えたり
(アップルとサムスンの訴訟が有名ですが、
日本では切り餅の切り込みを巡っる訴訟がありました)、
企業活動に対するコンサルティング
を行っている弁理士の方もいらっしゃいます。
法律系資格の中では、一番、国際化が進んでいて、
国内と同時に海外へ出願したり、
海外の類似特許について調査したり、
海外で出願済の特許を日本語に訳して
出願手続きをしたり、といった業務もあります。
「条約」が試験科目の中で比較的大きな部分を
占めている、唯一の国内資格といえます。
さて、弁理士試験は、短答・論文・口述の
三段階の試験であり、しかも、
口述でほとんど不合格者が出ない予備試験とは
異なって、弁理士試験の口述試験は
2割から3割が不合格となります。
しかも、今年は、論文合格者が、昨年の715人から
120人以上増えて、837人も出ました。
論文試験だけの合格率で見ると、
29%となっており、今までで最も受かりやすい年でした。
しかし、弁理士試験の場合、
最終的に、口述試験と突破しなければいけません。
論文に1回合格すれば、
翌年・翌翌年は論文試験が免除されるので、
1回、口述試験に失敗しても、
その次の年は合格できることが多いですが、
ここで「1年間足踏み」をするのは勿体ないです。
今年は、論文合格者が多いものの、最終合格者は
例年並みの700人程度(弁理士はいつも司法書士より少なめです)
となると言われていますので、
口述試験が気の抜けない試験となっています。
合格発表が先週の、9/20だったので、
ガイダンスは終わってしまいましたが、
今週末、土曜に新宿エルタワーと名古屋
で「口述6時間マンツーマン講義」があったり、
9/30を皮切りに、関東・関西・名古屋で
口述模試も始まりますので、ぜひご受講ください。
⇒詳しくはこちら
色々と書いてきましたが、
弁護士は毎年1600〜1700名程度
増えていく中、
司法書士と弁理士を合計すると、
こちらも毎年、1500〜1600人程度が
増えていく、ということで
人数をイメージいただくとよいでしょう。
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法律系資格
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法務省からは、
節電対策で、冷房が制限されたり、
照明が暗くなったりすることもあるけど
(自己責任で、何とかしなさい)
という留意事項が発表されましたが、
九州でかなりの雨が降った以外は、
おおむね、良好だったようです。
とはいえ、午前、午後と
1日中ぶっ通しの試験ですので、
受験された方はさぞ、お疲れのことと思います。
LECで行なった、解答速報会には、
例年通り、多くの人にお越しいただきました。
⇒解答速報とともに、
会場の様子をWEBで公開しています。
さて、今年は、昨年よりも
さらに志願者が減って、
久しぶりに3万人を割り込みましたが、
何年も受験し続けている
ベテラン層が減った、という印象は全くないので、
実質的な競争率は変わらないものと思います。
ここ何年か、法科修了生が出願していたのが、
公務員受験や民間就職など、
より「確実性の高い」道を選ぶ人が増えたことが
出願者減の理由ではないか、と思います。
昨年は、群馬県の試験会場へ行って、
受験生と試験後に懇親会をしましたが、
あのときのメンバーに、今年こそ
合格を勝ち取って欲しい、と影ながら祈りつつ
この文章を締めます。
本日から7月。
1年の後半戦を、Try&Errorを恐れずに
乗り切っていこうと思います。
以下、「悲鳴伝」からの引用
完璧であることと、
完璧主義であることは違います。
……
完璧主義の人間は、
最初から完璧を目指すので、
未熟な自分が許せない。
だから、トライ&エラーができないんですよ。
失敗をただ恥じ、ただ回避しようとする。
それゆえに失敗を繰り返す。
失敗と向き合えないからです。
彼らは一生、同じ失敗を繰り返す。
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NIKKEIプラス1『エコノ探偵団』にて、
士業の特集がある、ということで
コメントをしたところ、
「学生は士業を目指しません」
「就職活動で忙しくなったことが原因」
「人気が高いのは公務員試験の講座」
という部分だけ掲載をされました。
弁護士が独占していた
訴訟代理権が簡易裁判所について
司法書士にも認められ、
過払い金返還の特需があったことや、
行政書士の活動領域が広がっていること等、
業界で盛り上がっている部分も紹介してあるので、
トータルでは、資格試験業界に
プラスの内容となっていると思いますが、
大学生は安定志向、というイメージを
強めてしまったかな、という後悔はあります。
資格試験を目指す際、
合格を勝ち取るには
何かは犠牲にすることになります。
難関資格の場合、
1年次から勉強を始めたとしても、
3年次の夏までに試験を終えることは
非常に難しいので、
就職活動との両立はなかなか難しいです。
公務員試験の場合、
大学の授業(を真面目に受けていれば)で
カバーできる部分も多く、
教養試験の、数的処理や時事問題は、
就職のSPI試験・WEBテスト対策と
重なる部分も多いので、
就職活動と十分に両立できます。
1年次から就職活動のことを
先輩に聞いたりすると、
就職活動との両立が難しそうな
試験勉強は避けて、
2年生までは
サークル活動や人脈作り(というか、恋人作り)を頑張って、
3年生からは、
留学や検定もの(簿記、TOEIC、ビジネス実務法務、秘書検定など)
の取得、又は公務員試験の勉強、
というコースが一般的になっているように思います。
もちろん、1年次から
予備試験や公認会計士を目指す人もいますし、
いわゆる「T字型人間」、
ある1つの分野で深い知識を有しつつ、
その上で、広く他の分野のことも一応は知っている人
(会社の中で必要とされる人材を指すようですが)
になるためには、
法律・会計の最高峰の試験を目指すのは
素晴らしいことです。
難関資格を目指している学生が、
途中で一定の成果(短答合格)を出した段階で、
就職活動へ切り替えたときに、
企業がその成果を評価してくれるようになればよいな、
と思います。
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Yahoo!トピックスで
資格が扱われています。
資格全般について、書いていきます。
まずは告知から。
NHK教育テレビで
毎週水曜の深夜12時から、
資格☆はばたく、という番組があります。
3月は行政書士が特集されていますが、
番組が3月でいったん終了、
ということで、資格のランキングを発表しよう、
という話になっており、
14日の放送では、ユーキャンの方とともに、
私も出演して、数分だとは思いますが、
最近、受講生が増えている資格について
話をします。明日、収録です。
ということで、14日の夜、
もし思いだしたなら、NHK教育を見てみてください。
さて、資格取得の効用としては、
Yahoo!トピックスの記事でも書かれているように、
・専門分野の確立
・自分に自信をつけるための武器になる
という2つがあります。
「資格」でなくても、
何らかの試験に合格すれば、
自信につながりますが、
「資格」の場合、中学・高校までの勉強とは違って、
「これを知っていると、働く上で役立つ」知識とか、
「人に感謝される」スキルとか、
実社会の営みに関連することが
試験科目になっており、
合格した場合の充実感が一味違います。
そして、雑学的な、断片の知識ではなく、
体系的な知識・ルールを試すものであるので、
「専門性」にもつながります。
大学生や就職したばかりの人でも、
簿記やビジネス実務法務検定、FPなどを
取得することはお奨めです。
さて、仕事につながる資格、ということで言えば、
プレジテントの記事が参考になります。
医療系としては、
リハビリに関わる資格として
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、
福祉・介護系としては、
保育士、ホームヘルパー2級、
介護福祉士、ケアマネジャーが紹介されています。
いずれの資格も、取得後の働き方として、
必ずしもフルタイムで働く必要はなく、
自分のペースで、週何時間だけ、という働き方も可能です。
フルタイムで働くことを考えると、
給料が安い、というデメリットが目立ちますが、
パートタイムで働くことを考えると、
正社員の待遇がそれほど良くない分、
パートタイム労働者への評価が、それなりに平等にされており、
給与はそれほど悪くない、ということになります。
最後に、マイナビが20代のビジネスパーソン向けに、
「取得を考えている資格」の
アンケート調査をした結果をもとに、
資格取得にかかるお金について
書かれた記事が、トピックスの中にありました。
男性は、TOEIC、簿記、中小企業診断士、
女性は、TOEIC、FP、簿記、
ということで、TOEICは「資格」なのか、
という根本的疑問もありますが、
記事で書かれている金額は、
簿記3級対策の価格が少し高く、
1級対策は少し安いな、という違和感はありますが、
概ね相場に近い金額です。
最近の経済ニュースは、
・電機メーカー各社が軒並み、巨額の赤字決算
・投資運用会社が破たんし、年金資金が消失
・エルピーダメモリの会社更生法申請
といったもので、
従来型の、1つの企業で働き続け、
退職金と企業年金で老後もある程度は豊かに、
という人生プランが夢物語に近いものとなっています。
資格を取ったからといって、
即、仕事の依頼が来るわけではないですし、
その後も勉強は継続することになります。
まずは顧客に得をしてもらい、
笑顔になってもらい、感謝されるよう、
「人のため」に尽くすマインドが必要ですし、
会社にいたときよりも、
「営業」を頑張らなければいけない場合が多いです。
それでも、1つの収入に頼るのではなく、
いくつかのお客さんを確保しておいて、
適宜、入れ替えていく、という生き方が、
結果的には「安定」している、と評価される日が
来るのではないか、と思う今日この頃です。
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正月も終わり、節分も過ぎたので、
かなり季節感のないネタとなってしましますが、
『週刊 東洋経済』の記事で、
冒頭に、「下町ロケット」における
神谷弁護士の説明が引用されていたので、
昨日の講演会の流れで、紹介をします。
「下町ロケット」の中でも
ストーリーの背景としては登場していた、
特許の範囲変更が絡んできます。
特許訴訟は、
サトウ食品工業と越後製菓との間で
争われており、
切り餅に入れるスリットを、
越後製菓は側面に1本入れる特許を
取得しているところ、
サトウ食品が、上下面だけでなく
側面にもスリットを入れた切り餅を発売していることは、
越後製菓の特許を侵害するものであるとして
2009年3月に、訴訟提起された事件です。
切り餅なんて、大した損害額ではないだろう、
と思われがちですが、
最近の独身世帯(特に、高齢者)、夫婦のみ世帯の増加いより、
餅メーカーにおいては、
個別包装の切り餅の売上げが大きくなっており、
記事によると、サトウ食品では、
270億円の売上高のうち、136億円が包装餅、
越後製菓でも、160億円の売上高のうち、
100億円が包装餅、となっています。
100億円単位の売上げがある製品の
特許侵害訴訟であるので、かなり重大な事件です。
東京地方裁判所では、2010年11月に、
越後製菓の請求を棄却する判決が出ていたのですが、
昨年9月に、控訴審の
知財高裁が、特許侵害を認める中間判決
(この後、損害額の認定の審理に移る)を下し、
地裁と高裁の判断が分かれたため、
注目を集めています(私は、この記事で初めて知りましたが)。
知財の専門家にとっての注目点は、
高裁が、
特許明細書の文言を狭く捉える
従来型の発想を離れ、
明細書の背後にある、
技術の本質的な特徴点を把握した上で
特許侵害の有無を判断する手法を
採ったため、と言われています
(裁判長は飯村敏明氏)。
地裁は、越後製菓の特許明細書が
「切り餅の載置底面・平坦上面ではなく
(中略)側周表面に(中略)
切り込み部・溝部を設け」
と書かれていることに着目し、
「上下面にスリットを入れない」ことに
特段の意味を読み取り、
上下面と側面の両方に切り込みを入れている
サトウ食品を勝訴、としましたが、
高裁では、
「側面に切り込みが入っていることが
越後の発明のポイントであり、
上下にも入っているか否かは関係ない」
という判断が下されました。
※サトウ食品は、当初(2002年9月)、
上限面だけの切り込みで特許申請をしていたところ、
翌月、越後製菓が「側面の切り込み」で特許申請を行い、
その後、2003年に、サトウ食品が側面2本の切り込みを
追加して範囲変更、審査請求を行い、
2004年にサトウ食品の特許が登録された、
という経緯になっているので、側面の切り込みについては、
越後製菓の方が優先されます
(越後製菓の特許は、2006年にいったん拒絶査定され、
その後、不服審判でこの査定が取り消される、という
紆余曲折を経て2008年にやっと特許として登録)。
ただ、記事の後半で詳しく紹介されているように、
実際問題として、サトウ食品が
上下面だけでなく側面に切り込みを入れたことで、
越後製菓の売上げがどれだけ減少したのか、
という「損害」の認定は困難だと言われています。
(切り込みが入っていない餅を販売している
会社の売上げシェアが、
切り込み有の餅の発売以後もそれほど落ちていない)
販売差止め命令が出ても、
切り餅業界は4社の寡占状態なので、
スーパー等がサトウ食品との取引をやめることは
考えにくく、
側面の切り込みさえやめて再出荷すればよいだけなので、
影響は大きくない、と評価されています。
実施権についても、サトウ食品側は、
この切り込み特許の実施権の運用を
新潟県餅工業協同組合に委託し、
特許使用料は、この組合の運営費用に
充てられ、サトウ食品側には入っていない、
といった事情もあるようです。
こういった事情から、
越後が業界内で孤立するリスクがあり、
サトウ食品側に同情が集まってしまうのに、
なぜ、提訴に踏み切ったか分からない、
というのが業界の意見、とのことです。
記事の最後でも書かれていますが、
特許は産業の発達のためにあるのであって、
競合他社との争いのためにあるものではない、
という教訓を感じる事件です。
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